あまぐりころころ

主に漫画やゲーム等の感想や考察を。
時に旅行記等も交えながらの、のんびりのほほんブログ。

『食戟のソーマ』単行本第7巻感想 (アニメ化&単行本10巻突破記念)

2014-11-04 23:55:00 | 単行本感想

 祝!!アニメ化&単行本10巻突破!!!

 ということで、お祝いを兼ねて『食戟のソーマ』単行本第7巻の感想にいってみたいと思います!






 ・・・・・と、

 そ・の・ま・え・に・・・・・。


 公式にてテレビアニメ化決定記念プロモーションムービー公開!!!



 そうです。
 「静止画MADコンテスト」にて優勝された“あの方”が再び『食戟のソーマ』の静止画MADを作成してくださいました!!(><)
 アニメ化決定の報を知ってから、きっと実現するだろうとは思っていましたが、まさかこれほど早く作り上げてくださるとは・・・!

 今回も恐ろしいまでの素晴らしさです。
 もうこの方の進化は止まるところを知らない・・・!

 TVアニメ化決定記念 『食戟のソーマ』プロモーションムービー   

 (ちなみにニコニコ動画でも閲覧できまーす!)





 さて、それでは私も個人的なお祝いとして単行本感想をば。
 いやはや、新刊発売に合わせて書き進めていたものなのですが、まさかアニメ化のお祝いにも重なるなんて思いもしませんでした。
 なんともタイムリー☆

 ちなみに今回の単行本感想は、ちょいと考察に力を込めてしまったためこれまでで一番の文章量となってます★
 本当に文章を簡潔に纏められない人間で申し訳ありません。

 それにしても今回の後半に述べている考察が、これほど今現在の本誌の展開にドンピシャに嵌るとはこれまた思いもしませんでした。
 全くもってタイムリー☆☆☆

 それではいってみましょー!







 このたびの第7巻は2014年4月4日に発売。
 久し振りに番外編等は掲載されておらず、全て本編で構成されています。

 

≪掲載話≫

 ~第49話~ 【郡狼】

 ~第50話~ 【日常を超えるもの】

 ~第51話~ 【魔女の食卓】

 ~第52話~ 【花に仕える者】

 ~第53話~ 【寒い国からやってきた男】

 ~第54話~ 【華開く個の競演】

 ~第55話~ 【知で穿つ穴】

 ~第56話~ 【トスカーナの月】

 ~第57話~ 【彼女の思い出】

 

≪表紙≫
 前の巻である第6巻で裏表紙に取り上げられていたため予感してはいましたが、やはりその通り。
 今巻は葉山アキラが表紙を務めることになりました。
 得意のカレーを作っている葉山。
 前巻ラストから始まった「秋の選抜 予選」に向けての試作に取り組んでいる様子にも見えるイラストです。
 そして表紙イラスト恒例の相方は、やはり汐見潤教授。
 今回は水やり当番を忘れなかったようですね(笑)。

 ちなみに表紙の裏側は毎回その表紙イラストのメインキャラクターの顔半分が単色でアップになっているのですが、今回はいつもと違って目を引かれました。
 ここの葉山、髪を結んでいる部分が載っていないせいで短髪に見えるんですよ☆
 それがちょっと新鮮でしたね。
 葉山・・・短髪も似合うじゃん(笑)。



≪裏表紙≫
 表紙が葉山なら、裏表紙は同期の北条か貞塚かと思っていたのですがこれは予想外。
 この巻でようやく名前が判明したえりなの秘書こと『新戸 緋紗子』でした。
 本邦初公開な、私服姿の新戸。
 笑顔でえりなにお茶を運んできました。

 で。

 裏でえりなとアホやってます。
(※栗うさぎは「そっち」の興味皆無)



≪附田先生コメント≫
 ご自身が大好きと仰る、「赤いタンバリン」という曲を紹介なさっている附田先生。
 特に歌詞が染みるとのこと。
 さっそく私もY●uT●beにて視聴。
 正統派ロックバンドといった感じの曲でした・・・が、歌詞が深すぎて理解できず(爆)。



≪中表紙≫
 壁を背に佇む葉山。
 その壁には今回の巻数「7」と、サブタイトル「群狼」の文字が書かれています。
 そして葉山の手には、表紙と同様にここでもカレーリーフが。
 葉山がイラストで手にしてる物って大抵このカレーリーフかシナモンなんですよね☆
 創真の手ぬぐい、タクミのメッザルーナと同様に、葉山のキャラクター・アイテムはスパイスの模様です。

 これまでの中表紙イラストの中で、一番シンプルと言えるかもしれない今回。
 確かに静かで大人びた葉山に合ったシチュエーションではあるのですが。
 これまでの登場キャラの中で、一番感情の“振り幅”が少ない葉山。
 それだけに、これからどんな変化が起きていくのか楽しみなキャラクターです。



≪特別付録≫
  この巻は始めから終わりまで「秋の選抜予選」の模様が描かれていることもあり、今回は全てお題である「カレー料理」のレシピのみとなっています。
 最初の一品目は、128ページに紹介されている、郁魅のカレー料理[トンポーローカレー丼]。
 この品で「肉将軍(ミート・ジェネラル)」へとランクアップした郁魅。
 そんな彼女に、小西先輩も敬礼(笑)。

 続いては、「味の物知り博士」こと丸井の[白のポタージュカレーうどん]。
 これは148ページに。
 ここの挿絵は、本編で思慕の表情で丸井を応援していたメガネちゃん。
 名前は『榎本 円(まどか)』さん。
 丸井の“丸”に対し、“円(えん)”・・・。
 うん。
 200%丸井のガールフレンド確定ですね(大笑)。
 実はさり気に、かなり初期に登場していた彼女。(単行本第1巻117ページ3コマ目参照)
 丸井との関係のこともあり、密かに気になっているキャラです。

 そして最後の〆は、恵の[アンコウのどぶ汁カレー]!
 これは外せないでしょう!!
 ある意味でこの料理は、この第7巻のメインを象徴する品ですから。
 挿絵は恵応援隊の皆様・・・もとい、地元漁師の皆様(笑)。
 っていうか、今回はその料理を作った人物のサポーター(笑)で挿絵が統一されていましたね☆

 以上の3品。
 実際はこれら以外に10品ものカレー料理が登場していたという満載振りでしたが、その中でも一般家庭でも作りやすい品が抜擢された模様です。
 アリスの料理なんてそれこそ、どうやって作ったらええねんな品ですし。
 でも。
 貞塚の料理のレシピが紹介されていたら、私は森崎先生を日本一の豪胆料理人として表彰したに違いない(核爆)。



 今回もこまめに描かれていた、単行本オリジナル挿絵。
 その大部分が、直前に掲載されていた本編の補足&おまけ的内容になっていました。

 まずは直前の第49話のサブタイトルであり、この第7巻の代表タイトルでもあった『群狼』にちなんで、オオカミさんな創真と葉山が26ページに。
 ・・・どうコメントしろと。

 そのページから恵の扉絵を一枚挟んだ後ろに、その扉絵にも描かれていた秋の象徴、紅葉が。

 そして48ページでは、第50話のみならず今巻最大の名場面といえる恵の集中シーンを、背後から。
 しかし、見る角度を変えるだけでこんなにも名シーンが地味シーンになってしまうとは摩訶不思議()
 (恵の袖の長さが違うことには敢えて突っ込まないでおいてあげましょう/苦笑)

 68ページに描かれているのは、色々と強烈なインパクトを放った貞塚ナオこと「鍋の前の魔女(ボイリング・ウィッチ)。
 確かに“淀んだドロドロマジック”な彼女の雰囲気は、「マジカル☆キャベツ」と対極と言えますね。
 彼らは“弾けるキラキラドリーム☆”といった感じでしたし。(←なんじゃそりゃ)

 そんな貞塚とぶつかり合ったのが新戸。
 附田先生からして見れば、彼女は作中でもトップクラスの正統派美少女らしく、88ページにご丁寧に紹介されています。
 う~ん、私としては榊の方が・・・。
 ま、ここらは個人個人の好みでしょう☆

 と、ここで108ページにお知らせが。
 ジャンプ本誌で掲載された番外編『夏休みのエリナ』が、都合によりこの第7巻に収録できなかったとのこと。
 謝ることないよ創真くん。(^^)
 私は全く構わないから(爆)。

 引き続き149ページでもお知らせ。
 一周年を記念して、本誌で開催された「第1回キャラ&料理人気投票」の結果が巻末に掲載されているとのこと。
 「おたのしみに。」と創真くん。
 はーい。(^^)

 アルディーニ兄弟がメインの回だった第56話。
 170ページに描かれているのはそんな彼らの一場面。
 いつも一緒のタクミとイサミ。
 相棒であり競争相手。でもそれ以上に大切な家族。
 そんな二人の絆が、この挿絵だけで伝わってきます。



 そしてラストを飾るのは、事前のお知らせの通り「第1回キャラ&料理人気投票」!
 本誌ではTOP10しか発表されませんでしたが、この単行本ではTOP30まで発表されています。
 とりあえず、上位10名への感想はコチラにて。
 
 今回発表された11位以下のキャラクター達と料理。
 その中でも目を剥いたのが、『豪田林 清志』の順位。
 な、なんと倉瀬や堂島先輩よりも上という結果に!!


いったいこれはなんの冗談ですか?
と真剣に聞きたい。

 だってこの人、第9話にしか登場していないのですよ?
 出番はたった一話のみですよ!?
 それなのにサブヒロインの倉瀬よりも票を得るとは・・・。
 いやはや、世の中分かりませんねえ~。

 あと、ふみ緒さんが「10代」と指定されていたのには笑えました。

 それと附田先生の総評が私の感想と少し重なっていたことが、ちょっと嬉しかったり。

 さて、次回は果たしてどうなるでしょう?
 きっと葉山や新戸は今回よりもランキングを上げてくるでしょうね。
 ですが、それ以上のダークホースと私が予想しているのが、新戸と同様にこの第7巻で名前が明かされた『黒木場リョウ』。
 今回はTOP30にも入れませんでしたが、次回は間違いなく順位を大幅に上げてくるに違いありません。
 勿論新キャラの活躍にも期待したいところ。
 特に次巻で正式披露となる「あの人物」はかなりの人気を獲得してくると思いますよ?
 勿論私は変わらず創真に全力投票でーす♪
 
 
 そして最後は、自分と同順位の料理を食べたキャラクター達の各リアクションが。

  • 葉山×炙りゲソのピーナッツバター和え
    勿論辿るは倉瀬と同じ末路(笑)。
     
    ・・・・・・・・・・でも。
     
    もっと全身がんじ絡めでもよかったのに。(鬼畜

  • 四宮×城一郎特製こってりラーメン
    四宮の初リアクションがコレとはな~(苦笑)。

  • 恵×エッグベネディクト
    「かしずく美味さ」ということで、メイド姿の恵が。

    そのあまりのハマり具合に驚愕。

    ヤバイくらい似合い過ぎです恵ちゃん。
    やはり佐伯先生もその似合いっぷりに士気が高まってか(笑)、これらのリアクションイラストの中で一番丁寧に描かれていました。

  • えりな×シューファルシ
    乾と堂島先輩から勧められるも、マジカルキャベツコスチュームへの着替えを頑として拒否したえりな。
    少しはファンサービスしないと人気落ちるぞ。(えりなファンの方々もきっと見たかったでしょうに)  

 

≪佐伯先生コメント≫
 
ディズニーランドで出会った鳥さんの名前が知りたい佐伯先生。
 多分「ハクセキレイ」かと。
 スズメと同じくらいよく見かける、かわいい鳥さんですよねv

 

                                                                         


 

 さて、いよいよ「秋の選抜編」がこの第7巻から本格スタート!!
 本戦出場を懸けて、鎬を削る戦いが終始に渡って繰り広げられます!



