友人の川口重雄さんのメールを転載します。(一部)
各位 2月6日〔本日第1信〕
お早うございます。
▼昨日2月5日(水)、新宿武蔵野館で映画『お坊さまと鉄砲』を観ました(午前10時15分から8分のCM後に12時15分まで)。
パオ・チョニン・ドルジ監督・脚本、原題:The Monk and the Gun、2023年製作、112分、ブータン・フランス・アメリカ・台湾合作。
劇場公開は昨年12月13日で、今週で終わってしまう前に見に行きました。
初めて選挙をすることになったブータンの小さな村 ウラ村で、模擬選挙が行われることになってどうしてよいか分からず戸惑う村人。
ラマ教の高僧から、次の満月の日までに銃を2丁用意するようにと指示を受けた若い僧、アメリカからやって来たアンティークの銃コレクター、模擬投票を進めるブータン政府の女性の職員、警察官
2005年ジグミ・シンゲ・ワンチュク第5代国王(1972~2006年)が2008年の譲位・総選挙後の立憲君主制への移行を表明した事実をもとに製作された映画です。
ワンチュク国王は2年早く2006年に譲位してジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュクが第5代国王になりました。
2007年12月、総選挙(初めての普通選挙となる国家評議会(上院)選挙)が実施されました。
今から50年前、1975年4月に早稲田大学に入学した年、4月30日の南ベトナムの首都サイゴン(現・ホーチミン市)陥落、米国が敗北したベトナム戦争が終わりました。
まもなくアジア学会というサークルに入り、ベトナム戦争について学んだり、アルコール学習をしました。
その時、日本人の学生で初めてブータン王国に「His Majesty」(国王陛下)の友人として入国した上級生と知り合いました。
以来、自分はブータンをお訪ねしたことはありませんが、上級生たちがブータンへ旅立つ手伝いをしました。
そのブータンの、現代の映像と人々の表情、観た後に清々しさを覚える映画でした。
映画『お坊さまと鉄砲』URL
https://www.bing.com/ck/a?!&&p=158ac3bba447ca95a6feba2451fd47808bc77d1d9adお9a174aa2b62259016a717JmltdHM9MTczODYyNzIwMA&ptn=3&ver=2&hsh=4&fclid=3267ea50-cb13-6efe-353d-ff39ca696f86&psq=%e3%80%8e%e3%81%8a%e5%9d%8a%e3%81%95%e3%81%be%e3%81%a8%e9%89%84%e7%a0%b2%e3%80%8f&u=a1aHR0cHM6Ly9laWdhLmNvbS9tb3ZpZS8xMDI1NjAv&ntb=1
▼渋谷ユーロスペースで2月8日(土)~14日(金)第14回死刑映画週間「生きてこそ、生きていればこそ」です。
昨年7月29日に観た映画『流麻溝十五号』(周美玲監督、2022年、112分、台湾)など7作品が上映されます。
観たことがある、懐かしいなあという映画があるかも知れませんが、ぜひお出かけください。
ユーロスペースURL
▼「ひまわり運動から10年 平和と人権を市民同士で考える旅」2024年12月26日(木)~29日(日)
1953年の台湾が舞台の『流麻溝十五号』の背景には、1949年に国共内戦に敗れて台湾に逃げ込んだ蒋介石政権が布告した戒厳令(1949年5月19日~1987年7月15日)があります。
世界史上最長と言われる38年間続いた戒厳令。
そしてさらにさかのぼると、1945年に大日本帝国による支配が終わり、中華民国政府による統治が始められた後、その強権支配に対する台湾住民の不満が爆発した「2・28事件」があります。
1947年2月28日に起きた住民たちの抗議運動を国民政府(蒋介石政権)は軍隊を上陸させて力づくで鎮圧、白色テロが横行しました。
台湾の人々は「犬が去って 豚が来た」と言ったそうです(犬とは植民地支配した日本人、豚とは蒋介石や蒋介石とともに大陸から逃げて来た=乗り込んできた外省人のこと)。
旧年末の台湾行へ、『流麻溝十五号』はぐいっと背中を押してくれました。
と同時に、2022年に中塚明先生のご案内で訪ねた韓国といい、このたびの台湾といい、その民主化の進み具合、夫婦別姓に死刑制度の廃止(執行なし)。
