長野の猟銃発砲事件の犯人の境遇のことを考えていたら、決して他人事ではないと思った。私も、対人関係が苦手で、学生時代などに挫折を味わっていて、この犯人の心境が良くわかるような気がした。彼は、長野県の市とはいえ、山裾に広がる田舎の実家暮らしのようで、市議会議長で農業を営むやり手と思われる父親と習い事などを教えるような母親の家庭に育ち、叔母も含めて4人暮らしのようだが、一部の報道によると、大学在学中に挫折を経験したようだし、どちらかというと引きこもりのような生活であったようだ。こんな場合、噂好きの田舎の人は容赦がなく、まして30歳を超えて独身であれば、何かとよからぬことを噂する人もいたかもしれない。そんな彼の趣味が猟銃などの銃器を持って射撃することに向かったのだろうし、実家で親の監視下にあるような生活で憂さを募らせていたことは理解できる。しかし、絶対に人を殺しても良いということではない。人を殺すという行為は、明らかに人としての一線を越えた行為であり、彼をそこまで追い詰めた状況は何であったろうか。あえて言えば、どういう結果になったとしても、早い段階で親離れをすべきであっただろう。自立してみて、それから自分の人生が始まるのであるが、田舎では、とかく跡継ぎなどと言われて、親も子離れをしようとしない。これが悲劇の原因の一つであったように思う。