 ですが。
 この第7巻を語る上でまず最初に言っておきたいことがひとつ。


 

 

創真の出番が恐ろしく少なーーーい!!!(TロT)

 

 

 

 創真至上主義である私にとって、本誌で連載されていたこの期間はマジで禁断症状に苦しめられました。(←)

 ですがそんな主人公に代わって、この巻ではこれまで登場してきたキャラクター達が各々の得意分野を活かして、特色豊かなカレー料理と共に様々な姿で魅せてきます。
 なかでも注目すべきは、これまでその実力が明示されてこなかった極星寮のメンバー達と、えりなとアリスそれぞれの側近。
 特に個人的に興味深かったのが、アリスの側近の『黒木場リョウ』ですね。
 その理由はこの後にて。

 勿論彼らだけでなく、既にその料理スタイルが明かされているキャラ達も大いに活躍。
 そんな中、一際大きく魅せてくれたのが恵。
 合宿編が彼女にとっての“解放”だったなら、この秋の選抜編は彼女の“飛翔”。
 そのドラマ性は間違いなく今巻トップと断言できます。
 この大舞台で遂に自分ひとりの力だけで、実力を遺憾無く発揮することが出来た恵でしたが、心に想うことで彼女を支えてくれていたのが、“彼”の存在。
 これまでの努力と共に、“彼”の姿を見て感じ得てきた想いもちゃんと積み重ねられていたことに、もう万感の思いでした。
 ヒロインとしてだけではなく、ひとりの「料理人」としても大変素晴らしい姿が描かれていたと思います。


 参加者一人一人が大いに自分の持ち味を発揮した選抜予選。
 それだけに一体誰が予選突破するのか全然予想出来ず、考察するのが大変楽しかったです♪





 それでは今巻のキャラクター考察に入りましょうか。
 むしろこれこそが今回の単行本感想のメインとなっております。
 も~~~どれだけ語りたくて堪らなかったことか!

 今回は『タクミ・アルディーニ』、『葉山アキラ』、『黒木場リョウ』。
 彼ら、[創真のライバル三本柱]について語らせて頂きましょう!!


 まず最初は『タクミ・アルディーニ』。
 彼は日本人の父とイタリア人の母を持つハーフ。イサミというまったく似てない双子の弟がいます(笑)。
 品の良い整った顔立ちのタクミですが、その外見とは裏腹に実際はかなり熱血で直情的。
 そしてプライドが高くて極度の負けず嫌い。
 なにより天性の空回り気質という、なんとも見てて飽きない性格をしています(笑)。

 実家がイタリアの大衆食堂なため、跡取り息子として幼い頃から店の厨房で働いてきたという経験を持つタクミ。
 そのこともあって、料理人としての考えや誇りは本物。
 限られた状況下における機転や現場の対応力に秀で、イタリアンと日本食を融合させた軽快で迅速な料理を得意としています。

 創真とは地獄の合宿の初日に出会い、いきなりの「ご挨拶」をかましやがるものの、創真のツッコミという名のドSさによって、羞恥心をいたく突っつかれることに(大笑)。
 創真を強くライバル視し、ことあるごとに突っかかっていくものの、その度に空回る様はもはや様式美(大笑)
 高い実力を持っていたが故に、周囲に同等に競える相手がおらず心の一部が冷えていたタクミ。
 そんな彼の前に現れたのが、似た出身、似た料理スタイル、そして何より「現場」で「プロ」として戦ってきたという同じ誇りを持っていた創真。
 遠月学園という同年代の料理人がひしめく中で、タクミが創真にだけ熱くぶつかっていくのも、シンパシーを感じているからでしょう。
 それと同時にきっと、料理に対する創真の熱い姿勢や根の誠実さに好意を持ってくれているのでは。(^^)
 普段は面白いコントなやり取りを、時に抜群に息の合った友人関係を、そしていざという時には熱く格好良いライバル関係を繰り広げる。
 そんな創真とタクミの関係は、まさに私の理想そのものです♪



 次は『葉山アキラ』について。
 彼はスパイスの権威である汐見潤教授のゼミに所属し、彼女の助手を務めています。
 生まれははっきりと明かされておらず(2014年11月現在/第93話までの時点で)、どうやら熱帯地域のスラム街出身の模様。(個人的に、中東ではないかと推測)

 スパイスのゼミに所属しているだけあって、その知識量はかなりのもの。
 ですが、彼の凄さの真髄は非常に優秀な嗅覚。
 そのポテンシャルはえりなの[神の舌]に届きうるほど。
 料理スタイルもその天性の嗅覚を活かし、「香り」を最も重視した、食べた者だけでなく周囲の人間までをも虜にさせる「鋭い料理」を特徴としています。

 青みがかった銀髪に褐色の肌という、エキゾチックな外見の葉山。
 外見と性格の差が激しいタクミとは違い、彼は内外共に落ち着いた雰囲気を持つ大人っぽい人物です。
 ですが、敬いなど全く無いような素振りを見せながら、実際は強い忠義心を汐見に抱いており、態度と本心が一致していないというギャップが。

 面倒見が良く、一見人当たりの良い人物に思えるものの、実はかなり言葉が辛辣。
 城一郎の紹介で汐見のもとを訪れたのが創真と葉山の出会いでしたが、葉山は「あの」創真さえ突き刺さる言葉を言い放ちます。
 勿論しっかり返されますが。

 そうして互いに静かながらも強い対抗意識を抱くことになった葉山と創真。
 ですが、タクミと同様に、多分葉山にとっても創真は初めての「ライバル」だと思います。
 “目的”に一途な故に、立ち塞がる存在は誰であろうと関係ないと、倒すことに決めている葉山。
 それは言い換えれば、特に意識している人物は誰もいなかったということ。
 そんな彼が初めて気に留める存在に創真はなったわけですから。



 そして『黒木場リョウ』。
 薙切アリスの側近である彼は、やや長めの黒髪で、右手首に炎の柄の赤いバンダナを巻いているという出で立ち。
 普段はマイペースでぼんやりとした人物ですが、バンダナを頭に巻くと雰囲気が豹変。
 非常に攻撃的で荒々しい言動を取るように。

 北欧の漁港のパブ(居酒屋)にて、子どもの身でありながらシェフとして店を仕切っていたという黒木場。
 彼も葉山と同様に両親やその生い立ちは不明ですが、幼くして「食の現場」で戦ってきたという点は、創真やタクミとも共通していると言えます。
 ですが、その環境は非常に過酷だったらしく、そんな世界をたった一人で生き抜いてきた彼は厨房を「戦場」、料理は「力」と考えており、料理人同士の親しい関係にも嫌悪を。
 そんな一匹狼的な人物ではあるものの、アリスには忠実。
 ですが、やはり料理の事に関してだけは自分の意見を通している模様です。

 彼の料理スタイルは、暴力的なまでに相手を叩きのめす「膂力の料理」
 それは見栄を捨てさせ、なりふり構わず料理に溺れさせる、強烈な旨さという“力”。
 料理の腕前自体も非常に高く、海外の港町出身ということから、魚介類とフランス料理を得意とする二刀流の使い手です。

 実は葉山よりも早く創真と対面していた黒木場。(第29話)
 ですが現時点に至ってもなお、創真と会話は交わされておりません。
 タクミや葉山と同様に、黒木場にとっても創真は特別なライバルとなるに違いないと踏んでいる私ですが、果たしてどういう形のライバルとなるのでしょうか?




 これから数多くのライバル達と出会うことになるであろう創真。
 ですが、私個人から見て上記の三人は、その中でも特別なライバルになると推測しています。

 何故私がこれほど彼らに注目しているのかというと、そもそものきっかけは、少年ジャンプ2014年1号に付随された「新鮮力キャンペーン」のポスターイラストでした。

 その桁外れの格好良さに発狂。(←)

 それ以降、創真・タクミ・葉山・黒木場、彼ら4人を[イケメンカルテット(4人組)]と名付けて注目するように(爆)。

 とまあ、きっかけはホントにしょーもないことだったのですが、彼ら四人をセットで見ていくうちに気付いたのです。
 彼らの物凄く深い関連性に。



 それではこれから、その事についての私個人の考察を述べさせて頂きます。

 タクミ、葉山、黒木場。

 ・・・・・・・・・・実は彼ら三人は、

 

創真、えりな、恵という主要人物三人の重要なファクターをそれぞれ持っているのですよ。




 まずは創真との関連性について。

 この作品の隠れた特徴のひとつとして挙げられるのが、主要人物達に何らかの「共通性」を持たせていること。
 互いに「相似点」を持たせることで気が合う交流を、「相違点」を持たせることで刺激を受け合うという相互関係が。
 そして読者からしてみても、「共通性」を持たせることで各キャラクターとの比較になり、それがまたキャラクターへの理解にも繋がっていくという。
 それがこの作品を読むうえでの大きな面白さにもなっているのですが、彼ら三人はそんな「相似点」と「相違点」をかなり創真と共通しています。


 まずはタクミ。
 キャラデザイン的に、ツンツン頭という明るいワイルド系な創真に対し、エレガント系なルックスのタクミ。
 調理服も創真は「黒」がベースでタクミは「白」と、丁度対照的な彼ら。
 ですがやはり創真とタクミの一番明快な違いは、その性格。
 創真は飄々としていてマイペースという、あまり動じない性格な一方、タクミは喜怒哀楽が一目瞭然で、単純なまでに相手の言葉に真正面から反応を返すというストレートな性格。
 まさに「静」と「動」

 ですが、性格は正反対ながらも立場や価値観はとても似ている二人。
 彼らが共有しているのは料理人としての「誇り」
 そして、仲間や料理に対する熱く真っ直ぐな姿勢も。
 「自分と同じ」だったからこそ、初めてのライバルとして創真を認知したタクミでしたが、それは創真にとっても。
 「自分と同じ」存在が“外の世界”にもいた。
 その事実は、創真のこれまでの“世界”が広がるきっかけとなることに。



 葉山との違いはというと、片や短い赤髪で、片や長い青みがかった銀髪。
 創真は内面はとても情熱的で表情が豊か。そして少年らしい快活さも併せ持っているのに対し、葉山はクールであまり感情を見せず、言動も大人っぽいという。
 いわば「熱」と「冷といった感じの二人。

 そんな二人ですが、基本的に落ち着いていて面倒見が良いという点が似ていたり。
 ですがこの二人の大きな共通点は「着目点の鋭さ」でしょう。
 涼しい顔してズバショな発言をする両者。
 ですが、葉山は自身の料理と同様に、言い方も「尖っている」という。
 一方の創真も核心を突いた発言をしますが、相手を傷つける言葉は用いません。
 ここが二人の絶妙な違いですね。
 そんな葉山から、創真は自分の料理の至らない点を指摘されることに。
 その発言が基になって、創真は更に“外の世界”へと目を向けていきます。



 そして最も外見的対照性が顕著なのが黒木場。
 創真は左手首に巻いてある白い手ぬぐいを、黒木場は右手首に巻いてある赤いバンダナをそれぞれ調理時に装着するという、まさにライバル風情といったこの二人。
 彼らの勝負を想像しただけでべらぼうに燃えます。(←アホ)
 明朗で人懐こい創真に対して、寡黙で自分からは他者と関わろうとしない黒木場。
 そんな二人はまるで「明」と「暗」のよう。(もしくは「陽」と「陰」

 対照性がとても明確な創真と黒木場ですが、ならば彼らの共通性はというと・・・?
 お互いマイペース。そして何を考えているか掴みにくいところも同じと言えましょう。
 ですが、彼らの根底的共通性については、私はこう考えています。
 それは「攻撃性」ではないかと。
 普段はフレンドリーですが、怒らせるとドSさという名の攻め気質を露わにする創真。
 そして黒木場も相当なSっ気の持ち主です。
 下剋上上等。
 必要とあらば、自分や相手の立場なんて一切関係無しに噛みつく。
 そんな好戦的な“牙”を持っているところ。
 それが彼らの共通点なのでは。

 タクミは「“外”の料理人」という点で、葉山は「“外”の料理」という点で創真の“世界”を広げる非常に大きなきっかけとなりましたが、果たして黒木場は一体何を創真に気付かせることとなるのでしょうか?