韓国では元の王宮(景福宮)で、王宮内を見学者がどこでも見ることが出来、子どもたちが王様、王妃の衣装で屈託なく写真を撮っていました。
思わず日本の皇居でこんなことが出来るのは3000年先か、と。
台湾では、日本軍慰安婦の資料館ばかりか、大陸からやって来た蒋介石軍の慰安所(特約茶室)を資料館にした施設、原住民族博物館など(台湾では「原住民族」は差別語ではありません)。
タイペイの中正紀念堂(「中正」は蒋介石の号、孫文は「中山」で孫中山)、かつては馬鹿でかい蒋介石象が出迎える偉大なる蒋介石の生涯を展示する博物館でしたが(蔣介石像は今もあります)、
今はその半分が台湾の人々がどのように強権に抵抗し自由と権利を確立してきたかの台湾の戦後史の展示です。
そして台湾国会(立法院)には、113議席中6議席の原住民族枠の議席があります。
2022年と今回の旅行は、「人権」状況の日本と韓国・台湾とのあまりの違い、それを確認する旅となりました。
◎添付しました写真は、金門島特約茶室(軍隊慰安婦たちの紀念館)の展示、中正紀念堂蒋介石象、中正紀念堂「自由的霊魂VS独裁者 台湾言論自由之路」展示入り口の垂れ幕
▼1年前の2024年1月29日、山本一太県知事により群馬の森朝鮮人追悼碑「記憶 反省 そして友好」が撤去・破壊されました。
ちょうど宇部市の長生炭鉱犠牲者追悼式・坑口からの潜水調査見守りに出掛けていた1月31日~2月2日の間の2月1日に碑撤去の跡地で「集い」があったという『朝日新聞』の記事(高木智子
記者)を見つけました。
【友人から届いた情報4点】
1.《古居みずえ公式サイト》のご案内
2.「皇室は皇室はもはや「無法地帯」?~皇室における女性の基本的人権は・「皇族は男女平等番外地」(東京都 長谷川節)(朝日川柳 2025年1月31日)」
(内野光子のブログ)20250202
3.[沖縄タイムス・社説]「国連女性委へ拠出停止 報復的対応だ 撤回せよ」(沖縄タイムス)250203
4.[産経・主張]「皇位の安定継承 女性宮家は皇統を損なう」(産経新聞)250203
5.「毎年1回、結婚と離婚を繰り返す夫婦 別姓貫くため下した決断」(中國新聞)250204
6.「広島・原爆資料館の「脱毛のきょうだい」写真 少女のその後の人生が判明 息子が初めて思い語る #きおくをつなごう」(TBS)250203
7.For Good 長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会より
宇部市の長生炭鉱犠牲者追悼式・坑口からの潜水調査見守りについての「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」からのご報告です。
もう一つ加えるとすれば、2月9日(日)TBS『サンデーモーニング』(午前8時~)もあります。
《訂正》2月3日〔BCC〕通信の長生炭鉱犠牲者追悼式・坑口からの潜水調査見守りについての文章で、
「遺骨が発見されたら韓国科捜研に送ってすでに韓国政府が調査している遺族のDNAと照合する。」と書きましたが、
正しくは「遺骨が発見されたら日本の科捜研に送って」でした。
訂正いたします。
それでは。川口重雄拝
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2.皇室は皇室はもはや「無法地帯」?~皇室における女性の基本的人権は・「皇族は男女平等番外地」(東京都 長谷川節)(朝日川柳 2025年1月31日)(内野光子のブログ)250202
天皇制が憲法の「番外地」というならば、皇族の人権も「番外地」ということになるのだろうか。皇室はもはや「無法地帯」と言っていいかもしれない。
1月31日の上記の川柳が目についた。日本国憲法の「第一章 天皇」を、天皇制を、憲法の「番外地」と称して容認する識者もいる。上記の川柳は、皇室において男女平等が認められないこと、憲法の男女平等条項は皇室の女性に及ばないことを「番外地」と詠んだ川柳。「番外地」のなかでさらに「番外地」となると、「無法地帯」に等しいのではないか。
