さて!
本日発売の少年ジャンプ52号によって・・・!
『食戟のソーマ』は五周年突破!!!
おーめーでーとーうーごーざーいーまーすーーー!!!
★。.::・'゜☆。 \(≧▽≦)/ ☆。.::・'゜★
少年ジャンプにおける料理漫画の先駆け『包丁人 味平』の連載期間が約4年。
遂にそれすらも超える偉業達成と相成りました!!
その一方で「食べると衣服がはだける」というこの作品最大の特徴も、今や立派なパロディネタとして他作品で用いられるまでに。
この事実に一番驚いているのは附田&佐伯先生ご本人達でしょうが、それも全て先生達のたゆまぬ努力の賜物に他なりません。
アニメ三期も好調ですし、どうかお体だけは大切にこれからも頑張っていただきたい所存です!
フレーフレー附田先生!
頑張れ頑張れ佐伯先生!
ファイトーファイトー森崎先生!
ガッツだガッツだ南村さん!(笑)
それでは先生方への感謝と応援の気持ちを込めて、五周年突破記念考察といきましょう!!
今回は二周年や四周年とはワケが違います。
五周年!奇数!これ特別!
そういうわけで三周年記念の時と同様に、三部作に渡る記念考察を述べさせて頂きます。
料理面的考察にするか、それとも作画面的考察にするか少々迷ったものの・・・。
そういえばこのブログ、かなり長期に渡って更新が止まっているカテゴリーがありましたっけ。
それは単行本感想。
週刊感想時には気付けなかった長期視点による考察や、単行本独自の特典に対する感想をそこで述べていたのですが・・・。
よっしゃ!それならこれを機に、これまでの分を一気に更新!!
・・・は無理。
仕事の都合上、今年はどうしても纏まった時間を取るのは困難なものでして。
約20巻分も溜まってしまった考察&感想を述べるのは到底不可能とやむなく判断。
でも。
書き方を変えてみればもしかして☆
ということで。
これまでの『食戟のソーマ』を過去・現在・未来の三つに分割し、これまでの展開がどんな意義を成していたのか、そしてこれからどんな展開が控えているのかを、主人公:幸平創真の描写と共に再考察&予想してみたいと思います!
では今回は、これまでを振り返る意味で「過去」の歩みを再考察してみましょう。
【連載開始初期】
遡ること2012年の12月10日。
長いジャンプの歴史の中でも数少ない料理漫画として『食戟のソーマ』はスタートを切りました。
当時読者の目を引き付けたのは全作品中トップクラスの作画の上手さ。
そして。
過激なまでのお色気リアクション。
それら強烈なインパクトによって、『食戟のソーマ』は良くも悪くも大反響を巻き起こすデビューを飾ったわけです。
ですが、それらのインパクトの一方で、負けず劣らず強烈なインパクトを私達読者に焼き付ける要素がありました。
それが主人公:幸平創真の破天荒さ。
その最たるものが不味い料理を嬉々として作り、食わせるという趣向。
それは「美味しさ」こそ絶対の正義であり全ての指標とする料理漫画というジャンルにおいて、あるまじき行為でした。
そんな異端性と不敵なキャラクターによって、主人公:幸平創真は作風に負けない確たる存在感を放つことに。
女性がこと可愛い絵柄、喫食者が脱衣するという作風、そして主人公が一切ブレない強気で攻め気なキャラクターということもあり、この作品を「主人公が料理を以って数々の女性キャラを陥落させる(はだけさせる)一種の攻略モノ」と捉えた人もきっと多かったと思います。
ですが。
そんな印象がひっくり返される展開がこの後待ち受けていたという。
【地獄の合宿編】
主人公である創真、薙切えりなと田所恵といったヒロイン達、主人公が活躍することになる舞台である遠月学園など、作品を構成する一通りの要素の紹介の後に訪れた展開は主人公と世界観の掘り下げでした。
自分と似た出身のライバル:タクミ・アルディーニや遥かな実力者:四宮小次郎といった初めての「外の世界の料理人」との出会いによって、創真のこれまでの視野は変わり始めます。
主人公の見方の“変化”。
それと同時に私達読者も、主人公とこの作品に対する見方が次第に“変化”していきました。
特に読者の“見方の変化”を決定的なものとさせたのが、言わずと知れた四宮戦。
この闘いによって、これまで斜に構えていた読者の見方が劇的に覆されることに。
これまで描かれてこなかった創真の姿、そして作劇に
この作品は極めて王道な少年漫画
