あまぐりころころ

主に漫画やゲーム等の感想や考察を。
時に旅行記等も交えながらの、のんびりのほほんブログ。

『食戟のソーマ』三周年記念考察 ~主要キャラ達の恋愛的展望~(後編)

2016-05-22 14:30:00 | その他感想・考察

 さーてさてさて、さてのさて。
 それではお待たせいたしました!!
 『食戟のソーマ』三周年記念考察の第三部。
 その後編をいざ述べさせて頂きましょう!!





 いよいよこの最終章にて、読者が最も注目している点であり作中においても最大の鍵である、主人公創真とヒロイン達の恋愛的展望について考察していくわけですが・・・。
 改めて、宣言しておきます。
 

 

私は創真至上主義者です。


 

 ヒロインらの幸せよりも
 世界の平和よりも
 創真の幸せが何より大事。
 そう考えているような奴です。

 これから述べる考察は、そんないち創真ファンによるものという事をどうか念頭に置いてご覧くださいませ。



 私がこの作品のラブコメ部分を心から気に入っているのは、大変ピュアでイノセントな交流もさることながら、もう一つあります。
 それは主人公がヒロインらに対して圧倒的主導権を握っているところ(えー)

 最近の少年漫画の主人公はヒロインに振り回されたり頭が上がらなかったりするのが多い中、創真は珍しいほど女性に対して“強い”子です。
 不敵で大胆、マイペースでありながら一切ブレない創真。しかも天然(笑)。
 ですが。
 そんな[荒野]であり[春の嵐]である創真だからこそ。
 ヒロインらの「囚われているもの」を吹き飛ばしてくれるわけです。(^^)




【創真、えりな、恵、それぞれの恋愛観】

 現在の時点で、ヒロインと言える子は4人。
 ご存知えりな・恵・郁魅・倉瀬。
 まずはメインヒロインにあたるえりなと恵、そして主人公である創真が「恋愛」について果たしてどう思っているかを考察してみることにしましょう。


 まずはえりなについてですが・・・。
 彼女の恋愛観は番外編:『夏休みのエリナ』に全て詰め込まれていると言っても過言ではありません。
 城一郎に深い「憧れ」は抱いているものの、それは料理人としてのもの。
 ・・・もっとも、私はその「憧れ」には別の意味も含まれていると思っていますが。

 年頃の女の子らしく恋愛事に本当は興味があるものの、己の道を極めるためには必要ないと考え、切り捨てているえりな。
 城一郎が「良い料理人」になれたのは、「特別に大切な人」の存在がいたからこそだったということを知らずに。

 そんなえりなは、城一郎が掲げる「良い料理人」から最も遠いと言えます。 
 その才能と英才教育によって「凄い料理人」にはなっているものの、自身が憧れ目標にしている城一郎という料理人の“本質”には近づけていません。
 しかもこれまでずっと最高の料理を「捧げられてきた」彼女は、逆に自分が誰かに己の料理を「捧げる」という事自体考えたことすら無いでしょう。
 そんな彼女だからこそ、相手への心からの想いを込めた料理とはどのようなものかを知り、その大切さについて考えていかなければならないわけです。
 そのためにも、「特別に大切な人」の存在は彼女にとって必須と言えます。



 そんなえりなと対照的に、
 「良い料理人」に最も近いと言えるのが恵。
 彼女の実家からの教え。それは謀らずも城一郎の言う「コツ」と本質が同じものでした。
 その教えもあって、恵は料理人の道を歩むのに「特別に大切な人」の存在、ひいては「恋愛」は必要と考えている人物です。
 そして何より、その教えは「たった一人の特別な人」への想いを芽吹かせてくれたという。
 
 その相手とは勿論創真。(^^)
 今はまだ無自覚ではあるものの、創真への想いを勇気に変え、恵は確実に歩んでいます。



 そして当の創真はどうかというと・・・。
 恋愛事に関してだけは、いっそ見事なまでに超鈍感(苦笑)。
 
 ですが。

 実のところ、創真はかなりしっかりした恋愛観を持っていると私は思っています。

 色恋沙汰に全然関心が無いような素振りなのも、料理人という己の道を邁進するのに今は夢中なため。
 もし。
 いずれ誰かを想う気持ちに彼が気付く時が来たならば。
 その気持ちに戸惑うでもなく、否定するでもなく、静かに受け止められると思うんですよね。
 創真はちゃんと自分の気持ちに向き合える大人な子ですから。
 少なくともえりなやタクミと違って、己の道を邁進するのに「恋愛」は必要ないとは思っていないことでしょう。
 実際、恵の実家の教えに賛同してくれていましたしね。

 それに・・・。
 私の見立てでは、創真にも既に「特別に大切な人」への想いは芽吹いていると思いますよ?
 「あの子」への優しい眼差しを見れば。(^^)

 恋愛事に無頓着なように見えて、実際に「恋愛」に触れた際はきっと誠実に向き合うことが出来るであろう創真。
 そのバランス加減は彼ならでは。
 「恋愛」という面においても、そして「良い料理人」への距離においても、創真はえりなと恵の中間に位置していると言えるわけです。





【魅力あるヒロイン達の中で、恵を推す理由】

 そんなわけでして、「恋愛」に対する三者三様の関心、考え方を持っている三人。
 ここにサブヒロインにあたる郁魅と倉瀬も関わり、創真を中心にした微妙な関係が繰り広げられているわけです。

 単行本第5巻感想でも述べていますが、
 私は創真が幸せなら誰と結ばれても構いません。

 ですが。
 その一方で、出来れば恵と結ばれて欲しいと願っています。

 何故えりなや郁魅を推さないのか?



 ここで重要となるのが、『幸平創真』という主人公の内面です。



 その家柄や容姿や才能から、多くの人々から憧憬や畏怖、尊敬といったものを一身に浴びているえりな。
 ですが「特別な自分」であり続けなければならないために、自ら周囲に「壁」を作っているという。
 そんなえりなの“孤独”は、これまで随所で描かれてきました。




 実を言うと。





創真も奥底に“孤独”を有している子です。







 あんなにも沢山の仲間やライバルに囲まれ、温かい世界にいつも包まれている創真が何故?とお思いでしょう。
 でも・・・。



 表面的態度とは裏腹に、内面はとても誠実で情に厚く、思慮深い創真。
 そんな創真はこれまで敵味方を問わず、多くの人々を“見て”くれて、そして理解してくれていました。
 そんな創真に多くの者が助けられ、変わっていきました。



 そんな創真をずっと見ていくうちに、いつしか思うようになったんです。





 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

じゃあ、創真を理解してくれている人は・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 改めて考えてみて・・・。

 愕然としました。











 本人さえ素直になれば、理解してくれる人は沢山いるえりな。
 なのに創真はあれほど素直で裏表が無いうえに、作中トップクラスと言える程コミュニケーション能力に秀でていながら
 彼を理解してくれている人はあまりにも少ない。
 何故なら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あまりにも創真の“器”が大きすぎて。思慮が深すぎて。
「普通」の人では理解出来ない域になってしまっているから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 周囲の人達は創真を慕いつつも、時々彼の考えが分からなくなり、時に誤解し、時に非難してしまう。
 そしてヒロイン達もまた、この例に漏れてはいません。

