あまぐりころころ

主に漫画やゲーム等の感想や考察を。
時に旅行記等も交えながらの、のんびりのほほんブログ。

『食戟のソーマ』三周年記念考察 ~主人公達の料理人としての未来予想~(前編)

2016-01-31 00:50:00 | その他感想・考察

 突然ですが。
 去る1月26日を以って、このブログ『あまぐりころころ』はブログ開設から1000日を迎えました~~~。
 いやはや早いものですね。
 初めてのブログということでドキドキしながらパソコンに向かったあの時がつい最近のように思えます。
 これからもマイペースに自分の考えを述べていくだけでしょうが、こんなブログで良ければこれからもどうか宜しくお願い致します。(m(_ _)m)

 そういうわけで、ここは是非とも頑張らなければ!!と一念発起。
 かなり遅れてしまっていた『食戟のソーマ三周年記念考察』の第二部をUPです。(第一部の記事はコチラをご覧ください)
 ホントはね、26日当日の内に書き上げたかったの。
 でもね。
 現実というものはやっぱり厳しいの。


 何とか纏め上げ見直してみたところ・・・
 文字数3万オーバー★
 ということでブログサーバー様からお叱りを受けてしまいました(核爆)。



 けど削る事なんて今更できん!!!

 というわけで、今回の第二部考察は前後編に分けてUPさせて頂きます。
 後半は明日UPしますね。

 そんなわけで今回の考察もうんざりするほど長いですが、もし気が向かれましたら目を通してくだされば幸いです。
 それではいざ、いってみましょう!





 創真・えりな・恵ら主要人物三人のキャラクターについての再考察と、主人公創真の大きな“強さ”“危うさ”について述べさせて頂いた前回。
 本来なら今回の考察で「その“危うさ”を守る存在」について語るべきなのですが、その前段階として述べておきたいものがあるため、それについては最終章の第三部にて語らせて頂きます。



 では今回は何を考察するかというと、主要人物達のこれからの「料理人」としての成長について語らせて頂こうかと思います。

 料理漫画であるこの『食戟のソーマ』。
 多種に渡る料理の紹介や一般的にも使えるアイデア等大変面白い点が幾つもありますが、中でも最も興味深い点が各キャラクター達が持つ料理ジャンルが、そのキャラクターの性格やバックボーンに大変巧妙に関係しているところ。
 料理を通して見ることで各キャラクターをより一層深く読み取ることが出来るというこの関連性は、この作品の「料理漫画」としての持ち味を何倍にも深めていると思います。





【これからの“食の舞台”における展開】

 各キャラクターについて述べさせてもらう前に、まずは創真達が料理の腕を磨き合っている“舞台”について考えてみましょう。

 主人公創真が思いがけず編入することになったのが、日本屈指の名門料理学校であり、この作品の主な舞台となっている『遠月学園』
 
食の学び舎であるそこでは、日本全国津々浦々から食のエリートの卵達が集い、頂点を目指して競い合っています。
 進級率10%以下、卒業まで辿り着ける者は一桁と、過酷な切り捨てを教育方針とする超スパルタ学校である遠月学園。
 ですが、そんな徹底した実力主義故に真の才能や実力のある者は出身や家柄を問わずに「上」への道が開かれるという、公正な世界でもありました。
 そして創真はこの学校で多くの仲間やライバルと出会うことによって、己の世界を広め成長し続けています。

 ですが。

 今現在の本編にて、そんな創真達の“成長の場”である遠月学園に大きな「変革」が起きてしまいました。
 驚愕の展開でしたが、俯瞰的に見ればこのタイミングでこの「変革」が起きたのは必然だったと言えるのかもしれません。
 前述したように、遠月学園は大変厳しい進級率です。
 このまま行けば、これまでの過程で創真と出会い、縁や絆を育んできた仲間やライバル達が退学されかねない状況に追い詰められていってしまうんですよね。
 その対策として、附田先生は創真達がまだ一年生という早い段階でこの「変革」という大展開を持ってきたのだと思います。
 そんな「変革」によって何が変わったかというと・・・

 過酷な切り捨てという、これまでの旧体制における最大の問題点は無くなりました。
 代わりに。
 “選別”という新たな問題点に晒されることになってしまいました。
 
 創真達はそんな横暴な“選別”と今現在戦っているわけです。
 
 きっと想像もつかないほど大変なものになるであろうこの戦い。
 でも、もしこの戦いを乗り切って、遠月学園をより懐の広い学校に変えることが出来たなら―――



 そこからが、いよいよ“次のステージ”へのステップアップとなることでしょう。



 
その“次のステージ”とは一体何かというと、私はこう予想しています。

 

 

 

 

それは「世界」。

 

 

 

 日本を飛び出して「世界」を視野に入れた、グローバルな展開がこの先待ち受けているのではないのでしょうか? 

 私がこう考えるようになった最初のきっかけは秋の選抜編です。
 お題形式が用いられていたこの大会。
 そのお題はいずれも、「高級」や「トップブランド」といった遠月学園のイメージからしてみれば意外な、庶民的なものばかりでした。
 そして、そんなお題はいずれも何らかの“共通点”があったことを丸井がほのめかしています。(※第73話参照)
 結局その共通点が何だったのかは選抜が終わっても明かされることはありませんでしたが・・・。
 私なりに調べ考えた結果見つけ出した、これらお題の共通点、それは。

 

いずれも「世界に発信している日本の料理」だということ。

 

 これについての詳細は本編の感想(第73話第76話第80話第93話等)でしつこいほど語っていますので、もし宜しければそちらをご覧くださいませ。

 これらのお題を考えたのは十傑第九席の叡山枝津也。
 そんな叡山は創真と初めて対面した時に自ら話しています。
 自分だけの小さい箱(店)に縛られている創真とは、見ているステージが違う、と。
 それはつまり。
 叡山は創真より広い世界を見据えているということです。

 上記に挙げた「お題の共通点」、そして「叡山の視野」。
 それらを踏まえて考えれば、これから先の展開において創真達が戦う舞台は遠月学園を通した「世界各国」へと拡大されるのは極めて確実と思われます。

 実際にこの予想を裏付けてくれる要素が秋の選抜編終了後の展開の中でも随所に散りばめられているんですよ。
 月饗祭編でのパンフレットの煽り文や国内外からという来賓者、えりなの父親である薊のパイプ等々・・・。
 一番新しいところでは第144話冒頭のメガネ坊っちゃんの志望動機ですね。



 そして、この「“食の舞台”のグローバル化」は創真自身には勿論のこと、創真の[三大ライバル]とも大変深く関わっているという。





【ライバル達が持つ“世界”のファクターと、創真との関連性】

 [創真のライバル三本柱]こと、タクミ・葉山・黒木場。
 これまでの展開で創真とのライバル関係が確たるものとなった三人ですが、彼らが共通しているのは全員外国からやってきた身だということ。
 タクミはイタリアと日本のハーフ。
 葉山は中東近辺(?)からの帰化。
 黒木場はデンマーク育ちという。
 そんな三人はそれぞれの背景にきちんと沿った国際色豊かな料理ジャンルを得意としています。
 いわば、この三人との勝負によって、創真は既に「外国の料理」に触れているわけです。



 もっとも、「国籍」だけではなく、彼らはそれぞれの面で創真の料理スタイルに大変興味深い関係性を持っています。


 まずは黒木場。
 「海鮮料理」を得意としている彼ですが、得意ジャンルはもう一つ。
 それは「フランス料理(西洋料理)」。
 今でも記憶に鮮明な第76話の両面ポスター
 創真の格好良さに我を失ってしまったため述べ忘れていましたが(←)、このイラストで黒木場が携えている刀は二本なのですよね。
 それは黒木場の“武器”が「海鮮料理」と「フランス料理」の二つであることを示していたのだと思います。
 そしてこの「フランス料理」というものは、創真がスタジエール研修にてとても興味を持った分野でもあるという。
 
加えて、創真が初めて定食料理という『ゆきひら』の世界をぶち破って作った料理分野でもあるということから考えても、また縁のあるジャンルと言えます。 
 それらを考えると、創真と黒木場にはまた面白い共通点が出来たと言えるのではないでしょうか?