2024年10月29日、 女性差別の撤廃を目指す国連の女子差別撤廃委員会は、日本政府に対して、男系男子による皇位継承を定めた日本の皇室典範の改正や、選択的夫婦別姓の導入に向けた民法改正を勧告していた。ところが、2025年1月29日、外務省は、これに抗議して、国連の女性差別撤廃委員会を、日本の拠出金の使途から除外することを決めたというではないか。女性差別撤廃どころか、なんとえげつないことをするのだろう。その理由として「皇位につく資格は基本的人権に含まれていないことから、皇室典範において皇位継承資格が男系男子に限定されていることは女性に対する差別に該当しない」「皇位継承のあり方は国家の基本に関わる事項であり、女性差別撤廃条約に照らし、取り上げることは適当でない」とするのである。要するに皇位、皇位継承者には基本的人権の適用外、皇位継承事項は国家の重要事項であって、女性差別撤廃条約の適用外、外からとやかく言われる筋合いはないというのである。
また、2021年12月22日、政府に提出された皇位継承に関する有識会議の報告書では、皇族数の確保策として、〈1〉女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持〈2〉旧宮家の男系男子が養子として皇族に復帰の二案が示されたことを思い出す。一案では、女性皇族に結婚後の身分保持―眞子さんのように自由になれない。二案では、女性皇族は旧宮家男系男子と養子縁組をさせられることになるかもしれないのである。しかも、いずれの案も皇位継承者の確保には直結はしない。「有識者」の人選もさることながら、彼らは、女性皇族たちの人権について思いは至らなかったらしい。
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どのメンバーも、各省庁の審議会などの常連であって、「皇位継承」ないし「皇室」についての有識者とは思えない。富田(1951~)清家(1954~)宮崎(1958~)細谷(1971~)中江(1973~)、大橋(1975~)ということで、従来の有識者会議メンバーより若返ったというが、彼らとて、大方はイエスマンで、上昇志向の高い人ばかりに見受けられた。
さらに、この二案を示された政府も、誰も関わりたくなかったかのように、積極的に論議せずに今日まで手付かずであった。ところが、この1月31日、衆参両院の各党派代表者による皇室課題に関する全体会議が開かれ、今国会中に結論を得たいとすることに多くの党が賛成したという。
有識者会議報告の一案については、各党派の賛成が多いが、女子皇族の結婚後の夫や子供の身分をどうするとか、二案の旧宮家男系男子の養子縁組による皇室復帰させるかについては、各党派での違いがあるという。この先の議論で、皇室典範の改正ができたとしても、憲法の基本的人権条項に反することになり、違憲は明らかながら、皇室のタブー化は進むに違いない。
皇族の「国事行為」以外の外国訪問、被災地訪問、戦跡訪問はじめ、さまざまな行事参加は、まったく法的根拠がないまま実施されて来た。また、大嘗祭はじめ皇位継承の様々な儀式についても、明治時代の太政官令を持ち出し、伝統の名のもと前例踏襲のまま実施してきたのが実態である。日本は法治国家であるはずなのに。
にもかかわらず、近年の宮内庁は、「公的行為」を拡張して、皇族たちの露出度を高め、必死になって広報し、国民の関心をつなぎとめようとしている。それらの情報をひたすら拡散しているのが、いまのマス・メディアの姿といえるのではないか。
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3.[沖縄タイムス・社説]国連女性委へ拠出停止 報復的対応だ 撤回せよ250203
男系男子の皇位継承を定める皇室典範の改正を勧告した国連女性差別撤廃委員会に対し、政府が拠出金を使わせないとする対抗措置を取った。
委員会の事務を担う国連人権高等弁務官事務所に支払う日本の拠出金の対象から、委員会を外すよう伝えたという。
さらに男女共同参画分野の取り組みを理解してもらうために予定していた委員の訪日プログラムの取りやめも決めた。
同事務所には、年間2千万~3千万円を拠出している。「気に食わない勧告だから金を使わせない」というようなやり方は冷静さを欠いている。国際社会からは大人げない対応に映るだろう。
女性差別撤廃委は昨年10月、日本の女性政策について最終見解を公表した。
そのうちの一つが皇室典範改正の勧告で、女性差別撤廃条約の理念と「相いれない」と指摘したのだ。
これに対し政府は「皇位継承の在り方は国家の基本に関わる事項で、委員会で取り上げるのは適当ではない」と反論した。