 創真のキャラクター性の一部を共有しつつ、彼の“成長”に不可欠な役割を務めているタクミ・葉山・黒木場の三人。
 ですが、彼らにとっての創真もまた、自らに欠けていたものを与えてくれる存在になっていくと思うのです。

 それが二つ目である、えりなとの共通点


 一番分かりやすいのは、間違いなくタクミですね。
 生真面目で真っ直ぐで短気で怒りっぽいという、よく似た性格なタクミとえりな。
 しかも、事あるごとに創真に突っかかっていき、その度に空回るという点までまるで同じ。

 その様はまさに「少年版えりな」と言っていいほど(笑)。

 ですが、タクミはえりなと決定的に違うところがあります。
 それは、創真と同じ誇りを持ち、彼を料理人としても一人の人間としても認めてくれているところ。
 創真を無暗に否定したり侮辱したりせず、彼のピンチには心配もしてくれるタクミ。
 そんなタクミは、個人的にとても好ましい人物です。
 はっきり言って、創真の次に好きと断言できるくらい。
 やはりその最大の理由は、私がえりなに求めているものをタクミは全て持っているからでしょうね。
 そして、本編中でも既に述べられている通り、創真はタクミが求めていた“冷めていた心に火をつけてくれる存在”になってくれたわけです。

 

 共通点が明快なタクミに対し、葉山とえりなの共通点は多数あり、しかもかなり深刻だったり。

 まず最初に目につくのはお互いに天性の身体能力を持っているところですよね。
 葉山は「嗅覚」。えりなは「味覚」という点で。

 あとはその「物言い」。
 彼らの料理に対する発言内容は事実そのものであり、間違ってはいません。
 ですが、その言い様は相手を傷つけるような非常に鋭利な言葉です。
 そして、他者への批判は厳しい半面、自分の事は顧みていないのも同じという。

 ですが、それら以上に重要と私が思える点が、自分の心を抑え込んでいるところ。
 「頂点を取る」という、強い意志をもっている葉山。
 それは、「料理を楽しむ」といったような、自分の“心の自由”を許さないまでに。
 「頂点を取りたい」という“願望”ではなく、「取らなければならない」という“義務感”で料理人としての道を歩んでいるように見える葉山。
 それだけでなく、「香り」に傾倒し過ぎているのも気になるところ。
 おそらくその理由は自分の能力だけではなく、他にもあるのでは。(個人的に、彼の師である汐見が関係しているのではと推測しています)
 そんなひたむき過ぎる故の偏った姿勢。狭い価値観。
 それが、私から見るえりなの姿勢にとても似ていると思うのです。

 少なくとも私から見るに、葉山の社交性は表面上でだけ。
 実際は汐見以外の他者に対しては、ほとんど心を開いていないように見えます。
 だからこそ、出会ったばかりだというのに見栄も虚勢も張らず、ありのままの心の内を明かした創真が印象的だったのではないのでしょうか?

 多分汐見が“自分の世界の中心”であったであろう葉山。
 そんな彼のこれまでの“世界”に初めて介入してきた存在、それが創真。
 葉山にとって創真は“心の自由”というものを教えてくれる存在になってくれるのではないのでしょうか?



 そして一番えりなとの共通点を見付け辛いのが黒木場。
 実際黒木場とえりなは、性格も物腰も料理への姿勢もまるで違います。

 では一体何が同じなのかというと、それは。
 料理の「本質」。 

 黒木場の料理スタイルは、「膂力」という“力”。
 その高い技術とセンスで相手を捻じ伏せます。
 実は、えりなも同じ“力”タイプの料理人なのですよ。
 高級さや優雅さで一見分かり辛いのですが、えりなも天性の[神の舌]と幼少時からの英才教育によって培われた技術によって相手を否応無く屈服させるという、圧倒的な“力”の料理を作る人物です。
 そして。
 その“力”は創真も持っていたりします。
 ですが創真は、この“力”と相反するものも同時に持っているのですがね。
 その件については、またの機会にて。

 黒木場とえりなの共通点はもうひとつ。
 それは、「温かい繋がり」への反発
 友情や恋といった、人と人との温かい交流。
 それらに心の奥底では羨望を持ちつつも、反発し、嫌悪している。
 なぜなら、それは「ほとんど知らない世界」だから。
 交わり方が全く分からない。
 だからこそ、「自分の世界とは違う」と、卑下したり無視したりするしかできない。
 “上”から見下すえりな。
 “横”に目を逸らす黒木場。
 立ち位置は少々違いつつも、彼らの根底にある思いは似ているのではないのでしょうか?

 自分と同じ“力”を持ちながら、自分が最も嫌悪しているものを大切にし、しかもそれらにいつも囲まれている。
 そんな創真に対し、黒木場はおそらく[三本柱]の中で一番複雑な感情を抱くかもしれませんね。
 ですが創真は、そんな黒木場に“温かさ”を伝えてくれる存在になってくれると思っています。


 えりなはメインヒロインであると同時に、最大のライバルとも思っている私。
 彼ら三人は、そんなえりなの「ライバル性」を三分割した存在と言えるのでは。
 そしてそれと同時に、創真がえりなに与える影響もまた、彼らがそれぞれ請け負っているのだと思います。



 ・・・というように、創真とえりなに非常に深い関連性のある三人。
 では、恵との関連性はというと・・・?

 ありません。現時点では。ほとんど。

 ですが!

 ここで注目して頂きたいのが、彼ら三人はそれぞれ「パートナー」と言える近しい相手がいるということ。
 タクミはイサミという、調理場での頼もしい相棒を。
 葉山は汐見という、自分の料理の原点を。
 そして黒木場はアリスという、お互いに高め合える相手を。
 三者三様の形で、それぞれ持っています。

 ということは。

 ひょっとしたら創真の「パートナー」は、彼らのパートナーのファクターを全部備えた存在になったりするのでは?

 創真が安心して背中を預けられ、彼の料理の礎を常に忘れさせず、そして一緒に歩める存在。
 そんな存在になれるのは、恵しかいないと私は思っています。




 
 タクミは料理人としての志という「心」、黒木場は高い技術力という「技」、葉山は天性の五感という「体」、と、それぞれの武器で創真と戦う三人。
 まさにライバルとしての「心・技・体」そのもの。

 「上」にいるえりなとは違う。
 創真と「対等」に並び、共に切磋琢磨出来る関係になるであろう彼ら三人。

 創真を中心にしてこれから更に繰り広げられるに違いない、彼らの戦いや交流。
 それらに大いに期待していきましょう!!()




 彩り豊かな創真の仲間やライバル達の活躍に、より一層これからの展開に思いを馳せられた第7巻でした。
 そして今巻での出番が少なかった分、次巻での創真の活躍にもとんでもなく期待が高まったという(笑)。
 御馳走様!





≪今巻のベストシーン≫
 40ページ
 恵を照らす、“彼”からの「光」。



≪今巻の“裏”ベストシーン≫
 145ページ 1~3コマ目
 この表情・・・やばいにもホドがある。

 


『食戟のソーマ』単行本第6巻感想

2014-08-26 23:30:00 | 単行本感想

 本当は単行本第9巻&「ジャンパック」発売記念に合わせて9月4日にUPしようと思っていた、今回の単行本感想。
 ですが、今週の本編がこの第6巻感想の内容にかなりタイムリーだったので、予定を繰り上げさせてもらいました。

 といっても。

 御免なさい。
 すみません。
 申し訳ありません。

 今回もまた、創真&えりな派の方々を敵に回す考察を述べています。
 前巻の時以上にやばい内容なので述べていいものかどうか少々迷ったのですが、彼らをもう一度見直すためにも敢えて述べさせて頂きました。
 これもまた個人の勝手な考えであり、ある意味で後ろ向きな考えでもあるのですが、どうかいち読者の戯言と思って軽く読んでくだされば幸いです。


 あ。
 あと・・・。
 出来ることなら、本編が決勝戦に入る前までに次巻(第7巻)の感想もUP出来たらと考えています。
 第7巻で述べようと思っている内容も、割とタイムリーになると思うので。
 ただ、述べたいものははっきりしているのですが、それを纏めるのが中々大変で・・・。
 とりあえず頑張って取り組むことにします。(ま、その前に今週の感想からですけどね☆)



 それでは・・・いってみましょう。





 2014年2月4日。その日にこの第6巻は発売となりました。
 掲載内容は第40話【帰還】から、第48話【未知なる既知】まで。
 そして今巻でも番外編が最後に収録されています。
 今回は「ジャンプLIVE」第1号で掲載された『真夏の肉魅さん』が。

 本編の一周年を機会に始めた週刊感想。
 それが、この巻に掲載されている第48話からでした。
 なので今回から整理も兼ねて、当時の週刊感想をリンクしていこうかと思います。(といっても、この第6巻には1話分だけしか載っていませんが/爆)


  ~第48話~ 【未知なる既知】



表紙
 さてさて、今回は誰が表紙に選ばれたかというと、薙切アリスと彼女のお付き君でした。
 イラストのシチュエーションは、ピクニックに出掛けた先で休憩とばかりにフルーツをつまむアリスと、そんな彼女にリンゴを剥いているお付き君というもの。
 さすがはお嬢様。フルーツの盛り合わせとはさりげに贅沢。

 白い肌と髪(銀髪)に赤い目と、正真正銘アルビノルックスなアリス。
 そして黒髪に黒みがかった目と、名前の通り・・・おっといけない、彼の名前が明かされるのは次巻でしたっけ。黒がメインカラーのお付き君。
 まさに「白と黒」といった、カラーリング的にもピッタリな2人です。
  
 ちなみにこの表紙イラストには、公式ツイッターにて描き下ろし漫画が掲載されておりますので(掲載日時:2014年1月27日)気になる方はそちらをどうぞ☆
 自分で言っときながら、早くも矛盾なことをする。
 それがアリスクオリティ(苦笑)。



裏表紙
 表紙はアリスペア、それなら裏表紙は・・・?
 と思っていたら、この第6巻で初登場の『葉山アキラ』が早くも取り上げられることに。
 今巻の内容的に城一郎かもとも思っていたのですが、ある意味ラスボスな人物ですし、ここで取り上げるのは確かに時期尚早ですよね。

 スパイスの苗木に水をやっている葉山。
 このイラストだけなら、ごく日常的なワンシーンなのですが・・・。
 実際は本編でも語られていたとおり、水やり当番を『汐見潤』教授が忘れていたので代わりにやっていたのでした☆
 色々とダメな汐見を、なんだかんだで面倒を看てくれてる葉山。
 外見上はもとより、性格的にもホントどっちが年上だかわかりゃしません(笑)。
 ま、これはこれで良いコンビと言えますが。



附田先生コメント
 この第6巻に収録されている第48話【未知なる既知】で、めでたく連載一周年を迎えた『食戟のソーマ』。(正確には第49話で達成なのですが)(←禁句)
 連載が始まってからというもの、非常に充実した日々だったと振り返る附田先生。
 人間ギチギチしてるうちが華。
 
私も全く同意見。
 余白の多い薄い人生より、詰め込まれた濃い人生を送りたいものです。
 でも体調は崩さない程度の詰め込みで、これからもどうか頑張ってくださいね附田先生。(^^)



中表紙
 従姉妹という理由から?第2巻のえりなと同じくベッドで寝転がっているアリス。
 これまた無防備な姿を晒してるわけですが・・・。
 さすがに短パンはちゃんと穿きましょう!!!(///)

 それとは別に、今回の中表紙はこれまでと少し違って、サブタイトルの書式だけでなく作品タイトルや巻数にまでアレンジが加えられていますね。
 作品タイトルはポップ調に、そして今回の巻数である「6」の文字がベッドの模様として入っています。
 今後の中表紙もこのような感じで、イラスト内に巻数やサブタイトルが組み込まれていくのでしょうか?