 そして黒木場の料理の本質は「膂力」。
 「膂力」の料理とは、食べる者をなりふり構わず溺れさせ、否応無しに屈服させる強い“力”の料理。
 これまでの展開でそんな「膂力」の料理を大いに振るってきた彼ですが、この“力”は創真の“力”を語る上でも欠かせないファクターです。
 これが単行本第7巻感想で私が述べたかった事でした。

 創真も持っているこの“力”は、第一話という超最初期から既に発揮されています。
 悪意満々で店を潰そうとしてきた地上げ屋達が創真の料理で心身共に完全にノックアウトされてしまったというのが、まさにそれ。
 そしてその“力”はこれまでにも度々発揮され、食べてきた者達を陥落させてきました。
 つい最近の本編の展開における買収審査員の服従化(第147話はまさにそれの顕著な例だったわけです。
 
 そんな強い“力”を共通している料理人である、創真と黒木場。
 ですが。
 創真はそんな“力”と相反するものも同時に持っているという。
 それについては次回にて。

 アリスという、これまで自分にとって全くの未知の分野の料理人に挑み続けることで、その腕をより高めていった黒木場。
 そんな「戦いが全て」な彼は、これから「世界に挑む料理人」になっていくのではないでしょうか。





 次に葉山。
 彼の得意ジャンルはスパイス。
 その汎用性はほぼ全ての料理ジャンルに有効であり、そこに彼の才能である「嗅覚」も備わればまさに鬼に金棒。
 現在のところ、[イケメンカルテット]中で一番の実力者と言えましょう。

 ですが。

 実のところ、葉山は料理人として非常に“狭い”子です。

 秋の選抜編で新戸と戦った際、決着後に「なにもかも狭い」という辛辣な言葉を新戸に放った葉山。
 私としては、その言葉に同意すると同時に
 アンタもだけどね。
 と、呟かずにはいられませんでした。

 その能力は極めて広い分野に活用できるというのに、本人の気概が極めて“狭い”。
 それは全て、「汐見のため」という理由に他なりません。
 自分がこの才能で名を上げれば上げるほど、同時に自分のこの才能を見出した上司である汐見の名も上がる。
 そう考えているため、己の嗅覚ただ一つのみを研ぎ澄まし、それを最大の強みとする料理を作り続けている葉山。
 ですが、葉山のそんな一途な姿勢は私から言わせれば非常に危ういものです。
 何故なら、料理人としての全てがその「嗅覚」一本のみで支えられているから。
 あまりにも偏っているその姿勢、その力。
 それ故に。
 もし、その嗅覚が何らかのはずみで使えなくなってしまったりしたら。

 葉山の料理人としてのアイデンティティーは崩壊してしまうことでしょう。

 「大きすぎる才能故の危うさ」。
 それはえりなのそれと酷似していると言えます。
 
 「香り」という一点突破で突き進み続けている葉山ですが、このままいけばまず間違いなく何かしらの原因で躓くか、行き詰まってしまうことでしょうね。
 ですが、葉山は既にその不安要素を打開してくれるものに巡り会えています。
 それこそが、「ただ一人の人」に悪い意味で囚われていない“自由”な創真なのではないでしょうか。
 秋の選抜では「ただ一人の大切な人」への想いの差から勝敗が別れた二人。
 ですが、私としてはそれが創真の「足りない部分」とは思っていません。
 むしろこの違いはいずれ創真の方に“光”が当たるものと思っています。
 この点についても、詳しくは次回の創真の章にて語らせて頂きますね。

 仲間達だけでなくかつての敵にさえも屈託なく接し、分け隔てない交流を広げていく創真。
 そんな創真は、料理人にとって前に進むのに不可欠である「出会い」の大切さを分かっていますから。(^^)

 「香りの力で味の世界を変える」。
 汐見が示してくれたこの目標。
 それはまさしく「世界」が舞台になっていくこれからの展開にも相応しいものです。
 そのためにも。
 葉山はまず人との「出会い」を通して“自分自身の世界”を広げることが最重要事項と言えましょう。





 そしてタクミ。
 彼は現場の対応力や発想力、そして料理人としての気概など、精神面における姿勢が創真とよく似ています。
 そんなタクミと創真だからこそ、お互い良い影響を受け合うことに。(^^)

 秋の選抜の結果だけ見れば、創真や葉山、黒木場より一歩遅れてしまっているように思われるタクミ。
 ですが、少なくとも[三大ライバル]の中では、タクミは一番伸びしろが大きい子だと思っています。

 何故なら、タクミはその気概も勿論ですが―――
 これからの展開における重要なポイントを既に見据えていますから。

 イタリアンと日本食の融合料理を得意としているタクミ。
 その得意ジャンルの礎となっているのは、己のルーツに基づいた「世界の垣根を越えた料理を創りたい」という意志。

 そう。

 タクミは既に「世界」を見据えたグローバルな視野を持っているんですよね。しかも誰かに提示されたわけではなく自発的に。
 これは小説版第一弾のタクミ編で述べられていた事です。
 とにかくもう、このお話の重要性は群を抜いていました。
 私のこの作品に対する理解を一気に広げさせてくれたのは、ひとえに小説版のお陰です。
 小説版を読んだからこそこの考察記事が書けていると言っても過言ではありません。
 弟のイサミと共に日本を学び、日本を好いてくれているタクミ。
 そんなタクミの考えを知ったことによって気付かされた、超重要な事実。
 それが

創真は現代日本の食文化を象徴する料理人だということ。


 国籍やジャンルを問わず外の世界の良い点を学び取り、独自のものへと工夫していく懐の深さ。
 それは混沌であり無節操。
 そして進化であり革命。
 そんな創真の姿勢はまさに世界における日本の食の在り方そのものです。

 創真の“世界”が広がるきっかけをくれたタクミ。
 そしてまた、このタクミの志に創真は再び大きな影響を受けることでしょう。
 本当にタクミは創真の最良のライバルだと思います。(^^)





 
こうして「世界」をキーワードに、
 タクミは「グローバルな視野」を。
 葉山は「嗅覚」という天賦の才能を。
 黒木場は「フランス料理」という得意ジャンルを。
 それぞれ料理人としてのファクターとして持っているわけですが・・・。

 彼らのファクターを全て持っている人物がいるんですよね。一人だけ。

 その人物とは



[レギュムの魔術師]こと『四宮 小次郎』。

 

 

 彼はまさに「世界」を相手にしている、秀でた「嗅覚」を持った「フランス料理」の料理人です。
 そして。

 そんな四宮は創真の「師匠」でもあるという。

 それを考えると、より一層四宮の重要性と共に彼らの縁も深まりそうで想像するだけで楽しいです♪

 ま、四宮の「嗅覚」の設定は附田先生が忘れている可能性もありますが。(核爆ドッカーン)





【ヒロインらの料理人としての成長方向】

 創真との関連性と共に、「世界」に向けての成長が充分見込めるライバル達。
 では一方のヒロイン達はというとどうでしょう?


