ABE GUITARS

ギター・ウクレレ制作
フレット楽器全般 修理調整

ネック裏ラミネイト加工 進行中!

2009年01月14日 | 制作過程
ネック裏にはベニヤシートとヘッドプレートを接着して、ラミネイト加工を行います。デザイン性と強度を兼ね備えた作りです。リベッキーに教えてもらったことを、そのまま流用させてもらっております。出来上がりはこんな感じになります

ラインをレイアウトして、


バンドソーで切り出して、スピンドルサンダーで整形します。


ベンディングアイロン(通称「煙突」↓一番下の写真参照)でヘッドプレートの曲げ加工をし、

↑これはパーフェローです

ネック裏にあてがってしばらくクランプをし、曲げた部分を安定させます。


この後、2枚のベニヤシートと共に接着です。(続く)

お問い合わせ ABE GUITARS
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Tom Ribbecke's workshopでのバフがけ修行

2009年01月13日 | トム・リベッキー
Gibson custom koaのペーパー・バフがけに少々苦慮しておりますが、対象そのものの原因も当然ありますが、それにプラスして「自分のこだわり」の部分も多々あるように思います。それは、トム・リベッキーのもとで、ビシバシと鍛えられたからにほかなりません。特に塗装、特にバフがけは尋常ではありませんでした。そつなくこなしてOKかと思いきや、チェックを受けると「ここにキズがある」「ここにへこみが」との指摘。普通に見たら、何もない。しかし、いろんな角度から、嘗め回すように見ると、何となく僅かなキズみたいなものとか、うっすらと窪みみたいに見える部分が見えなくもない。「…もしかして、これッスか」(もちろん英語なのでこんな言葉は使いませんが、心情として)「その通り」「ここまでやるンスか」「それがハイエンドギターというものだ」「…」こんな感じでやっていました。そんな経験を重ねたお陰で、塗装はもとより全工程において「クオリティの高さ」を身をもって実感し、「審美眼」を養うことができました。目指すクオリティを実現できる技術は一朝一夕には身につかず、自身の能力の無さに愕然とする日々ですが、リベッキーの指南のもとで「道標」を得ることができたのだと思っています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Gibson custom koa その後

2009年01月12日 | その他リペア
昨日載せたギブソンのバフがけは、これで完了と思いきや、一晩置いたら結局、表面の沈み込みがまた目立ってきてしまいました。また改めてペーパーがけ+バフがけです。塗膜自体は乾いているはずなので、何度かペーパーを当てれば凹凸はほぼ無くなると思っていたのですが、やってもやっても沈み込んでしまう感じです。ピックガードの粘着力がよっぽど強くて塗膜にダメージを与えてしまったのか、あるいは塗装自体に問題があったのか…。
かなりペーパーを当てたので、普通ならとっくに平面は出ているはずなのです。私のオリジナルギターの塗装の場合であれば、ここまでペーパーすると確実に下地が出てしまう、くらいにペーパーを当てているのに、まだまだ大丈夫そうということは、塗膜が結構厚く、かなり下の層まで影響していると考えられます。でも、真相はよくわかりません。
このように、塗装や磨きの工程では、予想外の展開になることがよくあります。塗装の修理に時間がかかってしまうのは、そのためなのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Gibson custom koa

2009年01月11日 | その他リペア
ギブソンのカスタムコアをお預かりしております。


透明ピックガードを貼ったてしばらくして剥がしたところ、塗装がおかされてしまった、という相談内容です。


ペーパーを当てて、



バフがけしました。写真ではわかりにくいかもしれませんが、ほぼ平になりました。


こうして写真を並べると、ささっとやってしまったように見えますが、OKと思っても、見る角度や照明によって見え方が変わると凸凹部が残っているのがわかるので、何度も何度もペーパーを当ててはバフがけし、またペーパを当ててはバフがけし…を繰り返しているのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

OVATION 1717 Eliteフレットすり合わせ+サドル調整

2009年01月10日 | ネック関連
オベーション1717 Eliteをお預かりしました。電池ホルダーをネジで止めるタイプなので、かなりの初期型です。修理内容は、フレットすり合わせとナット・サドル調整。ほとんどのギターのネックは、ボディとの接合部から元起き(順ゾリ)していることが多いのですが、このオベーションは逆ゾリしている感じで、弦高が極端に低くなって、かなりビレる状態です。


まずはフレットのすり合わせを行います。


ナット溝の調整をした後、サドル調整に入ります。ブリッジを外すと、調整用のシムが見えます。シムでサドルをかさ上げしても弦高が低いということは、ネックがかなり逆ゾリしている証拠です。さらにかさ上げする必要があります。


数枚のシムで調整されていました。


同じようなシムをさらに数枚重ねてもいいのですが、ブリッジ底と溝の接地面を確実にするために、シムの代わりにローズウッドを切り出して敷くことにしました。この方が、弦の震動がサドルからブリッジに確実に伝わるからです。