 郁魅は強気で真っ直ぐな子であるが故に、そんな悲しい誤解をしてしまいがち。
 個人としては好きなものの、創真との恋の成就を本気で支持できないのはこれが原因なんです。
 ・・・ゴメンね、郁魅。

 倉瀬は創真をずっと長い間見てきて、彼の「凄いところ」は充分に分かってくれているものの、その引っ込み思案な性格が災いして自分から創真に近づこうとする「一歩」が踏み出せていません。
 そのため、彼の“影”の部分には気付けていないという。
 もし倉瀬が創真の“影”の部分にまで気付いてくれていたならば、例えどんなに出番が少なかろうが彼女を推していたことでしょう。


 そしてメインヒロインであるえりなはというと・・・。
 残念ながら、私から見てえりなは「女王級の力を持った普通の女の子」です。
 そんな彼女が「魔獣級の器」である創真を理解できるとは正直思えません。

 しかも、ただでさええりなは他者に対して“求めて”ばかりいる子。
 そして創真は他者に“与える”子なわけですが、そんな彼女が創真と結ばれてしまったら、それこそ貰って(捧げられて)ばかりになってしまいます。
 それではえりなの成長になりませんし、いずれは葉山の献身に対する汐見のように不安を抱いてしまうかもしれません。



 それはえりなとは対極の“孤独”。
 いわば、飛び抜けた「才能」を持たされたが故に独りに追いやられているえりなに対し、飛び抜けた「器」を持っているが故に独りになってしまっているのが創真。




 だからこそ。

 

 

 

 

 

彼を本当に理解してくれる人が傍にいて欲しいんです。






 

 自由気質な創真。
 そんな彼の[風(嵐)]の部分を咎めない子が。

 常に歩みを止めない創真。
 そんな彼の[大地(荒野)]の部分に、ずっと付いて行ける子が。

 『幸平創真』という人物の“光”も“影”も、全てひっくるめて受けとめられる子が。

 そんな子が創真の「危うさ」を支え、守ってくれると思うんです。

 私が見る限り、そうなれる子は恵だけ。
 [田園]という水や緑といった“恵み”に溢れる彼女ならば、乾いた大地に潤いを与えてくれるに違いありませんから。





【もう一人のメインヒロインの相手とは】 

 では一体、えりなと結ばれるのは誰になるの?と疑問にお思いでしょう。
 確かに。
 上でも述べましたが、えりなが「良い料理人」になるためには「大切な人の存在」は不可欠です。

 恵推しではありますが、創真とえりなのコンビも決して嫌いではない私。
 創真のマイペースさにきりきり舞いなえりなという様式美は最高ですし♪♪♪(ドS顔)
 そんなわけで、えりなのお相手は創真のファクターを多く持つキャラがお似合いと思うんですよね。
 いつも笑顔で。
 掴めなくって。
 思慮深くて。
 大者で。
 ドS(核爆)。
 そんな人が。



 ・・・もうお分かりになられたでしょうか?





 
そ・れ・は。





 一色先輩。




 (あわわわ、今「え゛え゛え゛―――!!!???」という声がめっちゃ聞こえた・・・/大苦笑)


 彼を選んだ理由も勿論ちゃんとありますよ?
 といっても、最初の切っ掛けもやっぱり「女の勘」だったんですが。(核爆ドッカーン)

 タクミと郁魅の初対面の時と同じです。
 えりなと一色先輩の会話(第40話)を初めて目にした時にピン☆ときたんですよ。
 「あ、この二人仲良いネ」と。
 ・・・なんか私の脳内には、「火花を散らす=仲が良い」という図式がある模様(爆)。

 メタ的なことを言わせてもらえば、えりなは女性キャラの中でも圧倒的に人気のある子です。(なにせ人気投票連続2位)
 ファンからしてみれば、主人公である創真に匹敵する程のキャラクターでないと相手役として納得できないと思うんですよね。
 ですが、一色先輩なら流石に納得できるのでは?
 なにせ一色先輩は創真とは反対の意味でこの作品の世界観の象徴ですもの。
 変態性異常性といった。(核爆ドッカーン×2)
 
 えりなは振り回されてこそ魅力が発揮される子です。
 だからこそ、創真とはまた違った形でマイペースな一色先輩はきっと良い相性な筈。
 一色先輩なら間違いなく、えりなを華麗に手の平で転がしてくれることでしょう♪(どエスマイル)  
 おまけに、えりなは「年上」が好みのようですしネ。(^m^)



 でも。
 この予想が当たろうとも当たらずとも
 どんな紆余曲折があろうとも・・・
 この作品が終焉を迎える頃には。

 たとえ成就しなかった恋であろうが、ちゃんと己の糧に出来る子にえりなは成長してくれているに違いありません。





【メインヒロイン二人の“役割”と、創真への感情故の“障害”】 

 「ヒロイン」には二つの役割があると私は考えています。
 一つは「作品にとってのヒロイン」。
 作品の設定や舞台に大きく関わり、主人公の目的達成や成長に欠かせない存在。
 そしてもう一つは「主人公にとってのヒロイン」。
 これは「ヒロイン」というイメージにストレートに求められる、主人公と恋仲になる存在。

 私が思うに、えりなは「作品にとってのヒロイン」で、恵は「主人公にとってのヒロイン」だと思うんですよね。

 いわばえりなはこの作品の「看板」、そして恵は土台にあたる「礎」、そして創真は全てを支える「大黒柱」。

 その作画の美麗さ故に、多くのカラーイラストが描かれてきたこの作品。
 記念イラストやポスター等で恵よりもえりなの方が多く描かれるのは、まさに彼女がこの作品の「看板」だからではないでしょうか。
 そして、これまで三年以上も連載を続けていながら創真と恵のツーショットは一度たりとも描かれていないのも、同種の理由によるものなのでは。
 創真と恵の二人だけを描いてしまった場合、佐伯先生がどう頑張ろうが恋人同士にしか見えないイラストになってしまうんでしょうね、多分(苦笑)。
 二人のツーショットはここ一番!!という時まで温存しておくつもりなのかも。



 ずっと悪態を取り続けてきたものの、ここ最近の展開で最大のネックであった創真への偏見的見下しが改善され始めてきたえりな。
 順当に創真との親睦を深めている恵。
 彼女らと創真との関係が今後どう進展していくのか、非常に興味深いところです。
 ・・・しかしながら。
 恋に障害はつきもの。
 この作品はあくまで料理バトル漫画なため、ゴチャゴチャした人間関係のもつれは無いと思っています。
 それだけに、創真とヒロインらの間に阻む障害は外因的要素ではなく、ヒロイン達がそれぞれ抱いている創真への想いそのものになってしまうような気が・・・。

