まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

人気のたこ滑り台から考えること

2022-01-03 12:39:43 | 建築・都市・あれこれ  Essay

事務所への自転車通勤するときの風景。正月からたこ公園は人気です。途中で聞いたお父さんと坊やの会話。「そんなに走らなくても、たこ滑り台はにげないよ」(お父さん)。「たこはにげるよ!」(子供)。

なぜこの滑り台は子供をそんなに夢中にさせるのか?空間をつくるプロ?である私たちも考えないといけません。ハードの空間が見事に使われて楽しい場所になっています。ただ、一緒にいる親たちにとっても、過ごしやすい気持ちの良い場所になっているのか?道路沿いの木の一本もない場所でいいのだろうか?そのあたりも考えないといけないでしょう。

実はこの「たこ滑り台」は以前、調布駅前のひろばの中にありました。調布駅前広場は、かつて建築集団「チーム象」が設計し、尊敬する都市計画家、林泰義氏が「日本一の駅前広場」とほめてくださいました。市民としては、うれしい評価です。そこにたこ滑り台もあったのです。私のこどもたちも滑っていました。ただ残念なことに、「駅前整備」の過程で広場の樹木(かしのき?)は消え、交通機能優先のひろばに変わろうとしています。この滑り台も撤去されたのですが、壊されることを聞いた人たちのお別れ会もあったことを記憶します。そういう市民の声があって、広場ではなく今の場所に再建築されたのです。

まちの中に、人々が自然と集まってきて、多様な人々が、お互いを認め合いつつ思い思いに時間を過ごす場所をつくることがこれからのまちづくりに求められています。あるいは、自分のフィールドに引き込んでいうと、場所となりうる空間/スペースを構想し、構築することに私たち建築設計に携わるものの使命があります。この場所を眺めるとそんなことを考えさせられます。

It is significantly important  for us, architects or urban designers, to make places where we can spend time individually or in a group  watching other people enjoying in various ways. Those places can be called "Machinaka Commons". 

高谷時彦  建築・まちづくり

Tokihiko Takatani   architecture/urban design

 

 

 


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