あまぐりころころ

主に漫画やゲーム等の感想や考察を。
時に旅行記等も交えながらの、のんびりのほほんブログ。

『食戟のソーマ』第169話感想

2016-06-14 23:30:00 | 食戟のソーマ

 ブログサーバー様のメンテナンスのため、更新が遅れてしまったという失態。



 週刊少年ジャンプ2016年27号掲載
 掲載順第6位
 第169話 【リベンジ】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 前回は、迷い続けるえりなに創真が『ゆきひら』の料理を作ることになったところまでが描かれましたが、今回は少し時間が巻き戻って「秋の選抜」の予選が始まる前からスタート。

 創真に期待を寄せてくれてる仙左衛門殿の笑顔にこっちも笑顔。(^^)
 この方もだいぶ印象が柔らかくなりましたよね~。

 第44話で伏線として描かれていた、城一郎の「用事」が明らかに。
 それは
 薊の不審な動きを仙左衛門に伝えるためでした。
 へ~そのためにわざわざ帰国していたとは☆
 でも考えてみれば、城一郎は世界中を旅して回っているわけですから、情報取集力はかなり高いでしょうからね。
 しかも彼は料理を通して世界中に友人知人やファンがいるわけですし、そのネットワークはかなりのものと言えましょう。

 事前に城一郎からその情報を得ていたからこそ、あれほど早く仙左衛門は薊の来訪に気付けたのでしょうね。(第134話
 まあ、残念ながら完全に出し抜かれてしまったわけですが・・・。





 時は戻り、現在。
 えりなが見当たらない事に、新戸は極星メンバーも巻き込んで大慌ての大混乱。
 彼女の過保護っぷりも今や立派なギャグになっております。
 ま、あっさり創真の部屋にいることが分かるわけですが。

 って、コラコラなに盗み聞きしてんの。

 プライバシーの侵害ですよそれって。
 ついこの前は司との勝負が覗き見されたし、注目を浴びてしまうのは主人公の運命[さだめ]でしょうか。
 まあ、乱入されるよりは遥かにマシですけども。



 盗み聞きされてるとは露とも知らないえりなは、創真の提案を聞いてそんなことが何の解決になるのかとプンスカ★
 創真も思っていますが、
 いつものえりなに戻った。
 ギャグチックに怒ってばかり、というのがえりなの基本ステータスですからね。
 でも、相談しに赴いた相手にその発言はどうかと思う。

 創真の意見はもっともです。
 創真が城一郎から学んだことは「技術」だけではありません。
 料理人としての気概、固定観念に縛られない自由な発想といった、教鞭では教えられないものを創真は『ゆきひら』という“現場”で城一郎から教えられてきましたものね。
 そして、えりなにも改めて問いたい。
 キミが惹かれたのは城一郎の「技術」だけなの?と。



 そうして調理に入る創真でしたが・・・。
 口元に浮かんだのはアクマの笑み。

 

 

 

 

あ。これなら大丈夫☆

 

 

 

 

 

だってゲテモノチャレンジモードの創真様は無敵ですもの。

 

 

 

 

 

 創真がゲテモノチャレンジモードに入ったら、勝利が確定したも同然。
 それぐらい私にとって、アクマな創真様への信頼は絶大です。



 とはいっても、創真様のゲテモノ料理の威力をその身で知っている極星メンバー達は戦慄してますが(苦笑)。
 ただでさええりなは[神の舌]という人一倍敏感な舌の持ち主。
 そんな彼女が創真のゲテモノ料理(ハズレ)を食べてしまったら、その末路は・・・・・・・・・・

 ぜひ見てみたい。(Sうさぎスイッチオン)

 っていうか。

 むしろ[神の舌]がブッ壊れて自由になれるのでは?(←割とマジ)

 
※ちなみに、アリスの失敗作を食べた時の彼女は魂が抜けたような状態になりました。(by小説版第2弾



 そんなアクマモードが入っている創真が作ろうとしている料理はというと
 「天丼」でした。

 で、えりなは今度は眼差しで創真を見下し★
 頼むからいい加減そういう眼で創真を見るのやめてくれません?
 敵意が湧くから。



 メニューはとりあえずまともだったものの、依然として創真が何を天ぷらにするのか心配でならない極星メンバー。
 し~~~んというオノマトペに苦笑を禁じ得ない。(^^;A)
 ですが、そんな中恵だけは創真を擁護。
 ホンマええ子や・・・。(T-T)

 同じ表情で創真に託す恵と新戸。
 この二人の“共通性”も大分表立って描かれるようになってきましたね。



 楽しげに活き活きと料理をする創真の姿に、昔の自分を思い返すえりな。
 かつては自分も楽しく料理をしていたはず。

 ですが、周囲の大人達は―――
 家柄。
 名誉。
 格式。
 体裁。
 責任。

 アリスからしてみれば羨ましく見えていた、[神の舌]を持つえりなに一身に集まる“期待”。
 ですが
えりな本人からしてみれば、それらは期待という名の「重圧」であり「束縛」にすぎませんでした。

 これが皮肉だったんですよね~。
 出自におあつらえむきとしか言えない才能を持ってしまったが故に、周囲が彼女を自由にさせてくれなかったという。

 そしてえりな自身もその真面目な性格から、「才能を持った者の責任」として周囲の期待に応えようとし続けたわけです。
 それが、最も大切な事である「料理自体への情熱」を失わせることに。



 再び沈んだ顔になっていたえりなに声を掛ける創真。
 やっぱり創真ってよく人を見ていると思う。


 「もっとシャキッとしろよ 何せこちとら・・・ 俺らが初めて会った日のリベンジができるってすげぇワクワクしてんだからさっ


 キタコレ。

 待望の“原点回帰”。
 それが再び創真の口から宣言されましたよ!!(><)

 でもってここの創真さんがすっごく良い感じにアクマ入っていて、めっちゃ興奮するやら期待させられるやら♪♪♪

 創真のこの言葉で思い出される、出会いの時。そして「あの」宣言。
 この前後の構成は大変秀逸です。
 カラーだったら尚の事、この描写の対比が活かされていたことでしょう。
 アリスの気持ちに応えられなかった時に散っていた、陰ろう桜。
 そして創真から宣言された時に舞っていた、鮮やかな桜。
 料理への情熱を失っていたえりなでしたが、あの時“熱”は付いていたんですよね。創真への対抗心という形で。
 


 そうしているうちに料理は完成。
 さあ、果たして創真はどんな天丼を創り上げたのでしょうか!?