 これまで散々創真を侮辱してきたという「罪」。
 創真から色々助けてもらったという「恩」。
 丁度対照的な意識を、えりなと恵は創真に対して抱いています。

 彼女達はこれからその想いにもっと深く向き合うことになるでしょう。

 真面目で融通の効かないえりなは、酷い「罪」を重ねた自分が許される筈が無いと、自分で自分を追い詰めることになるのでは。
 自己評価が低い恵は、もし創真への想いを自覚したとしても、彼への「恩」を本当に大切にしているが故にその気持ちを「高望み」として戒めてしまうのでは。
 
 そして、そんな考えの果てに、彼女らは創真との間に“隔たり”を作ってしまうのではないのでしょうか。

 えりなは罪悪感による「壁」を。
 恵は戒めによる「距離」を。



 けれども。



 そんなヒロインらの“隔たり”を、創真は「己の料理」で取り払ってくれるのでは。





【自分の料理の全てを捧げるというのはどういうことか】

 というわけで、記念考察の第一部第二部も、この第三部を語るための補足の役割を兼ねていたのでした☆
 ではいよいよ本題中の本題へ。
 この作品の最重要概念である「自分の料理の全てを捧げたいと思えるような相手に出会うこと」について、いざ、私なりの考察を述べさせて頂きます。

 この作品のキーパーソンである城一郎。
 彼は度々作品のテーマとも言える重要発言をしていますが、これはまさにその代表。
 「良い料理人」になるためには。
 その秘訣として城一郎が掲げたのは「特別に大切な人」の存在でした。

 この言葉の真意について、ずっと考えてきました。
 創真にとって、ヒロイン達にとって、この言葉はどういう意味を成してくるのか。
 それについて、私なりの「答え」を出すヒントになったのは・・・意外にも、最初の頃にあったんです。
 それは、いまや伝説のシリーズとも言える、四宮編の第23話で創真が恵に話した城一郎の教え。

 「料理とは 皿の上に自分の全部を載せること」

 自分の全て。
 それは
 自分の力。
 自分の心。
 自分の人生。

 それらを全部ひっくるめたものなのでは。

 そして、そんな料理を相手に“捧げる”ということは
 自分の力の全てを、その相手のために尽くすことが出来るか。
 自分の心を全て預けることが出来るか。

 自分のこれからの人生を相手に委ねることが出来るか。
 
つまりはそういう事ではないのでしょうか。



 逆に、そんな「自分の全てを載せた料理」を捧げられる相手も覚悟が必要です。
 ある意味当たり前のことを言わせてもらいますが―――


 料理というものは「美味」だけではありません。


 その一皿の中には一般的に好まれる「甘味」や「旨味」だけではなく、「苦味」もありますし、「酸味」も、「塩味」や「辛味」や「渋味」だってあります。
 そんな一般的に嫌われがちな「不味さ」とも言える“味”
 例えるとするならば、そういった“味”は作り手の弱さや醜さ、孤独、闇。
 自分の全てを込めた料理というものは、そういう“味”もあってこそのもの。

 相手はそんな全ての“味”を、料理人の全てを、受け止める責任があると思うんです。

 そして、創真はそんな「不味い味」さえも受け入れながらこれまで料理を創ってきたという。 
 だから創真はあれほどまでに他者を頭ごなしに否定せず、受け止めてくれる子なのでしょうね。
 だからこそ尚更、願わずにはいられないんです。
 創真の“味”の全てを受け止めてくれる子と結ばれてほしいと。



 城一郎の言う「良い料理人」に遠いだけに、えりなはこの言葉を最もストレートな意味で学ぶべき立場です。
 己の才能である[神の舌]に頼った料理を自分のために振るうのではなく、えりなはもっと他者を思い遣った料理を「自分の料理」として確立していかなければなりません。
 そのためには、もっと世界の広さを知り、己の価値観や視野を広げる必要があります。
 料理を通して、自分は他者に何を与えられるか。
 ただ一人の人(城一郎)から、多くの人との繋がりへという“拡大”。
 それが彼女が「良い料理人」になる方法だと思います。


 そして恵は最も「良い料理人」に近くはあるものの、まだ乗り越えるべき試練はあります。
 仮に上記の予想が当たったとして、創真を尊敬するが故の「距離」を取るようなことになったならば尚の事。
 この作品の登場人物はそのほとんどが我の強い者ばかりですよね。
 そんな中、恵は最も我欲の無い子ですが・・・。
 私としては、恵にはもっと「我が儘」になって欲しいんですよ。
 ここもまた、えりなとは逆になるわけです。
 常に他者を思い遣ってばかりの彼女だからこそ。欲の無い子だからこそ。
 これから問われるのは我儘なまでに相手を求める気持ちだと思うんです。
 創真を「料理人」としてではなく、「一人の人間」として必要とする想い。
 沢山の大切な人達から、ただ一人の特別な人(創真)へという“集束”。
 
それが恵が「良い料理人」になるための最後のピースなのでは。



 そして。
 創真はというと―――

 私から見るに、創真は「良い料理人」の“本質”を既に習得しちゃってると思うんですよね☆
 これまでの考察の中で述べてきた通り、創真は「ただ一人の特別な人」の大切さも、「出会い」の大切さも分かっている子ですから。(^^)

 ではそうなると、創真の成長方向はどうなるのというハナシなわけですが・・・。
 単行本第6巻感想でも述べたことですけども。
 創真と城一郎は似た者親子ですが、「同じ」ではありません。


 創真は、彼にしか出来ない解釈で城一郎の言葉を超えていくと思うんです。

 そしてそれが、創真の最終目標のひとつである「父親を超えること」になるであろうと。

 その「可能性」の一端として、記念考察第二部(後編)を述べさせて頂いた次第です。





【総括】

 そんなこんなで、超長々と語ってきたこの三周年記念考察でしたが、ようやく書き切ることができました。
 大満足です♪
 そしてなにより、完結出来たのは見放さずに読んでくださった皆様のお陰です。
 ここまでお付き合いくださり、本当にありがとうございました!!



 最後に。

 ヒロイン達との恋愛、仲間やライバル達との友情、そして親子の愛情といった、多くの“絆”。
 そのほとんどが料理を通して描かれているわけですが―――
 その料理を作るのは、料理人の「手」。
 だからこそ
 それら“絆”の最たる象徴が



 えりなが心の奥底で惹かれている


 恵の心を常に支えてくれている

 

 

 

 

 

“繋がる手”と“重なる手”

 

 

 

 

 

 

 これら二つの「手」であるに違いありません。



 ストーリーのあらゆる部分に、大切な“鍵”がちりばめられているこの作品。
 そのを拾い集めていけば、キャラクターそれぞれの、そしてこの作品の、「これから先」が見えてくるような気がします。

 そして、いつか。

 料理においても。
 恋愛においても。
 
 最後には

 「ごちそうさま」

 と笑顔で見納められるような。

 そんな終着を心から願っています。(^^)

 


 


『食戟のソーマ』第165話感想

2016-05-14 00:30:00 | 食戟のソーマ

 まずい・・・三周年記念考察の後編が全然纏まらない・・・(汗)。
 文章自体は既に山盛りなのですがね。
 なんてったって、約三年もの間溜め続けてきた考察ですもの(え)。
 ただ、それを読んでくださる方にも分かりやすいように整頓しようと思うと・・・これがなかなか難しくって。
 この最終章は主人公とヒロインらの関係性という超重要な内容だけに、どうしても自分が納得できるまで文章を練り込みたくなってしまうんですよね~。
 なるべく早くUPするよう努めますので、どうかもうしばらくお待ちください。





 週刊少年ジャンプ2016年23号掲載
 掲載順第14位
 第165話 【2つの表情】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冗談じゃない・・・!!!(顔面蒼白)



 


 本気で、最近の低空飛行振りは深刻なレベルに達してしまっていると思います。
 どうしちゃったの『ソーマ』・・・!!

