子どもの毎日の宿題。
漢字のミスが目立つようになりました。
間違った字を書いて提出しているわけです。
そもそも学力的にも,生活態度的にも課題の多い子たち。
漢字のミスを正すと同時に,宿題への気の緩んだ取り組み方に喝を入れる必要があると思いました。
さて,どうしようかな。
まず,担任の私がより厳しい目で,間違いがないかをチェックするようにすることは確実に必要でしょう。
時間はかかるようになりますが,仕方ない。
担任の役割です。
さらに,隣どうしでもチェックさせよう。
よりフィルターを増やして,緊張感を増す作戦です。
そのとき
「間違った字に絶対に丸をしないこと!もしそんなテキトーな丸を見つけたときは,丸をつけた人を厳しく注意しますよ。」
これくらい強調していおきます。
隣どうしで丸つけをさせて,それを先生に提出させ,私の目でもう一度チェックする。
うん… もうひと押しほしい。
よし,決めた。
私は,漢字はできばえによって
「AA」 全て正しい字で,かつ丁寧
「A」 全て正しい字で,ある程度丁寧
「B」 間違いがある,もしくは全て正しくても雑すぎる
の評定をつけるようにしていますが,この「B」をもらった子は
「ペナルティとして,次の宿題ではさらに漢字プリントを増やします。」
とまでしました。
「えっ…」
この宣言に険しい表情の子どもたち。
気が引ける気持ちはよく分かりますが,それくらい必要だと感じました。
漢字プリントを準備する手間や,さらにチェックする宿題が増えることを思えば,またまた先生の仕事が増えることになりますが,これも仕方ない。
さあ,実行!
そして,2週間ほど経ちましたが…
漢字のミスは,すっかりなくなりました。
実行した最初のうち,2・3ありましたが,それを見逃さず,本当にペナルティを課したところ,それがまた子どもたちの目に映り,緊張感を増しました。
それ以降,漢字宿題の取り組みはぐっとよくなりました。
とりあえず,ねらいどおりです。
今,子どもたちは窮屈な思いで宿題の漢字を書いているかもしれませんが,そうした緊張感ある学習に取り組む姿勢が習慣となり,身についていけば,だんだんと荷が軽くなっていくはずです。
だから,この子たちには継続しようと思います。
そして,「忙しくなるだろうな」と覚悟していたチェック作業ですが…
これが意外と,そうはなりませんでした。
今までより厳しい目で漢字を見ようとしているのですが,そう時間がかかりません。
なぜかというと,単純に,ミスがなく,丁寧に書かれた漢字は,結局どの子が書いても全てほぼ同じ形をしているわけで,見る側として,とても見やすいんです。
そうなると,一字一字をチェックしていくというよりは,なんというか,きれいに並んだ真っ白なパズルの中に,型がズレているものがないか,違う色のものが混じってないかをチェックするような感じになりました。
そんなものは,目を凝らして見なくても,一目で分かります。
「AA」の中に潜む「B」は,見つけやすいんです。
そして,この効果は宿題のみならず,もちろんテストにもつながりました。
間違いの少ないテストって採点が楽になります。
なるほど,これは私にも新発見でした。
漢字について厳しくし,それに伴って自分の仕事を増やそうとすると,逆に今までより楽になりました。
これって,漢字のみに限ったことではなさそうです。
学習指導,生徒指導,学級経営,そしてその他の校務。
積極的な取り組みは,それ自体労力や時間を費やすものだけど,その効果が上がった時に,逆に仕事はぐんとやりやすくなる。
そういうものでしょう。
反対に,甘くしたり,手を抜こうとしたりすると,逆に忙しくなるという結果を招くんでしょうね。
うんうん,それもよく分かる気がします。
子どもに対して「これくらいいいか。」なんて見過ごしていると,あとからその子たちに痛い目に遭わされるということ,ありますよね。