 

 

 


 

 

 

 今回は明らかに次回への“溜め”の回でしたね。(ちょっと今回はメタ的な視点が多く入るかもしれません。どうかご了承ください)
 次回に満を持して用意されているであろうカタルシスのために、えりなや極星メンバー達がそれぞれの反応を見せていました。

 まずはなんとも都合よく、えりなの本音話が終わったタイミングで盗み聞きし始めた極星メンバー。
 創真のゲテモノチャレンジモードは最強にして最凶(苦笑)ですが、その危険性を知らないえりなの代わりに、彼らがそのツッコミ役を担う事になりました。


 そしてえりなも、前回までのしおらしい態度とは打って変わってかなり【イヤな奴指数】を上げてきましたね。
 無自覚でしょうが創真に城一郎の面影を求めているくせに、創真が城一郎ほどの料理を作れるはずがないと反発。
 この矛盾性もえりならしいというかなんというか。
 極め付けが創真を見下すような冷酷な眼差し。
 あからさまに頑なな偏見が見て取れます。
 
 そんな強気そうな態度の一方で描かれていたのが、えりなが置かれていた環境と絡めた彼女の自我の弱さ。
 「周囲の期待に応えられる自分」でいたつもりが、蓋を開けてみれば、ただ「周囲の望む自分」になっていただけという。
 「正しく」あろうとするあまり、自分の本当の気持ちが分からなくなってしまう。
 そんな所もまた彼女のダメなところです。

 そんな矛盾性も。
 頑なさも。
 不安定さも。
 全ては彼女がまだ「子供」だから。
 えりなは「完璧」を謳っていながら、実際は同世代の中で最も成長が必要なキャラクターだと思っています。





 そんな“溜め”の流れでありながらも、しっかりとこれまでの伏線が回収されていましたね。
 城一郎の「用事」。(第44話)
 創真の決意と、それを聞いた仙左衛門の胸の内。(第137話
 そして何より、全ての始まりである創真とえりなの縁。(第2話&第4話)
 そういった、これまで張られてきた創真とえりなの因縁に関する伏線が、次々とこのエピソードに集約されてきています。

 特に、
 創真は何時如何なる時でも楽しげに料理している
 という点が明示されたのは個人的に大変大きかったです。
 それはきっと、附田&佐伯先生が連載開始当初から常に心掛けていた事に違いありませんから。
 例えどんなに高い壁を前にしていたとしても、どんなに不利な状況であろうとも、柔軟に対応し、楽しむことを決して忘れない創真。
 恵が一足早く知っていた創真のこの姿勢に、えりなはようやく気付いたわけです。
 創真から学ぶべき事が沢山あるえりなですが、この料理を楽しむ気持ちが今のえりなに最も必要な事かもしれませんね。





 そうして今もまた、創真は楽しみながら料理を作っているわけです。
 えりなに食べさせるために。

 出会ったあの時は『ゆきひら』の料理の価値をえりなに知らしめるために作った創真。
 ですが、今度はえりなの料理への想いを甦らせるため。
 純にえりなのために料理を作ってくれるわけです。
 もうこの時点で、憧れの城一郎の料理に込められていたであろう、「心」の点は合格☆
 もはや舌を唸らされるえりなの姿しか思い浮かびません♪



 気になるのは、えりなが「美味い」と言うかどうかですが・・・・・・・・・・。



 創真は馬鹿ではありません。

 えりながあの時本当は「美味しい」と思っていたことなんて、とうの昔に気付いています。(証拠:第28話)

 要はそんなつまらない意地や見栄なんて張れないほどの、素直にならざるを得なくなるほど美味しい料理を作ってやろうとしているんですよね、創真は。

 ですから、私としては特にここでえりなに「美味しい」と言わせる必要は無いと思っています。
 創真の料理に笑うなり泣くなりして、心から満足してくれればそれで充分だと。(^^)



 そんな創真が編入試験時のリベンジとして作ることにしたのが「天丼」なわけですが、具材は間違いなく「卵」だと思います。
 あの時に作った『化けるふりかけご飯』も「卵」がメインの品でしたから、今回もそれを踏襲した品で攻めてくると思うんですよね。創真のことですから。(^^)
 多分ポーチドエッグを天ぷらにするのでしょうが、そこにどんな創真らしい工夫が施されるのかが非常に楽しみなところ。
 『化けるふりかけご飯』はその発想だけでなく食感にもスポットが当たっていましたし、今回も食感に触れるかも。
 あの時は「ふわプル」だったから、今回は「さくトロ」かな?





 次回は間違いなく重要な回となることでしょう。
 お気付きでしょうか?
 これまでの展開の中で、十の倍数の回は重大な内容になっている傾向があるということに。
 だから次回も、きっと。

 さぁて、創真は一体どの方向からアプローチしてくるのでしょうか。
 次回が大変楽しみです!!
 

 


『食戟のソーマ』第168話感想

2016-06-11 23:50:00 | 食戟のソーマ

 ああ・・・。
 自宅でいつでもネットが出来るって素晴らしい・・・。





 週刊少年ジャンプ2016年26号掲載
 掲載順第5位
 第168話 【出会いの日】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見た瞬間ドキッとさせられましたね。
 今回のカラー扉絵には。

 創真とえりなが背中合わせというのはこれまで何度も描かれてきた構図ですが、えりなが素顔とも言える繊細な表情になっているのは初のことです。
 このイラストの何が巧いって、創真の鉢巻きが軽くえりなに掛かっているというところ。
 創真とえりなの運命的な“繋がり”。
 そして創真に影響を受け始めているえりなの心情。
 それが創真の鉢巻きによって巧みに暗示されています。
 まったくもう、佐伯先生は読者の気持ちをくすぐらせてくれる描写の達人ですね☆





 予期していなかったえりなの訪問。

 一体何の用だったかというと・・・。
 取っ掛かりが相手の批判って、どんだけコミュ障なんだよこのお嬢様は(呆)。
 裏を返せば、創真を支持しなかったことに少なからぬ負い目を感じていたという証拠なんですけどね。
 それでもこの余計な発言には個人的にイラッとしましたが。

