
(フンドシだっちゅうの!)
月曜、ジムでは初心者講習が開催される。
初心者講習を受けなければ連続して通えないルールなんだ。
今日、ちょっとかわいめの女性がやってきた。28、9くらい。
端正な目鼻立ちで悪くは無いけど、何かを隠して生きている、そんな感じ。どんな感じ?
初心者講習が始まる前、ベンチに座る彼女はトレーニング風景が新鮮なのかキョロキョロしている。
だいたいの女性は体型を隠すために、大き目のTシャツに、ロングジャージをはいている。
それがとてもドン臭く、女性らしさを思い切りダウンさせている。
その彼女もだった。
オイラは数ヶ月ジムに通って、ある定理を発見した。
それは、『ジャージの似合う女はいい女』ということだ。
カッコいいジャージが似合う女はそれなりにシェイプされている。
そういう女は何着てもかっこいいし、丸の内のパンツスーツOLやタイトスカート秘書のかっこならバッチリだ。
それからもう一つ。
ジムに来る女はほとんどノーメイクだ。
だから素顔が良くて、ジャージが似合えば『完璧』部類になるのだ!
で、そのキョロキョロさんはジャージがカッコ悪かった。
でもしょうがない。初心者だから。
ウインドでも、スキーでも、ジムでも、なんでもかんでも初心者ってカッコ悪いものだ。
だからカッコから入っていくのはある意味重要で上達への近道であるような気もした。
彼女の視線を気にしていたのはオイラだけだったかもしれない。
今日はサーキット間を取っていたので、オイラ的には余裕があったのかも。
オイラはランマシンに移った。
10分走ったところで、隣のランマシンにキョロキョロさんがやってきた。
初心者講習が30分ほどで終わり、自主トレに入ったわけだ。
初心者だから5分でやめるだろうと思っていたら彼女しっかり30分走りこんだ。
キョロキョロさんは、走りながら何度も肩に手をやった。
ブラジャーの紐が肩からずり落ちて、その都度何度も上げた。
『ユニクロのボディーテックのブラいいですよ』って教えてあげたかった。
なんで紐は落ちるんでしょうね?
確かにムネがボヨンボヨンゆれていた。その反動だろうな。
ランマシンは並んでいて正面に鏡がある。走行姿勢を補正するためだ。
自分の姿を見ると必然的にキョロキョロさんの姿が目に入るんだ。
オイラはMP3ウオークマンで『I Saw Her Standing There』をリピートで聞きながら
ボヨンボヨンを眺めた。オパーイがロックしてた。ナイス!
Now I'll never dance with another (whooh)
Since I saw her standing there!!!
オイラはとにかく彼女のブラジャーが気になって仕方なかった。
だいたい15分走り続けるとそこら辺から異様に汗が出てくる。
彼女も例外ではなかった。
ポニーテールにした髪がシャワーを浴びたようにグッショリだ。
Tシャツも乾いているところがなくなり、肌にベッタリくっついている。
目がうつろになって呼吸がハァハァいっている。
ちょっとヤーラスィ感じがした。オイラは87点をあげることにした。
何かのスポーツ選手には見えないし、なんで30分もいきなり走るんだろ?
オイラは疑問に思った。何かに追い詰められているような。。。
わかった。
そのキョロキョロさんは失恋したんだ。と勝手に思うことにした。
失恋の悲しさと怒りをトレーニングにぶつけようと決心したんだ。
そしてシェイプしてもっといい男と付き合おうと決めたに違いない。
『ハイハイ、ハーイ!』
オイラは思わず心の中で手を上げてしまった。
25歳のサンアロハさんがオイラを睨んだ気がした。
よくメールが来る。
でもサンアロハさんには彼氏がいるんだ。
世の中で一番簡単なことは、彼氏のいる女をなんとかすることだ。
へへへ♪
。。。。。。チキショー!みんな中途半端だ!
なんでだ?
はっ!
愛がないんだ。。。
なーんだ!
あー、パッションしてー!
フーンッ!フーンッ!フーンッ!
