シャインマスカットの好調。それはいつまで。
市場で人気のある品種をできるだけ早く作りあげることで、他人よりすこし
でも有利に販売していきたい。そう思うのは、生産者に共通した思い。ひと
たび市場で人気のある作物・人気のある品種が出現したともなれば、その
作物の種苗をすぐに取り寄せての個人・団体による大増殖計画が全国各地で
いっきに始まります
・・・という農業界の定番ともいうべき ムーブ/動きの一例として 4年
前の2014年にとりあげたシャインマスカットでしたが、この新品種の市
場での人気ぶりに比例するかのように その栽培面積は増大の一途をたどり
2012年 150ヘクタール
↓
2014年 680ヘクタール
↓
2015年 1000ヘクタール[814ヘクタールという説も]
というぐあいに毎年2割以上のペースでその栽培面積は増加してきました。
さて、この栽培面積の増加とともに 当然のことながら心配されてきたのは、
結果として増えてくる生産量の増加と それに伴う市場価格の低下なのです
が・・・しかし、ことこのブドウに関してはそういった心配はいまのところ
無用なようでありまして[普及しすぎると価格は下がってくるという農業界
の定説に反して]毎年価格が上昇する傾向にあるというのですから・・・信
じがたいというか、わからないというか、そういったこれまでの常識があて
はまらない状況下にあるようです。
その気になる販売価格ですが、アバウトなニュースの一環として伝えられた
経済系の新聞の都内のスーパーの平均価格調査によれば
2012年ころ1房600円 → 2016年・1房861円(税抜き)
ということになり、その記事によれば 販売価格が低下していないどころか
値上がりとなっていることがわかります。
さらにこの傾向は、ブドウの出荷量がもっとも多くなる時期である10月に
なっても変わらない[シャインマスカットが市場に現われるまで最高の人気
品種であった巨峰よりも高い]ということでその安定した人気ぶりが証明さ
れてもいるようです。
ただ。 そうはいっても やはりどこかで限界はくる。
ブドウ全体の、国民一人当たりの年間購入量の推移が2000年の998g
から2016年の810gへと右肩下がりに減少し、輸入ブドウの輸入量が
2000年の13000トンから 2016年には30000トンを超える
といった具合に右肩上がりで増加し続けているという販売環境のなか、いま
そのシャインマスカットの 価格下落の始まる時がいつになるのか が 取
り沙汰されています。
そういった意味でいえば、やはり農産物輸入というのは影響力大
ですよね。「日本の農産物の品質さえあれば輸入は怖くない」な
どといった 経済界や政界のほめ殺し的な話ぶりには要注意 です。
ちなみに 高品質な日本産シイタケがどうなっていったか という
自給と輸入の話は こちら。
「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」