 勿論えりなはそんな文句を言いにわざわざやって来たわけではなく、話したいことが別にありました。
 しばしの沈黙の後、えりなが語り始めたのは自分の過去。
 「ある日」まで、自分は料理というものに何の情熱も持っていなかったと―――





 生まれながらにして[神の舌]という才能を発現させていたえりなは、幼い頃から既に味見の仕事を請け負う日々を送っていました。
 それにしても不味い不味い言いすぎです。
 少しは良い点も述べなさい。

 ※ベニエ・・・衣を付けて油で揚げた物。
       [フリット](第161話)とは別。

 ジュ・・・英語で肉汁のこと。
      沢山の水分とある程度の時間をかけて煮出す[フォン]とは違い、素材が隠れる程度の少量の水分を加え、短時間で煮出すのが特徴。

 ブロード・・・イタリア語で出汁のこと。
        日本ではブイヨンと呼ばれることが多い。
        イタリア料理における[ブロード]は、使用する材料によって「肉のブロード」、「魚介のブロード」、「野菜のブロード」に大きく分別される。

 ちなみに[フォン]と[ブイヨン]の違いについては第82話をご覧くださいませ。(m(_ _)m)


 そんな連日働き続けるえりなを仙左衛門は気にかけてくれていましたが、えりなは薙切家のためにと不平不満を言わずに勤め続けていました。
 おびただしい料理を相手に、味に絶望し続ける日々を送っていたとしても。


 以前から思っていた事ではありましたが、遂に作中でも[神の舌]のマイナス部分について描かれましたか。
 「絶対音感」の味覚版とも言えるのが[神の舌]なわけですが、いつぞやのテレビ番組内で、絶対音感を持つ方が仰っていました。
 全ての音を逐一正確に把握してしまうため、音楽を聴きながらゆっくりするということが出来ないと。
 そういった感覚的能力というものは、専門分野で発揮する場合はこれ以上ないほど強力な武器になりますが、日常生活においてはかなり厄介な負担になるんですよね。
 普通の人が大まかに感じ取る刺激を詳細かつ論理的に受け止めてしまうため、あまりに長くその刺激を受け続けると気疲れしてしまうという。
 それが感覚的能力の大きなデメリット。
 そしてえりなはその出生故に、その能力をひっきりなしに使わされ続けることになってしまったわけです。



 そんな絶望の日々を送っていた時に出会ったのが、城一郎でした。
 どうやら城一郎はお忍びで仙左衛門に料理を作りに来た模様。
 わざわざ人払いをするほどとは、よっぽどの事情があったりするのでしょうか?
 なにせ城一郎が『ゆきひら』で暮らしていたことは薊はおろか、堂島先輩やふみ緒さんですら知らなかったことですしね~。

 それにしても、私としてはえりなと城一郎が出会ったのは薊の洗脳後で、仙左衛門の計らいによるものではないかと考えていたのでしたが、二人の出会いは本当に偶然だったのですね☆
 ということは、薊の推測は完全な「勘違い」である可能性がま~た大幅に高まったわけです★


 城一郎と仙左衛門の会食の様子を隠れて見ていたえりなでしたが、お腹の虫の訴えによって見つかってしまいます(苦笑)。
 えりなは素直に退席しようとしますが、お腹の虫は我儘でした。(苦笑&苦笑)
 ここのシーン、お爺ちゃんと孫のやり取りといった感じで微笑ましいな~。(^^)
 そんな空腹なえりなに、城一郎は一緒に食べることを勧めたのでした。

 出された品はというと・・・、お~『ガレット』ですか。
 ※ガレット・・・フランスの郷土料理で、「丸く薄いもの」という意味を持つ。
         クレープの元となった料理だが、クレープは小麦粉を材料とするのに対し、ガレットは蕎麦粉。
         蕎麦粉・塩・水等を混ぜて寝かせた生地を平鍋または専用の鉄板に薄い円形状に伸ばし、中央に肉類や魚介類、チーズや卵などを載せて正方形に折りたたんで作られる。

 その味に感動を覚えるえりな。
 それはまるで、心の奥から温かさが広がっていくような味でした。

 こうして、とても楽しい時を過ごしたえりな。
 それがえりなにとって初めて、料理を素晴らしいと思えた時だったという。

 ですが。
 そんな“希望”を知って半年ほど経った頃・・・
 薊の“教育”が始まってしまったのでした。





 そんな過去を話し終え・・・
 えりなは自白します。
 城一郎の料理を食べた時の感動は今も覚えている。
 だけど

 の言う理念の正しさも私にはわかると。

 

 

 

 

でしょうね。 

 

 

 

 だって。



 薊がやっていることは、えりながこれまでやってきたことと大して変わりませんもの。

 

 

 どうしようもなく不出来な料理が世の中に溢れていることを物心がついた頃から散々思い知らされてきたえりなにとって、不出来な料理を撤廃しようとする薊の考えは共感できるものだったわけです。

 なるほどね。
 欠点が全て分かってしまう能力を持つが故に、そう思ってしまうのは仕方ないことかもしれません。
 だけど一つだけ問いたい。

 どうして「不出来なもの=排除すべきもの」と言い切れるの?

 作中では今のところ、えりなの排他的で否定的な思想は全て薊の洗脳が原因のように描かれていますが、そう一概には言えないと思います。
 薊が施した洗脳は、えりなが料理に対して元々抱いていた絶望をより徹底的に、より容赦なくさせただけ。
 だからこそ厄介なわけです。



 えりなはわからなくなってしまったのでした。

 自分にとって、料理とは何だったのかということを。

 素晴らしいものなのか。
 それとも、粛清すべきものなのか。



 一通り創真に打ち明けたえりなは我に返り、一方的に相談してしまった事を詫びます。

 ・・・もう一度言いましょう。

 詫びました。えりなが。創真に。

 誰かボイスレコーダー持ってきて!!(←)



 退室しようとしたえりなを呼び止める創真。

 創真は提案します。
 もう一度味わってみればいいのでは?と。

 ゆきひら』の料理を、今、ここで。

 

 

 ここの創真さん・・・

 美少年以外の何者でもないね。(←アホ)

 

 


 

 

