なんとなく囲碁夜話

私は囲碁が好きだ。初めはなんとなく、ニアミスを繰り返し、深みに嵌ってしまった。

師匠の初負け

2007-05-24 00:18:54 | Weblog
 水曜日はGW後の久しぶりの週日の休暇でのんびりと惰眠・およびベッドでゴロ寝状態でネット碁観戦。
 年寄り状態です・・・年寄りなんだけれど。
  こういう休みが偶にあると少なくとも体力的には救われます。
 しかも週の真ん中なので今週はだいぶ楽をさせてもらえる・・・と言ってはなんだけれど来月の地方である(これは東京から見て地方であって、私の出身県)サッカーのお気に入りチームの観戦のためのバスツアーを電話予約(新宿を朝出発して応援・観戦後その日深夜東京に戻るバスツアー)。
 この日はそれ以外にやらなくてはならないことがない!
  再びベッドでゴロ寝・・・すると部屋の戸が音もなく開いた!
 怪談話には少々季節が早い・外の気温は夏日かも知れませんが
  先日のリフォームで戸を替えてから、やたらとスベリが良いのです。
 従来の襖の戸では戸が敷居の上に直接接しているのですが、これは車輪つきの戸
、そういうのは当たり前かもしれないのですが・・・殆ど力を必要とせず、触ればスーっと開く感じです。
 さて息子が入ってきた。
  学生なのでこの時間に家にいても不思議ではない・・・用件はいたって簡単「お昼どうする?」
 昼間男二人で家にいたらこれが一番の問題
  結局最も安易に外食
 二人でチャリで近所のレストラン・・・帰り道に息子に教訓めいたことを話しながら別のことも考えていました。
 マア自分の息子相手だから偉そうなことを言いますが、実際は人には言えるような中身は自分にはないですね。
 ともかくお説教めいたことを言ってもまともには受け止めないでしょうから、最近の経験談から何がしか役に立ちそうな話ですが・・・一方でかなり昔のことを思い出していました。

 思い出した話の前に、実はこういうのは私の特技の一つだと思っています。
  錯覚かも知れませんが、或話を・この場合息子に話をしながら頭の中に別のことを思い浮かべている・・・たいへん効率が良いと言うか・でたらめの頭というか・・・単に集中力が無いだけなんでしょう。
 
 さて思い出したのは、かなり昔M囲碁クラブに通っていた頃のH瀬さんという人のことです。
 私は当時級位で彼は5,6段だったから、棋力に関しては雲の上の人で、打ってもらったことは2,3局だったかな。
 思い出したのは彼の常套句3つ
  本当はこういう「気の利いたセリフ」とか「からかい」などを交えて碁を打つのが彼流でしたから、もっとレパートリーはあったのでしょうが今思い出すのはこの3つです。
「黒さんやりたい放題、そろそろお灸を据えてやら無くてはいけない」
 別に気が利いたセリフではないのですが、私が目一杯に頑張り過ぎると・・・この言葉が返ってきます。
 これは反撃の狼煙で、お灸をすえられるのは私ですから、このセリフはよく憶えています。
「碁は勝ちと見て和尚の昼寝」
 ”これだけ優勢なんだら挑発には乗りませんよ”と言っているわけで”形勢をよく見なさい”の意味でもあります。
 このセリフは彼の得意なんだけれど、彼はサラリーマンなんですが頭を丸めれば直ぐに和尚になれそうなムード(および体型?)だったので”和尚の”セリフはいつも面白く聞いていました。
「師匠の初負け」
 これもよく彼は口にしていました・・・別段彼のオリジナルではありませんが
  その日の口切の一局に負けたときなどに使っていましたが、”偶には負けてあげるのも良いでしょう”ぐらいの負け惜しみ的セリフ。
 本当は・・・多分・・・お師匠さんが弟子に初めの一局を打つときに弟子に勝たせる・・・これを励みに今後一層努力しなさいというくらいの意味だと思う。
 これが転じて<勝手に意味を変えて>師匠が負けたのは実力では無くて、弟子のやる気を損なわい為・・・という匂いがつけてある。

 何故これを思い出したのかには訳がある。
  火曜日の職場碁でKさんに負けたのが引き金になっている。
 5子の碁ですから勝敗などは問題ではなく内容が大事・・・勝敗は単なる結果です。
 そういうことは頭では分かっているつもりですが、局後のKさんのホッとした顔を見て「師匠の初負け」を思い出しました。
 4子から始めて彼は3連敗し、5子になっても彼の思惑とは違って連敗。
  Kさんは5子なら何とかなると思っていたらしい・・・この日が彼のカド番の対局で、もし負ければ次から6子なので相当心中期するものがあったらしい。
 対局は終盤近く私に失着があったので投了したのですが、打った瞬間気がついた、正確に打てば白の大石に凌ぎがあって何とか細かくはなったらしい・・・勝敗までは読みきれませんが。
 そうなると、細かい碁の様相では黒が勝ちきるにはこの先いくつかのハードルがあって、黒マダマダ大変かも。
 しかし、今日は負けてよかったと思いました。
  こういう碁も勝負に持ち込むと、(それも勝負なんですが)勝負の厳しさは実感してくれるでしょうが、白の強さというか碁の奥深さではなくて白の(私の)いやらしさばかりが印象付けられるような気がします。
 何よりKさんにとっての”楽しさ”は置き去り状態です。
  何と言っても職場の昼休み碁ですから「勝負」と「楽しみ」のバランスが大事だと思います。
  「彼はこの一局を境目に、益々碁を好きになってくれればこの一局は単なる昼休み碁ではなくて、彼の思い出・ターニングポイントになってくれるかも」などと心の中では思いました。
 実際は師匠ではないし、偉そうなことを言えるほどではないのですが。
  わざと負けるということでは無くて、綺麗に負けることを心がけるようにしようと思ったのです。