先週参加しました漢方講座を踏まえ、東洋医学の痛みの捉え方をご紹介します。
西洋医学では、痛い場所により受診する科が異なります。
そこで診察、検査などで原因を突き止め、
原因部位の治療をする。場合により手術で取り除くことで痛みが消失。
または痛みで日常生活がままならない場合、痛みを抑える薬を使用する。
以上のような治療が主になると思います。
東洋医学では、痛い場所だけでなく全身の状態も改善していく治療を行います。
◇診断法は
☆ズキズキ痛む、触れられるのを嫌がる、急激な痛み・・・・・実痛(じっつう)
☆しくしく痛む、触れられると気持よい、緩やかな痛み・・・・虚痛(きょつう)
☆温めると楽になる・・・寒(かん)・・冷えによるもの
☆冷やすと楽になる・・・熱(ねつ)・・熱をもっている
☆痛い部位が移動する・・・・・氣(き)の病
☆痛い部位が固定している・・・血(けつ)の病
さらに問診により、原因を判断していきます。
☆外因 (風、暑、湿、燥、寒、火)・・・・外部の邪に中られる。
☆内因 (怒、喜、思、憂、悲、恐、驚)・・感情の変化によるもの。
その他、食べ過ぎ、働きすぎ、外傷・・・など外因でも内因でもないもの。
以上を総合判断し、診断、治療法が決定します。
◇治療法は
今回の漢方講座では、
☆実痛・・・瀉(しゃ)、余ったものを除く。
☆虚痛・・・補(ほ)、足りないものを補う。・・・人参、当帰などの補剤。
☆寒邪・・・温める。・・・・・・・・・・・・・附子、当帰などで温める。
☆熱邪・・・冷やす。・・・・・・・・・・・・・石膏、知母などで冷やす。
☆氣滞(氣の病)・・・・・・・・・・・・・・・・柴胡などで氣を整える。
☆血滞(血の病、瘀血)・・・・・・・・・・・・・駆瘀血剤で血の循環改善。
☆水滞(水の病)・・・・・・・・・・・・・・・・駆水剤で水の循環改善。
他にも色々な生薬、処方の発表がありましたが、省略させていただきます。
生薬単品でなく、生薬の組み合わせにより薬効の相乗効果があるようです。
また世良田先生は、痛みの変化に伴い処方を変えていらしたので、
私は信頼できる先生だと感じました。
一度処方したら同じ漢方薬を飲み続けるのは、私は?です。
鍼灸もその都度、診断し直しツボを変えていきます。
世良田先生は、
西洋薬の鎮痛薬長期服用は、身体を冷やし、痛みを長引かせる場合があり
注意が必要とのことでした。また再発する確率が高いようです。
漢方薬は再発率が低いと説明されました。
これは、痛いところだけを治療するのでなく、身体全体を整えるからですね。
漢方薬治療では、以上のように主に氣、血、水のバランスを整え、
原因(外因、内因、その他の要因)を取り除くことで痛みを消失させます。
漢方=東洋医学。と思われがちですが、
私たち鍼灸師の行う診断、治療法は以上にあげたことも含まれますが、
微妙に異なるところがあります。
そのことについては、後日説明いたしますね。