 前回の予想・・・見事に空振り大外れ★
 お恥ずかしい・・・。(orz)

 てっきり私としては えりなが創真の元を訪れたのは「進級試験を始め、次々襲い掛かってくるであろう試練を前にしても闘う意思を曲げないのか」ということを訊くためと思っていたんですよね。
 司とのあのような一件があったばかりですし。
 ですが実際は、それほど自発的な理由ではありませんでした。

 ここで大きな疑問になるのは、何故これほどの本音を他の誰でもなく創真に話したのかということなんですよね。
 もっとも付き合いが長く、もっとも心を許している筈の新戸も傍にいるというのに、どうしてつい最近まで一方的に嫌悪していた創真に相談したのか。
 それを考えてみたところ、ネガティブな理由しか考え付きませんでした。

 やはり理由として考えられるのは、創真が城一郎の息子だから。
 えりなにとって、城一郎はずっと自らの料理の価値観を支えてきた存在でした。
 ですが、食べた品が高級料理だったために、「高級料理こそが城一郎の料理」と勝手に思い込んでしまっていたという。
 それ故に、「高級」とはかけ離れた料理や姿勢を持つ創真をこれまでひたすら否定していたわけです。
 ところが。
 創真と城一郎が親子という事実を知ったことによって、「城一郎の料理⇒完璧な料理⇒高級料理」という図式が崩れてしまう事に。
 それによってえりなはこれまで自分を支えていた拠り所が分からなくなってしまったわけです。

 そんなえりなは多分、「教示」が欲しかったのでしょう。
 創真やアリスから言われたことで「自分」を見つめ直し始めたものの、これまでの拠り所、ひいては“原点”が揺らいでしまった事で明確な「答え」が出せなくなってしまったのでしょうね。
 それだけ、彼女の“土台”は非常に不安定なものだったわけです。
 そんな不安定で脆弱になってしまっている自分を、えりなは誰かから導いてもらいたかったのかもしれません。

 でも。
 今えりなの周囲にいる人物達は皆、薊に対して敵対心を持っているわけで。
 そんな人達に自分の本音を打ち明けてしまったら、否定されるに決まっている。
 だからと言って。
 自分の絶対的な味方である新戸にも話す気にはなれなかった。
 何故なら、新戸はえりなの全てを肯定するばかりであろうから。
 これが女の業。
 「否定」されるのは怖いけど、「肯定」されるだけというのも不安という。
 だからこそえりなは、自分のこれまでの拠り所であった城一郎に最も近い存在である創真に縋ってしまったのでしょう。

 ・・・私からしてみれば、それは甘えや弱さでしかありませんがね。
 ついこの前まで創真を否定するは侮辱するはで散々な態度を取っていたというのに、自分のアイデンティティーが揺らいだら相談しに行くなんて、ちょっと虫の良い話に思えてしまいます。
 とはいっても、きちんと詫びたり素直に本音を口にしているので、非難するつもりは特にありませんけど。



 そんなえりなに創真はどう対応したかというと・・・。
 「否定」も「肯定」もしませんでした。
 だけど、「教示」もしませんでした。
 ただもう一度『ゆきひら』の料理を食べてみろと提案しただけだったという。

 これは非常に創真らしいです。(^^)

 創真は料理で語る人物ですから。

 それに。

 創真は本当に温かいながらも、決して甘くはない人物ですしね。





 そういうわけで、えりなの口から城一郎との出会いが語られたわけですが・・・
 それに関連付けてえりなというキャラを随分と掘り下げてきましたね。
 これには好感触です。
 そうです。
 こういう丁寧なキャラクター描写こそが附田先生の最大の長所なんですよ。(^^)

 出生と天賦の才の合致が仇となり、料理を食べることに楽しさや充実感を一切感じていなかったえりな。

これは不味い。

 言い換えれば、
 これはいけない。

 何故ならば。
 食べる”ことは“生きる”ことですもの。
 
 そんな“食べる”という行為に幸福感を抱けないということは
 “生きる”ことに幸福感を抱いていないことと同義です。

 ふ~む・・・。
 『ジャンプ流!vol.10』での附田先生のコメントから考えて、えりなは附田先生が最も大切にしているメッセージに正面から対峙しているキャラと言えるのですね。


 そんなえりなが生きることの原動力とも言える「食欲」を湧かせられたのが、城一郎の料理だったという。
 そしてえりなは初めて“食べる”ことに楽しさや喜びを感じられたわけですが、彼女がそれほど城一郎の料理に惹かれたのは、城一郎の料理が技術だけでなく“心”も込められていたものだったからだと思います。
 えりなはこれまで数多の美食を口にしてきましたが、そのほとんどがビジネスとしての品で、純にえりなのためにと作られた料理ではないのですよね。

 離乳食でさえ、学園の講師陣が作った品しか口にしなかったというえりな。(第20話参照)
 そんな彼女は、普通の子供なら当たり前のように与えられる食事である、親の愛情が込められた料理、言うなれば「家庭の味」をほとんど知らないのではないでしょうか。
 「家庭の味」。それは料理への価値観を根本的に支える“土台”といえます。
 その意味での“土台”も形成されていなかったからこそ、えりなはこれほどまでに不安定に葛藤し続けているのでしょう。
 
 だからこそ創真の料理は大変大きな意味を持つわけです。
 主要人物三人(創真・えりな・恵)の中で、創真は“中間”のキャラだということを至る所でちょくちょく述べている私ですが、この場合も当て嵌まるんですよね。
 えりなの料理は完璧をモットーとしたうえでの「プロの味」。
 恵の料理は心遣いに満ちた「家庭の味」なわけですが・・・。
 創真の料理はそんな「プロの味」と「家庭の味」どちらも併せ持っています。
 それもひとえに
 創真は「大衆料理屋」という、「プロの世界」でありながら「家庭料理」を提供する店の出身だから。





 幼少時から、まるで口癖のように料理を不味い不味いと言いまくっていたえりな。
 ですが、意外にも彼女はあれほど憧れている城一郎の料理にさえも「美味しい」とは言っていませんでした。
 
この事実は創真の「あの目的」をより明確にさせたと言えます。
 それは勿論、「えりなに「美味い」と言わせる」という決意。

 そんな創真がえりなのために作ってくれる料理は、果たしてどんなものになるのでしょうか?