 ですが人気の低下とは到底思えません。
 ということは、やはり原因は入稿遅れでしょうか・・・。
 でもツイッターのご様子から見るに、附田先生も佐伯先生もとりあえずお体を崩されてはおられない模様ですし・・・。 

 あ。

 単行本作業だけでなく来週発売の『ジャンプ流!』の作業もあったからか☆





 と、自己完結したところで今週の本編感想へといってみましょう~。



 先に料理を完成させたのは創真。
 そして判定へと移ろうとしますが・・・。

 ここにきて、肝心の判定方法を決めていなかったことに創真は気付きます(苦笑)。
 司としてはお互いに食べ比べするつもりだったようですが・・・。

 審査役を頼もうと声を掛ける創真。
 廊下にいたギャラリーに(笑)。

 バレてたことに驚くえりなと新戸。
 彼女らがいたことには司も気付いていなかった模様。
 やっぱり創真は勘働きの良い子だと思う。

 隠れていた二人に根本的疑問を投じる創真。
 その問いに新戸は・・・。
 「・・・どうしてでしょう?」
 身も蓋も無い。(大笑)

 こうして創真はえりなと新戸に判定を任せようとしますが、新戸は困惑します。
 この勝負にもし創真が負けてしまったら、セントラルに入ることになってしまう。
 そんな重大な件が掛かっている勝負を、このまま続行させられるわけがないと。
 新戸本当に打ち解けてくれたなあ・・・創真を心配してくれてるんですね。(^^) 

 ですが、創真は引き下がるつもりはありませんでした。
 この勝負は十傑第一席の座が掛かっていますが、それ以上に“創真の大切なもの”に関わる勝負になってしまっていたから。

 そんな創真の意志を汲み取ったのか、えりなは審査役を引き受けます。
 こうしてえりなは「判定人」としての顔へ。

 そして創真の料理を口に運ぶ新戸とえりな、そして司。

 結果。

 全員おはだけ★ 

 
特にえりなはひっっっさし振りですよね。
 「強者ほどおはだけしにくい」というこの世界の法則通り、ここでも 司<えりな<新戸 の順におはだけ率が高くなっています。

 ・・・ん~・・・それにしても最近の展開はなんか露出が頻繁に描かれてますね・・・。
 男性ファンは願ったり叶ったり???でしょうが、私としては少し辟易気味・・・。


 炭火焼という手法によって生まれる独特の風味は、本来フレンチに落しこむには非常に難しいものでした。
 それを創真は独自の発想によって見事にフレンチとして成立!!
 そんな斬新な創真のフレンチは、名付けて『鹿もも肉の炭火焼き~栗のソース~』!

 これには、えりなもフレンチであることを認めざるを得ませんでした。
 よっしゃ!!(Σo
(><))



 一方、司はそんな創真の料理に何か考え込んでいる様子でしたが・・・。
 我に返り、慌てて自分の料理を出します。
 司の品の名称は、『ふたつの表情を見せる鹿のロースト』。
 なるほど。今回のサブタイトルはここと繋がっているわけですか。

 大変美しいその料理に息を呑む一同。
 そして緊張しながら口に入れた瞬間、新戸は―――
 司の料理の世界へ。
 これはあれですね。
 秋の選抜美作戦での「ゆきひーランド」のように、気が付いたら料理人の世界に引き摺り込まれていたというやつですね。

 その圧倒的手腕に戦慄する創真。
 それでも笑んでいるあたりが創真らしいところ。
 壁は高ければ高いほど超え甲斐があるといったような。



 かくして判定へと移りますが、困窮する新戸。
 同じお題・ジャンルでの料理であったにも関わらず、両者の品は比べられないほど別種のものだったから。
 ここのカットは上手く組み合わせましたね~。
 カラーで見ると尚更思います。
 司も[創真のライバル三大柱]と同様に、創真とは対照的なカラーリングですよね。(でもって竜胆先輩は四宮と同様に、創真とは同調的なカラーリングだと思う)
 「挑む」創真と「慈しむ」司という、二人の表情の対比も非常に活きています。


 それでも・・・。
 意を決し、判定を下すえりなと新戸。
 その結果は―――

 

 


 

 

 う~む。
 これは意外でしたね。
 なにが意外って勿論、審査を任されたえりなの反応が。
 これまでの創真への偏見的見下しが解消されたことから、創真のセントラル入りという重大な件が関わっているこの勝負の判定を請け負う事にもっと戸惑うかと思っていたのでしたが・・・。
 実際は予想外に毅然とした態度を見せていました。

 その様子から、少なくとも舌に嘘を吐くつもりは無い模様。
 躊躇や困惑といった心理模様を見れなかったのは正直残念でしたが、審議を偽るつもりは無い意思が窺えたのは安心しました。
 やっぱりえりなにはもう創真の料理に嘘を吐いて欲しくありませんから。
 今回創真の料理を真っ当に評価してくれていたのも良かったです。(^^)

 そしてそれは新戸も同様でしょうね。
 これまではマイナス面が強調されていましたが、二人とも正義感の強い真っ直ぐな子ですから。



 そして気になる創真の料理はというと・・・。
 確認ですけど、今回の料理って即興なんですよね?
 それでありながら、すぐさまこれほどのアイデアを取り入れた品を創り出せるとは!
 本当に創真の“引き出し”はどんだけだよって感じです。

 サポート能力の向上に加え、ここでも四宮の店でのスタジエール研修で学び取った事が活かされていました。
 炭火焼という奇抜な手法を用いながらも、しっかりとフレンチの構成に則った品を創り上げられていたのもその成果です。 
 個人的に最も感心させられたのがカカオの代わりにコーヒーを用いるという発想。
 珍しい食材を身近な食材で置き換えるという創真のこのアイデア性はやはり面白いです。
 しかもそれがしっかり機能しているというのだから凄い!
 クセの強いものを媒介物を用いることで纏め上げる。
 これを即興で成すには、よっぽど食経験がしっかりしていないと出来ない事だと思うんですよね~。
 しかもあのえりながすんなり受け入れる程にきちんと噛み合っていたわけですから。

