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週刊少年ジャンプ2016年27号掲載
掲載順第6位
第169話 【リベンジ】
前回は、迷い続けるえりなに創真が『ゆきひら』の料理を作ることになったところまでが描かれましたが、今回は少し時間が巻き戻って「秋の選抜」の予選が始まる前からスタート。
創真に期待を寄せてくれてる仙左衛門殿の笑顔にこっちも笑顔。(^^)
この方もだいぶ印象が柔らかくなりましたよね~。
第44話で伏線として描かれていた、城一郎の「用事」が明らかに。
それは
薊の不審な動きを仙左衛門に伝えるためでした。
へ~そのためにわざわざ帰国していたとは☆
でも考えてみれば、城一郎は世界中を旅して回っているわけですから、情報取集力はかなり高いでしょうからね。
しかも彼は料理を通して世界中に友人知人やファンがいるわけですし、そのネットワークはかなりのものと言えましょう。
事前に城一郎からその情報を得ていたからこそ、あれほど早く仙左衛門は薊の来訪に気付けたのでしょうね。(第134話)
まあ、残念ながら完全に出し抜かれてしまったわけですが・・・。
時は戻り、現在。
えりなが見当たらない事に、新戸は極星メンバーも巻き込んで大慌ての大混乱。
彼女の過保護っぷりも今や立派なギャグになっております。
ま、あっさり創真の部屋にいることが分かるわけですが。
って、コラコラなに盗み聞きしてんの。
プライバシーの侵害ですよそれって。
ついこの前は司との勝負が覗き見されたし、注目を浴びてしまうのは主人公の運命[さだめ]でしょうか。
まあ、乱入されるよりは遥かにマシですけども。
盗み聞きされてるとは露とも知らないえりなは、創真の提案を聞いてそんなことが何の解決になるのかとプンスカ★
創真も思っていますが、
いつものえりなに戻った。
ギャグチックに怒ってばかり、というのがえりなの基本ステータスですからね。
でも、相談しに赴いた相手にその発言はどうかと思う。
創真の意見はもっともです。
創真が城一郎から学んだことは「技術」だけではありません。
料理人としての気概、固定観念に縛られない自由な発想といった、教鞭では教えられないものを創真は『ゆきひら』という“現場”で城一郎から教えられてきましたものね。
そして、えりなにも改めて問いたい。
キミが惹かれたのは城一郎の「技術」だけなの?と。
そうして調理に入る創真でしたが・・・。
口元に浮かんだのはアクマの笑み。
あ。これなら大丈夫☆
だってゲテモノチャレンジモードの創真様は無敵ですもの。
創真がゲテモノチャレンジモードに入ったら、勝利が確定したも同然。
それぐらい私にとって、アクマな創真様への信頼は絶大です。
とはいっても、創真様のゲテモノ料理の威力をその身で知っている極星メンバー達は戦慄してますが(苦笑)。
ただでさええりなは[神の舌]という人一倍敏感な舌の持ち主。
そんな彼女が創真のゲテモノ料理(ハズレ)を食べてしまったら、その末路は・・・・・・・・・・
ぜひ見てみたい。(Sうさぎスイッチオン)
っていうか。
むしろ[神の舌]がブッ壊れて自由になれるのでは?(←割とマジ)
※ちなみに、アリスの失敗作を食べた時の彼女は魂が抜けたような状態になりました。(by小説版第2弾)
そんなアクマモードが入っている創真が作ろうとしている料理はというと
「天丼」でした。
で、えりなは今度は眼差しで創真を見下し★
頼むからいい加減そういう眼で創真を見るのやめてくれません?
敵意が湧くから。
メニューはとりあえずまともだったものの、依然として創真が何を天ぷらにするのか心配でならない極星メンバー。
し~~~んというオノマトペに苦笑を禁じ得ない。(^^;A)
ですが、そんな中恵だけは創真を擁護。
ホンマええ子や・・・。(T-T)
同じ表情で創真に託す恵と新戸。
この二人の“共通性”も大分表立って描かれるようになってきましたね。
楽しげに活き活きと料理をする創真の姿に、昔の自分を思い返すえりな。
かつては自分も楽しく料理をしていたはず。
ですが、周囲の大人達は―――
家柄。
名誉。
格式。
体裁。
責任。
アリスからしてみれば羨ましく見えていた、[神の舌]を持つえりなに一身に集まる“期待”。
ですがえりな本人からしてみれば、それらは期待という名の「重圧」であり「束縛」にすぎませんでした。
これが皮肉だったんですよね~。
出自におあつらえむきとしか言えない才能を持ってしまったが故に、周囲が彼女を自由にさせてくれなかったという。
そしてえりな自身もその真面目な性格から、「才能を持った者の責任」として周囲の期待に応えようとし続けたわけです。
それが、最も大切な事である「料理自体への情熱」を失わせることに。
再び沈んだ顔になっていたえりなに声を掛ける創真。
やっぱり創真ってよく人を見ていると思う。
「もっとシャキッとしろよ 何せこちとら・・・ 俺らが初めて会った日のリベンジができるってすげぇワクワクしてんだからさっ」
キタコレ。
待望の“原点回帰”。
それが再び創真の口から宣言されましたよ!!(>▽<)
でもってここの創真さんがすっごく良い感じにアクマ入っていて、めっちゃ興奮するやら期待させられるやら♪♪♪
創真のこの言葉で思い出される、出会いの時。そして「あの」宣言。
この前後の構成は大変秀逸です。
カラーだったら尚の事、この描写の対比が活かされていたことでしょう。
アリスの気持ちに応えられなかった時に散っていた、陰ろう桜。
そして創真から宣言された時に舞っていた、鮮やかな桜。
料理への情熱を失っていたえりなでしたが、あの時“熱”は付いていたんですよね。創真への対抗心という形で。
そうしているうちに料理は完成。
さあ、果たして創真はどんな天丼を創り上げたのでしょうか!?