 

 


『食戟のソーマ』第167話感想

2016-06-10 23:30:00 | 食戟のソーマ

 突然ですが、私は『ソーマ』以外のジャンプ作品も一通り読んでいる人間です。
 なので他の作品の感想も書けるといえば書けるのですが・・・。
 如何せん時間が無いものでして(涙)。
 それでも今回(ジャンプ25号)だけは叫びたい。

 『火ノ丸相撲』が至高すぎた。

 この熱さ。
 この説得力。
 非の打ちどころが無いとはまさにこういうのを言うのかと。
 この作品には毎回唸らされるのですが、それって物凄い事だと思うんですよね。
 「心」でも「頭」でもしっかり納得させられる作品は、やっぱり後読感も最高。
 もっともっと人気が出てほしいなあ~。

 それと『ゆらぎ荘の幽奈さん』のラストにもスカッとさせられました。
 やっぱり主人公が強いっていいネ!(d(><))
 佐伯先生としてもラストの構図は良い勉強になったと思います。
 さすがは師匠・・・!





 週刊少年ジャンプ2016年25号掲載
 掲載順第2位
 第167話 【浮かぶ顔と浮かぬ顔】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回のサブタイも巧いなあ~~~・・・と思わせられた内容でした。
 その理由は感想内にて。



 今回の扉絵はドラ●エ風。(・・・だよね?)
 以前もストリート●ァイター風の扉絵が描かれたことがありましたが(第29話)、あの時の方がハマってましたね(笑)。
 特に違和感が激しすぎるのが創真。
 創真に鎧って凄まじく似合わないと思うの。
 一方、えりなの役は妖精。
 これは現在彼女が戦えない状態にあるという事を意味しているのでしょうね。
 その気にさえなれば、魔王をもたじろがせる「女王」になれるというのに。





 セントラルの代表として、校内放送に出演させられる司。
 そこで彼が伝達したのは一年生の進級試験についてでした。
 例年ではいつもその試験で大多数の生徒が退学させられたものの(ちゃんと第4話の仙左衛門の言葉と帳尻が合ってるね、よしよし)、薊政権での教育メソッドとなったこれからは、これまでの授業で習ったことを忠実に実践すれば誰しも合格できる内容とのこと。
 ただし、薊政権に従わない者はどうなるか、そこで知ることになるであろうとも。
 ・・・すっかり悪役顔が板についたな~この人も。



 そんな放送を見て、やっぱり創真も思ったようですね。
 進級試験の時期が随分と早いことに。
 果たして三学期には一体何が待ち受けているのでしょう?
 「世界進出」に向けての本格始動は多分二年生になってからだと思うんですよねー。
 やっぱり卒業目前となる現三年生と大きく関わる事になるのでしょうか?

 で、創真はそんな調子でしたが・・・。
 他の皆さんは浮かぬ顔。(←はい、ここがサブタイその1)
 仲間達はその進級試験が反薊派を退学させる決定打になることを悟ったのでした。

 ・・・ん?
 ドサクサに紛れて郁魅とえりなが一緒の場にいるね。
 またしても、この二人の確執も先送りにされた模様です。

 もはや一方的に不合格と言い渡されるに違いないと決めつけてしまっている仲間達。
 いやそれはちょっと早とちりすぎるんじゃない?
 あんまり決めつけてかかると、生き残れる可能性も見逃してしまいますよ?

 そして、この進級試験で反薊派である創真達が退学させられてしまったら、えりなは一人になってしまうことに。
 新戸も言います。
 薊はえりなを退学にさせることは無いと。
 仲間達はこの発言の理由を「えりなは薊の娘だから」と解釈しているでしょうが、実際は
 えりなは薊の計画の“鍵”だから
 という意味だと思います。
 そしてえりなも、その表情から察するに自分が“鍵”であることを知っている模様。
 新戸からその事を教えてもらっていた創真も、そんなえりなの様子に気付いている模様です。





 そんな一方で、薊は料理界の重鎮達に自分の「教育」の成果を披露していました。
 「教育」を受けた生徒達の目・・・人形みたい。

 その味は絶品のようですが・・・。
 ぜんっぜん惹かれるイメージじゃない。(拘束って・・・)

 重鎮達はみな、その技術の高さを絶賛します。
 その場にはシャペル先生も出席していました。よかった。クビになっていなくって。
 そんなシャペル先生も周囲に促され、食べてみることに。
 確かに認めざるを得ないほど、味は一級品でした。

 ですが・・・。

 脳裏に浮かぶのは、薊の顔・顔・顔。(←はい、ここがサブタイその2)

 

うっぎゃーーーーー!!!

絶対食べたくないーーーーー!!!




 扉の向こうからコンバンワの図も相当でしたが(第149話)、今回もこれまた夢に出そうなホラー画像です。
 そんな洗脳フードを食べるくらいなら創真のゲテモノ料理の方が遥かにマシ。(本気)

 着々と薊の「教育」という名の「支配」が広がっていくのを、シャペル先生は苦い思いで傍観することしかできませんでした。
 事実、既に生徒のほとんどがセントラルに逆らうのを諦めてしまっていました。

 この流れは、もはや止めることはできないのでしょうか―――?





 日が暮れ、極星寮に帰ってからも恵を始め仲間達は落ち込むばかり。
 もはや故郷へお詫びの手紙まで書き始める始末。
 だから諦めるのは早いっての!
 ってゆうかメールじゃなくて手紙なのね。

 そんな諦めムードが蔓延する中、創真だけはマイペースに自室へ。





 ですが、創真も自室に戻って包丁を研ぎながら、司の言葉を思い返していました。
 ・・・その時。

 創真の部屋に、一人の来訪者が。



 その人物は―――えりな。

 

 


 

 

 やはりこのまま進級試験編に入る模様ですね。
 またもや葉山や久我の現状も先送りにされましたか。
 これは彼らのファンからしたら、またもやフラストレーションが溜まることになってしまったのでは。
 ここまでくると「温存」を通り越して「引き延ばし」と取られかねませんよ附田&佐伯先生~・・・。



 じわじわと確実に。
 上層部にも一般生徒らにも浸透していっている薊政権の支配。
 以前の体制も「実力主義」でしたが、結局今も「実力主義」であることに変わりませんよね。これって。
 どんな思想であれ、結局は実力のある者が認められ、正しいということになるわけですから。