 「剥き甘栗」なだけに剥かれちゃいました☆
 といった感じで、これまでと比べて随分と安直に見えた今回の「おはだけ」。
 ですが、えりながそこを上手く例えていましたね。
 常識の殻を剥き去っていくような―――と。
 それと同時に、自分の殻に閉じこもりがちだったえりな自身をも指してもいたのかもしれません。



 ですがやはり第一席の料理も凄かった。
 料理の解説だけで如何にハイレベルな料理かというのが伝わってきましたよ。
 創真の「斬新な創意工夫に溢れる料理」に対し、司は「徹底的に洗練された技術による、既存の料理」。
 新戸も思っていたように全くその方向性が違っていた両者の品でしたが、異なる味を一つの皿で表現という点が共通していましたね。
 これは創真と司の二面性の暗喩でしょう。
 司はソースを二種類に分けることで「甘酸っぱさ」と「辛さ」という二面性を表現。
 一方創真は一つのソースの中で「甘味」と「苦味」という相反する味を表現。更にそれを調和させているという、まさに渾然一体。
 二人の大きなギャップ性を意味するうえでも興味深い品同士だったと思います。
 尤も、創真は“二面性”どころか“多面性”な子ですけども。





 次回はいよいよ運命の判定ですが・・・。
 創真は負けてしまうでしょうね。
 勿論気持ちとしては創真に勝って欲しいですよ、当然。
 でも・・・。

 今回の勝負のお題は「鹿肉」でした。
 なのにえりなと新戸の「おはだけ」のイメージは「栗」だったんですよね。
 これは今回のお題からは“的外れ”と言えるのでは・・・?
 もしお題が「創作フレンチ」とかだったりしたら創真が勝つ確率は格段に跳ね上がっていたでしょうけど。

 何よりも残念だったのが、「定食屋出身の創真だからこそ思いついた発想」が今回の品には用いられていなかったということ。
 叡山との食戟では「大切なもの」があったからこその発想によって見事に勝利を収められましたが、今回は期待に反して用いられていませんでした。
 その点も敗北を予感させてしまうんですよね・・・。
 だからこそ、実家での経験の代わりとしてスタジエールでの経験を作者側は用意したのでしょう。 



 そんな不安の中、気になるのは司の反応。
 創真の料理を実際に食して一体どう感じたのか。
 これが次回の展開を左右させそうですね。
 

 


『食戟のソーマ』三周年記念考察 ~主要キャラ達の恋愛的展望~(前編)

2016-05-05 22:00:00 | その他感想・考察

 本当にあっという間のように思えます・・・。



 今日5月5日をもちまして、このブログ【あまぐりころころ】は開設から三年目を迎えました―――!!!



 振り返れば色々な事がありました。
 楽しかったこと、苦しかったこと・・・。
 更新の遅さから自分に嫌気がさし、やめようかと思った事もありました。
 それでも・・・。
 やめられなかったんですよね~。
 やっぱり『食戟のソーマ』を語りたかったから。

 だから、私がブログを続けてこられたのは、ひとえに『食戟のソーマ』がずっと面白い作品でいてくれたお陰。
 そして何より、更新が遅かろうが休止していようが訪れてくださった皆様のお陰です。
 なんだかんだでここまでやってこれた以上、このブログを少し誇りに思ってもいいかな・・・?とちょっぴり思ったり。

 相変わらず更新は遅いままでしょうが、少なくとも『食戟のソーマ』で書きたいこと、やりたいことはまだまだま~だまだ残っていますので、当分は続けていくと思います。
 とりあえず、次は五年目を目指して頑張りまーす!!



 さて。
 三年目突入を記念してお祝い考察でも・・・と思ったのですが、もう一つの「お祝い考察」がまだ未完なんですよね。

 ハイ。

 もうほとんどの方がお忘れになっているでしょうが、『食戟のソーマ』の三周年記念考察の最終章をまだUPしていなかったという。
 昨年末に本作が三周年を迎えてから、もう半年も経っちゃったというね。

 あまりの不始末にもはやお詫びの言葉もありません。(|||orz|||

 (でもブログの三周年突入時に『ソーマ』の三周年記念記事を書けて嬉しいvとも思っちゃったり)

 ・・・こんなどアホな管理人ですが、どうかどうかこれからもお付き合いのほどを宜しくお願い致します。



 では気を取り直して、と。

 それでは長きに渡った(←ホントにね!!!)、『食戟のソーマ』三周年記念考察。
 今回を持ちましてようやく完結です。





 第一部では【主人公&ヒロインらについての再考察】
 第二部では【主要キャラクター達の料理人としての未来予想】[前半] [後半]
 について、それぞれ考察して参りました。

 その過程の中で、創真の「危うさ」を守る存在
 そして城一郎の云う「良い料理人になるコツ」について言及しましたが・・・

 最終章にあたるこの第三部では、それらを踏まえて
 【主要キャラ達の恋愛的展望】
 について、私なりの予想&考察を述べさせて頂きます。



 ・・・その前に少々注意点をば。

 この考察はあくまで一個人の勝手な憶測です。
 決してこの考察以外のカップリングを否定しているわけではありません。
 「このカップリングしか認めない!!!」という熱い思い入れのある方は、どうかこの考察はご覧にならないでください。

 それに加えて、随所でかなり手厳しい内容になる恐れがあります。
 アリス、そして葉山がお好きな方は特にご注意くださいますようお願いします。




 ・・・宜しいでしょうか?

 それではいざ、三周年記念のラストを締める考察を始めることにいたしましょう。





 この『食戟のソーマ』という料理バトル漫画はその強烈な「お色気リアクション」が最大の特徴となっています。
 ですが、そんな過激なリアクションとは裏腹に、実際のキャラクター達の恋愛描写は非常にピュアでイノセント。
 私はこの作品のそういう点を心から好いています。純愛最高。(^^)

 主人公の創真を中心にした、多くの魅力あるキャラクター達の群像劇がこの作品の面白味をより一層深めているわけですが、面白味を深めているのはそれだけではありません。
 それは料理バトル的要素が各キャラの恋愛模様にも関わっているところ。
 尤も、それは本編ではまだ潜伏的にしか描かれておらず、彼らの恋愛模様がどう展開していくかはその大部分が読者の予想に委ねられているわけですが。
 よって私も、誰が誰と結ばれることになるかを自分なりの見解と理由を付けて述べさせて頂くことにします。



 主人公創真が、えりな・恵・郁魅といった三大ヒロインのうち誰と結ばれることになるか。
 それが読者が最も注目している点でしょうが、私としては[創真のライバル三本柱(タクミ・葉山・黒木場)]も、それぞれの方向で創真とヒロインらの恋愛模様に関わってくると思っています。
 そういうわけで、まずは彼らについての考察から始めましょう。



 まずは黒木場から。

 黒木場のお相手として真っ先に挙げられるのはアリス。
 これは当然でしょうね。
 この二人は四六時中いつも一緒ですし、長きに渡る料理勝負を通して、確かな絆を育んできましたもの。

