5人部屋に一人の方が一人部屋より怖いって書きましたが、
一人部屋でもいろいろな「怖い」が存在しています。
どういうことかというと、
普通個部屋に自分で希望して入る場合には、部屋代として別料金がかかるのですが、
私のように、人にうつるような場合や免疫が弱っていて感染症がある場合などは、
病院側から個部屋を割り当てられる場合には部屋代はかかりません。
だったら小部屋のほうがいいじゃないかと思うでしょうが、
それはその時の小部屋を割り当てられる条件によります。
私はその時は元々大部屋に入院していたのですが、同じ部屋の大人が次々と退院してしまい、
ついには5人部屋に一人になったのですが、
その時は小児科病棟が非常に込んでいたため、その部屋に複数の子供が入院してくることになり、
私の髄膜炎ではその中に混ざれないので部屋をうつる事になったんです。
それで言われたのが、向かい側の個部屋でした。
でも、2、3日前までそこには赤ちゃんが入院していて、家族の方が泣いて出てきたのを見かけてしまったので、
亡くなったのだということを私は知っていました。
でもそんな理由で断ることも出来ないので、私はしぶしぶ黙ってその個部屋に移動しましたが、
実際には大部屋よりも綺麗で、それに流し台やガスコンロなども備え付けられていて、居心地がいいものでした。
ところが数日後、
今度は隣の個部屋の老人のところに親族が集まってきていたので、危ない状態であることがすぐに分かりました。
そしてその夜です。
隣の部屋に慌しく出入りしている医師や看護婦さんの足音や、
大勢の話し声が廊下から聞こえ目を覚ますと、
電子的な音が壁の向こうから聞こえ、
始めは
ピッピッピッピッピッ
と早いリズムで鳴っていた音が、
ピーーーーーーーーーーーーーー
と一定の音に変わり、
次の日の朝には部屋の中は空っぽになっていました。
当然その日の夜は怖くて寝れなかったのですが、
私が怖かったのは隣で人が亡くなったということだけではなく、
最初にここで赤ちゃんが亡くなり、
次に老人が隣で亡くなり、
そして自分も同じくその並びにいるということは・・・
あとは書かなくても分かると思いますが、そう連想してしまってからは自分も同じ道を辿るのではないかと思い、
すごく怖かったのです。
できれば二度とあんな体験はしたくないものです。