 ―――その方が利口だからだ―――

 というナレーションにも色々思うところがありました。
 それって結局は「損得勘定」であり「保身」にすぎませんよね。
 確かに生徒達にも実家の継承などといったそれぞれの事情があるわけですし、矜持や理念を一旦捨てて実力の向上の為にセントラルの支配に従おうとするのも一つの考えでしょう。

 それでも。

 「料理に携わる者」の一人として言わせてもらいますが、私だったら絶対に今の遠月学園の「教育」は受けたくありません。
 だって自分の作った料理が、薊の料理になってしまうんだなんて・・・。
 それって完全に「薊のコピー」になってしまうという事じゃありませんか。
 それは凄く恐ろしいことだと思うんです。
 料理人としての「自分」を失ってしまうのですから。
 少なくとも、いくらその「教育」で腕前が上がったとしても、「大切な人」に食べてもらいたいと心から思える料理が作れるようになるとはとても思えませんね。



 そんな薊政権が反抗分子を排除する手段として用意してきたのが進級試験ですが、果たしてどんな内容になるのでしょうか?
 学園の外での試験(試練)というと「地獄の合宿」が思い出されますが、今回は基本コンセプトからして違いますからねえ~。
 薊メソッドに従順な生徒には楽勝、対して反対者には難関な内容とのことですが・・・。

 ・・・ふっふっふ。

 この展開を待っていました。

 “あの仲間”の活躍の番が遂にやってきましたよ♪

 その人物とは―――



 美作昴!!



 彼のスキルは「模倣」。
 それこそ薊政権が生徒達に強いている教育指針そのもの。
 しかも彼は相手の心理や行動・判断パターンまでトレースできるという最強のコピー能力者というのですから心強いったらありゃしません♪
 創真のお陰で料理人としての誇りに気付けた今の彼なら、セントラルのこの方針にきっと反論してくれるに違いないでしょう。
 「お前らの模倣には愛がねえ」とか言って(爆)。





 ところが、そんな進級試験の前に思いもよらない展開が。

 とりあえず述べておきましょうか。
 創真&えりな派の方々、良かったですね。


 私としてはえりなが創真の料理を無暗に見下さなくなっただけでも大進展と思っていましたが・・・、まさか。

 まさかえりなの方から創真の元を訪れるとは・・・。

 ラストシーンは大変意味深いですね。
 某有名ジャンプ感想ブログ様でも取り上げられていますが、これまでの創真とえりなはその“視線”にかなり配慮されながら描かれてきたんですよね。
 目線が合っていないシーンでも、構図的に合っているように見えたり。
 逆に目が合っているであろうシーンだとしても、コマを分けることで視線をずらしていたりといったような。
 それが今回遂に、目が合っている様子が同じコマ内できちんと描かれたという。(それでも座っているか立っているかの違いで高低差を出しているのがまた巧妙なところですが)
 カラーイラストを始め本編中の描写でも、そのほとんどで創真に顔を背け続けてきたえりな。
 そんな彼女が、ようやく創真を正面から見始めたということを示唆しているシーンと言えましょう。


 これまで創真と関わるのを拒んでさえいたというのに、わざわざ自室に赴いてまで、えりなは一体何を創真に話そうとしているのでしょうか?
 私の考えとしては、えりなは訊きたくなったのではないでしょうか。
 この進級試験でも“闘う”のかと。 
 極星寮の件では一筋の希望を照らした創真でしたが、前回の司との件で、自分よりも強い相手と対立していることを痛感した筈。
 そして薊が政権を握っている以上、こういった試練はいくらでも襲ってくるに違いないわけで。
 それでも、抗い続けるのかと。
 これまで闇雲に創真を否定し続けてきたえりなでしたが、これまで知らなかった世界や城一郎との関係を知ったことでその「否定」が改められた今、今度は「疑問」へと移行したと思うんですよね。
 えりなにとって、創真は全ての意味で「未知」の存在ですから。
 そんな「未知」と向き合うことによって、えりなはこれまでの己の価値観を再構築し始めているのかもしれません。


 


ふっかーーーつ!!!

2016-06-09 22:00:00 | 食戟のソーマ

 すみません!!
 随分とご無沙汰してしまいました!!(><;;;)

 最悪な事に、パソコンに深刻なトラブルが発生してしまったものでして。

 で、それをなんとか元に戻したら、今度はネット回線に繋がらなくなったというね。(orz)
 なんなんだ今年は。厄年か。

 ですが、その間も『ソーマ』の感想はしっかり下書きしていたあたりが私の根性。
 なんとかパソコンも元通りになったことですし、溜まっていた分を今日から連日でUPさせていきたいと思います。


 あ、ちなみに附田&佐伯先生の回だった『ジャンプ流! vol.10』はしっかり購入しましたよ~。
 内容としては「あ、やっぱりといった感じでしたね。
 感想書きとしてやはり一番怖いのは、作者の意図を誤解したまま突っ走ってしまう事だと思うんです。
 ですが単行本第1巻感想で述べていたことと割と合致している部分があって、なんだか附田&佐伯先生から肯定してもらえたようでなんとも嬉しいものがありました。(^^)
 中でも私が注目させられたのは、附田先生の創作メモ。
 創真の決め台詞である「おあがりよ」の元ネタと思われる言葉や、えりなの「●●●娘」という設定をアリスにも用いたであろうことが推測されることなど、興味深い内容ばかりが記されていて面白かったです。
 そして。
 どうやら附田先生は構想時から○○を意識していたようですね。
 ・・・うん、考察通り。(ニヤリ)

 でもね。

 まさかここでも佐伯先生の惚気が炸裂するとは思いませんでしたよ。



 佐伯先生と奥様の仲睦まじさに「ごちそうさま」と思いつつ、『ソーマ』の感想へといってみましょ~。





 週刊少年ジャンプ2016年24号掲載
 掲載順第1位
 第166話 【圧倒】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんなんだ。

 なんなんだ。

 な・ん・な・ん・だ。 (三回言った)

 

この掲載順の極端さはなんなのですかーーー!!??

