井上道義指揮大阪フィルによるショスタコーヴィチ第2番、第3番、無事に終了しました。
定期2日目の本日もショスタコーヴィチを十八番とするマエストロ渾身の指揮のもと、大阪フィルらしい熱い演奏が展開され、お客様より万雷の拍手を頂戴しました。
コーラスは慣れないロシア語に悪戦苦闘しながらも、本番では素晴らしい成果を聴かせてくれました。昨年末の尾高先生との「第九」に引き続き、大きな手応えを得ました。
一にも二にも、大音量で分厚いショスタコーヴィチのオーケストレーションに負けない「声の力」が身に付いてきたこと。「声の力」とは物理的な声量を指すのではなく、遠くまで届き、オーケストラの響きの壁を乗り越える「質」を備えた声。それは、一朝一夕にできるものでなく、日々の鍛錬によって徐々に身に付いてゆく種類のものです。その力が、恐らくは団員たちの自覚もないままに身に付き始めている、ということだと思います。
将来的には、個々がさらに呼吸法や発声法への追求を深め、スキルを高めることで、日本のオーケストラ付コーラスとしては前人未到の高みに昇ることができるでしょう。
ただし、呼吸法を身につけるための営みは、ある意味、地味で単調な体操の繰り返し(創意工夫により退屈とはならない)でもあり、それをどれほど新鮮な気持ちで継続できるか? に大阪フィル合唱団の将来がかかっている、とも言えます。
個人的に、ロシア語の作品に取り組むのは、指導者としてははじめて。合唱団員のひとりとしても、岩城宏之先生指揮のプロコフィエフ「アレクサンドル・ネフスキー」で歌って以来のことでした。
この度、一柳富美子先生にディクションのご指導を仰ぎながら感じたことは、ロシア語がとても音楽的な言語であるということです。裏側から言うと、正当な腹式呼吸や発声の基礎ができていないと全く歯が立たない言語ということでもあります。その意味でも本当に勉強になるとのもに、これまでやってきたことに間違いのないことに自信を持ちました。
これまでは、避けてきたロシアの合唱音楽。次にどんな作品と出会うことができるのか、楽しみになったところです。