オレは先日、56歳になった。
これから走るレース、そろそろタイムが悪くなっていくのかなと不安になることシバシバ。
悲しいかな、実際は下降している。当たり前だ。
でも違う見方もできる。
陸上を中学生の頃からやってる人。 20台でピークが来て徐々に落ちていく。
でもオレは陸上の経験はないし、若い頃走ったこともない。
50過ぎて走り出して、それでも徐々には良くなっているので、
陸上経験者の50歳よりは、お得感がある、はず。
同じ落ちていくのも、若いうちに早く落ちてデブリンチョになる人。
でもオレはこれから落ちるんだよ。
お得っていうのかな。儲けた、かな。
トレイルレースではオレよりも年上の人にガンガン抜かれる。
60裁オーバーの鉄人女子や白髪のあきらかにジ◯イ選手にもガンガン抜かれる。
でもね、そのときは悔しいとは思わない。
抜かれることは希望でもあるのだ。
オレもまだまだ行ける可能性はあるんだな、と励みになるってことだよ。
第10回 神流マウンテンラン&ウオーク 2018年11月11日。
群馬県多野郡神流町。 走ったよ。
56歳初レース。一つの節目と捉えたんだ。
これがちゃんと走れれば来月の伊豆トレイルジャーニーにビビらず臨めるのかなと思ったのだ。
なんと言っても伊豆のレースは距離72キロ。
ロングディスタンスは始めてなので距離感がつかめない。
ロードのウルトラ100とはまた違うだろうし。
神流をちゃんと真剣に走ろう。そうすれば伊豆にも繋がる。
そう思って目標タイムを設定し、各ポイントでの到達時刻を意識しながら走った。
目標を5時間半にした。
5時間半だととエイジ別で3位入賞が夢じゃなくなるんだよ。
速い人がDNS、DNF、もともとエントリーしなかった、などの条件が必要っす(笑)
11月11日 AM7:00 超快晴!!
鏑木氏のカウントダウンでスタート。
前に50人位。結構前の位置だよ。みんな速そう。場違い感満載(・∀・)
入りの1キロは4分35秒。2キロは4分50秒。
オレの場合は朝メチャクチャ苦手なのでこれ以上速く走ると平地でも止まってしまう。
さすがに朝イチ5分切りで走ると心臓バクバク。
追い打ちかけるように3キロから急登開始。
いきなり足が止まる。勝手に止まる。止まれ!みたいな。
あいやー、止まっちゃったよ。
残り37キロもあります(*´ω`*)
老人ホームのベランダにじいちゃんばあちゃんが皆出てて、応援旗を振ってくれてる。
いきなり感動するわい。心へのエナジージェルですな。で、また走り始める。
トレイルの入り口に、民泊でお世話になった黒澤のおかあさんが待っててくれた。
ハイタッチをしてパワーをもらい山に入る。
「ほれ~、がんばれ!!」 「はいはいっさーーー!!」
10キロの西御荷鉾登山口
目標は8:40 到達は8:45 5分遅れ
(いきなり借金!)
その後、素晴らしい尾根の下りがあり、アップダウンを繰り返す。
森林公園管理棟まで長い長い林道を走る。
女子の招待選手に抜かれる。一般の女子にも抜かれる。
元気のいい若者にドンドンぶち抜かれる。
ここはきつかった。5キロくらいあった。
何度も歩き、少し走り、歩いて歩いた。
やっとやっとだ、管理棟到着。足がプルプル震えとります。
目標 9:40 時計は10:05 25分遅れ
(あれだけ歩きゃあなあ。。)
そこから下りもあるけど、白髪山に向けてまた登りがあるんだよ。
先程の管理棟から200m上げるのだ。
25分遅れから更に遅れるだろうな。。。
前後に選手がいなくなり単独走が多くなった。
後ろに誰もいない。
ところが数分後には背後から音がして、さっと抜かれてしまう。
忍者かよ(・∀・)
確かここらへんだったかな。
メッセージボードがあったよ。
「50歳以上の人てをあげて!年なんて関係ない、がんばろう!」
ハイ!って手をあげたら、後ろの選手もハイ!って言ってた。
笑ったね。
スタートホーンが鳴った瞬間、年齢って忘れるんだよ。
年齢と闘ってるわけじゃない。今その時の自分と闘ってるわけよ。
それが年齢聞かれてハイッ!って言ったから、忘れてた年齢思い出しちゃったよ(笑)
コースから観る山々。本当に感動した。
山にグレナデンシロップかけたみたいに真っ赤だよ。
ゴールドも入ってるね。
白髪山の山頂に到達した。
休みてー!まじ休みてー!!
トレイルって毎回毎回、その回が一番きついんだよね。
でも、キタタンや道志思い出したよ。
あそこに比べれば、あそこは拷問部屋でここはレストハウス。
あそこは暴力バーでここはキャバクラ。
あそこは三角木馬でここはスケベ椅子(*´ω`*)
だから休憩は入れない。そのまま下りに入る。
下りで走りながら休めばいいのだ。
とととと、、、なんとそこから50段を超える九十九折のダウンヒル。
これ一番やばいパターンだ。エキセントリックダウンヒル。
こういう急坂にやっつけられるので慎重にいかなくちゃいけない。
でも慎重はロスタイムに拍車をかけるしね。
ここは決断&勇気。一気に降りねば!