サイズを調整して、溝に収めたところです。


サドルの高さはブリッジの厚みギリギリに収まり、弦高も適切な値に設定できました。音質も確実に向上しています。


修理前のサドルの高さと比べると、かなり高くなったのがわかります。


お問い合わせ ABE GUITARS
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネック厚み調整 カラーリング完了

2009年01月09日 | ネック関連
ネック厚み調整のカラーリングが完了しました。1月4日の画像と比較してもらうと、着色したことがわかると思います。
オリジナルよりもほんの僅かに濃い感じになってしまいましたが、合格点です。



この後トップコートを数回重ね、しばらく乾燥させます。


見る角度によって、そして照明(蛍光灯・白熱灯・自然光)によって、色の見え方が微妙に異なるため、どの光での色に重点を置くかがポイントになります。そして、それぞれの光でバランスが取れて見えるように調整していきます。それがカラーリングの難しさで、オリジナルと全く同じ色に復元するのは至難の業なのです。

お問い合わせ ABE GUITARS

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

木材の呼称について(続き)

2009年01月08日 | 材料の呼称
木材の呼称を複雑にしている要因の一つに「杢」の存在があります。杢というのは、木材表面に現れる模様のことですが、この美しさが商品価値を高めるので、杢の名前を強調した呼び方になるのでしょう。ところが、そのために肝心の「どの種なのか」がわからない場合も多々あります。例えば「バーズアイメイプル」や「キルテッドメイプル」。「バーズアイ」「キルテッド」というのはあくまでも杢の名前で種の名前ではないので、それだけでは、どのメイプルなのかは特定できません。

ちなみに、ギターの材料として使われているメイプルには一般的なものとして4種類ほどあります。学名/一般名で記すと
Acer sacchrum/ハードメイプル(ロックメイプル、ハードロックメイプル)
Acer macrophyllum/ビッグリーフメイプル
Acer sacchrrinum/ソフトメイプル
Acer pseudoplatanus/ヨーロピアンメイプル

バーズアイは一般的にはハードメイプル、キルテッドはビッグリーフメイプルに現れるようですが、他のメイプルにも当然現れてもいいはずで、そうなると区別するために「バーズアイ・ソフトメイプル」「バーズアイ・ビッグリーフメイプル」とか「キルテッド・ソフトメイプル」「キルテッド・ハードメイプル」などと呼ばれるものがあるはずですが、今まで聞いたことがありません。特定の杢は特定の種にしか現れないのでしょうか?だから「バーズアイメイプル」は暗黙の了解でハードメイプルであることが省かれているのでしょうか?その辺は正直なところ、わかりません。勉強不足ですので、もしわかる方がいらっしゃったら、是非ご教示をお願いします。

お問い合わせ ABE GUITARS
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

木材の呼称について

2009年01月07日 | 材料の呼称
パーフェローは別名「サントスローズウッド」「ボリビアンローズウッド」などと呼ばれることもある、と昨日ご紹介しました。しかし、実は全くローズウッドではないのです。
木材の流通過程において、木目が似ているため違う木材でも同じ名前で呼ばれたり、或いは目的等によって様々な呼称が生まれるようですが、当然混乱も生じるので、種類を正確に特定するためには、ラテン語の学名を使う必要があります。最初に属名、次に種名という二名法で特定します。
例えばインディアンローズウッドの学名は Dalbergia latiforia、「Dalbergia属のlatifolia種」ということです。一般的に「ハカランダ」と呼ばれるブラジリアンローズウッドはDalbergia nigra、ココボロは Dalbergia resta、「ニューハカランダ」と呼ばれるマダガスカルローズウッドは Dalbergia baronii、アフリカンブラックウッドは、ブラックウッドと呼ばれながらも、Dalbergia melanoxylonなので、ローズウッドの仲間であることに間違いはありません。
(余談ですが、「ニューハカランダ」という名前を最初に聞いた時は「最近伐採されたハカランダ」と誤解してしまいました。この名前を詳細に読み解くと「ハカランダ(Dalbergia nigra)ではないけれども、似ているので、これを新しく、ハカランダと呼ぼう」ということで「ニュー」なのではないか、と私は考えています。)

話は長くなっていますが、ではパーフェローはというと、学名は Machaerium spp.(*)で、これまで上げた木材の属とは全く違うことがわかります。ということは、Dalbergia属がローズウッドと呼ばれるのであれば、パーフェローはDalbergiaではないので、ローズウッドと呼ぶべきではないのです。属が違えば、性質も当然違います。「サントスローズウッド」などと呼ぶと、いかにもローズウッド(Dalbergia)に近い材料だと誤解されかねません。混乱を避けるためにも、やはりパーフェローと呼ばれるべきでしょう。