だということを私達読者は強烈に気付かされたわけです。
第33話ラストで呟かれた創真の言葉。
これがこの章の総括とも言えましょう。
「―――この学校 思ったよりおもしれーかもなー・・・」
この言葉は創真の観点の変化を示すものであったと同時に、私達読者の観点の変化とも重なっていたように今となっては思えます。
「この漫画 思ったより面白いかも・・・」と。
こうして創真は遠月学園の価値に気付き始めたわけですが・・・
なんと遠月学園は、間接的ではあるものの創真と深い因縁もある場所であるということが読者に明かされることに。
【商店街復興編】
そんな衝撃の事実が判明したものの、ここで一旦小休止となり、創真の地元に舞台を移した商店街復興編へ。
過酷な退学制といった少々過剰な設定が盛られている遠月学園でのバトルとは違って、この章では商店街の過疎化という極めて現実的な問題に創真は挑むこととなります。
ここらから、ただ美味しい料理を出せば試練クリアーといった単純な勝負方法だけではなく、場の状況や客層、需要内容等を考慮しながら解決法を探っていくという、いわばマーケティングに焦点が当たったストーリーも挟み込まれていくことに。
創真は「料理人」ですが、企業に雇われているわけではなく、実家という「自分の店」を持っている料理人です。
「商売」というのはどういうことか。
創真の料理人としての今後を見据える上で、このポイントも大事になっていくということをこの章は暗示していたのかもしれません。
そうして地元のコネクションや仲間達との協力によって見事状況を好転させた創真。
人望を中心に立派な行動力と判断力を見せていましたが、このことは
創真は“ただ料理を作るだけ”の料理人ではない。
ということを立証していたとも思います。
そして。
小休止的な話かと思いきや、実はこの章は横糸のみならず縦糸も暗に仕込まれていた話だったという。
その縦糸もまた新たな因縁となって次の章へと繋がっていきます。
【秋の選抜編】(※ここから単行本感想未収録の領域になるため、文章量が増大します)
商店街復興編、そして創真の父親:城一郎の突然の帰還という充分なプロローグを経て、満を持して始まったのが秋の選抜編。
葉山アキラを始めとした新規キャラ、そして初期から登場していたのにも関わらず実力が不明なままだった極星寮の面々や新戸緋紗子や黒木場リョウといったキャラ達もその実力や得意分野が明かされます。
彼らはこの章にて[玉の世代]と呼ばれるようになりますが、これが後にある特別性を持ってくることに・・・。
これまで数々の料理バトルが行われてきましたが、ここでの戦いは初の「公の大会」でした。
そんなこの大会は、これから更に拡大していくであろう「公の戦い」の前哨戦だったと私は考えています。
それは「世界」に向けて。
この章での注目どころは勿論[玉の世代]それぞれの奮闘する姿ですが・・・
創真だけは、他のキャラとは注目処が違っていました。
それが今を以てしても、とてつもなく印象深い第80話。
「料理人 やめるよ」と告げたあの表情。
創真の言動に敵も仲間も、そして私達読者までも驚愕させられたこの流れは地獄の合宿編での四宮戦と同じといえましょう。
ですが、あの時は少年漫画としての王道ステータスである「熱さ」と「真っ直ぐさ」が表現されていましたが、この時表現されていたのはそれとは真逆ともいえる「深さ」。
正直言ってこの回の衝撃は、私にとって『幸平創真』という人物を一から考え直させられたほどでした。
決着後に美作に諭したあの時の姿といい・・・
そこにあるのは、悲壮なまでの「覚悟」。
よほどの修羅場を味わっていなければ。
あれほどの深みは・・・。
あれほどの重みは・・・。
持てないと、思います。
他にもこの章では、創真の包丁や城一郎の云う創真の“強さ”等、創真の背景を思案させる布石が幾つか置かれることに。
特に包丁の一件は美作戦での一件以来今を以てしても伏せられたままですが、私はこの布石もまた、創真の眉の傷や手ぬぐいと同じくらい彼の“謎”に関わる重要なキーアイテムと考えています。
こうして長きに渡った闘いは、創真の敗北で幕を閉じることに。
ですが、その結果は至極納得できるものでした。
何故ならその敗因は、城一郎の言葉であり、この作品の最大の指標として掲げられている「自分の料理の全てを捧げたいと思えるような女性」の有無であったのですから。
でも。