特別付録
  今回は創真と城一郎、そして葉山ら三名によるレシピが。
 まずは66ページに、創真の[りんごの洋風がゆ(リゾット)]が掲載。
 恒例の附田先生による挿絵は、創真の調理着夏バージョン。
 腕まくりな創真だー♪わーい♪ (腕まくりの創真って、逞しさ倍増でとっても好きv)

 そして86ページには[城一郎特製 朝のこってりラーメン]が載っていますが―――
 城一郎父さんにほっこり。()
 息子さんへの愛情がとっても感じられる、大変良い挿絵&呟きでした。
 ちなみに「テンペ」が入手できない場合は、高野豆腐で代用できるかと思います。(さすがに触感は違いますが、同じ大豆製品ということで)

 126ページでは、葉山が[コリバタカレー]をご紹介。
 簡単に作れると葉山は言ってますが・・・。これ結構本格的なカレーですよ?(汗)
 とろみの一切ない本式のカレーなので、ひょっとしたら好みが分かれるレシピかもしれませんね。(※とろみのあるカレーは日本式☆)


 今巻最初の挿絵は26ページに。
 乾の超簡潔コメントに一人ツッコむ叡山。
 なんか四宮みたい(笑)。

 さり気に多いと思われる榊の隠れファン。
 そんな方々の熱いリクエストに応えた、彼女の「あらびあ~ん」姿は46ページに。
 榊ファンの皆様良かったね☆

 106ページには、世界を旅してた頃の城一郎が。場所はアメリカ西部あたりでしょうか?
 それにしても、トランク一つと料理の腕前だけで世界を渡り歩いたというあたり、改めて城一郎は凄いことをやっていたのですね~。

 ジャンプ本誌で「全力少年―――」と煽り文が付けられていた第46話扉絵の一色先輩。
 そんな夏を堪能する姿が146ページにも。
 ・・・ひとりぼっちで(苦笑)。

 一色先輩の挿絵が第46話の裏話なら、166ページには第47話の裏話が。
 「秋の選抜」の本戦会場である「月天の間」にて掲げられている歴代十傑第一席の肖像。
 ですがこの伝統、傍から見るにはいいものの、実際その立場になってみるとそうでもないようで。
 少なくとも当時の若かりし四宮は、軽く晒し者のような気分だった模様です(苦笑)。

 そして170ページには、直前の第48話扉絵に描かれていなかった選抜メンバーの中から、極星ガールズが抜擢。
 にしても、佐伯先生・・・
 いくら恵がキメられない子だからって、これはやり過ぎかと。



番外編 『真夏の肉魅さん』
 スマホ等で、ジャンプの作品や関連情報が閲覧できる「ジャンプLIVE」。
 今回の番外編は、そんな「ジャンプLIVE」に掲載された『真夏の肉魅さん』です。
 
 夏休みに入る直前でしょうか?(夏休み中は選抜の修行に励んでいたでしょうから)
 丼研の部室で、今日も丼物の研究に勤しむ郁魅。
 だけどやはり「丼物」だけあって火を使い、おまけにクーラーも無いらしく、その暑さに郁魅は普段以上の露出に。
 私から言わせれば、普段とそれほど変わらないような気がするけど(爆)。

 そんな郁魅の格好を目の毒と注意する小西先輩でしたが、一番の原因は己の季節感無視なライダース姿だったという。
 どうやら小西先輩は、暑かろうが寒かろうが常にライダースでいるというポリシーをお持ちの様子。
 なにそのこだわり。
 常に「ゆきひら」シャツの創真とは似ても似つかぬこだわりだな。

 ・・・と思っていたら、当のご本人ご登場☆
 ヘラ顔とはちょっと違うこの創真のほのぼのな笑顔。これからは「ホノ顔」と呼ばせて頂きましょう。
 ああ可愛いv

 第13話ラストで「たまには遊びに行く」と言ったことを守り、こうして丼研を訪れてくれた創真。
 本当に創真は無責任な発言はしない子ですよね。(^^)

 
創真が来たことによって、一気に乙女モードな郁魅ちゃん。
 もじもじと新作の丼物を勧めるものの、「暑いから」とあっさり断る創真さん(苦笑)。

 丼物の代わりに皆で食べよう、と創真が取り出したのは、縁日の屋台でよく見かけるかき氷を作る道具。
 確かに夏の暑い中だったら、どう考えたって丼物よりかき氷の方が食べたいよね。
 だけど、拗ねちゃった郁魅は「食べない!」と創真の誘いを突っぱねます。

 で・す・が。

 意地や見栄を崩落させるのは創真さんの得意分野♪

 というわけで。

 郁魅ちゃんあっさり陥落☆

 創真さんのこの言葉攻め&煽りスキル。
 最初は天然と思っていたけど、ここ最近考えを改めました。
 絶対これ計算も入っているよね?
 合宿編以降の創真さんって、“白さ”もパワーアップしたけど“黒さ”も確実にパワーアップしてると思うの。

 そして最後は、お決まりのリアクション☆
 かき氷による涼しさに圧倒される~ということで、ウェイクボードのようにイチゴ型(いちごミルクのかき氷なだけに)のボールに乗って水上を滑走する郁魅ちゃん。
 「ジャンプLIVE」では、このイラストはカラーで見られたそうです。
 掲載時にはカラーだったイラストが収録時には白黒になってしまうのが、単行本の残念なところですよね。

 とりあえず。
 夏の間は海鮮丼や山掛け丼など、火を使わない丼物の研究にしときましょ(笑)。



佐伯先生コメント
 
まだまだ続く、上野動物園シリーズ。
 今回はというと、第2話で登場した懐かしの(?)ニシローランドゴリラさん。
 佐伯先生曰く、ヒガシローランドゴリラもいるとのこと。
 奥が深いぜゴリラさん☆(d(‐ ‐))





                                                               





 
この第6巻は、新たに迎える大きな章である「秋の選抜編」へのいわば準備期間。
 ですが、単なる準備期間と言い表すにはあまりにも重厚な展開だったり。
 
 この第6巻の大きな見所は2つあるのですが、まず一つは選抜に向けての新たなライバルキャラの登場。
 一気に三名も登場しますが、それぞれ一人ずつ、創真・恵・えりなに関わってくるというのがまた興味深いところです。
 その中でも創真に関わってくる葉山は、選抜予選の最大のライバルとして大きな存在となります。
 それと同時に、既存の人物達にもスポットが。
 以前から登場していたにも関わらずその実力は不明だった人物達が、遂に選抜という大舞台でその手腕が明かされることとなります。



 そしてもう一つが、創真の父親:城一郎の再登場。
 むしろこれこそがこの第6巻の最大のメインと言えるでしょう。
 第1話のみの登場でありながら、この作品における最大のキーパーソンである城一郎。
 彼の再来によって、様々な点に余波が起こることに。

 まずはなんといっても息子である創真。
 城一郎の過去の一部を知ることで、これまでも本気でありながらどこか漠然としていた「遠月の頂点」への思いが本格的に固まります。
 それは同時に、「十傑」入りへの最初の足掛かりとなる「秋の選抜」への意気込みにも繋がっていくことに。

 次に、昔城一郎が、そして今は創真が暮らしている「極星寮」の背景。
 かつての黄金時代によって、極星寮が独立採算制を取っているということが判明。
 これはさりげに大きな情報でした。
 後々創真とえりなが全面的に衝突するであろうと予想している私としては(単行本第5巻感想参照)、極星寮が経営的に遠月の支配を受けずに済むということが分かったので。
 創真を筆頭とした極星陣、そしてえりなを筆頭とした遠月陣。
 その「対決」への土台になる設定と考えています。


 そして、創真と城一郎は久し振りに料理勝負を行うのですが、偶然それに立ち会うことで大きな影響を受けることになったのが恵。
 その影響とは、創真の「もう一つの姿」を見たこと。
 これまで常に強気で自信に満ち、それに見合った高い実力を持つ創真は、「無敵」ともいえるイメージがありました。
 ですがそんな彼の裏側に積み重ねられてきたものを、この機に恵は知ることになります。
 数多の敗北や悔しさを味わいながら、それでも諦めずに挑戦を続けてきた創真。
 そんな彼の前向きさと強さに、彼女は感化されることに。
 そして、この事は創真への理解を深めるうえでも、とても大きいことだったと思います。


 ちなみにこの後、創真と恵はちょっとした会話をするのですが・・・。
 創真が恵に言った「ある発言」。
 その発言に恵はとても無理だと返します。
 ですが、きっと創真の言葉通りとなるでしょう。  
 創真は時々あっけらかんと大胆な発言をしますが、その言葉に込められた思いは常に本気ですから。

 
敗北という見られたくなかった姿を見ても、変わらず純粋な気持ちをぶつけてきた恵。
 
どんなに大きな「壁」であろうが恐れずに挑み続ける、真っ直ぐな創真。
 そんな二人の関係はまた一歩、近くなったのではないのでしょうか。(^^)



 そして―――

 ※警告
 ここからしばらくは、かなり重要なネタバレについての個人的考察を述べているため反転させて頂きます。

 そして、創真&えりな派の方はどうかご覧にならないでください。
 
それでもご覧になりたいという方がおられたら、申し訳ありませんが自己責任でお願いします。


 それでは述べさせて頂きます。(以下反転)


 今回、城一郎と一瞬の邂逅を果たしたえりな。
 あの表情から、いまだに城一郎への憧れは全く色褪せずに抱いている模様です。

 ・・・正直、私個人の好意を抜きで考えれば、えりなもかなり創真とお似合いと思っていました。
 私の思う理想のカップル像、それは「一見正反対ながらも根底的な部分が似ているペア」

 創真とえりなはまさにこの理想像に当て嵌まるんですよね。(創真と恵もですけど)

 料理に対する考え方はもとより、飄々としていてマイペースながらも実は大人同然の落ち着きとブレなさを持つ創真と、毅然と振る舞い生真面目ながらも実は子どもっぽく振り回されやすいえりなという正反対振り。

 だけどお互い自信家で強気なうえにプライドが高く。
 そして。
 料理以外の道を知らず、危ういまでに一途。
 そんなよく似た部分がある二人。

 創真の相手はえりなになるのか恵になるのか、その天秤は本当に、本当に均衡状態だったのです。


第34話【遠月を巡る因縁】を読むまでは。

 
 創真の父親である城一郎に、えりなが初恋ともいえる憧れを抱いていたことが判明したその回。
 その時初めて、天秤が傾いたんです。恵の方に。

 

 前巻の感想でも述べましたが、憧れの人の子があろうことか自分の理想と真逆の存在と知った時、より一層えりなは創真を否定するのではと危ぶみました。
 ですが、反発が強くなる一方で、ある意味で彼に対する思いも特別になるのではとも。
 対立しながらも、どこか惹かれる関係・・・。

 

 ・・・最高ですね。(Σd(‐ ‐))

 

 ですが。

 

 それでは創真のためにはならないと思えたのです。

 そして、えりなのためにも。

 

 第一話から述べられた、創真の最終目標。

 それは、実家の定食屋を背負える料理人になることと、父親を超えること。

 もし創真とえりなが結ばれたら。

 創真はこの先ずっと、えりなの中にある城一郎に挑んでいかなければならなくなってしまうのではないのでしょうか。

 そして。

 えりなもまた、創真の中に城一郎の影を見続けることになってしまうのではないのでしょうか。

 確かにえりなに「美味い」と言わせることは彼女の中にある城一郎の料理の味に打ち勝つことでもあり、創真の目標の一つでもあります。
 ですが、彼女とこれからもずっと一緒にい続けるとなると、ある意味で城一郎に縛られたままになってしまうのでは?

 そして創真はただでさえ基本的な性格や仕草が父親に似ています。
 たとえ無意識にであろうが、えりなにとってそんな創真の姿は城一郎と重なってしまうと思うのです。
 それは、創真に対して非常に失礼なことなのでは?

