福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

カピュソン、コセ、ハーゲンによる弦楽トリオを聴く

2018-06-01 23:20:05 | コンサート


今宵は、コンセルトヘボウ小ホールにてRenaud Capuçon、Gérard Caussé、Clemens Hagenによる弦楽トリオを聴く。

バルコン最後列のこんな椅子席にて。まるで観光バスの補助椅子だ。一般の座席より尻が痛くならず、左右と後ろに人が居ないので気楽である。音も抜群に良い上、最前列に較べ約20ユーロも安いので、言うことなし。ほかの演奏会もここを買えばよかったなぁ。




プログラムは、ベートーヴェンの作品9-3とモーツァルトのディヴェルティメント変ホ長調 K.563。

ヴィオラ界の重鎮ジェラール・コセは御歳70とは思えない闊達な演奏。弓の運びの自在さは弦楽器を弾けない私にも伝わる。自由と愛に溢れた魅惑的な演奏ぶり。一時的なのか慢性的なのか、脚を傷めているようで松葉杖なしには自力で歩けず、着席してから係より楽器を受け取っていた。

チェロはハーゲン四重奏団のクレメンス・ハーゲン。まだ51歳とは思えない熟達の味わい。楽器が朗々と鳴り響き、音楽の土台を築く。

それに較べ、ヴァイオリンのルノー・カピュソンは、その華々しい経歴とは裏腹に、演奏に精彩を欠いた。
というのも、インスピレーションに溢れたコセとハーゲンが内面から湧き上がる音楽を奏でているときに、ただ表面的に形だけをつくっていたからだ。モーツァルトならではの目眩く転調の際にも、選ぶ音色を間違えてしまう。直感力や泉のように湧き出るものがない、というのは悲しい。

昨日(5月31日)聴いたグスターヴォ・ヒメノ&ロイヤル・コンセルトヘボウ管の感想は無精をして書いていない。いろいろ思うところはあったのだが・・・。


コメント
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