それとほぼ同時にもう一つ、新たな指標が城一郎から発せられたという。
それが「出会うことでしか 料理人は前に進めない」という考え。
この考えは、これまで最大の鍵とされていた上記のテーマに一石を投じるものであり、これもまた、この作品最大の鍵になるわけです。
“出会い”の大切さという点において共通しているこれら二つの指標ですが、ある意味で対照的とも言えます。
一つ目の指標は、「自分の全てを一人の人へ」という“収束” 。
そして二つ目のこの指標は、「自分一人の世界から多くの人との繋がりへ」という“拡大”が示されていたのですから。
この件は私にとって、一つの指標だけが創真の成長の最大の鍵になるわけではない、と考える切っ掛けとなりました。
地獄の合宿編等を通して創真が少しずつ気付き始めていた、「己の世界の小ささ」。
此度の敗北を切っ掛けにして、「己の料理」とは何かを本格的に模索し始めることに。
それはつまり、これまでの自分の全てとも言えた「『ゆきひら』を守ること」、そして「父親を超えること」という目標を改めて見直すことでもありました。
“出会い”を得てまた一歩成長した創真は、この章を締めくくる第104話のラストで城一郎にこう言います。
自分にしか出来ない料理は何なのか それが分からなければ『ゆきひら』を継ぐ意味が無い、と。
「店(家)を継ぐ」。
普通に考えれば『ゆきひら』の一人息子である創真がこれを成すのは至極簡単かつ自然なはずです。
なのに、創真はそこに意義を探してきたという。
「店を継ぐ」ということはどういうことか。
私達読者を含め、人々が「当たり前」と考え、気にも留めていないこと。
それさえもきっと創真は、そしてこの作品は真摯に掘り下げてくれることでしょう。
こうしてステージの新たな拡がりと共に、創真の「これまで」と「これから」が提示されていた秋の選抜編。
『幸平創真』という料理人の歩みは、ここから本当の意味で始まったわけです。
【スタジエール編】
次に訪れた学園行事はスタジエール研修。
「己の料理」を見付けるために「外の世界」へと目を向け始めた創真にとって、これはまさに[渡りに船]でした。
この章は前半と後半の二部構成になっており、前半は新戸と組んで『洋食屋 三田村』に。
ここでは新戸の再起に注目が集まりがちですが、実はこの前半も創真の将来を暗示させるかなり重要な内容だったと思っています。
それは、秋の選抜編のラストで述べていた「店を継ぐ」というのはどういうことかについて。
『三田村』という店って
創真の実家『ゆきひら』とかなり似ている背景の店でしたよね?
店主も店員も店を大切に愛していて。
昔馴染みの地元客がおり。
そして多分。
親子代々受け継がれてきたということも。
いわば。
『三田村』は遠くない未来『ゆきひら』が陥るかもしれない状況のモデルケースと言えたのでは。
何故こう考えたのかというと、前半のスタジエールでは随分と遠月学園の有名性が描かれていたからです。
初期設定だった「遠月学園に在学していること自体の特別さ」。
内部にいると気付きにくいこの点を、外部に赴いたこの機会に改めて気付かされたわけですが・・・
そんな学園に在籍していながら、創真は“上”を目指しているわけで。
この先創真が“上”へと近づけば近づくほど、料理界における創真の知名度が高まっていくのは必然。
ですが、有名性が必ずしも本人や店にとって良いことになるとは限りません。
創真の有名性だけに釣られた客の襲来によって、元々の常連客が来店できなくなるという可能性も決して否定できないんですよね。
城一郎が現在の姓と旧姓である『才波』を使い分けていることも、きっとこの事を危惧しているからではないのでしょうか。
創真が店長に尋ねた、「料理長(店主)として貫きたいものは何か?」という問い。
それはいずれ、創真自身も問われることになるのではないのでしょうか。
『ゆきひら』を受け継ぐ者として。『ゆきひら』に変化が迫った時の選択を。
後半の研修先は地獄の合宿編での因縁のある四宮が、新たに開いた店『SHINO‘s TOKYO』。
『三田村』では無双状態の創真でしたが、これまで一度も経験していなかった形の「現場」を前に、躓いてしまうことに。
ですが。
地獄の合宿編での朝食ビュッフェ課題の時のように、窮地に立たされた時こそ真の強さが発揮されるのが『幸平創真』という男。
むしろここでは創真のメンタリティがいかに物凄いものであるかが存分に発揮されます。