 まずはえりなですが・・・、実はこの子って主要人物達の中でも断トツで料理の披露機会が少ないんですよね。
 そのため、「高級」「完璧」をモットーとしているのは既に周知の事実であるものの、これからの成長方向が一番不明瞭という。
 それもひとえに、えりなは「料理人」としてだけでなく「判定人」としてもその力を大いに発揮できるキャラクターだからこそ。
 その「判定人」としての力は勿論天賦の才である[神の舌]によるものですが、実際は舌だけに頼らずとも既に物凄いレベルに到達しています。
 これまでの人生でずっとトップシェフの贅と趣向を凝らした料理を食してきただけに、「高級」という分野のみに極端に偏ってはいるものの、「味見」の経験値自体は桁外れ。
 そんな彼女の「舌」だけに留まらない実力は、秋の選抜編での美作戦(第83話)において創真も既に気付いています。
 ですが彼女の周囲は、そして本人も、未だに「舌」のみに大きく依存しているという。
 己の価値は「舌」だけではない。
 それを最も認識するべきなのは、他ならないえりな自身です。

 遠月学園が「世界」へのグローバル進出を果たしていることに加え、えりな自身も“頂点”を目指している以上、彼女も当然「世界」を意識していることでしょう。
 彼女もまた黒木場と同様に圧倒的な“力”を振るう料理人です。
 そんな女王然たる“力”はきっとこの先、「世界」でも充分通用するはず。
 むしろえりながこれから問われるのは、精神面における成長です。


 今こうして見ると、
 創真とえりなは料理人としての“スタート地点”は同じだったと思うんですよ。
 何故なら、二人とも城一郎というただ一人の料理人を目標とし、一つ所(実家)を守り通そうとしていたから。

 ですがこれらの目標は言葉にすれば同じでありながらも、創真とえりなそれぞれの基準で見直すと微妙にニュアンスが違っていたりするのですがね。

 えりなにとって城一郎は「憧れの料理人」。
 一方、創真にとって城一郎は「いつか超える料理人」。
 そう。
 えりなは多分考えもしていないであろう、「城一郎の上」を創真は目指しているわけです。
 しかも創真は、四宮といった城一郎以外の料理人も「見習うべき“上”の料理人」として認めるようにもなりました。

 そして、えりなにとっては“責務”であり“居場所”を守ることでもあった、薙切家(遠月学園)へのこだわり。
 ですが創真が『ゆきひら』を守る理由は、やはり。
 「家」だから。
 「家族」という繋がりが極めて少ない創真にとって、父と暮らし、代々受け継がれてきた『ゆきひら』は大切な自分の帰る場所”だから。
 更に最近の展開において、創真は『ゆきひら』に対する思いと同じものを極星寮にも抱いたという。

 創真はこれまでの様々な出会いや経験を得て、「それら」一辺倒だった自分からどんどん成長し続けています。
 対してえりなは、未だに変わらぬまま。
 スタート地点が同じ二人ではありますが、その視野の差は開く一方。
 この差はいつか料理人としての二人の力量の差に大きく関わることとなるでしょう。



 「幸平」の名を受け継ぐ者として。
 「薙切」の名を背負う者として。

 料理人として本当に対照的だからこそ、お互いに足りない部分を持ち合わせている創真とえりな。
 だからこそ、互いの存在は頂点”を目指すためにはとても重要と思います。





 
一方の恵はというと、上記の彼らと比べればまだまだ成長途上。
 ですが、そのポテンシャルは登場人物達の中でもトップクラスと確信してたり☆

 そもそも料理人としての本格的な修行や教育を受けてきた彼らと違って、恵の出身は「旅館」という料理の専門分野とは言えない世界です。
 そんな環境にも関わらず、一般レベルでは誰も敵わないほどにまで料理の腕が自然と上がっていった恵。
 それは彼女の才能がかなりのものであることを示しているのではないのでしょうか。 

 恵の得意分野は「郷土料理」。
 それは東北出身&郷土料理研究会所属という彼女の背景が大いに活かされている料理ジャンルです。
 一見「郷土料理」というと本人と同様に地味で素朴というパッとしないイメージですが、それを大きく変えた料理人がいます。
 その人物こそが四宮。またもや。
 恵の初の食戟相手でもある彼ですが、これまでの本編中で彼が披露した料理は『シュー・ファルシ』と『キッシュ』。
 そのいずれもフランスの郷土食です。
 「フランス料理」というとレストランでのフルコースが最初に思い起こされるような、華やかで高級、一般庶民には敷居が高いイメージの強い料理ジャンル。
 そんないかにも「郷土食」とは真逆とさえ言えるイメージを、四宮は何気に払拭していたりするんですよね。
 郷土食と言えども、工夫や技術次第で充分感嘆レベルの逸品に押し上げることが出来る。
 それを彼の料理は教えてくれました。
 そしてそれが恵の料理スタイルとして確立されていくだろうと考えています。

 そんな日本の風土や文化、その土地の住民の昔ながらの知恵や工夫、そして土地への愛情が込められている恵の料理はまさに
 日本の大地の味。

 旅館を実家に持つ恵は、「おもてなし」という日本人ならではの細やかな気配りに長けている子。
 そんな[心遣い(ホスピタリティ)]を武器に、恵は食べる相手の心に温もりを与え、緊張や強張った気持ちを和らげてくれるような、そんな“心”溢れる品を創れる料理人になるに違いありません。

 だからこそ。
 そんな原点”の料理人である恵は創真と非常に相性が良いと言えます。






 ・・・さて。
 では今回はここらで一旦区切らせて頂きます。
 次回はいよいよ主人公創真についての料理人性における考察ですよ!!

 

 


『食戟のソーマ』第150話感想

2016-01-22 22:55:00 | 食戟のソーマ

 ひゃああああああああああ(赤面)。
 と、突っ伏したいくらい畏れ多いことが立て続けに起きてしまい、恐縮しっぱなしの今日この頃です。
 

 お陰で雪が降ろうが吹雪になろうが全く気になりません。
 っていうか、やっと本格的に降ってくれたことに安堵さえしていたり。(雪国育ちの悲しき性)



 さて、それでは今回もいってみましょう!





 週刊少年ジャンプ2016年7号掲載
 掲載順第8位
 第150話 【ボードゲーム】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何の前触れもなく極星寮を訪れたのは、薙切薊。
 てっきりえりなを連れ戻しに来たのかと思いきや、たまたま近くに来たので寄ってみたとの事。
 予想外の軽い理由に肩すかし☆

 そして案の定、勝手に中へ乗り込む薊。
 予想はしてたけどまたですか・・・。そのうち家宅侵入罪で警察呼ばれるぞ。(←)
 ですが、奥に進んでいく薊の姿に疑問を抱く創真。
 薊は極星寮の勝手知ったるかの如く迷わず足を運んでいたのでした。



 突然現れた薊に、楽しく賑わっていた宴の空気は一変して緊張感が走ることに。(あ~あ、これが嫌だったんだよな~)
 薊を露骨に敵扱いする面々。
 一色先輩は紳士的にお引き取りを願うものの・・・。

 裸エプロンなんだよね。残念ながら。
 でもって裸エプロンを目にしても何もツッコまないんですね、薊さん。
 「非常識」が平気でスルーされる。
 そんなとこがこの作品の地味なる狂気。


 ですがそんな彼らを無視して、薊はえりなに傍に来るよう声を掛けます。
 薊の言葉に逆らうことが出来ず、従うえりな。
 伸ばされる薊の手に、反射的にえりなは
身を縮こまらせます。
 ・・・が。
 薊はえりなの頭に手を置き、優しく接するのでした。
 そんな薊の態度に、戸惑う面々。



 ・・・。

 ( -.-) =з

 こういう所なんだよな~・・・。
 薊の手強いところは。
 態度がこう柔和で穏やかだから、反発や疑念が誤魔化されてしまうんですよね。
 しかも演技ではないから尚更。

