2月8日,タイ時間の5時出発で、バンコクの空港へと向かった。
チャーターしたリムジンには,それぞれがムフフな思い出やエヘへな気持ちを胸に抱き,また一年後だな,と,話し合うオヤジが4人乗っていた。
4人のオヤジは一年に一度,2月にアジアの何処かで弾ける為に集まるのだった。
一人は禿,で,もう一人も禿,で,もう一人は限りなく禿に近い薄毛で,もう一人は,水虫だった訳です。
もっとも禿である事はこの旅行とは何の関係もないのだが、一応メンバーの紹介をしようと思うと,禿と言う項目は大切な要件のように思えて書かざるを得なかった訳です。
いや,誰が一番禿なのかと言うのはとても微妙で,前頭葉禿の具合で行けばカンノが一番の禿と言う事になるけれども,しかし,総合判定での禿具合はと言えば,それはキヨシで、そうなると、中途半端に薄毛の私が最下位と言う事になる訳です。
もう一人のオヤジですか?
彼は禿では無い訳ですが,水虫の足の酷さと、その他に足がとても臭い事も加味しなければ片手落ちだと思う訳ですが,禿より恥ずかしい彼の名前はノボルです。
まっ、4名の紹介を手短にするとなれば,禿と水虫のご一行と言う事で,仕事も住んでるところもバラバラの四人が,スケベであると言う固い絆に結ばれ、一年に一度,アジアの国を旅する訳であります。
そんな訳で,あの、新聞で反政府デモ騒ぎが報じられるタイに行った訳でありますが、しかし,そんな時にノコノコとバンコクの歓楽街に乗り込む程の度胸は無い訳で、行ったのは,もっと凄い歓楽街として名を馳せるパタヤでありました。
まっ、パタヤに行って何をする?となれば,ナニしか無い訳なんですけれども,そのナニは,人によってはゴルフであったり,人によっては寺院巡りであったりする訳ですが,我々の場合のナニは,像に乗って炎天下の公園を巡ると言う事でありました。
いや,「人には沿うてみよ,像には乗ってみよ」の喩えの通り、像には乗ってみるものでありまして,そのバカバカしさはきっと末代までの笑いぐさとなる事間違い無しであります。
まっ、遊園地のような公園内をナニ像と言うですかね? 土方歳三では無さそうですが,まっ,私が子供の頃に八木山動物園で見たインド象と似たような品種でありました。
で,像を見て何に気が付いたかと言いますと,まず,デカイ,と言うのは当たり前でして,私が驚いたのは像の毛の硬さでありました。
いや,一寸したワイヤーくらいの硬さでありまして,当日,薄い短パンをはいていた私が像の首に直に股がりましたところ,ケツメドと金弾に像の毛がちくちくと刺さって気持ち良かったりした訳であります。
いや,ホントに,ケツの皮とか金玉袋がチクチクして結構痛かったもんでありました。
で,公園内を練り歩く間に像にバナナをあげましょうと売りつけられる訳ですが,何処から見ても不味そうな,本来は茹でたり焼いたりして喰う種類の一番安いバナナをコンビニ袋に一つ,そうですねぇ~10本の物が二房ですか? それで300円もふんだくる訳であります。
で,まぁ、そんなこんなで炎天下のどうでも良いような雑木の公園内をノッシノッシと像の背中に揺られて練り歩き,時にバナナをあげて像の機嫌を取ったりして楽しい時間を過ごした訳です。
その他にナニをしたのかとか、そう言うのは大人の話しになっちまうのでここには書けない訳でありますが,まっ,ムフフな事でありますと言えば,大体は察してもらえると思う訳であります。
まっ、確かに,その他にもウフフな事や,デへへな事もしたのは隠しもしない事ではありますが,そう言うお下劣な事は公序良俗に反するので書かない事にしたいと思う訳であります。
いや,タイトルに書いた「あの日私はそこに居た!!!」ナンですけれども,それは,2月8日午後4時頃,私は日本全国で話題になっていた成田空港の国際線到着ロビーに居た訳であります。
で,滑走路が一本閉鎖なんで予定より30分程遅れて着陸しますと,係員が私の名前を読んでいる訳です・・・いや,無賃乗車はしていないし,ナンだろ?と,思って行ってみたら,ナントぉ~成田から仙台への接続便が欠航と言う事で・・・そりゃ結構とは成ら無い訳でして,オラどうすれば良いんだべ?となる訳であります。
まっ、結果から申し述べれば,全日空のとても冷たい態度の女性の係員から一万円入りの封筒を手渡され、「これは手切れ金です」と念を押され,今後一切全日空には近付かないで下さい,と、きつく言い渡されちまった訳であります。
そうかぁ~,もう全日空には頼れないのかぁ~と言う事で,ンじゃぁ,と言う事で,JRのみどりの窓口へ走ると,在来線はみな停まっているんですよぉ~と言うではありませんか。
ナニぉ~登,気色ばんだ私は,さっと京成の窓口に走った訳でありますが,そこで言われた冷たい言葉は、立った今,運休が決まりました,ですと。
ふふふふ,舐めんなよ,こう成ったら高速バスがあるじゃないかぃ、と言う事で,バスの窓口へ全力ダッシュした訳であります。
いや,バスは乗れるキャパが少ないんで早い方が良いと踏んでのダッシュだった訳でありますが,はたして・・・。
窓口の係員は,赤ら様にまたバカが来た,と言う感じで「この状況ですからねぇ,バスは走れませんよねぇ」ですと。
あぃやぁ~これは全面的に参ったぞ・・・私にはもう打つ手は無い。
万策尽きてアーコリャコリャ,と言う心境で踊り出したくなっちまった訳であります。
しかし,手拍子を二つ程打ったところで最良の案が浮かんだ訳です。
水虫で足の臭いノボルは埼玉の戸田南から車で来ている訳だから,奴に大宮まで乗せてってもらえば済む話しジャン,と思った訳であります。
で,既に車を走らせ始めていたノボルに電話を掛け「戻って来て拾ってくれや」と頼むと,禿と禿げ擬きは乗せられねぇ,とか抜かしやがるので,お前んちの女房に皆で取った写真を送ってやらなくちゃな,と言うと,即座に,今何処に居るのと親切になったので,空港の適当な場所で拾ってもらった訳であります。
いや,コレが総ての苦行の始まりと申しましょうか,難行の始まりだった訳であります。
まず、成田空港を出切らないうちに高速やら一般道の惨状がニュースで入り,車で戸田南まで行くのは不可能となった訳であります。
ンじゃぁ腹を括ってホテルに泊まっち真宇部,と決定し,ホテルや旅館やモーテルまで
電話を掛けまくった訳ですが、繋がらない訳であります。
ンじゃぁ,と言う事で,直接行って見んべ、と言う事で,最寄りのホテルに乗り込んだ訳でありますが,答えは皆一緒でありまして「生憎本日は全館満室頂いております」ですと。
おいおい、ドーするぅ? このとき既に七時近く。
取り敢えず腹減ったから飯喰わなくちゃなぁ~と言う事で,上手い具合に定食屋とコンビニが隣り合わせの物件が目に入り,あそこにしようぜ,と、車を乗り入れた訳であります。
で,和食系の定食屋で,とてもお得なご飯お替わり食べ放題,なんて信じられない好待遇を受けつつ飯を食っていると,パトカーが回って来て,どっちへ向かっても道路は閉鎖されてますから悪しからず,と宣って回っている訳です。
ありゃぁ~,と,言う事は,ここから動けない訳だから,酒が呑めるな,と満場一致で決まり,結構割安な生ビールで乾杯した訳であります。
しかし,居座ろうと思った飯屋は非常にも定時より早く店を閉めて従業員も帰るとの事で
早々に追い出されちまった訳であります。
こりゃぁ手痛い誤算であったなぁ,と、思いつつも,そんな事もあろうかと狙ったコンビニの駐車場に車を入れた訳で,仕方が無いので缶酎ハイやらイカ薫を買い求めて車内で宴会の続きをやった訳であります。
いや,これが結構正解でしたが、しかし,一番足が臭いと思っていたノボルが靴を履いているのにスルメの腐ったような匂いが漂った訳で、くさやの干物は買って来てねぇだろうな,と、問いつめると,犯人は一番禿のカンノだった訳で,結局一番残念なのはトータルでカンノだな、と言う事に決定しちまった次第であります。
そうこうしている内に,こりゃぁ明日の朝だって走れるもんかドーか分かったもんじゃねぇなぁ~,と言う事になり,ここは一つコンビニの若い衆に暫く厄介になりますと挨拶しといた方が良く無いか? と,言う事で,全員でコンビニに行き,挨拶をしてトイレを借り,長期戦に備えて缶酎ハイとタコ薫も買い足した訳であります。
さて,狭い車中ではありましたが・・・いや,コレが,思い返せば8日の早朝に車のシートに腰掛けてから,腰が伸びた時と言うのは立って歩いた時だけと言う有様な訳でして,ケツは痺れ腰は傷む訳であります。
だって,車で2時間,待ち合いで2時間,飛行機で6時間,空港内をうろうろ1時間,定食屋で3時間,車で9時間でありますから,都合23時間の苦行をした訳であります。
