ほんのうと

ほんのうとぼんのうにごりのちがいゆえ　かわりはてたる　よのなかのつね

とりがなく

とりがなく　ちょちょっちょとと　とりがなく　とりとめもなく　ちちちちとなく　

ぼくは なまずものとすんでいる

すいはんきがこわいので　そちらにあたまをむけないで

と妻が言うので　ぼくは　妻のほうが怖くなった

なにがおこるかわからないから　へこんだらいやでしょ

と妻が言うので　ぼくは　わらってそのままねむった

夜中　こどもがふとんにはいってきて

はないきがあらいので頭の方向を変えてねむった

朝方　目が覚め　横になったままこどものねいきをきいていると　地が一瞬　揺れた

ぼくは　なまずものとすんでいる



そういえば　十二年前　

こどもがうまれるまえに

洋服ダンスがこわいと言って

いつもとちょっとずれたばしょで妻はねむった

その明け方に地が揺れた

ぼくは　なまずものとすんでいる



ぬるぬるとちていにねむるなまずもの

なまずぐせぬけきらないなこわいもの

ときどきみょうなこというなまずもの

かたいものこわいだけだろなまずもの

ぼくは　なまずものとすんでいる

地震

あさがたのちのみぶるいにおこされし　しんどまえからなまずものなり