 でも。
 本当に真っ当な親ならば叱るべきなんですよここは。娘のえりなを。
 何故なら、えりなは「家出」をやらかしたんですから。

 どうして家出なんてしたのか。
 なんで黙って出て行ったのか。
 せめて無事かどうかだけでも連絡をよこそうとは思わなかったのか。

 えりなに聞くべき事は沢山あったはずです。
 なのに、口にしたのは自分の意見だけ。またもや。

 「えりなと話をしたかった」だの
 「えりなの意思を尊重したい」だの
 一見真っ当な事を言ってますが・・・

 ( --) =з 

 自分の非は一切認めていないくせによくそんな事が言えるね。



 そんな中でもしっかり青木にえりなを「えりなっち」と呼ばせているあたりに、附田先生の細かい仕事が窺えたり☆



 そこに現れたのはふみ緒さんでした。
 「中村」と薊を呼ぶふみ緒さん。
 ここで一色先輩の説明も入り、一同は驚きの事実を知ることになります。
 薊はかつて極星寮の寮生だったという。
 そして、高等部1年生にして十傑の第三席を勝ち取り、翌年には第一席に就任という歴代でも類を見ない経歴の人物であること。
 数年後に薙切家の令嬢と結婚して薙切姓となり、“食の魔王の一族”という極大なる地位も得たこと。
 まさしく技術・経験・ステータス共に誰もが認める料理界のトップスターだったということを。

 それにしても、高等部一年の秋頃には十傑第三席の座を獲得・・・か。
 丁度今頃ですね。
 ということは、やはりえりなも薊のように、近々第三席の座に就く展開になるのでは・・・。



 そんなかつて寝食を過ごした場所を、薊は平然と潰そうとしたわけです。
 薊としては狙って極星寮を潰そうとしたわけではありませんでした。
 ただ、潰そうとした団体の中に極星寮が混じっていただけだったという。
 とどのつまり、薊は何の思い入れも極星寮には無かったという事です。
 うん、薊らしいわ★
 この情や過去など一切気に留めず、合理的思考によって物事の要不要を冷酷に判断するところ。
 娘とまるで同じですし。



 極星寮が守られた事を祝っていた極星陣に対し、完全なる安泰を手にしたわけではないと告げる薊。
 ボードゲームはこれからが本番だと。

 ・・・ゲーム?

 上から目線で悠々と語るのはご自由ですけども・・・。

 

 

 

こちとら“ゲーム”なんてやってるつもりはありませんから。

 

 

 

 創真達が挑んでいるのは“賭け”です。

 

 

 

己の人生全てを賭けた。

 

 

 

 ボードゲーム(チェス)になぞらえて、自分が選んで集めた優秀な兵隊達が遠月を必ず支配するだろうと言う薊。
 多分、その「兵隊達」の中には葉山もいることでしょうね・・・。
 あ、それと。
 前回の感想で葉山と郁魅が対決したら面白いかもと予想しましたが、すみません、やっぱ無しの方向で。
 えりなにとって大きな山場であるこの『遠月革命編』ですが、実は葉山にとってもこの章は大きな節目になると考えています。
 何故なら、葉山はえりなのシャドウ的キャラクターだから。
 タクミや郁魅、新戸やアリスなどえりな属性のキャラは数多くいますが、葉山はその中でもえりなの危うい面を最も色濃く持つキャラクターです。(詳しくは単行本第7巻感想をば)
 これまでの自分を顧み始めたえりな。
 ということは葉山もまた、えりなとはまた違った形で「誰か」からこれまでの自分を顧みさせられることになると思うんですよ。
 そうなってくると、まだ何の縁も繋がっていない郁魅がその役目を担うとは考えにくいわけで。

 とりあえず候補として考えられるのは、創真、新戸、黒木場といったところですが・・・。
 創真はつい最近叡山との食戟で大活躍しましたし、しばらく食戟の機会はないのではと予想。(メタ的視点)
 黒木場では葉山に自分を顧みらせる説得力が無い。(黒木場自身がまだ成長してないし)
 新戸は現状的に葉山と対決する理由が見つからない。(個人的にはスタジエールでの成長を示すためにもここらで活躍して貰いたいのですが)

 となると、もう候補者はいないわけですが・・・。
 いるんですよね。もう一人。
 それはタクミ。
 タクミも郁魅と同様に葉山とまだ何の縁も繋がってはいないのですが、もし葉山が道を踏み外した時に、自分を顧みらせるのに非常に充分なものを持っているんですよ。
 それは「誰かの為に」という強い意思。
 丁度第72話で新戸と共にそれぞれの意思が描かれていたタクミと葉山ですが、その共通点、そしてその形の違いこそが葉山の目を覚まさせる重要なファクターになると思っています。
 同じえりな属性でも、タクミは葉山と違って本当に安心して見ていられる“強い”子ですし。(^^)
 それに、もしそれでタクミが勝ってくれたならば秋の選抜の結果を大きく覆らせるカタルシスも生み出せますしね♪
 ですから私としては恵か郁魅・・・もしくは丸井が所属している研究会(ゼミ)を葉山が刺客となって潰そうとした際に、タクミが助っ人として戦ってくれるといった展開を予想&期待します。



 自分の理想とする美食が盤上を埋め尽くすだろうと語る薊。
 そんな薊を何も言わず見つめるふみ緒さん。
 その表情は呆れているようでもあり・・・・・・・・・・悲しげにも見えました。
 そんなふみ緒さんに何かを感じ取っている一色先輩。さすがに鋭いです。
 ・・・でしょうね。
 ふみ緒さんは、薊が「こうなってしまった」理由を知っているのでしょう。

 そうしてひとしきり語った後、薊は帰路に就くのでした。





 外には側近の者が薊を待っていました。
 私的に見て、この側近の人はこれからの注目人物ですね。
 えりなには新戸が、アリスには黒木場がいることと同様に、この人物も薊というキャラクターを掘り下げるひとつの突破口になると思っています。
 何気にこの人最新刊(第16巻)の中表紙にも登場していますし。

 そんな側近からえりなを連れ戻さなくていいのかと聞かれ、「問題ない」と答える薊。
 やはり薊はえりなが自分の元へ戻ることを確信していました。
 やっぱりね。
 うん、やっぱりね。(二度言ってみました)

 自分の大改革の「仕上げ」までもうしばらく自由にさせておこうと、薊は車に乗ろうとします。
 はて、その「仕上げ」とは一体・・・?
 一色先輩はその「仕上げ」を知っているからこそ、そのための手立てを準備してくれているのでしょうか?



 その時。
 玄関口にいる人物に気が付く薊。
 それは創真でした。

 薊を追ってきたのは、素朴な疑問があったからだそうで。
 「総帥」とも「薙切先輩」とも呼ばず、「中村先輩」と呼ぶ創真。
 うん、創真が薊をそう呼ぶのは適していると思います。とても。
 権力も実力も関係ない、元来の薊を指すその呼び方が。

 入寮してまだ約半年である創真でさえ失いたくない場所だった極星寮。
 ましてや薊は何年も暮らしていたというのに。
 思い入れはなかったんですか?と聞く創真に対し、薊は「・・・軽蔑されているのかな?」と笑います。
 いえ、創真は人を軽蔑したりするような子ではありませんから。
 だけど・・・。
 ・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふ~ん・・・。
 そんな薊に創真も何かを感じ取ったようですね。やはり。 

 今は自分が求める世界はこの寮にはないと言う薊。
 「今は」という言葉に反応する創真。

 薊は語り始めます。
 かつて尊敬していた、「ある人物」について。
 どうやら薊にとっては「その人物」こそが自分の求める世界そのものであり、その人物がいない今となっては極星寮という場所自体には何の未練も無い模様です。
 「その人物」がいかに優れていたかを、いかに自分にとって特別な存在だったかをどんどん天を仰いで語っていく薊。
 既に創真の言葉も耳に入っていません。
 やばい、なんか笑えてきた。

 その時、「その人物」の名前を零す薊。

 

 

 

 

ん?