 

 この上下変動の激しさは間違いなく連載作品の中でもダントツですよ。
 最近本当に掲載順が安定してないなあ~。

 一位を獲得した回は、第一席司瑛士と勝負するという驚愕の展開になった第162話
 うん納得。

 その勝負もいよいよもって今回で終結。
 果たしてその結果は―――?





 えりなが選んだ皿、それは。

 司の皿でした。

 皿を出す前にえりなの口元が僅かに締まったのは良い表現でした。
 こういう僅かながらも感情が窺える描写にこそ、表現の丁寧さが感じられるものです。
 勿論判決を口にした際のえりなの苦悩の表情も嬉しかったですね。
 創真の身が関わる件で、こういう感情も抱くことが出来るようになったんだな~としみじみ。

 そして新戸も辛そうにしてくれていたのも有難かったですね。
 こういう判定の仕方が私としては最も納得がいきます。
 状況に左右されることなく、判定は公正に。
 でも、心の内では情との葛藤で苦悩してくれるというのが。



 敗北してしまった以上、創真は司の言うとおりセントラルに入ることに・・・
 と思われたものの。
 司はそれを撤回します。

 理由としては、創真を懐刀としては制御できそうにないことを、彼の料理から感じ取ったから。

 賢明な判断ですね。

 もしこのまま創真が司の懐刀にさせられてしまっていたら、私は司に一言アドバイスしてやるつもりでした。

逆に懐を刺されないように気を付けてネ、と。

(それってアドバイスじゃなくて脅し)


 そんな一方で、
 「ど~~~ん」な創真くんめっちゃプニ化してるかわいい
 と思う私。(←)



 そうして、今回の勝負は無しということになり、新戸は安堵するものの・・・
 創真は自分の負け、と断言。
 凄い顔だね創真。「苦虫を噛み潰したような顔」ってこういうのを言うんだろうな~(苦笑)。

 自ら負けを認めた創真に慌てる新戸。
 創真としては、自身の負けは認めるものの、セントラル入りはやはり嫌という考えの模様。
 新戸はそんな創真の矛盾的な考えを叱っていますが・・・

 創真はそういう子なんですよ。 

 相手の妥協に決して甘んじない。
 かといって、無理に契約に従おうとするような頑な人物でもない。
 誰よりも自分に厳しい半面、自分に正直でもあるという。


 そんな創真と新戸のやり取りを尻目に立ち去る司。
 ですが、去り際に司は感じ取っていました。
 創真達の何かを。





 それから数日後。
 残党狩りの第二回目が行われていました。
 やはり次々と強豪の団体がセントラルに敗北していく中・・・勝利を手にする団体が!

 それは郷土料理研究会の恵!!
 そして丼研究会の郁魅!!


 郁魅久し振りーーー!!(><)
 月饗祭編以来全く登場していなかったから心配してたんだぞコノヤロー!
 扉絵もそうだったけど格好良いぞー!凛々しいぞー!素敵だぞー!

 郁魅の海鮮丼食べたいなー。(好物)
 十八番の「肉」が使われておらず、そしてスタジエールで習得したであろう「火入れ」も用いられていない料理でありながらもセントラルに圧勝出来たことから、かなりの成長が窺われます。
 これは今後の本領発揮が楽しみですね。

 恵は熊井繋道と、郁魅は梁井メアと闘って勝利したわけですが・・・。
 熊井はともかく、梁井には言ってやりたい。
 叡山への発言が見事にブーメランになっちゃったね♪(←鬼畜)
 セントラルの兵隊四人組のうち三人が敗北し、残るは小古類のみ。
 果たして彼女はどんな役割を宛がわれることになるのでしょうか。


 恵も郁魅も、闘いながら心に思い浮かべていたのは創真のこと。
 これだけでもう満足。
 恵は真剣な真顔、一方の郁魅は柔らかい笑みという、それぞれの表情の対比もまた良いですね~。

 彼女らの魅力は「守られてばかり」「貰ってばかり」ではないところですよね。
 恵も郁魅も居場所を創真から守ってもらった、もしくは貰った立場なわけですが・・・。
 今度は自分達がそれらを守るために強く闘っていくという。
 本当にヒロインとして素敵な子達です。(^^)


 頑張った彼女達に、創真は恵とはハイタッチ☆
 郁魅には称賛を。

 そんな創真に対する郁魅の態度がもうね。
 かわいーかわいーかーわーいーいーーー!!(o(><o) (o><)oo(><o) (o><)o)
 こんな可愛い事言われたら、盛り上がるに間違いなし!!

 と思いきや。

 残念。盛り下がりました。(苦笑)
 いつだって創真くんは空気ブレイカー。



 そんなやり取りを特別室から観戦していた人物達がいました。
 それは薊と司。

 確信する司。
 今年の一年生は例年の学生と何かが違うことに。
 そして、その中心が創真であることに。

 楠からも同じことを言われていた薊は、創真達を留意し始めた模様。
 ですが、既に手は打っていると言います。

 創真達反薊派を個々に潰すべく用意された次のフィールド。
 それは、進級試験。 

 

 

 


 

 

 

 今回の司との勝負は、四宮との食戟の焼き直しと言えたかも。
 信念的にも条件的にも負けられない闘い⇒敗北⇒相手が料理に感銘を受けて条件を帳消しにしてくれる
 といったような。



 そして心配していた郁魅でしたが、全くの杞憂で終わりましたね。
 恵と共に研究会の存続に成功。
 彼女自身も存分に活躍していました。

 創真の知人が所属している研究会で、残るは丸井の宮里ゼミ、久我の中華料理研究会、そして葉山の汐見ゼミとなるわけですが・・・。
 こりゃあ、宮里ゼミあたりがセントラルに入った葉山に敗北したりする流れになるかな・・・と思いきや。
 薊の口から予想外の言葉が。

 進級試験?