幸い、この下り6人のダンゴ状態となった。
オレの前に3人、後ろ2人。
感覚はほぼ2メートル。
先頭がつまづいたら全員滑落するほどのハイスピード。
ここがオレのハイライトだったな。
とにかく飛ばしたし楽しかったし、足が動いた。
ロングトレイルは復活するんだよ。
この復活劇は誰にでも必ず起こる。
この下りでオレは復活した。
長い長いダウンヒルだったね。
落ち葉が敷き詰められた道を急降下で落ちるように走る。
まあ、足がやっつけられなかったのはフカフカのお陰だった。
あれ、硬い土なら骨折してたかもよ(笑)
6人のダンゴはそのまま持倉エイドに到着したね。
目標 11:00 実タイム 11:30 30分遅れ
(また遅れたやんけ。。。挽回してないし。)
持倉の限界集落。おばあちゃんたちの手打ち蕎麦が食べられる。
でも時間がない。
1杯だけ胃にブチ込んですぐに走った。
誰ものんびりしていないんだよ。
持倉集落を後にする。
鏑木さんがいてくれた。
選手にハイタッチをして最後のパートに送り出す。
プロだよね。凄いなって思う。
他のスポーツ大会とかプロ天狗でずーっと役員テントでふんぞり返ってるし。
まあ、そういうスポーツは無くなるな。
鏑木さんは常にいるんだよ。もしかして分身の術使ってるかも。
持倉から緩やかな林道が数キロ続く。
ここ最後の耐久区間。
安取峠到着。
目標 11:30 実タイム 12:03 33分遅れ
(また遅れた。じわじわ遅れてますやん。。)
あと7キロ。
7キロを30分かあ。。。
トレイルをキロペース4分17秒か。
よーし、いったるか!!
いけませんて。
でももう少し行けば天国トレイルが待っている。
下りのフカフカ極上トレイル。ここは楽しまなくちゃ。
ここ走るのが楽しみだったんだ。
そしてフカフカの入り口、神丸尾根下山口にきた。
(おねした やまぐち じゃないよ。)
ここからは全力疾走。無理やりスイッチを入れる。
スイッチ入れるときはエイッ!って言う。本当だ。
ヘイッ!だとおかしい。
ヘイ、ヘイッ!だとフレディー・マーキュリーになる。
前半飛ばし過ぎたであろうヨロヨロの失速ランナーを何人か抜いた。
ヘイ、ヘイッ!って言ってね。心の中だけど。
足は悲鳴を上げていたけど心は躍動したね。
眼の前の風景が凄いんだ。
木立の感覚が広く、陽射しが燦々降り注ぐ。
路面はゴールド&レッド。
まるで雲の上を走っているようだ。
これがトレイルランニング。
本当に楽しい。
トレイルの下りは、自分の足が乗り物になるんだ。
スキーやロードバイク、サーフボードと同じ。
あれだけきつかったのに、なぜこんなに動くんだろうね。
鏑木さんの書いたボードが途中にあった。
トレイル上達の秘訣は自分の走りに酔うこと。
まさにそう思わせるポイントだったね。
ヘイ、ヘイッ!
トレイルパートのラスト、民泊でご一緒した井上さんが望遠カメラを持って待ち受けてくれていた。
オレに気づいてくれて猛ダッシュでオレより先に降りて、シャッターを押してくれた。
ニヤついてるな。そういう下りだったよ。
井上さん、ありがとう!
最後の最後、トレイル脇に土井隆選手がいた。選手にエールを送っていたんだ。
彼は日本が誇るロングディスタンスのトップ選手。
一旦ゴールしてから戻ってきたんだね。
すごくねーか??? このスポーツを愛すればこそだね。
一般選手の辛さを知っていればこそだね。
感動しました。凄いよね。
こういうのって本当に力をもらえる。
きっとミンナそうだったと思う。
トレイルが終わった。
あと1.5キロは舗装路。
渾身でキロ4分50秒。
この日履いたのはOn ベンチャーピーク。
べらぼーに軽いシューズ。
クッションが効いていて下りの舗装でやっつけられない。
平地ではスピードボードが蹴りを補助してくれる。
こいつに今回は助けられた。
登りで滑ることは一度もなかったね。
シューズに感謝しながら一歩一歩大切に駆ける。
町の中心に入った。
到るところで応援を受ける。
町中の人が沿道に出て声援を贈ってくれる。
警備の警官でさえガンバレー!って応援してくれる。
たまらん。泣きそうになる。
でも涙は見せない。流れているのは汗だから(*´ω`*)
ゴールゲートが見える。
鏑木さんが待っててくれる。
こちらは分身の鏑木さんではなく本物の本人だ。
固く握手をしてくれる。
にせものはいるのか。
フィニッシュ。
目標 12:30 計測 12:39
でも後半で相当挽回した。
24分も短縮した。
目標よりは9分オーバーしちゃったけどね。
今の実力ではもっと走り込まないと短縮できないな(・∀・)
ロングクラス リザルト
全クラス出走 821名
ロング出走 398名
ロング50歳以上 出走116名
総合46位
エイジ別13位
飾り気など何もない、これほどピュアな町がどこにあろうか。
Heart of country.
群馬県神流町。
トレイルランナーの心に焼きつく山があり、そこに暮らす素敵な人々が住む町。
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