(by創真&読者)

 

 

 

 

 

 「その人物」の特別性について、もはや遺伝子レベルで語り続ける薊。
 ここで話の腰を折る創真。
 「・・・あのー」

 そこに、玄関へと駆け寄る人物が。
 それはえりな。



 えりなが玄関扉を開いたその時―――

 

 

 

 

 

「才波城一郎 それ俺の親父っすわ」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 o )

 

 

 

 

 

 

唖然。

 

 

 

 

 もうそれしか言えません。

 

 

 

 

 

 第34話【遠月を巡る因縁】以来ずっと潜んでいた、創真とえりなの関係における最大の「地雷」。
 創真と城一郎が親子関係という事実判明。

 約二年半にも渡って私達読者の不安と期待を募らせていた最大級の伏線が・・・

 どう考えてもシリアス展開の起爆剤としか思っていなかったこの事実が・・・

 まさかまさかのギャグ使用☆★☆



 このタイミングで。
 その発言を。
 そんな表情で投下させる附田&佐伯先生はマジで大胆。無敵。尊敬します。




 いやはや、本当にこの展開は想定外でした・・・。

 「外の世界」を知ったことによって、これまでの自分を顧み始めたえりな。
 それによってこれまで「庶民=低俗」「一般料理=低級料理」と一方的に見下してきたことに対する罪の意識も抱き始めてきたわけです。
 私としては、それがえりなが薊の元へ戻るのに充分な理由になると思っていました。
 なのに、更にそれにトドメを刺してくるとは・・・。
 えりなの創真に対する確執的事項。
 それらは少しずつか、それとも一気に訪れるかというのは前から懸念していましたが、一気に訪れる形になりましたね。

 ・・・でも、俯瞰的に見ると確かにこのタイミングで良かったのかもしれません。
 私としては創真と城一郎が親子関係にあることをえりなが知ることは、「聖域の侵害」として創真への反発がより一層深刻になるのではと以前から危ぶんでいました。(単行本第5巻感想参照)
 ようやく。
 よ~~~やくこれまでの偏見や見下しとは違った視線で創真を見始めたえりな。
 もしこのまま話が進み、二人の関係が柔和になったかと思われたところで幸平親子の事実が判明し、えりなが再び創真の存在を否定しやがったりなんかしたら・・・

また元の木阿弥かい!!!

 と怒鳴っていたに違いないでしょうから。

 実際、創真はえりなにとって全ての意味における「外の世界の象徴」ですしね。
 「外の世界」の価値ににえりなが気付き始めた以上、その“象徴”に焦点が当たるのは必然と言えましょう。

 そして、偶然のタイミングとはいえその事実が創真の口から明かされたというのも良かったと思います。
 秋の選抜で一色先輩が城一郎の話題を口にした時や(第59話)、早津田が城一郎に興味を持った時(第82話)はそりゃあヒヤヒヤしましたから。
 えりなが第三者から間接的にその事実を知ったりしたら、「騙された」と勘違いしかねないと思っていたので。
 この流れなら、少なくともえりなは誤解することはない・・・、と思いたいですね。





 そしてまた意外だったのが、薊が城一郎を崇拝とも言えるレベルで尊敬していた事。
 てっきり嫌悪してるとばかり思ってました。
 あれほどの管理主義である薊が、自由奔放が服を着て歩いているような人物である城一郎を慕っていたとは、いやはや。(←コラコラ)
 っていうか、父娘揃って城一郎信者とはね。

 でも一方で気になるのは、城一郎の事はあれほど恍惚として語っていたにも関わらず堂島先輩の事は一切口にしなかったという事。
 堂島先輩は城一郎より上の第一席だったというのに。
 ひょっとしたら城一郎の事を慕っていた分、正反対のタイプである堂島先輩の事は嫌っていたのかも。



 そういうわけで極星寮に関わる過去や人物関係の一端が明らかになった薊。
 宣戦布告した創真へのお返しとばかりに極星陣に宣告してきました。
 今後の戦いを「ボードゲーム」に例えて語っていましたが・・・。

 「盤上」とは、また随分と狭い世界だこと★

 第136話で薊が海外で閉じられたコミュニティを作って活動している、という仙左衛門の話を聞いてからずっと思っていた事なんですが・・・。

 薊の考え方、やり方は「箱庭的」だと思います。



 「軽蔑しているのかな?」
 創真に問われた時、笑顔でこう答えた薊。

 ふ~ん・・・と思いました。
 言われてもいないのに、自分からそう言ってくるとは。
 こりゃあ、薊はこれまでの人生の中で相当軽蔑だの侮蔑だのといった言葉や感情を投げつけられてきたのでしょう。
 自分が軽蔑されることを知っている薊。
 ・・・だから薊はあれほど病的なまでに“自分の世界”を作り上げようとしているのかな~・・・。

 改めて言わせてもらいますけど、とんでもないことをやっているように見えて、この人って狭い世界で自分の事を認めてもらおうとしてるだけなんですよね。
 ・・・いっそ、哀れなくらい。

 自分の気持ち、自分の考えを分かってもらいたい。
 ただそれだけなのに。
 他人は、世界はそれを分かってくれない。
 ならば自分こそが正しい世界を作ってしまえという。

 「世界」に合わせて、自分を曲げたくなかった。変えたくなかった。
 自分を真っ直ぐに貫こうとしすぎて、逆に捻じれてしまった。

 薊はそんな人間なのではないでしょうか。



 だからこそ。
 城一郎をあそこまで崇拝することになったのでは。

 城一郎は全キャラ中No.1といえるほどの超マイペース人間です。
 それはつまり、一切「自分」がブレないということ。
 そして、当時の城一郎がどう呼ばれていたかというと、[修羅]。
 第43話にて本人も「学生時代の自分は尖っていた」と振り返っていたことから見ても、おそらく城一郎は敵対する者は全て“己の料理”で捻じ伏せていくような、自分勝手に「力」を振り回す料理人だったのではないでしょうか。
 薊は多分、周囲の視線や意見など全く意に介さずに自分を貫く、そんな城一郎の姿に憧れたのではないかと思います。



 ・・・やばい。
 もしかしたら私、かなり薊を理解できてしまうかもしれない(汗)。
 なんでこんな危ない人の事が分かっちゃったんだろう・・・?