尚、それぞれの木材の呼称に関しては各種異論があり、また、分類学的な属と種の話やラテン語に関しては専門家ではありませんので、もし間違いがあればご指摘願います。

(*)spp.というのは、属まではわかるが、どのような種かまでは特定はできていない、ということだと思われます。当然Machaerium ○○○○というのは存在するはずですが、具体的な名前のパーフェローを、今のところ私は知りません。知っている方は是非教えて下さい。

お問い合わせ ABE GUITARS
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

制作中のギター

2009年01月06日 | 制作過程
現在、3本のギターを制作しています。2本は箱までできて、これからネックの作成を進めていきます。

トップ材はジャーマンスプルース、ロゼッタにはアバロン貝を使っています。


サイドバックはブラジリアンローズウッド。いい感じのサップが入っています。


これはイングルマンスプルーストップ、ロゼッタは白蝶貝です。


サイドバックはパーフェロー。サントスローズウッド、ボリビアンローズウッドなどとも呼ばれています。


もう1本はトップ・バックにブレイシングを取り付けた状態までで、サイドユニットはまだできていません。


シトカスプルーストップ、インディアンローズウッドサイドバックです。


なかなか進まず、ご迷惑をおかけしております。

お問い合わせ ABE GUITARS
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モーリス君 修理完了!

2009年01月05日 | ネック関連
昨年末にお預かりしたモーリス君(ご依頼主が愛情をこめて、そう呼んでいます)の修理が完了しました。ネック裏のヒビもわからなくなりました。


ナット溝が深くなりすぎていたので、ナット交換(作成)をし、サドルの調整も行い、弦高を低くしました。


使用した弦は、当時のYAMAHA CUSTOM ! 驚くべきことに、錆びることなく保存されていました。十分使えます! 70年代の香りが工房内に立ち込めました。


この様に、思い出のギターを修理して使っていくことは、大変意義深いことだと思います。修理代にいくらかプラスすれば、新品のギターが買えますが、お金を払っても、共に過ごしてきた歴史を買うことはできません。

お問い合わせ ABE GUITARS
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネック厚み調整 その後

2009年01月04日 | ネック関連
去る12月23日にご紹介したクラシックギターのネック厚み調整は塗装に入っています。ウレタンウッドシーラーとサンディングシーラーを何度か塗布した状態です。



あと何度か塗布して平面を出した後、カラーリングに進みます。ヘッドストックの横はオリジナルの塗装を残していますので、そのカラーに合わせます。これまでも同じような修理をこなしてきましたが、色合わせは結構、難易度が高い作業です。「色の因数分解」が必要になってくるので、色彩感覚が問われます。



お問い合わせ ABE GUITARS
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

弦高調整について②

2009年01月03日 | 弦高調整
前述のように、弦高調整ひとつ取っても、内容は多岐に渡る場合がありますので、ベストな調整をするためには、やはりある程度の予算と時間を費やす必要があろうかと思います。
以前、弦高調整を含めて、フレットすり合わせの依頼を受けました。少なくとも12フレット以降は、フレットを外して指板を削ってやらなければ弾き易くはならない、という状態だったのですが「どうしても明日使う必要がある!」ということで、12フレット以降のフレットはペラペラになってしまうことをご了承頂いた上で、すり合わせとナット・サドル調整で凌ぎ、それなりの音と演奏性を確保しました。しかし案の定、半年くらいで改めて指板調整とフレット交換をすることになってしまいました。
「絶対的に正しい修理」というのは、基本的にはあり得ず、その時その時のご要望・ご予算・時間的制約等の兼合いの中で最善を尽くす、というのが修理の実態だと思います。とはいえ、確実に言えるのは「最初の修理に力を注いだ方が後からのメンテナンスは非常に楽」だという事です(依頼する方も、やる方も、です)。
弦高調整も含めて、修理全般に言える事ですが、その場凌ぎではない、ある程度長期的な観点からの修理が望ましいと考えています。

お問い合わせ ABE GUITARS
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

弦高調整について①

2009年01月02日 | 弦高調整
お預かりする修理で一番多いものは、ネックの反りなどで高くなった弦高を下げて弾きやすくする「弦高調整」です。単純にはロッド調整・ナット溝調整・サドル調整で済む話なのですが、事はそう簡単にいかない場合が多いのも確かです。
例えば、サドルを削って弦高は低くなったものの、サドルがブリッジに埋まってしまうこともあり、その時はブリッジの削りが必要で、削ると今度はサドルの溝が浅くなり、その溝を深くしなければならない場合は結局サドル作成が必要になったりします。
フレットが磨り減っている場合はフレットすり合わせも必要になり、減り方がひどい時はフレット交換、指板が湾曲していたりする場合は指板を削っての調整も必要です。それでも低くならない時はネックに熱を加えてのヒーター修正、それでも駄目ならネックリセット(ネックを取り外して仕込み角の再調整)…お電話等で修理代と納期の問い合わせをお受けする時に「物を見てみないと正確なことはわかりません」とお答えせざるを得ない場合が多いのは、この様な事由によるのです(この項続く)。

お問い合わせ ABE GUITARS
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする