まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

いけばな龍生展2023を楽しみました

2023-11-26 19:57:34 | 建築・都市・あれこれ  Essay

「いけばな龍生展 植物の貌2023」に行ってきました。ここ数年の会場は渋谷ストリームです。家元の壮大な作品を楽しみにしていますが、今年も期待を裏切ることはありませんでした。私は生け花には全くの素人ですが、一つのアート作品として楽しんでいます。作品の写真を載せたいところですが、まずいでしょうから、会場近辺の写真を数枚計上。

山手線と高速の交差するあたり。

ここ数年の渋谷の変貌ぶりは何とも形容のしようがありません。井の頭線渋谷駅にはかつての終着駅の雰囲気は残っていますが、そこから銀座線に向かうコンコースや、東急東横店、JR玉川口の改札など見慣れた風景は全くなくなってしまいました。

 

100年に一度の大規模再開発だそうです。そこには世界都市東京のエネルギーを感じる人もいるでしょうし、隘路に入った資本主義が新しい出口を求める、必死の形相を見る人もいるでしょう。

どちらも当たっているのでしょうが・・・。

帰りには、井の頭線と京王線の出会う明大前で途中下車。久しぶりに外に出てみました。ラーメンをいただいて、帰路につきました。

 

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko TAKATANI

architecture/urban design

 

 

 

 

 

 


旧国立公衆衛生院、内田ゴシックを訪ねる

2023-11-26 18:36:48 | 建築まち巡礼関東 Kanto

高校の同窓で建築通のOさんに誘われて、初めての港区郷土歴史館探訪。

外観を見ると、本郷の東大図書館を思い出します。エントランスのアーチの連続、縦方向の線状装飾、スクラッチタイル、シンメトリーで前に噴水を置く配置・・。

設計はどちらも内田祥三先生。この建物は1938年にできた国立公衆衛生院の建物です。

中に入ると、階段室は2層毎の吹き抜けになっています。床は大理石、結構豪華な感じです。

階段部分は6層分吹き抜けです。ちょっと表現主義的な、やさしさ、流麗な印象もあります。

平面的には大きな両翼を持ちます。片方には300人以上入る講堂があります。

 

壁は真壁的な雰囲気もあり、格天井と相まって少し和のテイストも感じられます。

講堂の下の方には博物館的なゾーンもありました。何と、狸に初めて触りました。もちろんはく製です。

少しゴワゴワしていると思いきや、猫と変わらない、やわらかい毛並みでした。

フクロウにも触らさせてもらいました。

かわいく振り返ってくれました。

さて建築の話に戻ります。

こんな豪華な内田ゴシック建築が、1938年という年にできているんです。しかも、アメリカのロックフェラー財団の寄付(関東大震災からの復興支援)でつくられたというのも驚きです。

1931年には満州事変、1937年には日華事変、すなわち中国との戦争が始まっています。

1931年の満州事変の年に、「帝室博物館」のコンペが行われ、「帝冠様式」の渡辺仁が当選しています。前川圀男がコルビジェ風の案を出してその風潮を批判したことで、当時は国内で日本的な建築を求める嵐が吹き荒れていたというイメージをもっていました。帝冠様式≒日本ファシズムの意向という図式です。

しかし、藤森先生や井上章一氏(1995『戦時下日本の建築家 アートキッチュ・ジャパネスク』朝日選書)によると事実とは異なるそうです。このことを最初に指摘したのが稲垣栄三先生(日本建築史の授業ではお世話になりました)。同時代にこういうゴシック的な建築が建っていたんですね。昨日、ブラタモリ(テレビ番組、ビデオを見ました)の中でタモリが戦前の日本軍はこういう(表現主義的あるいは古典様式を残したアールデコ的な)建物が好きですよね‥というコメントをしていましたが、決して日本風を軍あるいは軍国主義が強要していたわけではないことが分かります。ちなみに1937年竣工の大阪軍人会館はまさにバウハウス風のモダニズム建築です。

建築的な位置づけは置くとしても、いい建物です。お金をかけて思う存分建築家が腕を振るった、という印象です。

 

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko TAKATANI

architecture/urban design

設計計画高谷時彦事務所

 

 


高尾山から小仏城山へ

2023-11-26 17:38:26 | 建築まち巡礼関東 Kanto

レフレッシュのため、高尾山へ出発。

これまでは山頂どまりでしたが、少し足を延ばして小仏城山まで頑張ってみました。

休憩所もあるので安心です。よく冷えて苦い飲み物もありました。ありがたいことです。

休憩所の廻りの紅葉が一番進んでいました。

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko TAKATANI

architecture/urban design

 


久しぶりに世田谷美術館そしていらか道

2023-11-26 16:46:12 | 建築まち巡礼関東 Kanto

結構忙しい日々を終え、ふと美術館に行こうというアイデア。

「倉俣史朗ー記憶の中の小宇宙」をやってるじゃないか・・・ということで田園都市線の用賀に降り立ち世田美へ向かう。

長らくご無沙汰していた「いらか道」が出迎えてくれます。言わずと知れたチーム象の名作。

年月を経て、まちの中にしっくりとなじんでいます。

サインも面白いですね。

ただ、私はここまでやる必要があるのかな・・などと思っていた時期もあったように記憶します。しかし、ここまで丹精を込めて作り上げているからこそ、使う人にも受け入れられているのでしょう。役所の予算が余ったから、歩道のお化粧をしましょうというのとは次元が違います。当時の世田谷区役所の人たち、地元、設計者、施工者が大切に作ってきたという、思いが今も伝わってきます。

数日前に、ランドスケープアーキテクト宮城俊作氏の『庭と風景のあいだ』(鹿島出版会SD選書 2020)を読みました。active designである建築によるアーバニズムに対してpassive design であるランドスケープが主体となったLandscape urbanismについて教えてもらいました。確かに、都市域が縮小し、空地化していく時代において、ランドスケープの視点から構築環境(Built Environment)の在り方を考えていくことの意義は大きいと思います。

このいらか道は、通り道であると同時に、周りの構築物に対しても一つの(優しい)structureになっているように思いました。建築的な(強い)メガストラクチャーではない、都市環境の誘導の仕方があることを示してくれているように思いました。

ということを考えているうちに、砧公園に到着。

・・・しかし、倉俣史郎展は、まだ先のことでした。予告のポスターを見てきてしまいました。しかし、大変刺激的な展覧会を見ることができました。

「雑誌に見るカットの世界 『世界』と『暮らしの手帳』」。

岩波書店の世界は昔よく読んでいました。確かに記事の横に小さなカットもありました。それらが、中川一政、加山又造、宇佐美圭司さんなどそうそうたるアーティストの

手になるものだとは知りませんでした。飯田善国さんや関根信夫さんなど彫刻家のスケッチもたくさん使われていたようです。

また暮らしの手帳の花森安治さんは編集者とばかり思っていましたが、画家、イラストレーターとして活躍されていたんですね。引き込まれてしまい、見てて飽きることのない

味のある作品をたくさん見ることができました。得をしたような気分です。もちろん「倉俣史朗」展はまた別の機会に来るつもりです。

 

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko TAKATANI

architecture/urban design