 もはや一緒にいるのが当たり前といった具合に、大変安定した仲である黒木場とアリス。
 一方でそんな彼らと同様に、同い年で、異性で、常に一緒にいる、そんなペアがもう一組いたりします。
 それが創真と恵。
 そして彼らは秋の選抜本戦第一回戦で、互いが互いのパートナーと対決しているという縁が。
 実はこれを取り上げたのは
 秋の選抜本戦での対戦図は単なるその場だけの盛り上げを狙ったわけではなく、これからの展開への布石であった
 
と私が捉えているからによるもの。

 これまでずっと「二人の世界」で互いに腕を磨き合ってきた黒木場とアリス。
 ですが、それは言い換えれば「二人の世界」からしか刺激を受けてこなかったということでもありました。
 そんな彼らが秋の選抜にて、アリスは創真から「温もり」を、黒木場は恵から「心」をと、きっとそれぞれが最も欠けていた刺激を受けることに。
 こうしてアリスは創真を、黒木場は恵を認識するようになったことで、彼らの「二人だけの世界」は広がることになりました。
 黒木場とアリスがお互いのパートナー以外で初めて認めた「異性の料理人」。
 それが創真と恵だったこと。
 この因果関係はいずれ、「料理人」としてだけでなく、一人一人の人間模様にも何らかの影響を受け合うのではないかと推測しています。
 特に・・・。
 これは小説版第三弾における黒木場とアリスのエピソードのラストで仄めかされている事ですが、黒木場は創真にとっても超重要な、“あるファクター”に憧憬の念を密かに抱いているキャラです。
 そして恵はその“あるファクター”を強く持っているキャラだという。
 個人的にこれは非常に重要な点として、注目しています。

 一番恋愛関係に近いように見えて実はこのペア、中々厄介な問題を抱えていたりするんですよね。
 その要因は主にアリスの方にあります。
 黒木場とあれほど親しく、今や実力も拮抗しているというにも関わらず、アリスは「主従」という関係を保持したまま。
 それもその筈。
 アリスは「主従関係」という黒木場との間柄に甘えているから。
 港町のパブという辺境にいた黒木場を拾い、外の世界へ連れ出したアリス。
 その事実から、黒木場が評価されればされるほど、そんな彼の才能を見出した自分の株も上がると思っているという。
 「主」である以上自分は黒木場よりも上。
 
そういう定義から
黒木場を自慢に思う一方で、自分自身の格も誇示しているアリス。
 ですが、それはえりなと比較されることで抱いていた自身のコンプレックスに対する誤魔化しにすぎません。
 彼女自身はそれを自覚していない事でしょう。
 それ故に今の居心地の良さに満足してしまい、今の関係から進もうとしないし、進みたいとも思っていないというわけです。

 そして。

 アリスのこの考えは、葉山とも共通しています。





 前回の考察にて、葉山の汐見に対する想いは附田先生によるミスリードではないかと考えていることを述べました。
 それについていざ、ガチで語らせて頂きます。

 主要人物の中で、最も「大切な人」への想いがしっかりしている葉山。
 葉山にとって汐見は本当に心から大切に想っている人であり、かけがえのない存在なのでしょう。
 その点に関しては、私も何の疑問も抱いてはおりません。

 ただ。

 


その想いは果たして「恋愛感情」なのでしょうか?

 

 

 これで葉山が創真やタクミのように幅広い交友関係を持つ人物だったならば、私は何の疑問も抱かずに葉山の想いを「恋愛感情」と受け取っていたことでしょう。
 ですが、葉山にはこれまで友人と言えるような存在は誰一人としていませんでした。
 これは三周年記念考察:第二部(前編)でも述べていますが
 葉山は極端に人間関係が狭い子なんですよね。
 
 同年代の子達との交流を図ってこようとせず、助手としての務めに邁進していたのも。
 自分の天賦の才である「嗅覚」を活かす料理をひたすら磨き続けているのも。
 遠月学園で頂点の座を目指しているのも。

 全ては汐見のため。

 何故ならば
 自分の名が上がれば、スラムに埋もれていた自分を見つけ出してくれた恩人であり上司である汐見の名も上がるからと考えているため。
 そう、これがアリスと共通している考えなのです。
 アリスは「上」の立場から、逆に葉山は「下」の立場からこの考えを相手に対して抱いているわけですね。

 「人」とさえ扱ってくれないような劣悪な環境から自分を救い、人生を照らしてくれた汐見。
 彼女に対する葉山の感謝の思いは、恩義は、それこそ言い表すことなど出来ないほどのもの。
 だからこそ、言葉でなく献身という形で汐見への恩に報いようとしているわけです。

 ですが、個人的恋愛観から言わせてもらえば

 「献身」は「恋愛」ではありません。


 汐見のためだけでなく、自分が汐見の傍にいるためにも。
 ずっとずっと、ひたむきに努力を重ねてきた葉山。
 ですが、そんな彼の姿勢は私にはこう見えるんです。
 同年代のキャラの中でも葉山はかなりクールで大人っぽい子ですが・・・彼もまた、奥底に「子供」を抱えている人物なのではないのでしょうか?
 幼少時代の環境の過酷さから、「大人」にならざるを得なかった葉山。
 汐見の傍にいることにあれほど固執するのも、汐見の傍にしか自分の居場所を見いだせずにいるからなのでは。
 それは言うなれば、親元を離れるのを怖がる子供の気持ち。

 要するに。

 葉山は物凄い「親思い」な子なんですよね。


 身体だけでなく、心も酷く“飢えていた”葉山。
 だからこそ、そんな自身の“飢え”を満たしてくれた汐見への想いは、本当に一途で強いものとなったわけです。
 読者が「恋愛感情」と見紛うくらいに。

 ですが、果たして当の汐見は葉山が自分に尽くしてくれることを望んでいるでしょうか?
 答えは否。
 自分のせいで葉山を追い詰め、縛り付けているのではないかと負い目に感じています。
 汐見としてはやはり「親」として、葉山自身が「己の幸せ」を見つけ出すことを望んでいるんですよね。

 メタ的に見ても、ただでさえ二人は強大な「恩義」による主従関係で繋がっているというのに、更にそこに「恋愛」という関係性まで繋がってしまったら・・・
 葉山の“世界”は非常に狭いままで終わってしまうことに。
 汐見と同様に、私も葉山にはもっと“己の世界”を広げてもらいたいと願っています。もっと自由になってもらいたいと。
 だからこそ、葉山と汐見は結ばれるべきではない。
 これが私が葉山と汐見のカップリングに異を唱えている理由です。


 では、そんな葉山は誰と結ばれるであろうかというと・・・

 それは新戸。

 (あ、今「え~~~!?」っていう声が聞こえたような/苦笑)

 互いに「主」に対して強い忠義心を持っているという共通点があるこの二人。
 そして料理の得意ジャンルもまた、葉山は「スパイス」という香辛料、新戸は「薬膳」という生薬の使い手という、結構似た分野だったりします。
 そしてこの二人もまた、秋の選抜本戦でぶつかったという縁があるんですよね。
 勿論私がこのカップリングを推す理由はこれだけではありません。