今回は明らかに次回への“溜め”の回でしたね。(ちょっと今回はメタ的な視点が多く入るかもしれません。どうかご了承ください)
次回に満を持して用意されているであろうカタルシスのために、えりなや極星メンバー達がそれぞれの反応を見せていました。
まずはなんとも都合よく、えりなの本音話が終わったタイミングで盗み聞きし始めた極星メンバー。
創真のゲテモノチャレンジモードは最強にして最凶(苦笑)ですが、その危険性を知らないえりなの代わりに、彼らがそのツッコミ役を担う事になりました。
そしてえりなも、前回までのしおらしい態度とは打って変わってかなり【イヤな奴指数】を上げてきましたね。
無自覚でしょうが創真に城一郎の面影を求めているくせに、創真が城一郎ほどの料理を作れるはずがないと反発。
この矛盾性もえりならしいというかなんというか。
極め付けが創真を見下すような冷酷な眼差し。
あからさまに頑なな偏見が見て取れます。
そんな強気そうな態度の一方で描かれていたのが、えりなが置かれていた環境と絡めた彼女の自我の弱さ。
「周囲の期待に応えられる自分」でいたつもりが、蓋を開けてみれば、ただ「周囲の望む自分」になっていただけという。
「正しく」あろうとするあまり、自分の本当の気持ちが分からなくなってしまう。
そんな所もまた彼女のダメなところです。
そんな矛盾性も。
頑なさも。
不安定さも。
全ては彼女がまだ「子供」だから。
えりなは「完璧」を謳っていながら、実際は同世代の中で最も成長が必要なキャラクターだと思っています。
そんな“溜め”の流れでありながらも、しっかりとこれまでの伏線が回収されていましたね。
城一郎の「用事」。(第44話)
創真の決意と、それを聞いた仙左衛門の胸の内。(第137話)
そして何より、全ての始まりである創真とえりなの縁。(第2話&第4話)
そういった、これまで張られてきた創真とえりなの因縁に関する伏線が、次々とこのエピソードに集約されてきています。
特に、
創真は何時如何なる時でも楽しげに料理している
という点が明示されたのは個人的に大変大きかったです。
それはきっと、附田&佐伯先生が連載開始当初から常に心掛けていた事に違いありませんから。
例えどんなに高い壁を前にしていたとしても、どんなに不利な状況であろうとも、柔軟に対応し、楽しむことを決して忘れない創真。
恵が一足早く知っていた創真のこの姿勢に、えりなはようやく気付いたわけです。
創真から学ぶべき事が沢山あるえりなですが、この料理を楽しむ気持ちが今のえりなに最も必要な事かもしれませんね。
そうして今もまた、創真は楽しみながら料理を作っているわけです。
えりなに食べさせるために。
出会ったあの時は『ゆきひら』の料理の価値をえりなに知らしめるために作った創真。
ですが、今度はえりなの料理への想いを甦らせるため。
純にえりなのために料理を作ってくれるわけです。
もうこの時点で、憧れの城一郎の料理に込められていたであろう、「心」の点は合格☆
もはや舌を唸らされるえりなの姿しか思い浮かびません♪
気になるのは、えりなが「美味い」と言うかどうかですが・・・・・・・・・・。
創真は馬鹿ではありません。
えりながあの時本当は「美味しい」と思っていたことなんて、とうの昔に気付いています。(証拠:第28話)
要はそんなつまらない意地や見栄なんて張れないほどの、素直にならざるを得なくなるほど美味しい料理を作ってやろうとしているんですよね、創真は。
ですから、私としては特にここでえりなに「美味しい」と言わせる必要は無いと思っています。
創真の料理に笑うなり泣くなりして、心から満足してくれればそれで充分だと。(^^)
そんな創真が編入試験時のリベンジとして作ることにしたのが「天丼」なわけですが、具材は間違いなく「卵」だと思います。
あの時に作った『化けるふりかけご飯』も「卵」がメインの品でしたから、今回もそれを踏襲した品で攻めてくると思うんですよね。創真のことですから。(^^)
多分ポーチドエッグを天ぷらにするのでしょうが、そこにどんな創真らしい工夫が施されるのかが非常に楽しみなところ。
『化けるふりかけご飯』はその発想だけでなく食感にもスポットが当たっていましたし、今回も食感に触れるかも。
あの時は「ふわプル」だったから、今回は「さくトロ」かな?
次回は間違いなく重要な回となることでしょう。
お気付きでしょうか?
これまでの展開の中で、十の倍数の回は重大な内容になっている傾向があるということに。
だから次回も、きっと。
さぁて、創真は一体どの方向からアプローチしてくるのでしょうか。
次回が大変楽しみです!!