 

 創真とえりなの因縁は強いです。本当に。

 ですが、二人が結ばれるとなると、それはこれからもずっと城一郎という存在に囚われ続けることになってしまうと思うのです。

 

 この作品は、最終的に主人公が父親からある意味で一人立ちするお話です。

 だからこそ、創真とえりなは生涯の「パートナー」としてではなく、「ライバル」としての関係である方がお互いを高め合える。

 私は、そう思っています。

 

 

 

 

 

 ・・・さて。

 突然現れ、そして突如として去って行った城一郎でしたが、その行動の根底にあったのは息子である創真への愛情。
 
彼なりのやり方で。彼なりの言葉で。
 創真の成長を見届け、激励した城一郎の姿は、「最強の料理人」ではなく「大きな父親」でした。
 
それだけではなく、他人には取らないような態度も創真には取っているあたり、家族としての温かい関係が窺えました。
 実際、ある意味最強ともいえるほどのマイペース人間な城一郎が汗かきツッコミを入れてしまう相手なんて、創真だけだと思いますよ?(笑)

 一方の創真も、城一郎に対しては普段見せないような表情を。
 そのことからも、彼にとって城一郎はいかに大きな存在かというのが改めて分かりました。

 なんだかんだで二人は仲の良い、似た者親子ですね。(^^)


 本当に創真と城一郎は似ています。びっくりするぐらい(笑)。

 でも。

 似ている部分が分かったということは、違う部分も分かったということ。


 
むしろ。

 

創真は

内面は

 お母さん似ですね。




 

 どんな相手であろうが常に真摯に向かい合うという、誠実なところ。
 熱く真っ直ぐなところ。
 人の話をちゃんと聞き、事実を受け止める素直なところ。
 何より、本当に本当に相手を思い遣る優しいところ。

 創真のそういうところは、城一郎に無いものを感じます。

 そんな創真だからこそ、昔の城一郎が成し遂げられなかったことが出来る。

 そう、私は確信していますよ。(^^)



 そうしてある程度の謎が明かされたものの、同時に城一郎はまた新たな伏線も幾つか張っていくことに。
 彼が残していった伏線がこれからどういう影響を、どこに与えていくのか。
 それもまた、これからの展開を予想する上での楽しみの一つとなりました。



 連載一周年記念回も収録されていたこの第6巻。
 “原点”に立ち返りながらも“これから”に大きな期待が煽られる、そんな内容でした。
 城一郎と関わる創真の姿が描かれたことで、彼のメンタリティの原点を改めて見直せることに。

 そして、この巻から実は創真に僅かな変化が。
 それは、これまで表にあまり出してこなかった(直接的には描かれてこなかった)、内面的な柔らかい表情を見せるようになったということ。
 
そんな表情を見せた相手との関係がこれからどう変化していくのか、目が離せません♪

 他にも努力家な面や繊細な部分といったところなど、この巻は普段にも増して創真の多様な姿が多く見所満載でした。
 「幸平創真」という人物をより理解するうえでは欠かせない巻と言えるでしょう。


 さあ、様々な思惑と共に。

 「秋の選抜編」、満を持して開幕です!!

 “これから”への期待も込めて、御馳走様でした!!





≪今巻のベストシーン≫
 144&165ページ
 格 好 良 す ぎ る (眩暈)。



≪今巻の“裏”ベストシーン≫
 134ページ 1コマ目

 素 敵 す ぎ る (卒倒)。


 


『食戟のソーマ』単行本第5巻感想

2014-05-07 22:55:00 | 単行本感想

 どうもです!
 ブログの機嫌が良くてホッとした栗うさぎです!
 では本日も、1周年記念第2弾、『食戟のソーマ』単行本第5巻感想いってみましょう!!

 ・・・と言いたいのですが。

 すみません。
 今巻の感想は創真&えりな派の方にはあまりお勧めできない内容となっております。
 個人の勝手な考えと、寛容に享受してくださる方のみ、どうか宜しければご覧になってください。

 それでは。






 この第5巻が発売されたのは、2013年12月4日。
 内容は本編の第31話【メタモルフォーゼ】から、第39話【選ばれし者】までが収録されています。
 そして巻末には、「ジャンプNEXT!」秋号にて掲載された番外編『秋の味覚をおあがりよ!」が。



表紙
 今巻の表紙を担うのは、タクミ&イサミのアルディーニ兄弟!!
 ふ~む、第3巻の恵は創真と、第4巻の郁魅は小西先輩と一緒に描かれていましたし、どうやら表紙イラストは抜擢された人物と所縁の深い人物も共に描かれる模様ですね。そして必ず食べ物も。

 実家の厨房で腕を振るっているタクミとイサミ。
 メッザルーナを手渡す息の合いっぷりも、さすがは兄弟ならではといったところ。
 創真の“料理人性”を示すアイテムが手ぬぐいなら、このメッザルーナこそがタクミの、ひいてはアルディーニ兄弟の“料理人性”を示すアイテムですね。
 それにしてもやっぱりこの双子似てないな(爆)。



裏表紙
 今回は、前巻から登場の『薙切アリス』が私服姿で裏表紙を飾っています。
 う~~~む。
 こうして見るとアリス可愛いですね~。
 前回の四宮はあからさまなポーズだったのでつい笑えてしまったけど(ごめんよ四宮)、こういう自然な仕草の方が逆にモデルのような見栄えがありますね。

 でもオチはしっかりついていましたよと。
 お茶目に理不尽だけど不思議と憎めない、そんなアリスはホント良いキャラです。



附田先生コメント
 附田先生の大好物はエリンギのバター醤油焼きとのこと。
 ・・・うわ・・・私も想像しただけで生唾が・・・(ゴクリ)。
 そんな附田先生は、渋い料理が好みだそうです☆



中表紙   
 裏表紙だけでなく、ここにもモデルがいた!!
 マジでそう思わせるくらい、バッチリ決めてるタクミが中表紙に居ます。
 これはタクミファンの方々はさぞ歓喜なされたでしょうね~(笑)。
 料理学校が舞台な故に、制服もしくは調理服の姿が多い登場人物達。
 それだけに、こういう私服姿はまた格別なものがありますね♪



特別付録
 さて今回はというと、まず26ページにアリスの[3つの形状の卵プレート]から、ミルクセーキのレシピが紹介されています。

 46ページには、創真の[スフレオムレツ]が。
 ここには創真の“魔法”に最初に夢中になってくれた女の子の、ミニプロフィールも。
 名前は『宮野 朱里』ちゃん。
 こうして紹介されているという事は、さり気に人気があった子なのでしょうかね?(確かにとっても美味しそうに食べてくれてましたけども(^^))
 この[スフレオムレツ]は、私の中で結構思い入れのある一品です。

 
 ほぼ続けて、48ページにはジャンプ本誌の2013年34号にて掲載された[イタリアントマト素麺]が。

 そして本編でも人気のあった[すみれ印の唐揚げロール]が170ページに。
 私もこの品が一番食欲が掻き立てられました!!
 ぜひ一度食べてみたいとは思うものの、なかなか作る機会が持てないのが悲しい所です。
 ここの挿絵の倉瀬ちゃんが可愛くって良い感じv
 附田先生もだいぶキャラクターの作画がこなれてきた感じですね。



 そして今回の挿絵はというと、ドレスを着たミニアリスが66ページに。
 えりなが「氷の女王」なら、アリスは「雪の姫」といった感じですね。

 86ページには、遠月卒業生水原冬美のリクルートの後日談が。
 創真だけでなく、アルディーニ兄弟にも声を掛けていた水原。
 人選は正しかったものの・・・。
 皆さん自分の店持ちだったため、残念、リクルート成功ならず★

 合宿編が終わり、商店街復興編に入った106ページでは、倉瀬ちゃんが誰だか分からない人のための説明が。
 大丈夫だよ倉瀬ちゃん!!私は知っているからね!!(これってさり気に単行本のCMも兼ねてるよな~)

 第35話の郁魅のちょっとした裏話が描かれているのは126ページ。
 創真の店(実家)に着ていく服を選ぶのに迷っている郁魅ちゃん。
 ほ~んとうに郁魅は、「恋する女の子」としての姿が一番描かれている子ですよね。
 全く可愛いったらありゃしません。
 で、気合を入れた結果があの服装だったと(苦笑)。

 そんな乙女な様子から一転。
 130ページには首刈る気満々な、くノ一郁魅が(滝汗)。
 そんなくの一郁魅に対し、一般兵な倉瀬は完全に捨て身覚悟です。(^^;A)

 150ページには、直前の148ページに対する全読者の感想を創真が代弁(苦笑)。



番外編 『秋の味覚をおあがりよ!』
 リアルタイムに合わせて、極星寮での秋の一コマを描いた番外編。

 秋の味覚の代表であるサンマが手に入り、早速頂こうとする創真、恵、吉野の三人。
 七輪の使い手:創真によって(笑)美味しく焼き上がったサンマに、恵は舌鼓を。
 ここでサンマの付け合せに紅葉おろしを用意した創真。
 ここまでは良かったものの・・・。
 ―――料理とは果て無き荒野そのものである―――(by幸平創真)
 うん、折角準備したのにね。(^^;)
 私もトマトピューレやカレー粉は普通に合うと思うんだけど。(←えー)

 とまあ、七輪、チャレンジ料理等、久し振りに原点に立ち戻った番外編でした。



佐伯先生コメント
 前巻に引き続き、今回も上野動物園で出会った動物さんを紹介してくださっている佐伯先生。
 美味しそうにお水を飲んでいるプレーリードッグちゃん。
 そして佐伯先生がお飲みになるのは、コーヒー、レッドブル、アルコール・・・。
 佐伯先生、お体は何卒大切に。
(そんな佐伯先生は、ガッツリ肉食系の食事が好みとのこと☆)                                                                                       





                                                                           





 第3巻ラストに引き続き、単行本派の方は前巻にあたる第4巻ラストにも非常に焦らされたことでしょう(苦笑)。
 そんな、創真がかつてないピンチに陥った理由と、その結末がこの第5巻の前半で明らかになります。
 様々な大きなものを学び得た合宿編もようやく終わりを迎えるものの、そのエピローグにて、これから先に待ち受ける展開と共に、創真とえりな両者に関わる驚愕の事実が発覚。
 そして後半からは、遠月学園の外で繰り広げられる商店街復興編へ。
 一見遠月とは無関係に思えたこの章。
 ですが、実は大きく関わっていたことがこの巻のラストにかけて判明されることに。





 さて、今巻のキャラクター考察は誰にしようかとちょっと迷ったのですが、やはりここは登場タイミング的にも『倉瀬 真由美』と『水戸 郁魅』について述べるべきでしょう。

 えりなと恵。この二人をメインヒロインとするなら、サブヒロインにあたるのが倉瀬と郁魅。
 ですが、この二人もメインヒロインらに勝るとも劣らない魅力を持った女の子達です。
 メインヒロインらは創真に(まだ)恋愛感情を抱いてはいないものの、この二人は既に創真に想いを寄せているというのもまた大きなポイントですしね。


 まずは倉瀬真由美から。
 単行本第1巻感想内でも述べましたが、倉瀬は創真とは幼稚園からの付き合いという、筋金入りの幼馴染。
 ですが、創真が遠月学園に編入してしまったため、彼とは離れ離れになってしまった上に自身の出番も無くなってしまうという、ある意味で薄幸のヒロインです(苦笑)。
 第1話のみの登場でお役御免になってしまうのかと本気で危惧していましたが、今回の商店街復興編で再登場してくれたのは嬉しい驚きでした。(^^)

 ショートボブな髪型の倉瀬は、かなり気弱で内向的な性格。
 その大人しさは恵以上と言えます。
 勉強も運動も料理の腕も特に秀でておらず、特技も持っていない倉瀬。
 そんな自分に全く取り柄を見出せていなかった彼女でしたが、創真の指摘によって、初めて自分の長所を見いだせることに。
 そんな創真にずっと前から惹かれていた倉瀬は、間違いなく男を見る目は本物です。 

 一途で素直で頑張り屋。おまけに創真のゲテモノ新作料理さえもちょっと受け入れられる倉瀬。
 そんな彼女は、私的に見てかなり創真とお似合いと思える子です。(^^)
 さほど親しくはなかったものの、幼少時の創真を知る数少ない人物でもあるので、彼女の再登場は結構期待しています。



 そして水戸郁魅。
 彼女についてまず一番に述べたいのは、最も顕著に「創真ミラクル」に掛かった子ということですね。 
 ※創真ミラクル・・・創真の人柄と料理によって、虚勢や見栄が脱がされ剥がされ本来の可愛い魅力が引き出されること。
 敵として出会った当初はヤンキー風で怖い印象さえありましたが、今やすっかり可愛いツンデレっ子に。
 個人的に私はツンデレが嫌いな人間なのですが、郁魅のようなタイプは大歓迎。
 ツンデレというと大抵が理不尽、もしくは暴力系なイメージがあるのですが、彼女は理不尽な暴力は振るいませんし、スジの通った真面目で素直な子ですから。(^^)

 えりなと恵が対照的なら、郁魅もまた倉瀬と対照的な子。
 ブロンドに褐色の肌と、ヤングアダルトな魅力に溢れたルックスの郁魅。
 性格も強気で男勝りですが、実はとっても純情で女の子らしいしとやかさを内包している子です。

 創真の初めての食戟相手であった彼女ですが、いまや立派な創真の仲間として活躍。
 肉のプロフェッショナル[ミートマスター]として、今巻でも創真に色々と協力してくれています。
 ちなみに作中では「肉魅(又はにくみ)」と呼ばれている彼女ですが、私は本名で呼ばせてもらっています。
 なぜなら本人が嫌がっているので(苦笑)。



 一応サブヒロインと位置付けてはいるものの、応援したくなるほどの魅力を持った倉瀬と郁魅。
 個人的に、創真と結ばれるのは恵になって欲しいと願ってはいますが、もし彼女らと結ばれたとしても何も不満はありません。

 要は、創真が幸せならそれで良いんです。ぶっちゃけた!!!)