 “世界”が狭いというのは葉山も新戸もお互い様でしたが、葉山は「ある人物」のファクターも大きく持っている子です。
 その人物とは、えりな。
 えりなのファクターを持つキャラは数多くいますが、中でも葉山はえりなの「危うさ」を最も色濃く持つキャラだと思っています。
 そして新戸はそんなえりなをずっと支えてきた人物だという。

 加えて、作者から「菜切り包丁⇒薙切」という姓をつけられたであろうえりなと同様に、新戸は砥石の「荒砥」が語源と推測。
 このことからも、えりなにとって新戸は必須の存在といえるのですが・・・。
 ひょっとしたら葉山の姓も、「スパイス⇒葉」ではなく、「刃⇒葉」を語源としているのではないでしょうか?
 実際、葉山は「刃」のように鋭く突き刺す子ですしね。

 そう捉えてみると、葉山にとっても新戸の存在は必須になり得ると考えられるんです。
 しかも「荒砥」は「刃」が欠けた時の修正に用いられるそうですよ。
 
 新戸は恵に負けず劣らず“あるファクター”を強く持っている子です。
 そんな新戸だからこそ、葉山の「危うさ」をしっかり支えていける筈。
 そして葉山も、そんな新戸に汐見とは違う安らぎを抱けるような気がします。





 最後はタクミですが・・・。
 小説版などで記されていますが、彼は[イケメンカルテット]中で最もモテながら、最も女性付き合いが浅い子です。
 それもひとえに、料理人の道を邁進するのに「恋愛」は必要でないと考えているため。
 あと、本人が“ライバル”の事で頭一杯だしね(笑)。

 本人が色恋沙汰に興味が無いことに加え、特に親しい異性もいないタクミは、最も「将来の大切な異性」を推測するのが難しいと言えます。


 ・・・が。


 見付けてるんですよね~~~これが☆


 一体誰かというと・・・。


 郁魅。


 (ああ・・・、「えええーーー!!??」という声が聞こえる・・・/大苦笑)


 なんで郁魅かというと・・・


 まあ、ぶっちゃけ「女の勘」です。(核爆ドッカーン)


 私って結構、男女のカップリングに関しては最初の第一印象を大切にしてるんですよね。
 タクミと郁魅が初めて出会ったのは地獄の合宿時(第28話)。
 そこで双子かと言わんばかりに息ピッタリと創真に詰め寄ってましたよね、この二人(笑)。
 このシーンは今でもお気に入りですが、当時目にした時インスピレーション的に思ったんですよ。
 「あ、この二人良いコンビになりそう☆」と。
 実際、創真を介すると意見が合いまくってますしね。(^m^)


 郁魅は良い女です(唐突)。

 ハッキリ言って、この作品中で最も幸せになって欲しい女の子は誰かと問われたら郁魅と答えます。
 それぐらい彼女は良い子ですもの。(^^)
 あ、幸せになって欲しい男の子は誰かと問われたら勿論創真と即答しますよ。当然。(言ってろ)

 それぐらい郁魅を気に入っているからこそ、思うんですよね。
 彼女の「女の子の部分」を大切にしてくれる相手と結ばれて欲しいと。
 小西先輩も良い人ですし、この二人のやり取りも結構好きなのですが・・・、小西先輩とだと郁魅はずっと「強い自分」のままでい続けなければならなくなる思うんですよね。
 郁魅は本質的にも強い子ですし、頼られることを重荷に思うような子ではありませんが・・・、やっぱり私としては、彼女の繊細さを理解し大切にしてくれる相手の方がお似合いなんじゃないかな、と思うわけです。

 自分の威嚇にも全く動じないという骨のある男であり、自分を「女の子」として見てくれた。
 郁魅が創真を好きになった切っ掛けは、それでした。
 そしてタクミも、そんな創真と似ている子です。
 内外共に本物の“紳士”なタクミなら、きっと郁魅を幸せにしてくれる、そう確信してます。(^^)





 こうして[創真のライバル三本柱]を中心にこれからの恋愛的展望を語ってみましたが、如何でしたでしょうか?
 ・・・もし、
仮に上記の予想が当たったとしたならば。

 恵を通して創真や黒木場が自分の内心と向き合うことになる筈。
 その際に、彼らの関係はどう変わることになるのか。

 これまでえりなを最優先に守り、ずっと傍にいてくれていた新戸が、想い人が出来ることで離れてしまったならば。
 えりなの動揺はきっと大きいことでしょう。
 果たしてその時に、一体誰が彼女を支えるのか。

 タクミと結ばれる前に、郁魅は必ずや自身の想いに決着を付ける筈。
 その時、創真は果たしてそれをどう受け止め、「大切な人」について彼がどう考えるようになるのか。

 城一郎が掲げる「良い料理人になるためのコツ」。
 それは城一郎から言われずとも、創真の周りにいるライバルや仲間達が教えてくれることでしょう。





 あ、ちなみに肝心の創真とメインヒロインらに関する考察については・・・。

 ちょいと今回の考察が長くなってしまったため、次に持ち越すことにします(核爆)。


 


『食戟のソーマ』第164話感想

2016-05-01 23:00:00 | 食戟のソーマ

 早くも5月になりました。
 世間ではゴールデンウィークですね~。
 十連休とか言ってる様子を見ると、軽い呪いを送りたくなります。
 皆様いかがお過ごしですか。栗うさぎはこの時期は黒うさぎになりながらお仕事頑張ってます。



 週刊少年ジャンプ2016年21・22合併号掲載
 掲載順第14位
 第164話 【師匠と弟子】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一体なんなんですかこの掲載順はーーー!?

 前回が表紙&巻頭カラーだっただけに尚更ショックがでかい・・・!(泣)
 なんだかここ最近、掲載順が安定していない印象を受けます。
 今回の掲載順の低さもまた、作者の体調が関係しているのでしょうか?
 ・・・心配です。





 本編は四宮の店でのスタジエールの一幕からスタート。
 いきなり「デグラッセ」という専門用語が出ていますが、これは調理後の鍋底に付着している肉汁等の旨味を、出汁や酒類、酢や水といった液体を加えて溶かすことだそうです。
 そして四宮さんの指導はやっぱりツンデレでした(苦笑)。



 そんな元・第一席の指導を受けた創真が、今立ち向かうは現・第一席!!
 創真の選んだ部位は「もも肉」。(よっしゃ!当たった!)

 鹿肉の下ごしらえを終えた創真は、「ある材料」を使うため自分のカバンを探ります。
 しかし・・・随分と色々取り出してくるね創真・・・。
 これでポットや茶碗まで出していたら、完全に混乱時のドラ●もんだな。(←)

 そうして良い笑顔vで創真が取りだした材料はというと・・・
 甘栗。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(・_・)

 

 

 

 

 

 

(・_・;)

(ハンドルネーム:栗うさぎ)

 

 

 

 

 

 

(・_・ ;;)

(ブログ名:『あまぐりころころ』)

 

 

 

 

 

 

(・_・ ;;;)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい? 