で,戸田南のノボルが言うには,ニュースでは明日は気温が10度だと言うから早々に雪は溶けて走れるさ,と楽観していた訳でありますが,果たしてその結末はいかに? と,言いますと,ノボルの見立てがドンピシャリ、でありまして、7時にはなんとか走り出し,10時半に埼玉県の戸田南駅で降ろされた訳であります。
そこでノボルだけがさっさと家に帰って寝る訳ですが,私以下3名は,埼京線で大宮に移動し,キヨシは新潟の浦佐へ,カンノと私は東北新幹線で仙台へと向かった訳であります。
で,13時13分に仙台駅に到着しますと・・・いや,新幹線って飛行機より格段に快適ですね。
好きな時に弁当もコーヒーも買えるし,気流が悪いところを通過するからシートベルトを締めてろ,なんて事も言われないし。
いや,気流が悪いかどうかは知りませんけど,シートベルトを締めてる時にトイレには行けない訳でして,それは私に取っては殆ど拷問と言いますか,死刑判決にも似た宣告な訳であります。
飛行機の座席に座ったままンコ漏らしたら機内の全員に迷惑をかけちまいますゼェ~。
それなら、トイレの個室で私一人が怪我するなり場合に因っては死んじまったとしても,その方が万人丸く収まると思うんですが,スッチーの御姉さん方はイジメて楽しむかのようにベルト着用サインを錦の御旗として押し頂く訳であります。
まっ、そんな訳で仙台駅に到着しますとただならぬ雰囲気が充満してまして,けたたましいアナウンスを聞いてますと「大雪のため在来線の運転を全線で見合わせております」と来たではありませんか。
どっひゃぁ~仙台駅よお前もかぁ~と言う心境で,この上まだ苦行を課すのかよぉ、と泣きたくなっちまう訳であります。
しかし,汚い字の掲示板を見ますと,午後時に運転再開の見込みと書かれているではありませんか。
そう言う事なら飯でも喰ってトイレに行ってる間に時なんてすぐだろう,と、立ち食いそば屋に入って「昔のカレー」と言うのを喰った訳であります。
いや,これが、ホントに昔のカレーでありまして,所謂一つのうどん粉カレーと言う奴ですか? まっ黄色くてジャガイモしか入っていなくて,なにの妙に辛いと言う,酷いもんでありました。
あれっ? あの店,福神漬けが無かったぞ・・・昔カレーと名乗るには片手落ちだな。
と,言う事で,2時まで待ったんでありますが,また新たなアナウンスがありまして,鋭意除雪に励んで入るものの運行の見通しは未だ立たないと言う事な訳で,そこで、禿なのに足も臭いカンノが,地下鉄で富沢辺りまで行って,タクシーで家まで行って,車で空港まで送って行きますよ,と、名案を吐いた訳であります。
ウーム,中々に憂い奴派じゃ,近う寄れ,褒美をとらすぞ,と言う事で,タクシー代は私が出すから大船に乗った気で居てくれと言う事で地下鉄に乗った訳であります。
で,禿カンノの家に行き,ゴミのような荷物はさっさと放り投げ,中古で買ったVW社の馬鹿に横幅の広い四駆に乗って仙台空港まで行った訳であります。
その時,既に4時を少し回っておりましたが,そうかぁ、これで戦いは終わりだ,と感無量の思いを胸に車のドアノブに手を掛けますと,いつも優しく車内灯が灯り,ロックが解除されるのに,ウンともスンとも言わない訳です。
ああ,私の車のロックは手袋をした手でドアノブを握っても自動で開く事になっている訳なんですが,無反応だった訳です。
ナンか,とても悪い予感が,と思いつつも,ヒョットすると電子キーをザックに入れたままだからかも、と思い直し,引っ張り出して再度挑戦するも結果は同じでありまして,無反応でありました。
うひゃぁ~禿カンノは帰っちまったし,ドーすっかなぁ~と、言いつつも,近くに娘の嫁ぎ先が有り,そこは車関係の仕事なんで何とかなるだろうと多価を括っていた訳ですが。
で,電話をして早速,娘の旦那がバッテリーを抱えて来てくれた訳でありますが、これがブースターを繋いでもやっぱし無表情な訳であります・・・お前,音無の構えが身に付いちまったか?とか洒落を言うには寒過ぎる状況な訳でして,仕方が無いのでスバルのディーラーにこれ以上は無いと言う悪口雑言を浴びせかけ,担当者とメカニックに来てもらった訳であります。
すると,バッテリー上がりは確かにそうなんですが,総ての警告ランプが点きっぱなしとか,とてもファンキーに車に変身しちまっていたりして,これじゃぁ目がチカチカして乗れないから直してくれやぁ,と言う事で,そのままティーラーの工場に直行して代車を貰って
家に着いたのが午後10時を過ぎていたと言う,なんとも筆舌には尽くし難い壮絶な二日間を過ごしたと言う顛末でありました。