 創真と結ばれて欲しいと願う子を敢えて順位付けするならば、
 倉瀬郁魅>>>>>>>>>>えりな
 といった感じですね。(←おいこら)

 彼女らの恋模様は果たしてどうなるのか、これからも見守っていきたいと思います。(^^)





 ではこの巻全体の感想と考察に入りましょう。


 この第5巻に掲載され、サブタイトルにも挙げられている第32話【踊る料理人】。
 
 この回で、私は創真に惚れました。

 単行本第1巻&第2巻の感想でも軽く述べていますが、連載開始当初は全くといっていいほどこの作品に興味が湧かなかった私。
 そんな私が初めて惹かれたのが、第12話ラストの不敵な創真を目にした時でした。
 「お。」
 ですが目を引かれはしたものの、創真への、そしてこの作品自体への“熱”はまだ全然無かったのです。
 それでも軽く目を通すようになり、やがて伝説の第21話と邂逅。
 「!」
 そこで初めて、心が動かされることに。
 そこからは一読者として普通に読むようになりましたが、それでもまだ尚“熱”を持つことは無かったのです。(あああ当時の自分にクロスチョップをかましたい)
 そして訪れた第32話。
 今まで見せたことの無かった、汗水流す創真の懸命な姿。
 ドキッ
 見事課題を達成し、息をついたあの表情。
 キュンv

 ハイ。
 見事に心を奪われてしまいました 
 

 そういうワケで、この第5巻は、私にとってかなり特別な巻だったりします。
 勿論それだけではなく、この第5巻は“深み”と“勢い”が詰め込まれた、大変充実した内容でした。





 この『食戟のソーマ』という作品に対する見方が劇的に変化するきっかけとなった四宮編。
 第3巻から始まったそれは第4巻にて終結するものの、それでも見事に練り込まれた脚本は些かもその質を落としていないという事を、この第5巻は如実に証明しています。 

 それが、私がとりわけ思い入れのある第32話も収録されている朝食ビュッフェ編。
 前巻後半から始まったその章の中で、創真は自らの見落としによってこれまでで最大の危機に陥ってしまうことに。
 それは彼の未熟な点を露呈させたものの、それと同時に彼の強みもまた大きく披露させるものとなりました。
 これによって、創真の格は全く下がることなく、むしろ上がるほどの効果に。
 しかも未熟な点も、強みも、「長年の現場経験」という彼の背景をしっかりと踏まえていたものだったため、素直に理解できたというのもまた見事。
 その説得力ある理由付けと地に足の着いた展開、そしてキャラクターの格の尊重。
 四宮編と同等ともいえるそのクオリティの高さに、非常に感嘆させられました。
 その脚本の魅力を最大限まで引き出した作画と演出も、相変わらずの素晴らしさ。
 「ライブクッキング」という形で発揮された創真の活躍シーンは、作中の人物だけでなく私達読者をもグイグイと強烈に惹き込む“力”に満ちていました。



 そうして何とかピンチを切り抜け、第3巻から続いた合宿編も無事終わりを迎えることに。
 それにしても、この合宿編がこれほど大きな影響を及ぼす章になるとは思いもしませんでしたね。

 ライバルとの邂逅。
 初めての食戟の申し込み。
 苦い敗北。
 未熟さの発覚。
 仲間達との絆。

 それら多くの出来事は、創真の「成長」という形に収束されることに。
 見出す、遠月学園の価値。
 それは、これまで「ゆきひら」を中心にしていた創真の世界の広がりを示唆するもの。
 主人公の創真にとっても、この作品自体にとっても、大変意味深い章だったと思います。



 後半では、創真の故郷を中心に展開される商店街復興編が。
 地元のアイドルヒーローとして、仲間達の協力を得ながらの創真の活躍が描かれます。
 大きな勢力を相手に料理をもってねじ伏せるという、原点回帰的展開だった商店街復興編。
 ですが、私にとってこの章は、ラストの展開以上に実は大きな意味を含んでいたと感じています。

 それは、この商店街復興編は、「これからの展開の縮図」に思えたから。
 地元かつ定食屋が実家という事もあり、広い人脈を活かした上で、持ち前の発想と行動力、そして仲間達のサポートを受けながら、停滞していた商店街の流れを変え、見事活気を取り戻させた創真。
 これはそのまま、遠月学園で創真が巻き起こすそのものだと思うのです。
 
 料理人という“創造者”でありながら、立場や相手を全く意に介すことなくどストレートな爆弾発言をかますなど、型破りな考えを持つ創真は一種の“破壊者”でもありました。
 創造 + 破壊
 そこから生まれるのは何か。

 それは革命。

 創真は遠月学園を相手取る改革者となる。
 そう、私は予感しています。





 そんな創真は、魅力の成長ももはやノンストップ。
 ピンチに陥っても、決して諦めなかったこと。
 食材の生産者への誠実な詫び。
 そしてここでも、己が窮地に立たされていようが他者に気を配るという優しさは変わらず健在。
 第3~4巻で明かされた彼のキャラクター性が、更にしっかりと裏付けされています。

 それでありながら、またもや新た面が開拓されることに。
 特に印象に残ったのが「コミュニケーション能力の高さ」。
 老若男女問わず、瞬く間に打ち解けられる創真のこの能力は、彼の最大の長所の一つとしてこれ以降も頻繁に発揮されることになります。 
 そして、マイペースでありながら実は周囲をよく見ているというのも判明。
 加えて普段は飄々としていながらも、かなりのリーダーシップを持っていること。
 以前犯した失敗を忘れずに、他者の意見を聞き入れ改善しようとする柔軟な真面目さ。
 行動派に見えて、実は知略性もあるところ等々。
 ますます磨かれていく創真の絶妙さ
 これらもまた突飛に付加されたものなどではなく、きちんと彼の背景を踏襲しているため、何の違和感もなく受け入れられるというのだから本当に感心しきり。 
 そして、これらは創真が「人の上に立つ者」としての資質の高さをも示唆しています。

 創真の「成長」が明示され始めた第5巻でしたが、それと同時に「経験」という言葉も、重要なものとして用いられ始めます。
 その「経験」の価値を最も表したものが、
 「失敗したという「経験」を得た」
 という創真の言葉でした。
 失敗を否とせず、それさえも糧とするこの前向きな発言。
 それは『幸平創真』というキャラクターのアイデンテティーそのものであり、料理を通した彼の強さにも繋がる言葉だったと思います。 

 そんなひたすら尊敬させられる一方で、恋愛感情スッカラカンという面も暴露(大笑)。
 ここまで綺麗さっぱり抜け落ちていると、いっそ清々しいです。
 ですが、単なる罪作りな男で終わらないのが創真という人物の凄い所。
 恋愛関係以外の部分では、他者をよく見てくれている子なだけに、全くニクむ事が出来ません。
 これも彼の“絶妙さ”と言えるのでしょうかね(苦笑)?










 では・・・。

 この第5巻を語る上で、避けて通れない「あの件」について述べさせて頂きたいと思います。

 合宿編のエピローグである第34話【遠月を巡る因縁】。
 この回では、次巻に向けての下地が敷かれる一方で、もう一つ強烈な伏線が我々読者に明かされることになります。

 それは、創真とえりなを繋ぐ因縁。

 性格、物事に対する見方、考え方と、全てが相反する創真とえりな。
 ですが、根本的な部分が非常に似通ってもいる二人。

 そんな二人でしたが、まさか「自分の中で大きな意味を持つ存在」まで共通していたとは・・・!!  
 想像を超える二人の“繋がり”の強さに、非常に驚かされました。

 ・・・しかし・・・。

 この事実は、これからの展開における不安要素の一つに思えてしまったのです。
 あくまで、私は、ですが。

 えりなは一途な子だと思います。
 純粋で、潔癖で、生真面目で。
 そして、融通の利かない、真っ直ぐな子だと。

 そういう子ほど、自分のアイデンテティーが揺るがされると危ういと思うのです。

 上記で述べた通り、遠月学園に革命をもたらすであろう創真。
 そして、その遠月学園の象徴ともいえるべき存在がえりな。

 私が単行本第1巻感想内の読切版の感想で、「えりなが今以上に創真の存在を否定する時がいつか、でも必ず訪れるものと思われます」と述べた理由がまさにここなのです。

 自分が“自分”であるために。
 これまでずっと、ひたむきに守ってきた自分の“聖域”。

 遠月学園。
 自分の「完璧」な料理。
 そして、憧れ。

 不可侵だったそれらに突如現れた異分子、幸平創真。
 遠月学園に在学している、それだけでも汚点として嫌悪しているのに、さらにその学園自体を変えようとするならば。
 自分の料理にも異を唱えてくるならば。
 そして。
 憧れという最後の“聖域”にさえも、しかも強固に関わる存在だとしたら。

 言い方は非常に悪いですが、創真はえりながこれまで大切に守ってきたものを全て侵害する存在となってしまうのでは。

 あくまでも現時点でのごく個人的な予想にすぎませんが、その事実を知った際のえりなの反応が、「拒否」以外何も思い浮かびません。

 
 確かに創真は正面から“相対する”子ではあります。

 ですが。

 “否定”する子ではないのですがね・・・。
 

 これら対立因子がどのような形となって二人に訪れるかは分かりません。
 少しずつか。
 それとも、一気に訪れてしまうのか。

 何にせよ、「氷山」なえりなはその“硬さ”故に、変化を受け入れられず、その矛先が全て創真に向くのではと。
 創真の料理人としての未来を閉ざしはしないかと、心配です。



 ・・・実は、この事実にもう一つの考察が浮かんだのですが・・・。
 それは次巻の感想にて述べさせて頂こうと思います。










 朝食ビュッフェ編での提供形式の改造。商店街復興編での停滞した流れの再活性。
 眼に見えない、真に価値あるものの創造。
 この第5巻は、まさに『創真』という名前に相応しい、彼の真の力が発揮されていた巻でした。

 改めて、創真の魅力を再認識です。
 ごちそう様でしたv





今巻のベストシーン
 38ページ・・・6コマ目
 惹かれた。



今巻のベストシーン
 42ページ・・・4コマ目
 惚れた。


『食戟のソーマ』単行本第4巻感想

2014-05-06 14:00:00 | 単行本感想

 さて!
 それでは1周年記念第1弾、『食戟のソーマ』単行本第4巻感想です!
 よ~~~やくUPできることに感無量(苦笑)。

 さてさて、それでは久しぶりにいってみましょう!!





 前巻から約一か月後にあたる、2013年9月4日に発売された第4巻。
 やはり驚くべきこの刊行の早さは、前巻の強烈な「引き」に悶絶する単行本派の方々に配慮してのことだったのでしょうか?(苦笑)
 そんなこの第4巻は、第22話【卒業生達】~第30話【想定の陥穽】までの九話分が掲載です。



 表紙
 レギュラー陣3名もそれぞれ表紙を飾り終え、次からは誰が抜擢されるのか楽しみにしていた今巻の表紙。
 選ばれたのは丼研部員、水戸郁魅!(&小西先輩)。
 登場順から考えれば一色先輩ら極星寮のメンバーかな?とも思っていたのですが、この選出もこれはこれで妥当ですね。極星寮のメンバーは、まだまだ明かされていないものがありますし。

 見事なブロンドとグリーン・アイ。そして褐色の肌。
 そんな郁魅は、タクミと同様ハーフに違いありませんね。
 アメリカナイズな服装から見て、親の片方は多分アメリカ人なのでは。

 丼研部室でのこの一枚。
 似たようなシチュエーションのカラーイラストが第16話の扉絵にもありますが、個人的にはこっちの方がスタイリッシュで好きですね。(郁魅もより美人さんに描かれてるし♪)
 右手にカツ丼、左手にステーキ丼を持ちながら闊歩している郁魅。
 その後ろでは牛丼を試食している小西先輩が。

 郁魅は自分の得意分野である「肉」を活かした丼物の開発を主に担い、そして彼女の開発した新メニューの味見係を小西先輩が務めている模様。
 最初はどうなることかと思ったけど、結構上手く切り盛りしているようでなにより。
 気が強いけど本当は純情な郁魅と、ヘタレだけど人の良い小西先輩は中々良いコンビです。(^^) 



 裏表紙
 前巻が「アレ」だったので、少々怯えつつ(笑)カバーを捲ってみたところ、そこに描かれていたのは、今巻で恵&創真と対決した『四宮小次郎』。
 確かにこの巻の裏表紙に最も相応しい人物ですね。
 表紙に取り上げたら、他の準レギュラー陣を出し抜いてしまいますし(苦笑)。

 やたらとカッコよくキメてる四宮。
 そんな彼を裏で爆笑している、彼の後輩『乾日向子』サン。
 そりゃあ、親しい知人がいかにも格好つけたポーズしてたら私も笑えてきますけども(爆)。

 ナレーション:彼女は後で殴られます

 
ご愁傷様です。



 附田先生コメント
 出掛けなくてもいい日の雨はとても良いけど、出掛けられない日の晴れは損した気分になると仰る附田先生。
 分かります。
 そして、前々から楽しみにしていた外出予定日に台風でも来られた日にゃあ、お天気の神様を本気で呪いたくなります。



 中表紙
 さて、どんな郁魅が描かれているかな~?と、ページを捲ってみたらば。

 ズガーーーン!!

