グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

渋柿もつかる温泉

2018-11-13 15:26:41 | Weblog

渋柿もつかる温泉

柿を食べたいのならなら甘柿を植えれば済むことなのに、ではどうして
わざわざ渋いカキが植えられているのでしょう。

その理由は・・・実が渋いということを利用して柿の実を動物たちに食
べられてしまうことを防いできたなごりからだといわれています。そう
シブくてたべることをあきらめた動物たちとちがって、ヒトには古来よ
りいろいろな渋抜き法を開発してきた歴史があるのです。

そんなカキの渋みを抜く脱渋ですが・・・
日本でもっともおこなわれている脱渋は、柿の実を酸欠状態に置くこと
で渋を抜く方法ですね。

もっともポピュラーなのが焼酎を使ったやりかたですが

 焼酎をいれた容器の中に柿を浸します。その柿をヘタを上にして
 新聞紙を敷きつめたダンボ―ルの中に詰め、その後ダンボ―ル箱
 をクラフトテ―プで目張りして7日後に開封

みたいな手順です。これで渋みが抜けるのですから[甘ガキを植えて毎
日毎夜鳥獣たちとの頭と体を使ったバトルを繰り広げる苦労を考えれば]
ほんとうにお手軽な方法です。

まあ原理としては、カキの実をただ酸欠状態におけば脱渋するのですか
ら、アルコールを使う方法だけではなく過去からいろいろな方法がいろ
いろな場所で試まれてきたわけで・・私が見聞きした変ったところでは
たとえば

 ■ 庭先に柿を埋めて凍結させる[寒い地方ですね]
 ■ 生石灰を水で溶いたものに柿を入れた箱にいれ、その後密閉
 ■ 太目の竹に柿を詰め竹の筒の中に線香の束を入れて密封する
 ■ 乾燥機を使って25度程度に加熱・乾燥させる[時間は不明]
 ■ 皮を剥いて軒先などにつるして寒風にさらす[干柿か/笑]

といった方法などもあるのだそうです。そしてもうひとつ。今回ご紹介
する極めつけの[ある意味霊験あらたかな]脱渋の方法が、温泉に漬け
ることで渋みを抜くという脱渋方法です。

実際にこの渋抜きがおこなわれているのは開湯して800年といわれる
鹿児島県の紫尾温泉。毎年10月になるとおこなわれている方法で、こ
の神社では脱渋する行為を「あおし」、脱渋された柿を「あおし柿」と
いう呼び方でよばれています。
しぶ柿を専用温泉浴槽に一晩浸しておくと、それだけで翌朝には渋みが
とれて独特の甘さと色つやを持った柿に変身する  というのですから、
うらやましいかぎりです。さすがに紫尾神社の拝殿下から原泉が湧き出
でている温泉、通称「神の湯」とも呼ばれているのもわかる気がします。
ちなみに紫尾温泉、泉質は単純硫黄泉なのだそうですよ。

ということで今回は、いま食べごろの日本の秋の風物誌であるカキ、そ
の柿の脱渋についてのおはなしでした。


晴れ 温泉にユズやショウブはつきものですが、さすがに柿がつけ
  られている風景には びっくりしました。秋の鹿児島にいか
  れたおりには、ぜひ。

 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染