このゆびと~まれ!

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ひらめきに必要な「集中」と「弛緩(しかん)」(前編)

2021年08月02日 | 人生
(努力を続けている人がリラックスすることが大事)
多くの人は、天才たちの頭の構造が分からないので、「そういう人は、もともと頭のつくりが違っていて、それで、ひらめきが出てくるのだろう」と考えがちです。

しかし、「ひらめきは、ただ待っているだけで、やってくるものではない」ということを知っておいたほうがよいと思います。やはり、たゆまぬ努力・精進を続けているなかに生まれてくるものなのです。

言葉を換えれば、「『集中』と『弛緩』が大事だ」ということです。集中しているときと、リラックスしているときの両方の面を持っている人に、天才的インスピレーションは降りてきます。

本業の研究や仕事などで一生懸命に努力し、勉強し、精進している人が、リラックスしているようなときに、インスピレーションは降りてきます。海辺や公園を散策しているときなど、リラックスしているときに、ふとひらめいてくるのがインスピレーションなのです。

ただ、いつも公園を歩いているだけであれば、ホームレスのようになってしまう可能性があるので、それでは駄目です。生産性のあるインスピレーションを得るためには、常日頃、目的性を持った努力をずっと続けていくことが大事であり、そのなかでインスピレーションがストンと落ちてくるのです。

そういう努力をしていると、ノーベル賞を受賞した湯川秀樹のように、寝床のなかで中間子理論を思いついたりするわけです。

「原子核のなかに、もう一つ、『中間子』というものがなければ、どうも計算が合わない。これは絶対にあるはずだ」というようなことを、布団のなかで、奥さんと寝物語をしながら考えているのが天才なのです。

奥さんは、そうとは知らず、「夫は私のことを考えてくれている」と信じているのかもしれませんが、そういうときに、天才は、「原子核のなかに中間子が存在しているのではないか」などと考えているわけです。天才との生活は、だいたい、そのようになります。

あるいは、「旅先で、乗り合い馬車のステップに足をかけたときに、パッとひらめいた」という数学的天才もいます。

(考え続けていると、夢のなかで思いつくこともある)
また、化学では、「ベンゼン環」といわれるものがあります。高校などで化学を勉強すると、亀の甲のような化学式が出てきますが、これがベンゼン環です。以前にも述べましたが、このベンゼン環を考えついた人は、ケクレという化学者です。

彼は、「ベンゼンの分子構造は、どのようになっているか」ということを、ずっと考えていたのですが、あるとき、ヘビが自分の尻尾をくわえて、ぐるぐる回っている夢を見たのです。それがヒントとなって、ベンゼン環という、亀の甲のような化学式を考えつきました。「こういう構造式であれば、うまく説明できる」ということに思い至ったのです。

これは、夢から出てきたひらめきであり、インスピレーションです。「常日頃、ずっと考え続けている人には、インスピレーションが降りてくる」という例です。

「日頃、努力をしていないのに、偶然にインスピレーションが降りる」ということは、一生に一回ぐらいはあるかもしれませんが、あまり生産性のある思いつきは出ないものです。素人が思いついても、その思いつきは、たいてい、すでに誰かが研究済みであったり、発表済みであったりすることが多いのです。

したがって、現代のように専門性が強い時代においては、その領域について、ある程度、勉強していなければいけません。「偶然、素人の思いつきがヒットする」ということは、ほとんどありえないのです。「専門の分野について、一通り、一生懸命に勉強しておくことは当然である」と言えます。

普通の人は、その水面下の努力の部分を知りません。「アヒルが水面下で水かきをどれだけ一生懸命に動かしているか」ということを知らないのです。外からは、アヒルが優雅に泳いでいるところだけしか見えていないので、その水面下の努力を忘れがちなのです。

---owari---
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