 なにこの可愛い子!!!

 その可愛い子の正体は、制服を普通に着てうずくまっている郁魅ちゃん!
 表紙の毅然とした微笑も良いけど、やっぱりこういう“女の子”な表情も凄く可愛いですね~。
 「恋する乙女は綺麗に(可愛く)なる」とはよくいったもんです☆



 特別付録
 今巻で紹介されているレシピは、これまでの中で一番充実したラインナップかもしれません。
 それぐらい津々浦々な料理が満載。
 それと同時に、附田先生による各キャラクターのコメントも中々楽しいものとなってます♪

 まずは66ページに四宮のレシピ[シュー・ファルシ]が。
 四宮のコメントに、後ろで余計なことを言ってる乾サン。
 ナレーション:彼女は後で殴られます
 でしょうね。

 186・187ページには、恵のレシピ[虹のテリーヌ]。
 四宮&乾のどつきコンビとはうって変わって(笑)、こちらは恵&創真が仲良く並んでご紹介♪
 創真が言ってる通り、2ページに渡る大ボリュームのレシピ内容。間違いなくこれまで紹介された中でトップの手の込んだ料理です。
 本編では鶏レバーを「つなぎ」として用いていましたが、それは手に入りにくいということで卵で代用されていますね。(レバーは人によって好き嫌いも激しいでしょうし)

 続いて188ページからは、今巻後半から始まる朝食ビュッフェ課題での、それぞれのレシピが掲載。
 タクミのレシピは[インサラータ・フリッタータ ~アルディーニ風~]。
 タクミの後ろで舌鼓を打ってる創真にほっこりv

 
 次に紹介されているのは[田所ちゃんの朝食おでん]。
 ここでは、この料理で恵のファンになってしまった(笑)『ナチュラルチーズの久作』さんのミニプロフィールが。
 う~ん、なんともダンディな趣味をお持ちで☆

 そしてラストはえりなの[女王のエッグベネディクト]が。
 このレシピを見て初めて気付いたのですが、この料理って具・土台・ソースと全て卵が使用されているのですね。
 うっわコレステロール高そう~と思ったのはここだけの話(爆)。



 今巻はシリアスな話が全体を占めていた分、挿絵に息抜き感がありました。
 26ページには、第22話で縛られていた乾サンの舞台裏が。
 首から下げていた「ただの観客」プレートは段ボール製だったのですか、なるほど。 
 それにしてもホント、このコンビは見てて面白いなあ~。

 46ページには、前話で創真が宣言していた“食事処たどころ”のロゴマークが掲載。
 グッジョブ☆

 86ページには、投票で用いられたコインのアップ。

 卒業生達がイメージしていた「妖怪田所ちゃんシリーズ(笑)」は、ミニぬいぐるみとなって106ページに。
 商品化は未定とのことですが・・・。
 にしては、説明書きがリアルすぎ(笑)。
 こんな感じの創真くんのミニぬいぐるみも出てくれないかな~v

 そして126ページには、椅子に腰かけ読書をしている若かりし頃の四宮が。
 当時はこんな穏やかな表情も出来たのですね。
 そしてこれからは、またこういう表情が見られることでしょう、きっと。

 勇者ユウキ再び!
 146ページには、80食チャレンジ中の悠姫脳内イメージが披露されてます。
 前回はド●クエ風でしたが、今回は更に進化してファイ●ルファン●ジー風に(笑)。
 お~相手をオーバーキルで一刀両断☆
 悠姫ちゃん・・・強くなったねえ・・・。(しみじみ)

 お次は、この前話にあたる第29話の扉絵で、「スー●ーストリート●ァイターⅡ」のコスプレをさせられちゃった恵ちゃんの余談が166ページに。
 最初はどのキャラの恰好なのか分かりませんでしたが、“三つ編み繋がり”ということでキャミィの模様。
 ということは、創真は“鉢巻き繋がり”ということでリュウ。
 吉野は“お団子ヘア繋がり”ということで春麗かな。
 素肌見せまくりな服装に、方言丸出しでうろたえてる恵ちゃん。もうお母様に顔向けできません。(by第7話)
 後ろの2人はめっちゃノリノリだけど。

 ラストの191ページにも、同ゲームのコスプレをしているその他の皆さんが。
 タクミは“ライバル繋がり(?)”でケンの恰好を。
 イサミは“太っちょ繋がり(爆)”ということでエドモンド本田。
 全く分からなかったのが郁魅のコスプレ。
 調べてみたら、「ストリー●ファイターⅢ」に登場するエレナというキャラクターだそうで。(「スト●ートファイター」は「Ⅱ」までしか知らない栗うさぎ)
 これは“褐色肌繋がり”ですね。なるほど、まさに郁魅にピッタリです。

 それにしても後半は随分とゲームネタが多かったなぁ・・・。
 面白かったけどね



 佐伯先生コメント
 上野動物園に奥様と行ってこられた佐伯先生。
 ご自宅でもフェレットを飼っておられるし、佐伯先生は動物好きなようですね。(^^)
 そこでリスさんを撮影。
 これがもう、見事としかいえない真正面。
 不動明王の如く全く動かなかったという、このリスさん。
 よっぽどサービス精神に溢れていたのか、目の前の佐伯ご夫妻に目が釘付けだったのか(笑)。





                                                                           





 前巻ラストで衝撃的な口火を切った四宮編。
 この第4巻の前半にて、その続きが織り成されます。
 そして後半からは合宿の次なる課題である、朝食ビュッフェ編に入っていくことに。



 では、今回のキャラクター考察は創真の初めてのライバルである『タクミ・アルディーニ』について・・・、と思ったのですが、それはまたの機会にて(笑)。
 今回は前巻から新しく登場した、遠月学園卒業生達の面々について述べていこうかと思います。



 合宿のゲスト講師として招かれ、創真ら学生達を自分の店の従業員とみなして様々な課題を出してくる卒業生達。
 そんな卒業生達の代表格が、『堂島銀』先輩。
 「遠月リゾート」の総料理長兼取締役会役員であり、在学時は主席かつ卒業試験も歴代最高得点で突破したというエリート中のエリート。
 他の卒業生達も彼には一目置いており、その経歴に違わぬ迫力と威圧感、そしてマッスルボディをお持ちな人物です(笑)。
 その迫力故に怖い印象を受けますが、話してみると結構気さくで誠実な好漢だったり。
 ですが、やはり人の上に立つ立場だけあって、厳格で公正、そして相当な洞察力と思慮深さを持つ人格者です。
 その卓越した手腕は、四宮編における影の導き手として非常に大きな役割を果たしてくれました。

 城一郎やシャペル先生もそうですが、この作品に登場する大人は人間として相当な“格”を持った方が多いと感じている私。
 そして、創真はこういった大人達に目をかけられている子ですよね。
 あくまで公正に、時に厳しく、でも温かく。
 直接的な助力はしないものの、遠くから成長を見守ってくれている彼ら。
 そういった大人達がいてくれること。とても大切なことだと思います。
 いくら凄い実力を持っていても、しっかりした考えをもっているとしても、創真達はまだ「子ども」。
 無限の可能性と共に数多の危うさも持つ存在です。
 その「子ども」が安心して自分の道を歩むには「大人」の支えが不可欠。
 創真達各々のキャラクターが真っ直ぐに自分の道を歩めているのも、こういった大人達の影なる働きがあるからこそと思います。



 そして、四宮編の裏の主役であった『四宮小次郎』。
 鋭い嗅覚を持つ、パリのフランス料理店「SHINO’S」のオーナー・シェフであり、日本人初の「プルスポール勲章」を受章という、卒業生陣の中でも抜きん出た経歴の持ち主です。
 ですが、性格は非常にプライドが高く傲慢、言動も嫌味で融通のきかない頑固者という問題人。

 そして。 

 附田先生のキャラクター作りの「妙技」が最も発揮された人物でした。

 前巻では見事なまでの悪役という印象しか無かった彼ですが、今巻での乾ら卒業生とのやり取りや過去描写によって、マイナスな印象が完全に消し去られてしまうことに。
 横暴としか言えないその判断・言動を取ったのは何故か。その地に足の着いた理由。
 読者を充分納得させるだけの説得力と共感性があったその描写は、とにかく見事としか言いようがなく、ひたすら感嘆するばかりでした。
 もうこれからは附田先生のこの「妙技」を「附田マジック」と呼ばせて頂きます。



 そしてそんな四宮といい掛け合いをしていた『乾日向子』。
 四宮の一つ下の後輩で、日本料理店「霧のや」を営んでいます。
 基本的にはマイペースでおっとりした性格ですが、在学時には「霧の女帝」と呼ばれて恐れられ、料理に関しては冷徹な一面も。
 その二つ名と日本料理店を営んでいるという点から、得意分野は蒸し物あたりだったのでしょうかね?
 子供っぽい面があり、特に四宮の前ではちょくちょく余計な事を口にして、どつき漫才を繰り広げています(大笑)。
 恵を気に入っており、堂島先輩と一緒に恵の退学について考え直すよう四宮に進言するなど、偶然とはいえ彼女も裏の功労者だったり。
 ギャグキャラ的印象が強いですが、創真とタクミとの勝負や四宮と恵&創真との食戟の結果を預かったりと、さりげに度量の大きい人物です。



 『水原冬美』は四宮と同期で、イタリア料理店「リストランテ エフ」を経営。
 表情豊かな乾に対し、水原は基本的に無表情でクールな性格。
 発言も多くはありませんが、四宮には結構皮肉を飛ばしていたり(笑)。
 自己主張をしていないように見えて、椅子に両膝を立てて座るなど、言葉ではなく仕草でその存在を主張していた独特の個性を持つ人物です。



 四宮と水原が同期なら、乾と同期ももう一人。
 それが『ドナート梧桐田』。
 彼もまたオーベルジュ「テゾーロ」のオーナー・シェフです。
 ちなみに、「オーベルジュ」って何ぞや???だった栗うさぎ(爆)。
 調べたところ、郊外や地方にある宿泊設備を備えたレストランとのこと。
 少々キザな性格で、乾と同様に初見から恵を気に入っていましたが、食戟で水原・関守と共に審査員を務めた際には私情を挟まず判定を下すという、公正な面も。



 そんな彼らとは違う世代の卒業生が『関守平』。
 「銀座ひのわ」という寿司店の板長です。
 世代が違うためか乾や水原、梧桐田よりは四宮や創真達とあまり関わってきませんが、彼らより年配者なだけあってその思慮は深く、堂島の思惑を理解し賛同してくれるという良い補佐的キャラでした。



 それぞれしっかりとした個性を持っていた、これら卒業生達。
 このまま合宿編のみのゲストキャラで終わってしまうのは勿体無い人達ばかりです。
 遠月リゾートの役員であり、次巻で更なる伏線も張られることになる堂島先輩は間違いなく再登場してくれるでしょうが、個人的には四宮と乾の再登場も願ってますね。
 四宮は改心して嫌悪感の無いキャラになってくれたというのも大きいですが、今の時点で城一郎に次いで“外の世界”を知っている人物ですから。
 今回は「壁」となって創真と恵の前に立ち塞がった彼ですが、もしまた出会えるならば、今度は彼らの成長を促す立場になってくれそうです。
 乾は四宮とセットにすると面白さ倍増になるので、おまけとして(笑)。