不屈の情熱と学習意欲。
積極性と集中力と努力。
本当にもう・・・
「職場」で働いている人ほど、創真のこの時の姿勢には感嘆させられたと思うんですよ。
私から言わせてもらえば、創真という人物は「職場に必要とされる人材」の理想そのものです。
ほんの僅かでもいい。創真のようになれたら。
そう切に願うほど、このエピソードでの創真の姿勢には心から尊敬させられました。
『三田村』での研修が、創真にとって「己の店」について考えさせられる体験だったとしたら、『SHINO‘s TOKYO』での研修は「己の料理」について大きな手掛かりを得られた体験でした。
この研修で創真は「定食屋の料理の概念」を「世界の技」で再構築させるという形を見出します。
それは、創真の原点性と頂点性が融合されていたものだったという。
基本的にこの作品は表立ったテーマでストーリーが展開していくのと並行して、裏でもう一つ別のテーマが描かれていますが、この章もまた然り。
創真が「己の料理」を探し出すために設けられた展開に思えますが、その裏で描かれていたテーマは「自発性」。
『三田村』では、職場で必要とされている状況にただ安心することなく、「このままでいいのか」と常に現状を考え続ける姿勢。
そして『SHINO‘s TOKYO』では、足を引っ張ってしまってもそこで引っ込むことなく積極的に己を鍛え上げようとする姿勢。
それこそが己を進歩させるための気概だということを、この章は訴えたかったのではないのでしょうか。
こうして、この度の研修も見事に自分の血肉にした創真は・・・
成長の証として、髪型もちょっぴり変化☆
さあ、こうして
創真が“上”へ上るための下準備はここでようやく整うことに。
【月饗祭編】
創真の“下準備”が完了したことで、遂に登場したのが遠月学園の最高峰に在する集団[遠月十傑]。
彼らが本格的に登場したことはつまり、いよいよ連載初期に掲げられた創真の在学中の最大目標である「遠月学園のてっぺん(十傑第一席)を獲る」ことへの挑戦が始まったことを意味していました。
学園総帥:薙切仙左衛門が直々に設けた「紅葉狩り会」によって、創真ら[玉の世代]はここで一気にその面々と顔を合わせることに。
ここで創真は[十傑]が実力だけでなく権力も別格な存在だという事。その特別さ故に戦いを挑むことさえ難しいという事を知らされます。
ですが、そう知らされた矢先に訪れたのが学園最大級のイベント「月饗祭」。
全校生徒一斉参加であるこの行事を利用し、創真は模擬店の売り上げ勝負に挑むことに。
この勝負で創真は模擬店のメニューに
地獄の合宿編での朝食ビュッフェ課題の時に多くの食材を無駄にしてしまった事の反省を生かし、残った材料を再活用できる品を考案
同じく朝食ビュッフェ課題の時のライブクッキングを取り入れたお客へのアピール法を採用
秋の選抜やスタジエールで掴んだ「己の料理」の模索
といったように、これまでの体験で培ったことを存分に取り入れてきます。
更に、それらに加えて
商店街復興編での市場の動向の見極め
スタジエール編(前半)で取り上げられていた客が殺到することで生じる弊害についての留意など
料理面だけでなくマーケティングに関しても、これまで学んだことをしっかり考慮していたという。
いうなれば、この月饗祭編は
創真が遠月学園でこれまで学んだことの集大成と言えましょう。
そして最後に逆転の鍵となったのは、多くの仲間達からの協力。
まあ、この点は決着理由としては少々ご都合感が否めませんでしたが・・・
遠月学園で創真が得た一番の宝は、多くの仲間達だという事ですね。(⌒▽⌒)
「祭り」に相応しく、これまで登場した多くのキャラクターとも関わりながら着実に十傑を脅かしていった創真。
その様はこれからの創真の闘い方の縮図のようにさえ見えました。
・・・ですが・・・
正直なところ、漠然と不可解に思っていたんですよね・・・。
学園祭といい、校歌といい、なんか随分と「学校」という面がアピールされているなあ・・・と。
これはもしや
じきに遠月学園が「学校」ではなくなってしまうことを暗に予告していたのかもしれません・・・。
こうして、この作品はこれまでの展開を丁寧に踏まえながら、一歩一歩着実に進行しているわけです。
さて、それでは・・・
次回は「現在」にあたる、遠月革命編について予想と考察を述べさせて頂きます。