グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

泥の妖怪はなんだかうれしい。

2015-09-30 15:15:10 | Weblog
泥の妖怪はなんだかうれしい。 

一つ目・三本指で泥田から上半身を出している妖怪「泥田坊 」。
鳥山石燕の「今昔百鬼拾遺」に描かれている妖怪です。

こんなおはなしが伝わっております。

北国で、寒暑風雨を問わず耕作に勤しんできた農民。それから年々
収穫が増え、人並みに暮らせるようになりつつあったときに病にか
かり、これからというときに死んでしまう。
農夫には子供があった。けれどこの息子が親に似ず横着者で、せっ
かくの田畑を放り出し、酒に溺れたために遂にはそれを手放さなく
てはならなくなった。
その田を手に入れた地主は「いい田が手に入った」と喜んだ。しか
し、夜にその田を見廻っていると、田のなかから突然一つ目三つ指
の妖怪が現れ、「田をかえせ、田をかえせ」 と 恨めし気な叫び
声をあげるもので あった。


というお話です。

う~ん、確かに手塩にかけた農地をかってに手放されたわけですか
ら、それは悲しかったことでしょう。そう思う気持ちが妖怪に変化
するのもわかる気がするというものです。

しかし、です。
この泥田坊のお話、ほかにも解釈があるのをご存知ですか。

そちらの話しでは・・・

じつは、死んだ農民と泥田坊にはなんの関係なく、泥田坊は耕作さ
れていない田畑に出現する、ある種の精霊
みたいなものであるとい
うお話しになります。

その解釈のもとになっているのが、泥田坊の発する「田をかえせ」。

これ、おわかりになりますか?クワなどで田の土を起こすことを、
「土をかえす」とも表現します
よね。それなんです。下のものを
上にする「ひっくり返す」という解釈。

つまり妖怪泥田坊は

田をおこして、土の中に空気をいれろ

といっているわけです。死して 魂となってまで、農事指導する
というその姿に、農業関係者のひとりとしてはこちらの話が“買い”/笑
・・・・畏敬の念を抱かずにはおられません。

さて、収穫もおわり、冬の訪れを待ついまは、まさに田畑起しのシー
ズン
。わたくしも、 坊の真似をして
「田をかえしましょう・田をかえしましょう」と唱え
てまいりましょう/笑。


◎ 農家は田畑にはいって なんぼ。 田畑にはいらない技術を
  良しとする農法は、寂しすぎると思うんです。。
 
51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg「「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染