 ・・・・・・・・・・ああ、そうか。
 薊ってえりなだけでなく、「あの子」や「あの子」のファクターも持っているからだ・・・。





 さあ・・・!!
 こうなってしまった以上気になって堪らないのは勿論、この事実を遂に知ってしまったえりな、加えて薊の反応です。

 そもそも、なんでえりなは薊の後を追って玄関に駆けて来たのでしょう?
 予想としては薊と話をしようとしたのでしょうかね?
 薊自身も「えりなと話をしに来た」と言っていたわけですし。
 これまで否定し続けたものの価値にようやく気付き始めてきたえりな。
 せめて、自分がお世話になった極星寮の人達を苦しませるようなことはもう止めて欲しい。少しでもいいから薊に考え直してもらいたい。
 そう願い出るべく、追い駆けて来たのでしょうか?
 もしそうだったとしたら大変感心な事ですよ。
 やっと。
 本当~~~にやっとえりなは“一歩”を踏み出そうとしたわけですから。

 まあ、それは木端微塵に吹き飛んでしまったでしょうけども。



 そして薊はこの事実を果たしてどう受け止めるのでしょうか。
 ざっと考えると
 ①鼻で笑って信じない。
 ②憧れ(城一郎)と現実(創真)のギャップを受け止められず、創真を否定もしくは侮辱してくる。
 ③一周まわって、城一郎との繋がりを強化すべくえりなと創真をくっつけようとする(爆)。
 これらのいずれかかと。

 ・・・・・・・・・・どうしよう、どれもあり得そうだ(核爆)。

 薊は非常に思い込みの強い人物ですからね~。
 城一郎への尊敬や憧れは変わらずそのままだろうとは思いますが、当の息子である創真に対してはどんな感情を抱くことになるのか、想像が付きにくいです。

 否定か、それとも執着か。

 執着だった場合・・・。
 ちょっと。
 いや、かなり。
 とんでもなくヤバイ展開になってしまう予感しかしません(滝汗)。
 なので、個人的願望としてこの可能性は却下ということで。
 信じてますよ、附田先生・・・!!!(><;;;)


 では、否定だった場合・・・。
 薊は創真自身というよりも、創真の中にある「もう一つの血(遺伝子)」を侮辱してきたりするのでは・・・。
 紛れもない天才であった城一郎。
 でも、その息子は(薊の目から見て)秀でた才能も無い只の一般庶民。
 ならば、もう片方の「血」が悪いのだと。

 ・・・もし、そんな運びになってしまったら・・・。





それは創真の逆鱗に触れることになってしまうでしょう。






 この『遠月革命編』が始まってからというもの、そこかしこに組み込まれている「原点回帰」というファクター。
 第一話で述べられた、創真にとって最大の「原点」についていよいよ正面から焦点が当たることになるかもしれません。  




 正直、次回が相当なシリアス展開になりそうで心配で堪りません。
 今回のラストがギャグ調だったから尚の事。

 そんな不安な中でも気になるのは、なぜ附田先生はえりなと薊二人一緒にこの事実を知らせる運びにしたのかということ。
 私から見て、薊はえりなの「悪役」としての代わりを担ってくれているキャラです。
 そのことから考えると、えりなと薊の反応はそれぞれ違ったものになるかもしれませんね。

 とりあえず、次回は少し時間が巻き戻って、どうしてえりなが玄関に駆けて来ることになったのかというくだりから始まると思います。
 えりなと薊は衝撃と共に、それぞれどんな思いを抱くことになるのか。
 そして、そんな二人の思いに創真はどう向き合うのか。
 心して次回を待つことにします。

 

 

 

 

 

 最後に、薙切親子に向けて一言。

 

 

 

 

 

アンタ達って城一郎の「料理」しか見ていないんだね。 

 

 

 

 

 

 (やばい、一刻も早く三周年記念考察を書き上げなければ・・・!)
 (それと出来れば小説版第三弾感想も・・・!)

 

 


『食戟のソーマ』第149話感想

2016-01-08 09:40:00 | 食戟のソーマ

 今週のジャンプ表紙にいた創真が遠月学園の制服姿でワッホーイとテンションが上がったのはここだけの話。(受験生の皆さん頑張ってください)





 週刊少年ジャンプ2016年5・6合併号掲載
 掲載順第11位
 第149話 【天国と地獄】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 創真の勝利によって守られた極星寮。
 それを祝って、寮内では祝勝会が開かれていました。
 並ぶ御馳走。
 ・・・・・・・・・・実はここのコマ、ちょっとばかし印象に残ったんですよね。
 その理由は後半で。


 と、そこに押しかけてきたのはアルディーニ兄弟。
 創真の食戟の様子をテレビで見て駆け付けた模様。
 いつものようにタクミは創真をガミガミ説教するのかと思いきや、珍しく何も叱りません。
 自分も同じ立場だったならそうしていた。
 タクミは創真の行動に共感してくれていたのでした。
 ・・・ありがとう、タクミ。(^^)
 私がタクミを推す理由はこういう所なんですよねー。
 なんだかんだで、肝心な時はちゃんと創真を理解して共感してくれるところが。
 少なくとも私から見れば、タクミは創真の最良のライバルにして、もはや親友ですね。

 そうしてアルディーニ兄弟も一緒に宴を楽しむことに。



 創真が十傑第九席である叡山に完勝した事に沸く極星陣。
 「ってことは薙切ちゃんにも勝てるかも?」と冗談交じりで言う青木。
 その発言に猛反発するえりな。
 「薙切ちゃん」という言い方も馴れ馴れしいと怒ります。
 いや、「えりなっち」呼びの方が威厳がないと思うんですけど。
 お嬢様の基準はわからん。(ま、ただ単に男子から親しく呼ばれることに抵抗があるだけなんだろうけど)

 ですが、創真自身は今回の食戟にやはり納得はしていませんでした。
 お題を提案したのは自分からだったし、叡山は即席でメニューを考案したにも関わらずあれほどの絶品を作り上げただけに、まだ底知れ無かったと。
 今度こそ対等な条件で勝負を、と望む創真。
 本当に創真は超負けず嫌いな反面、決して“勝利”に甘んじない子ですよね。
 そんなところが果て無き向上心にも繋がっているわけですけど。

 そんな創真にタクミはまたも同意。
 うんうん。(^‐^)



 不完全燃焼感もでしたが、創真はもう一つ心残りがありました。
 それは、今回極星寮は守ることが出来たものの、他の研究会やゼミの存続は一体どうなるのかという事。
 それに答えたのは、いつの間に戻ってきたのやらな一色先輩。

 案の定、極星陣は寮のピンチにいなかった一色先輩を問い詰めます。
 謝り、理由を説明する一色先輩。
 十傑である自分が極星寮の存続に手を貸してしまったら、薊政権による圧力がより一層強まる理由を作ってしまうことになると考えたためでした。
 確かにね。
 どんな事情があろうとも、権力のある者が私情で一個人もしくは一組織に協力することは、「依怙贔屓」と周囲から取られてかえって形勢不利になってしまうことは社会においてよくあることです。
 城一郎や堂島先輩が直接今回の薊政権の支配に関わってこないのも、そういう理由からなのでしょう。
 まあ、吉野達からは「裏切ったのかと思った」と、読者の代弁とも言える疑惑を掛けられていましたが(苦笑)。
 確かに良い人で凄い人なんですけど、いま一つ信頼に欠ける人ですからね~一色先輩って。この芝居がかった言動のお陰で。
 まあ、本人がわざとそうしている節があるのですけども。

 一色先輩によると、今回創真が叡山に勝利したことによって、叡山が先頭に立って進められていた八百長策は完全に打ち砕かれることになった模様。
 その結果、薊政権は今後研究会やゼミの解体撤回を懸けた食戟を全て受けるという声明を発表。勿論中立な審査員による公正な審議の上で。
 薊政権による学園の支配は依然として変わらず、食戟に負けた場合は相応の処分が下される覚悟を決めなくてはならないものの・・・

 『食戟』は再び生き返ることになったのでした。
 やったね!!(Σd(><))



 一色先輩に心からの感謝を述べられ、照れる創真。
 創真が人から感謝されて、こう素直に照れる姿は珍しいですね。
 カメラどこだっけ?(←)

 そんな一色先輩の姿に、ようやく疑いを解く伊武崎。
 一色先輩への疑惑を晴らす役を伊武崎にしたのは適任だったと思います。
 伊武崎は鋭い子ですし、一色先輩と確執があるだけに逆に説得力がありますから。 
 一色先輩も叡山の手下達から極星寮を守った伊武崎達を労います。
 当然と言う伊武崎。
 創真一人だけ闘わせるわけにはいかなかったから。
 うんうん。(^‐^)
 ほんと、伊武崎も良い奴だよねー。

