感謝と誓願として捧げる酬恩祭
また、酬恩祭は感謝の表明であると同時に、神様に対する自分の誓願(誓約)を捧げる儀式でもありました。この酬恩祭は燔祭とは違って、ちょうど新約の聖餐式のように、儀式に参加する全員が集まって、犠牲の供え物の肉を分けて食べました。燔祭の場合は、犠牲の供え物全体を、祭壇の上に乗せて完全に火で焼いてしまいました。酬恩祭は、その犠牲の供え物の中で、神様に捧げる部分は祭壇の上で焼きましたが、大部分は犠牲を捧げた人に返されました。祭司には、その胸と右のもも、両方の頬と胃を与えるようになっていました(レビ記7章;申命記18章参照)。
犠牲の供え物の脂肪は、神様に捧げる部分として、切り取って祭壇の上で焼くようになっていました。聖所制度では、動物の脂肪は罪を象徴していたからです。詩篇37篇20節には、次のように言われています。「しかし、悪しき者は滅び、主の敵は小羊の脂肪のように消滅し、煙のように消えうせる」(欽定訳)。
酬恩祭を捧げる人は、供え物の肉の一部を食べましたが、残りは、その日一緒に来た家族に分けられました。またその残りは、翌日まで食べることが出来ましたが、三日目には食べることは許されませんでした。その理由は、イエス様が三日目に復活されることを象徴していたからでした。家族全員は、自分たちのために犠牲になられるメシア、イエス・キリストの肉を食べ、その犠牲を共にすることで、生きられるようになったことを思い起こしました。酬恩祭は、どのようにして彼らが、再び神様に受け入れられるのかを理解させてくれるものでした。