インバル指揮の「レニングラード」と言えば、聴く前から感動が予感されそうなものだが、今宵ばかりは完全なる肩透かしに終わった。
第1楽章冒頭からフィナーレまで、ただ目の前の音が意味もなく鳴るばかり。
フレーズ感もハーモニー感も希薄で、大きな楽節の中の小さな楽節間にニュアンスの差が全くない。
いかにも日本人音楽家の陥りやすい欠点がそのままで、最後まで椅子に座っているのが辛いほど。
以前、大野和士指揮のマーラー「7番」を聴いたときにも、似た不満を覚えた記憶がある。すべてをオーケストラの責任にすることは出来ないが、都響には、潜在的にこうした傾向があるのかも知れない。