 そんな伊武崎の言葉に、えりなは思う所がありました。




 そうして、改めて一色も交えて乾杯する一同。

 というわけで。

遂に一色先輩全開モード解禁☆

 




 そうして。


 お嬢様は初めて「俗世」というものを知ることとなるのでした。(苦笑)



 そんな一色先輩と平然とどんちゃん騒ぎを繰り広げる一同に憤慨する新戸。
 隣に座っていたえりなは、「やっぱり不思議」と呟きます。
 ですが、それは一色先輩の服装などにではなく、極星寮という世界、そしてそこに住まう人々にでした。

 ここで第142話の扉絵の件を再起用してきましたか。
 お嬢様お坊ちゃま揃いの遠月学園ですが、えりなの世間知らずさは筋金入りですからね。
 洗濯機にカルチャーショックだなんて(苦笑)。
 っていうか、えりなってメカ関係に滅茶苦茶弱そうだよね。
 スマホはおろか電卓さえも使えなさそう。(いやそれは)

 自らが身を置いたことで、えりなは初めて知ったわけです。
 この極星寮には、自分がこれまで知らなかったことが沢山あるということに。
 そして。
 そんな不思議な極星陣の中心にいるのが、創真だという事に。

 洗濯機へのカルチャーショックというちょっとした小ネタから、これまでの自分の無知さ、そして知らなかった世界へとえりなの視点を繋げていったのは上手いですね。
 そして、「知らなかった世界」の中心にいるのが創真という事に気付かせる構成も。

 審査員の買収という、負けが確定した勝負に挑んだ創真。
 そんな創真が帰るまで、極星寮を守って闘うことを選んだ極星陣。
 それは権力や合理的理屈で物事を決定してきたえりなには理解できないものでした。
 ですが、そんな中でも極星陣の表情には、創真なら奇跡を起こしてくれるかもしれないという思いが窺えたという。
 そしてそれは、新戸にも。

 それは何故?とえりなは新戸に問います。
 少しばかり言いよどんだ後、答える新戸。
 根拠のようなものは何もない、けど

 もしかしたら、今の薊からの支配から遠月学園を救うのは創真かもしれない。

 それは信頼であり期待であり希望。
 新戸のその言葉に、えりなは改めて考えるのでした。





 そうして夜も更けた頃、突然呼び鈴が鳴ります。
 応対に、創真が玄関へ。

 扉を開けると、そこには―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい。

 

 

 

 

 

 

 

  

 


 

 

 

 いつぞや、玄関扉の前に待ち構えていた一色先輩を「ホラー」と言ったワタシ。(by第121話

 

 御免なさい私が間違ってました。

 

 今回のラストこそが真の「ホラー」です。
 佐伯先生頑張りすぎです。
 全世界の子供達にトラウマ植えつけるつもりですか。



 一難去ってまた一難。
 えりなの居場所は既に薊側に掴まれていたわけですし、薊が直々に極星寮を訪れる可能性も予想してはいました。
 ですがそれでもいざ目の当たりにすると相当な緊張感がありますね。

 でも薊来訪について語る前に、今回の感想の前半部分で語れなかった点についてちょこちょこと。





 薊より先に突撃訪問してきたアルディーニ兄弟(笑)。

 ですが。

 そんなアルディーニ兄弟(っていうかタクミ)と、毎回ほぼ一緒に創真の元に駆け付ける子が今回は現れませんでした。

 そう、それは郁魅。

 いつもなら、創真が無茶な事をやらかすたびに叱るべく駆けつけるというのに・・・。
 彼女の身に何かあったのでしょうか?
 丼研の存続に関わる事なら、今回創真が一応打開してくれたわけですが・・・。

 ここはメタ的に見て、えりなが極星寮に居候している今、えりなに切り捨てられた過去を持つ郁魅が同じ場所に居合わせては気まずくなるという作者の配慮でしょうかね?
 月饗祭でえりなと郁魅は対面していますが、今は色々と深刻な状況ですから。

 葉山と同様にここ最近出番が無いこともあって、今どうなっているのか少し心配・・・。
 ん?葉山?

 あ・・・☆
 これは単なる勘なのですが、一応。
 もしも。もしもですよ?
 セントラル(薊政権)に加入した葉山と丼研存続を賭けて食戟することになった、とかいう展開が来たら俄然盛り上がりそうだな~と思っちゃったり☆
 月饗祭編で葉山はアリスと縁が新たに繋がった事ですし、ここで郁魅と縁が出来てもまた面白くなりそうなので。
 まあ、それは郷土料理研究会に入っている恵や宮里ゼミに所属している丸井にも同じことが言えますが。 



 郁魅の現在が気になる一方、創真に賛同してくれたタクミには超笑顔に。(^^)
 冒頭での姿もさることながら今回は創真と意気投合している様子が特によく見られ、とても嬉しかったです。
 そんなタクミ(アルディーニ兄弟)ですが、住居が学園外にあり、研究会にもゼミにも属していない彼らは一番薊政権による直接的な影響を受けない立場にいます。
 そんな彼らですが、既にこれまでの交流の中で創真達と堅い絆が結ばれているのも事実。
 一色先輩が整えてくれている「これからの真の闘い」に向け、創真らと一緒に薊政権に立ち向かってくれるに間違いないでしょう。
 元々彼らに対する思い入れはありましたが、小説版を読んだこともあって、更に彼らのこれからの行動に期待が高まっています。



 そして・・・。
 そんなタクミや伊武崎による創真への思いを知り、えりなは改めて考えさせられるわけです。
 自分が知らなかった世界、考えもしなかった姿勢。
 その中心に存在している創真に対して。
 既に第147話にて描かれていた思案を、ここでもう一度振り返らせてきましたか。
 あの時は料理に対する「正しい答え」の導き出し方に焦点が当たっていましたが、今回はもう一つの側面に。

 これまで何につけても創真を一方的に否定してきたえりな。
 入学時や秋の選抜等、これまでの過程の中で創真がいくらその実力を証明しようが「手違い」だの「まぐれ」だのと言って、頑なに創真の実力と共に彼の存在自体をも認めようとはしてきませんでした。
 創真が無茶な事に挑む時も、いつも呆れたり嘲け笑うばかりでしたし。(あー思い出すと腹立ってくる)

 その理由は勿論自分のプライドに障るからとか、自分の信念に相反するからとかいう様々な理由によるものでしょうが、その中の一つとして周囲も創真を否定していたというのもあったと思うんですよ。
 始業式の際に超不敵な発言をかまし、学園の生徒のほとんどを敵に回した創真。
 そしてえりなにとって最も身近な人物である新戸も創真に対して(盲目的に)反発していたからこそ、えりなはこれまで安心して創真を否定出来ていたわけです。

 だけど。
 秋の選抜の終わり頃あたりから、創真には多くの仲間達がいることを知り。創真に反感を抱いていた学生達もそのほとんどが創真の凄さを認めるようになっていき。
 そして、スタジエール後は新戸さえも創真を信頼するようになっていた。これまでえりなだけにしか向けてこなかった明るい笑顔を向けるほどに。

 スタジエール後から明白に変わった新戸の創真への態度がずっと気になっていたえりな。
 なかなか聞けずにいた疑問を、今回このような形で聞いたことによって同時に創真の存在を改めて見直すことになったわけです。

