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my diary

没落の予想

2022年06月21日 | 日記
 岸田首相は、デジタル臨時行政調査会などを設けてデジタル化による行政改革を模索しているようだが、ジム・ロジャースの言うように、戦後50年以上の長きにわたって繁栄してきた日本は、その成功故に、今、大きな没落への岐路に立っていると考えざるを得ない。

※ ジム・ロジャーズの発言
「1968年に世界第2位の経済大国となった日本は、50年以上の長きにわたって繁栄してきた。第2次世界大戦、いやその前から大変な問題を何度も乗り越えてきた。しかし、現在、直面している重大な問題に対して、目を背けすぎだ。日本の借金は日々膨れ上がっている一方で、人口は減り続けている。出生数も大きく減少していて、数年先はともかく20〜30年後には大変な状況になる。人口推計はあらゆる将来予測の中で、もっとも精度が高い予測と言える」 

 私は、上記のことは基本的に正しいのではないかと考えている。それは単なる少子化という問題だけではなく、日本社会が、今も昔も、利害調整型の手法で運営されており、縦割り、前例踏襲型の官僚統治手法は、太平洋戦争時の大失敗を経ても改善されずに残り、政治においても、目先の事ばかり議論され、特に自民党よりも、歴代の野党において保守的傾向(憲法やこの国の在り方への変更を嫌う)が強く、それが長期的視野に立った改革を阻害し続けて来たのではなかろうか。例えば、終身雇用という制度は、効率性から考えても既に終わっていると考えるべきで、正社員であっても途中退職し易くすることが必要であり、ヨーロッパ諸国のように、途中退職した人が最新の職業訓練を受けてスキルアップし、容易に再就職できるように国の制度を改革すべきではなかうか。それにも関わらず、未だに不毛な受験戦争が行われ、英語などでも中・高・大学と何年間学んだとしても、外国へ出た時に戦力にならないのは、文科省教育に根本的な誤りがあるのではなかろうか。働きながら学ぶという機会も必要であり、放送大学などの制度も、せっかく作りながら、労働者のスキルアップに大して役割を果たしていないのはどうしてなんだろうか。農業にしても、高齢化と後継者不足で、後5年もすれば危機を迎えるというが、現在のような相続制度や農業規制、外国人研修生制度という名前の低賃金労働制度に支えられた農業は、やがて早晩限界となるだろう。解決策は移民だが、頑固にそれを嫌う保守勢力が存在しているが、彼らは、日本人の原点が、大陸から渡ってきた渡来人にあるということを忘れている。この際、母国の憲法で緊急時には動員をかけられる恐れのある中国人を除き、外国人移民を積極的に受け入れるべきだろう。
 ともあれ、このままでは、我が国は、20~30年後を待たずして没落への道を歩みだすだろう。小松左京は、「日本沈没」という小説の中で、日本が無くなっても、日本人が難民として生き残っていけるだろうかという問題点を示唆した。今日、ウクライナ難民の有り様を見ても、外国語が喋れるかどうかや、他国に身寄りや知人がいるかどうか、他国でも通用するスキルがあるかどうかで、生活に大きな格差が生じていることは明らかだが、残念なことに、現在の大半の日本人には、それが無いのではなかろうか。
 大半の我が国の政治家達は、議員であることを自己目的化していると思われ本当の意味での改革に後ろ向きだ。我が国の欠点は、私権の過度の尊重、学歴格差社会の拡大、産まれた境遇によって貧困の輪から脱出できない貧困家庭の拡大、体の良いことばかり言う割に何の改革もしようとしない官僚と政治家達、ネット社会となっても世論の形成に依然として大きな影響を及ぼしているマスコミの劣化などがある。
 それでも、経済成長期には、様々な問題があったが、人々が生活を楽しんでいたことも確かにあったし、将来に向かっての夢もあった。昨今のアベノミクス下の低経済成長・停滞社会は、人々から夢と野心を奪い、コロナ禍を経て、社会の閉塞状況が強まる中で大きな危機を迎えようとしている。
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