委員会の役割は女性差別撤廃条約の履行状況の監視だ。条約は1979年に国連総会で採択され、日本は85年に批准した。
その影響力は大きく、過去には結婚年齢の男女格差撤廃や、女性の再婚禁止期間廃止など法改正にもつながっている。
政府が抗議の意を伝えることはあってもいいが、拠出金は別次元で考えなければならない問題である。
対抗措置ではなく、説明と対話を進めるべきだ。
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今は封印されているが、女性天皇を認めようとの議論は過去にあった。
2005年、小泉政権は「女性・女系天皇」を容認し、性別に関係なく長子が継承するとした有識者会議の報告を受け、皇室典範改正を目指した。
共同通信が昨春実施した世論調査では、女性天皇を認めることに計90%が賛同し、女系天皇も計84%が賛成とした。
政府は「皇位につく資格は基本的人権に含まれず、女性に対する差別に該当しない」と主張する。
国民の意識と隔たりがあるのではないか。
皇室典範の規定について委員会は「日本の立場に留意する」との考えも示している。
社会意識の変化を踏まえ勧告に向き合い、皇位継承を巡る抜本的な議論につなげるべきだ。
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今回の報復的な措置は、対応に不満を示し世界保健機関(WHO)から脱退を表明するなど、国連機関を軽視するトランプ米大統領のやり方をほうふつさせる。
拠出金停止が、選択的夫婦別姓導入など、その他の勧告へ影響を及ぼさないか心配だ。
委員会へ制裁を科すことが、日本がジェンダー平等に後ろ向きだという誤ったメッセージにもなりかねない。
普遍的な人権理念に基づき、対抗措置の撤回を求める。
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4.[産経・主張]皇位の安定継承 女性宮家は皇統を損なう250203
第126代今上天皇まで例外なく男系継承で貫かれてきた皇位継承の最重要原則を、細心の注意を払って守り抜く必要がある。
天皇は立憲君主だ。君主の位の継承は正統性、安定性に直結するため、歴史と伝統を踏まえねばならない。
衆参の正副議長と各党派の代表者が、皇位の安定継承に関する全体会議を再開した。
額賀福志郎衆院議長は皇族数の確保策について今国会中に結論を得たいと表明した。会議では今後、「女性皇族の夫と子への皇族身分付与」と「皇統に属する旧宮家の男系男
子の養子縁組による皇室復帰」の2点に絞って議論することになった。
秋篠宮皇嗣殿下のご長男である悠仁親王殿下の皇位継承時に他の皇族がいなくなる恐れがある。政府有識者会議がまとめ、令和4年1月に岸田文雄首相(当時)が国会へ提出した政府報告書は、①女性皇族が結婚後も皇族身分を保持②養子縁組による旧宮家の男系男子の皇族復帰―などの案を提示した。
皇位継承権を持つ男性皇族を増やす②案こそが、悠仁親王殿下を支え、安定継承策にもなる。上皇陛下の譲位特例法制定時の国会の付帯決議が、政府報告を受け「安定的な皇位継承を確保するための方策について、『立法府の総意』」をまとめるとした点を思い出すべきだ。
旧宮家は占領期の昭和22年に連合国軍総司令部(GHQ)の意向で皇籍離脱を余儀なくされた。その結果が皇位継承権を持つ男性皇族の減少だ。現憲法施行後も皇族だった旧宮家の男系男子から皇族に戻っていただくのが最良である。最優先で実現してもらいたい。旧皇族が皇籍復帰した先例は、長い日本の歴史では幾度もある。
一方、①案は皇位の安定継承とは関係のない話だ。公務に従事する女性皇族を確保する上で①案に意味がないわけではないが、②案の方がはるかに重要度、優先度が高い。
皇位の男系継承を重視した政府報告書が「女性皇族の婚姻後の皇族身分保持」を示しつつ、非皇族の夫、子まで皇族とする「女性宮家」は提案しなかった意味は重い。先例のない非皇族の夫、子の皇族化は絶対にあってはならない。これを「トロイの木馬」として、日本の皇統を断絶させる皇位の女系継承が企てられる恐れを排したい。
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山本雅人著「天皇陛下の全仕事」表紙カバー
(了)