 理屈でも、権力でもない。
 創真の姿勢が、存在そのものが

 人々の「希望の光」になっていることに。



 えりなは表紙などのカラーイラストで創真と度々ツーショットで描かれてきたものの、その表情は全て仏頂面でした。
 ですがここでようやく、反発も見下しもない素直な眼差しで創真を見直すことになったわけです。
 でも。
 やはり創真を正面から真っ直ぐに見据えることはまだ出来ませんでしたね。
 それも致し方ない事でしょう・・・・・今は、ね。
 創真と正面から向き合うこと、ひいては彼を肯定することは、これまでの自分のほぼ全てを否定してしまうことになってしまいますから。

 これまで何ら迷うことなく信じ続けてきた「自分の正しさ」。そして「創真への否定」。
 それが変わりつつあることを、えりなは少しずつですが感じ始めているのかもしれません。





 【天国と地獄】というサブタイトルが付けられていた今回。

 このタイトルは、深読みすると中々興味深いものに感じ取れました。
 「天国」。これは少し言い換えれば「天上世界」。
 それは高級、銘家、上流社会という、えりながこれまで生きてきた世界。
 そして「地獄」。これも少し言い換えれば「下界」。
 これは、この場合一般社会や庶民階級、俗世といった、えりなが偏見や先入観で見下してきた世界。
 普通ならば当然幸せな世界は「天国」であり、「地獄」は苦しみや不幸の世界です。
 でも。
 そんな「地獄」には、「天国」には無かった温もりや裏表の無い笑顔、絶望に屈しない“希望”があった。
 このサブタイトルは、そんなえりなの価値観の変化を示唆しているのではないでしょうか。

 もっとも。
 分かりやすく受け取れば、創真の勝利や朗報に沸く宴会部分を「天国」、そして問題のラスト2ページを「地獄」と取れるわけですけども。



 さて、薊の来訪についてですが、結論から言わせてもらえば
 創真は薊を門前払いすると思います。

 いえ、創真程の大器なら薊を中に招き入れても全然おかしくはないんですがね。
 実際ストーカーやインテリヤクザをももてなしちゃってますし(苦笑)。

 でも、薊の場合は、創真は拒否すると思うんです。
 理由は簡単。
 折角の明るい食卓を翳らせるわけにはいきませんから。

 つい最近発売された単行本第16巻にも収録されている第133話にて、えりなの店に無理矢理侵入してきた挙句に傲慢極まりない発言で食事を楽しんでいた客人達の気を大いに悪くした薊。
 あの時のあんな険悪な空気を、極星寮の仲間達に味わってほしくないんですよ。
 私でさえこう思うのですから、創真は尚の事だと思います。
 あの時創真は平然と周囲に愛想を振りまいていましたが、きっと険悪な雰囲気を察知していたと思います。(それでも決して呑まれないのが凄いところ)
 そして、その原因が薊だという事も。
 御馳走が並んでいる冒頭のコマが印象に残ったという、前半で述べた感想もこれが理由です。
 応対としては普通に接するでしょうが、薊が極星寮の中に入るのは拒むのではないでしょうか。


 そして薊の来訪理由ですが、これは当然えりなを迎えに来たのでしょう。
 えりなの品格が翳むと言い、普通に裕福層の人物達でさえ見下した薊。
 そんな自分の「最高傑作」が庶民の住居施設に、しかも自分に反意を持つ団体の中に身を置いているというのは心外なのでしょうね、やはり。
 ですが・・・。
 もし創真からえりなの引き渡しを断られたとしても、薊は特に無理強いはせずに身を引くと思います。
 何故なら。

 えりなが自ら自分の元に戻ることを確信しているでしょうから。

 えりなへの「洗脳」が発覚し、仙左衛門が薊を追放してから約十年。
 それまで城一郎を始めとした多くの者達の協力のお陰でえりなは本来の自分をだいぶ取り戻すことが出来ましたが、それほどの年月をかけても、それほどの協力があっても尚、えりなは薊という「鳥籠」に囚われたままなんですよね。
 
それを知っている薊。
 何故なら、自分がえりなに施した「教育(洗脳)」はえりな自身の才能、そして出身と切っても切り離せない関係があるから。
 えりなが自分の才能を発揮するほど。
 周囲がそんなえりなを敬い、崇め奉るほど。
 えりなが囚われている「鳥籠」はどんどん頑強になっていくという。
 えりなが掛かっている「教育」という「呪い」は、
それほどまでに、根深い。

 そしてここが一番厄介なところなのですが
 えりな自身がその「鳥籠」を強化し、そしてそこに身を置くことに安心もしてしまっているという。



 実際、私もえりなは遅かれ早かれ自分から薊の元に戻るだろうと予想しています。
 これまで、「高級」「完璧」といった己の理想を叶えるために、多くのものを切り捨て、排除してきたえりな。
 それは自身の心だけでなく、数えきれない料理も。多くの料理人達の気持ちや人生も。
 これまではずっと、その才能も立場も揺るがなかった故に、ただ真っ直ぐにその道を駆け上っていけばそれで良かったのかもしれない。
 でも。 
 「自分の世界の外」を知り、自分がこれまで闇雲に否定し続け、侮蔑し続けたものの“尊さ”に気付き始めてしまった。
 そうなってしまったら、真面目なえりなはきっと苛まれることになるでしょう。
 自分自身の“罪”に。
 正直、今のえりなが己の“罪”を受け止められるとは思えません。
 その大きな罪悪感から自分を守るために。もしくはそれほどの罪を犯してしまった自分の「居場所」はもうそこしかないという絶望から。
 えりなは薊の元へ逃げてしまうのではないのでしょうか。





 叡山との食戟で、カメラを通して薊政権(セントラル)に宣戦布告した創真。
 薊直々と対面した以上、彼にも正面から宣戦布告しそうでもう楽しみやら怖いやら。
 仙左衛門の来訪時もそうでしたが、何だかんだで薊とのちゃんとした会話も次回が初となるわけですね。
 その際に、えりなが薊の計画の「鍵」である理由も明かされたりするのでしょうか?
 彼らの応酬が果たしてどんなものになるのか。戦々恐々です。


 


今日で三が日も終わりですね。

2016-01-03 22:20:00 | 日記

 遅ればせながらあけましておめでとうございます。
 本年もこの『あまぐりころころ』を何卒よろしくお願いいたします。
 今年は多分・・・色々なものが“試される”年になると思っています。
 それはマイナスなものになるかもしれないし、プラスのものになるかもしれない。
 ちゃんと現実に、そして自分と向き合い、その試練に向き合っていきたいと思います。



 勿論『ソーマ』感想の方も引き続き頑張りますよ!
 とりあえず2016年初の買い物として小説版『食戟のソーマ ~Fratelli Aldini~』を購入。
 3DSゲーム『~友情と絆の一皿~』と迷ったのですが、ゲームの方はアニメ第二期が始まる直前でもいいかな、と。

 で、当の小説版ですが・・・。
 うん、やはり今回も読み甲斐がありました。
 一見アルディーニ兄弟のみに照準が当たった内容ばかりに見えますが、深読みするとこれが中々興味深い☆
 特にアルディーニ兄弟が○○○○と実は何気に関係があったというのは意外でしたね。
 この事はきっと本編に用いられるファクターだと思います。
 実際、既にこの小説版で書かれていた事がつい最近の本編で用いられていましたし。
 もっと早くこの小説版を読んでいたら今回の食戟の内容ももっと的確に考察できたかもしれないと思うとちょっと悔しかったですね。

 これは是非ともちゃんとした感想記事として纏めたい。
 ま、その前に小説版第三弾の感想があるんですが(爆)。
 これもこの先の本編展開にかなり重要な要素が組み込まれていますし、なるべく早く取り組みたいのですが・・・。
 どんなに遅くとも今の『遠月革命編』が終結するまでには書き上げたいと思います。



 とりあえず、ずっと引き伸ばしになってしまってる「あの考察」を書き上げなければ・・・!