5年くらい前のことです。
父と母が使っていた部屋の棚を整理していた時に、こんな物を見つけました。
何か分かりますか?
私はこれを見て、自分が小学生の頃に父が、私の目の前でして見せてくれたことをふぅーと思い出しました。
虫取り網が破けてしまい使えなくなり、父にそのことを話すと、父はこんな形の道具を何処からか引っ張り出してきたのです。
そして、網と同じくらいの太さの糸をこの道具に取り付けて、破れた網を修理して見せました。
私は、不思議な気持ちで目の前で起きていることを見ていたのでした。
この道具を見つけて、すっかり忘れていた50年近く前のことが鮮やかに蘇ったのでした。
「どうやって網を編むのだろう… 」
私は家のパソコンで調べてみました。
すると、あの道具の使い方や網の編み方まで、写真入りで詳しく解説してあるページを見つけたのです。
嬉しくなり、自分でも網を編んでみたくなりました。
父の部屋で見つけた道具に、道糸(凧糸)を取付けやってみましたが、道具が小さくて充分な長さの糸が取り付けられません。
そこで、たくさんの糸を取付けられるように細長い道具を自分で作ってみることにしました。
材料は竹です。
せっかく網を編むならキレイな色の糸で編みたいと思い、染料を買ってきました。
何種類かの色で糸を染めました。
そして、ついに網を完成させることができました。
この他にも、オレンジやピンクの網も作りました。
編む時、網目が揃うよう指先に力を入れて網目を押さえます。
ギターの練習で指先が痛くなるみたいに、網づくりで指先にタコができました。
父は大正生まれの、おまけに戦地に赴いた人でした。
物資が乏しかった戦地では、身の回りにある物を使って何でも自分でつくっていたのでしょう。
その物づくりの道具でさえ自分でこしらえて…