 いえ、学校ですし、あって当然ですが・・・。
 ちょっと早すぎません?
 普通は三学期になってからだと思うんですけど。
 これは裏を読めば、三学期になったらまたもや大きな行事が待ち受けているということでしょうかね?
 司や竜胆先輩といった現三年生の卒業も目前になるわけですし。

 その進級試験とやらは、遠月学園の外で行われる模様。
 煽り文から見て北海道でしょうか?(附田先生も以前取材に行かれてましたし)

 司の発言から察するに、その試験の監督は十傑が担ってくるに違いありません。
 あの薊が反逆分子を排除する狙いで設けたことから見て、そ~と~に困難な試験になりそうな予感バリバリです。
 まあ、理不尽なだけではなく、一応真っ当な理由もある試験内容になるとは思ってますけども。
 ここでも十傑と関わらせることによって、何故薊を支持したかという理由、もしくは十傑それぞれの料理人としての信念がまた少し明かされることになるかもしれませんね。



 そして今回を通して第一席司瑛士も勘付きました。
 楠も感じ取っていた、[玉の世代]の“何か”を。
 次第にこの点がクローズアップされてきていますね♪

 その“何か”とは、一口で言うならば“絆”。 
 己の料理を磨くことしか考えていない十傑とも、己の劣等感を誤魔化し合う楠達とも違い、お互いに認め合いながら共に切磋琢磨している彼ら。

 「競争」が教育理念だったが故に、本気で“上”を目指す者ほど「周囲は敵のみ」という風潮が根強かった遠月学園において、競争心と仲間意識が絶妙に融合している[玉の世代]は一種の奇跡とさえ言えます。
 そんな彼らの“絆”を全て繋げているのが創真。
 好戦的でありながらも他者を無暗に否定せず、長所を素直に認めてくれて。
 友好的でありながらも自分の信念を確固として持っている。
 そんな創真は、本人が意図せずとも他者に少なからぬ影響を与えているんですよね。
 その影響が今、[玉の世代]の中心として取り上げられるほどにまで大きくなっているということです。
 そして。
 この事実こそが、仙左衛門が創真の決意を聞いて思ったことを示しているわけですね。(第137話
 [玉の世代]の“絆”こそがえりなを、そして遠月学園を救うことになるのでしょう。

 

 

 

 

 

 ・・・はい。
 いつもの感想はここで終了です。

 これ以降からは超辛辣な感想になります。
 あまりの酷評のため書いていいかどうか悩みましたが、冷静に考え直してみてもやはり考えが変わらなかったので、敢えて記させて頂きます。
 今回の内容を素直に楽しめた方は、決してここから先は読まないでください。

 それでは。





 今回の司との決着ですが・・・。

 正直言って肩すかしでした。

 あれほど盛り上げときながら結局無難に着地するんかい、といったような。
 悪い意味での予定調和感が凄い。
 読み終わった後、あまりの消化不良にずっと悶々とさせられてしまいました。



 多分、私がこれほど強く不満を抱いた原因は
 敗北後の創真の「悔しさ」が完全にギャグ調で描かれていたから。
 これに尽きると思います。

 今回の勝負が創真の敗北になってしまうであろうことは予想済みでした。
 そして、司が妥協してくれた理由も至って納得できたんです。
 ですが勝敗がどうこうよりも私が遥かに気掛かりだったのが、敗北後の創真のメンタルだったんですよね。
 何故なら、此度の勝負は「創真が大切にしているもの」に関わる勝負だったため。
 創真の“琴線”にも触れたこの勝負は四宮戦と通じるものがありました。
 だから尚更、敗北後創真はかなり酷く自分を責めてしまうのでは・・・と危惧していたんです。

 それがコレですよ
 
 今回の不満感は「あの時」と似ています。
 創真と城一郎の親子関係をえりなが遂に知ってしまった時と。
 あの時も約二年半という溜めに溜めた伏線が唐突に明かされたという大展開だったにも関わらず、読者を騒がせるだけ騒がせておきながら実際の描写は至ってギャグ調で片付けられてしまっていました。
 そして今回もときたもんだ。

 ・・・なんか最近の附田&佐伯先生は、か~~~な~~~り~~~意図的にシリアス展開を避けてますよね。 
 今回の勝負も。えりなが創真と城一郎の関係を知った時も。いずれも深刻なシリアス展開にさせようとすればいくらでも出来たはず。
 それをしなかった。
 きっと、敢えて。
 ということは、これらも「この先」のための布石なのでしょう。
 今回の件で敢えてセーブしたものを、両先生方は後半戦のクライマックスに一気に炸裂させるつもりなのかもしれません。
 メインヒロインとの因縁や第一席との勝負という重大事項さえも「次」への「踏み台」にしてしまうあたり、さすがは創真の生みの親といったところですね☆



 ・・・とはいえ。

 ここ最近の話作りは読者の解釈に委ねすぎていると思います。

 もっと一読目で納得させられるような説得力が欲しい。
 何度も繰り返し読んで考えさせるのも大事ですが、それが続きすぎている。

 読者を引き込む展開作りは申し分ないのですが、その落としどころがいまひとつになってしまっていると思います。
 言うなれば
 「頭」で読ませられてしまっているんです。
 そうではなく
 「心」で理解できる結末をお願いしたいんですよね。

 読者の予測に甘んじてしまっている部分は他にもあります。
 それが今回後半で活躍していたヒロインらの背景。
 主将がいるというのに、何故恵が郷土料理研究会の代表として闘ったのか?
 試作に集中していたとは言っていたものの、どうして郁魅だけでなく小西先輩までもが創真からの電話に出なかったのか?(一言でもいいから創真に詫びて欲しかった)
 など、食戟に至るまでの経緯が大きく省かれているせいで、正直なところ粗に思えて仕方ありません。
 特に郁魅の件は創真と同様に心配を募らせていた分、その空振りが不満に転化してしまいました。
 
 読者の予想を煽るような展開や言葉を挿入しておきながら未消化のまま流されてしまうのは、少なくとも私のような深読み好きにとっては大きなストレスになります。
 確かにこの漫画はかーなーりー“焦らす”作品であるというのは認めています。
 ですが、散々焦らされた結果が期待と違っていたら、それは大きな「肩すかし」という不満になってしまうことを、もう少し注意してもらいたいんですよね。
 予測不能な派手な展開も勿論面白いですが、大きな展開を持ってくるならそれに見合った説得力のある、丁寧な結末を用意してくれることを切に願う次第です。



 ・・・さて、そんなこんなで一通り不満を吐き出させて頂きましたが、次回は一体どんな展開になることやら。

 引き続き残党狩りの三回目が行われるのか。
 それとも、それは一旦脇に置かれて進級試験編に入るのか。



 ・・・多分進級試験編に入るだろうな、こりゃ。