 

 

 

 

 

 

 


 いや偶然ですけど偶然だと分かってます偶然に決まってる。

 でも。

 

 

 

 

 

 

 

嬉しっ。

 

 

 

 

 

 

 

 これが他のキャラだったならば、「なんという偶然☆」と冷静に受け止めていたでしょうが・・・。

 あろうことか創真が用いてくれるんだなんて!!
 しかも相手が第一席という大勝負で!!


 これを光栄と言わずになにがありましょう!?!?





 ・・・よし。
 迷ってたけど、お陰で踏ん切りがつきました。
 【栗うさぎプロジェクト】始動です。(←?)





 甘栗を用いようとしている創真に新戸は驚愕してますが、アリスと同様に「箱入りお嬢様」なえりなは不可思議顔。
 決定。薙切一族の弱点は「一般商品」(笑)。

 新戸から説明を受け、何かに思い当たるえりな。それは司も同様のようです。
 う~ん・・・、私はちょっと思い当たりませんねえ・・・。
 確かに肉と栗の組み合わせは悪くないでしょうけど。(お肉に甘味って結構合うんですよね☆)



 ボウルを使って肉を休ませる司。
 そういえば郁魅もアルミホイルで包んで肉を休ませてたりしてましたが(第12話)、こっちの方が手軽な感じですね。

 そんな司の調理技術を学び取る創真。
 叡山との食戟でも相手の技法を観察してましたし、創真は常に学ぶ姿勢のある子ですよね。
 だから伸びるわけです。(^^)
 いずれそんな十傑との勝負で学び取った技を逆お披露目してくれることでしょう。(確信事項)

 戦っている相手だというのにも関わらず屈託無く接してくる創真を「不思議」と言う司。
 でしょう?(超笑顔)
 そして創真のそんな“不思議さ”は周囲にも影響していくんですよね。
 今すぐとはいかないでしょうが、いずれキミも・・・ね♪



 お~~~!
 出ました七輪!!
 やっぱりこれが用いられると創真の料理!!って感じがありますね~。(^^)

 そんな型に嵌らないやり方は非常に創真らしいのですが、新戸はツッコみまくり(苦笑)。
 隠れているというのを半分忘れちゃってます。

 ですが新戸とは違って、炭火焼の有能性を説くえりな。
 意外。
 以前のえりなだったらそれこそ手酷く罵倒しまくっていただろうに。

 続けてえりなは言います。
 「創真だけにしか創れない、新しいフレンチ」が誕生する可能性を。
 超意外。
 以前のえりなだったら「奇をてらっただけのB級料理」としてしか見なさず、「フレンチ」とは絶対に認めなかっただろうに。

 ここの発言ですが、「作れない」ではなく「創れない」と言っているのが良いですね。
 創真の独創性が言い表されています。



 場面は変わり、働く傍ら創真の事を思う四宮。
 すっかり良い「師匠」のお顔です。
 師匠さーん、お弟子さんは頑張ってますよー。(^^)(^^)(^^)



 こうして、先に品を完成させたのは創真。
 鹿肉だけでなく例の甘栗も存在感を主張していますが、それだけでなく、

なにやらシナモンスティックも添えられている模様。
 シナモンスティックというと・・・。
 思い出されるのは勿論“あの人物”なわけで。
 黒木場の品に続いてこの料理もそれを想起させる品になっていますが、これもきっと附田&森崎先生が狙ってのことでしょうね。

 ・・・ということは、“彼”の出番も近いのかな?

 

  


 

 

 もはや恒例になりつつある創真の[駄菓子シリーズ]ですが、今回の驚きは特別でした。
 まさにびっ栗☆
 ・・・ちょっと言ってみたかったんです御免なさい(土下座)。


 当の剥き甘栗ですが、随分と詳細にパッケージが描かれているな~と思っていたら・・・、実際にある商品なんですね☆(←甘栗はよく買うものの、違うメーカーの物を買っていた人物)

 製造元は【Kr●cie】か・・・。
 シャンプーや洗顔フォームで有名なメーカーですね。
 ・・・ん゛?
 Krac●e】って、『ねるねるね●ね』を製造してるメーカじゃありませんでしたっけ!?
 『ね●ねるねるね』といえば「知育菓子」。
 そうです。
 秋の選抜本戦で対アリス戦に創真が用いた品ですよ!!
 調べたところ、やっぱり的中。
 しかもなんと、創真が用いていた駄菓子とよく似ている商品まであったという!(この商品は知らなかった)
 はは~ん・・・さてはこれが縁でメーカー側とのコラボが実施されたのかな?
 アニメ第二期では丁度選抜本戦の模様が放映されますし、良い宣伝になることでしょう。 



 そんな栗を用いたフレンチを創真は完成させたわけですが、さて、果たしてどんな工夫が施されているのでしょうか。

 今回と同様に「大切なものを守るための勝負」であった叡山との食戟では、『羽根つき手羽先餃子』を作った創真。
 個人的考察からですが、実はあの料理には、将来創真が創り上げる【スペシャリテ】に関わるであろう要素が組み込まれていたんですよね・・・。
 それから想定するに、多分今回の料理は“甘さ”がポイントの一つになっていると思います。




 前回は創真の視点による彼の「原点」に関わる部分が描かれていましたが、今回は対照的に、四宮、司、そしてえりなといった「頂点」に関わる人物達からの視点による創真の姿が描かれていました。
 なかでも特に注目すべきは、やはり四宮、そしてえりなの観点でしょう。

 元・第一席という立場から見た、幸平創真という料理人の「強み」。
 それは底無しの探究欲と好奇心から生み出される自由な発想。 
 地獄の合宿で対立した時から創真の強靭な反骨精神は知っていた四宮でしたが、スタジエール研修にて創真をずっと見てきたことによって、また新たに彼の「強み」を見付けてくれていたわけです。
 いまや四宮は、創真が自分と同じ「頂」の舞台に上ってくるのを待っているんですね。(^^)

 そして四宮以上に創真をずっと見てきたのがえりななんですよね。
 これまで事ある毎に創真を否定し、反発し、侮辱してきたえりな。
 ですが、顔は背けども眼は常に彼を見ていました。
 価値観の違いと排他的で意固地な性格故に創真を決して認めようとしてこなかったえりなが、今回口にした創真への批評。
 それは彼女自身の「変化」の最たる証明だったと思います。



 さあ、次回はいよいよ創真の料理から審査に入るでしょうが、気になるのはやはり誰が審査員を務めるのかということ。
 やはりえりなが務めるのが妥当でしょうね。
 既に創真に気付かれちゃってますし(苦笑)。
 ですが新戸もいるわけですし、オブザーバーとしてえりなと一緒に食べる展開もあり得そう。

 四宮という師匠からの応援をこの度受けていた創真ですが、やはり勝てる可能性は低いと思います。
 その勝敗に掛かっている創真の命運に、えりながどう向き合うか。
 それが大きな注目所ですね。

 個人的には例えどんなに辛い展開になろうとも、もうえりなには創真の料理に嘘を吐いて欲しくないのですがね。
 それに、創真も自分の料理に嘘を吐かれるのは望んでいないでしょうから。