明鏡   

鏡のごとく

はちのすをつつく

2014-04-14 21:27:48 | 
はちは、いつから、そこにいたのだろうか。

昼間は、外で、蜜を集めていたのだろうが。

まさか、床そこに、はちのすを作っていたなどとは思いもよらなかったが。

夜の闇に紛れて帰巣し、人が夢を膨らませている間に、巣を膨らませていたのだ。

ねえ、知ってた、はちは蜜ばかりすするのではないのだと。

捨て去られた、空き缶にこびりついた、甘露みたいになった汁もすするのだと。

くまんばちは、肉も餐うのだ、ちいさい別の種類のはちをまるめて膨らませて。

それから、くまんばちのこどもが膨らむために、餐わせるのだと。

よるのふくらみ、ひとのゆめのふくらみ、はちのすのふくらみ、ちいさきはちのふくらみ、よりおおいなるはちのこのふくらみ。

そこにいる、じょうおうばちのはらのなかからうまれおち、それらはふくらみつづけるのだ。

はちのすをつつくのだ、ふくらむことができなくなるまで、まつことはない。

たったひとつのはらのなか、ぼくらは、はちのすつついてわった。