 前半を飾り、この第4巻のメインでもあった四宮編。
 この章の「裏の主役」が四宮ならば、「正当な主役」は恵でした。

 本当は確かな実力者であったにも関わらず、精神面が原因で周囲から「落ちこぼれ」と見られていた恵。
 第2巻収録の第14話【恵の庭】で明かされたその事実を踏まえつつ、創真の支えを受けながらも「自分らしい料理」と向き合った彼女。
 重圧、緊張、劣等感。
 そういった“自分を縛り付けていたもの”から解き放たれ、自分に最も欠けていた「自信」を取り戻していく様は、四宮の過去描写と同じくらい感慨深いものがありました。

 そして実力を認められた恵は、堂島先輩から自分の料理の才に称号を授けられることに。
 それは「心遣い[ホスピタリティ]」。

 創真・えりな・恵といった、主要人物三名。
 彼らは、それぞれの才能に伴った「自分の料理」ヘのポリシーを持っています。

 創真は柔軟で自由な発想から、「無限の可能性」そして「失敗からの学習」。
 えりなはその[神の舌]と立場から、「完璧」と「高級」。

 どちらも“道”を極める上で大事な信条だと思います。

 ですが、彼らにとって、お互いのこの信条は見事に相反するものとなっているのですよね・・・。

 創真の料理の信条は「無限の可能性」。
 それはすなわちどんなに工夫を凝らした料理でも、必ずどこかに伸びしろがあるということ。100%は無いということです。
 そして、失敗もまた、己を成長させる大切な糧と思っている創真。

 対してえりなの料理の信条は「完璧」。それは100%ということ。
 逆に言えばそれ以上の可能性は無いということです。
 それは同時に「失敗」も認めないということを意味しています。
 そして「高級」もまた、親しみやすい庶民的な料理を基本とする創真の姿勢と対極するものに。

 
 それぞれの、料理への譲れぬ信念。
 この点もまた、創真とえりなの対照性を示す重要なポイントとなっています。

 そんな二人に対し、恵は食べる相手への思い遣りからの「心遣い[ホスピタリティ]」。
 創真とえりなの信条が“上”を目指すためのものなら、恵のこの信条は全ての“土台”となるもの。
 自分の料理を食べてくれる相手への気遣い、心配り。
 物作りの基本概念であり、私が料理、ひいては「食」において最も大切と考えているものです。
 恵の才能にこの名称が名付けられた時、私の中で恵の潜在能力の高さに確信が持てました。

 そしてこの「心遣い」は、さり気に創真も持ち合わせています。
 相反する信念を持つ創真とえりな。
 信念を共通する創真と恵。
 “料理”というこの作品の核を通して、ここにも三人の関係性が示されています。



 「自信」、「心遣い」と、非常に大きなものをこの四宮編で得た恵ですが、それと同じくらい、いえ、それ以上に印象的に描かれていたのが「創真との絆」。
 まず間違いなく、この四宮編が恵の創真に対する思いのターニングポイントと言えるでしょう。

 力を貸してくれて。
 心強く、温かく励ましてくれて。
 何より、自分でさえも信じられなかった「恵自身」を信じてくれた創真。

 そんな彼への大きな感謝は、これから後の展開における重要な伏線として張られることに。
 そしてこれ以降、恵の中で創真の存在が“特別”になりつつあるのを匂わせる描写が、度々見られるようになります。

 そんな二人の絆の象徴として、この四宮編で生まれたのが、「合掌パチン」のおまじない。
 「手」が陰なるキーポイントである今作において、この仕草は非常に大きな意味を持つものと考えています。
 合掌する手を挟み叩くこの行動。
 重なる手。
 創真&恵派な私としては、この「おまじない」を再び二人が交わす時がくるのを、心から待ち望んでいます。





 そして、この四宮編では主に補佐役に回りながらも、しっかりとその存在感を発揮していた創真はまさに「真の主役」といえましょう。
 四宮に最も強く反映されていた「附田マジック」ですが、それは創真も負けず劣らず。
 生意気なまでに自信満々かつ大胆不敵。
 それでありながら飄々としていてマイペースなため、掴みどころがあまり無い。
 そんなこれまでの異端的主人公像から一転。
 前巻にて彼の内面が色々と明かされましたが、それはまだ序の口だったことを思い知らされます。

 特筆すべきはその優しさ。
 徹底して相手を思い遣るその姿勢は、優しすぎると言っても過言ではありません。
 それだけではなく、面倒見が良く、非常に頼り甲斐があり。
 その上誠実な漢気も持ち合わせているという。
 少年漫画の主人公像として超正統派な内面が、「もう一つの実力」と共に明かされることに。

 内面的キャラクターが露呈され、一気に魅力が高まった創真。
 ですが。

 それと同時に見えてしまったのが

 彼の「危うさ」。

 本当はいつだって本気なこと。
 非常に負けず嫌いでプライドが高いこと。
 真っ直ぐな強い意志をもっていること。

 これまで、その表面的性格から自分本位な子と見られていたかもしれませんが。

 とんでもない。




この子

もの凄く

   自分に厳しい子です。



 四宮と共通する部分もある、彼のこの「危うさ」。
 ですが、かつての四宮が持っていなかったものによって、創真は救われます。
 それが「仲間達との絆」。
 創真が作り出す「絆」。それによってまた、彼自身も助けられる。
 この相互関係もまた、この巻で明るみに出た「少年漫画の王道の魅力」ですね。

 
 “痛み”を伴った危うさと共に明かされた、創真の内面。
 裏表が無い人柄にも関わらず、表面的性格と内面的性格の大きな違い。
 本当に、初めてです。
 これほど絶妙なキャラクターに出会ったのは。

 この四宮編を皮切りに、創真のイケメン度は底無しで深まり、格好良さは天井知らずで上昇していくことにvvv





 四宮編を通して、『食戟のソーマ』というこの作品の真髄が発揮されていた、第4巻。

 この四宮編にて最も感嘆させられたもの。
 その一つが上記で述べた、深いキャラクター描写。
 そしてもう一つが、徹底的に練りこまれた脚本(ストーリー)です。
 筆頭に挙げるべき点は、この章の中心人物であった四宮・恵・創真、その誰もがを落とさなかったということ。
 大抵の少年漫画は主人公に敵対する存在が現れた場合、「勧善懲悪」としてその敵対者は敗北、もしくは格が大幅に下がる傾向があります。
 ですが、その傾向を見事に打破し、敵対者を敗北させないどころかイメージアップにまで繋げています。
 それは、それぞれの背景、置かれた状況、心理描写を、誠実で公正な視点と考慮によって構築する巧みな技。
 キャラクター一人一人を大切にする作品に、駄作はありません。
 この四宮編で、脚本への信頼が揺るぎないものとなりました。

 

 この作品の核である「料理」。
 そこには「定番を外さない上での新しい工夫」という姿勢が常にあります。
 それは、この作品も、主人公も同じでした。
 「異端性の内にある真の王道性」。
 
 第3巻、そしてこの第4巻を通して、この『食戟のソーマ』という作品を理解出来たような気がします。



 これまでに無かった「深さ」や「巧みさ」が存分に味わえ、大変読み応えのある巻だったと思います。
 ごちそう様でした!!!





今巻のベストシーン
 81ページ
 温もり。



今巻のベストシーン
 120&121ページ・・・1コマ目
 そして、痛み。


『食戟のソーマ』単行本第3巻感想

2013-11-18 08:00:00 | 単行本感想

                          祝!!『食戟のソーマ』一周年!!
               ☆(\(≧≦)/)☆

 
 早いものであの第一話掲載から一年たったのですねえ・・・。
 正確には次回の52号で本当の一周年なのですが。(←言っちゃダメ)

 というわけで、一周年記念第一弾は伝説(?)の第21話が掲載されている単行本第3巻感想です!!
 ・・・あれ?今「いつもと同じじゃん!」という声が聞こえたような?(←)

 ま、まあ、それはともかく、では今回もレッツ・ゴー!!





 2013年8月2日に発売された第3巻。
 第15話【摩擦と選良】~第21話【至上のルセット】までの計七話が掲載。
 加えて今回は、特別読み切りとして『少年ジャンプNEXT!』2011年SPRING号に掲載された佐伯先生のデビュー作「キミと私の恋愛相談」が収録されています。
 そして巻末には番外編『CUOCO IN ITALIA(クォーコ・イン・イターリア)』も。



≪表紙≫
 創真、えりなと続いたならば、今回の表紙は当然恵ちゃん!
 青空の下、ザル一杯の野菜を手に笑顔の恵。
 その後ろにはおにぎりをくわえた創真くんが。
 これは疑いようもなく、前巻ラスト収録の第14話【恵の庭】のシチュエーションですね。
 緑をメインカラーにしたからという理由があったとしても、これまで屋内のイラストだっただけに今回の屋外のイラストは爽やかで良い感じ♪
 青みがかった黒髪に、創真と同じ金眼な恵。
 ほら、創真と恵はカラーリング的にもお似合いですってやっぱり。
 そしてさり気に、創真の私服姿をカラーで拝められて嬉しかったりv 

 ・・・アレ?なんか遠くの木の上に何か居るような・・・?
 あ。きっと木の妖精さんでしょうかね。
 そう、木の精ですよ。
 きのせい、きのせい。
 気のせい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい。



≪裏表紙≫
 さて、今回の描き下ろしイラストは内容的にみても、今巻初登場の創真のライバル『タクミ・アルディーニ』かな?と楽しみにカバーをめくってみたらば。

 ・・・・・・・・・・。

 そこに鎮座していらしたのはザ・マン・オブ・インパクトこと『堂島銀』先輩。
 モロに本編113ページで披露している裸姿です。
 「ガッカリさせてしまったかな」と仰っておられる堂島先輩。
 いや、ガッカリはしてませんよ?
 ただ衝撃くらっただけで。
 ・・・いえ、やっぱり少しガッカリだったかな、描き下ろしイラストじゃなくって。
 そんな私達読者に、堂島先輩は裏で(やっぱり裸のまま)「まぁ今回は俺の躰で手を打ってくれ」と。
 いや、だから・・・(大汗)。
 ・・・よっぽどご多忙だったのね、佐伯センセイ。



≪附田先生コメント≫
 早くも単行本が3巻を迎え、これからも宜しくと御挨拶なさる附田先生。
 押忍!!こちらこそ、これからも宜しくお願い申し上げます!!



≪中表紙≫

 お守りを手に、ふええと涙目な恵ちゃん。
 表紙の笑顔も良いけれど、「恵らしさ」でいえばやっぱりこっちの表情ですね(苦笑)。
 1巻の創真といい、2巻のえりなといい、単行本の中表紙は各キャラクターの一番「らしい」表情を描いてくださるのが嬉しいです♪

 ちなみにこの巻で気付いたのですが、中表紙に表記されているサブタイトルって、各巻毎にそれぞれ書体が違うんですね。
 第1巻【果て無き荒野】は楷書体で、第2巻【氷の女王と春の嵐】は明朝体、そしてこの第3巻のサブタイトル【至上のルセット】は丸ゴシック体で表記されています。
 サブタイトルの書体までも、キャラクターの雰囲気に合わせるという芸の細かさ。
 恐れ入ります。



≪特別付録≫
 この第3巻で紹介されている作中の応用レシピは2品。
 タクミのメニュー「鶏もも肉の香り焼き ~緑のソースを添えて~」は66ページに。
 それに対抗しての創真のメニュー「ゆきひら流 お柿揚げ ~木の芽のふわふわソース添え~」は86ページに紹介されています。

 今回もなかなかの充実振りなおまけ的挿絵。
 第15話終了直後の26ページには、当の15話ラストで創真に声をかける直前のタクミが。
 壁の後ろで「踏むぞ~・・・踏むぞ~・・・!」と心の準備をしているタクミくん。
 好きな人にアピールするため、わざと廊下でぶつかろうとする乙女みたいだな(爆)。
 本誌で創真の足を踏みやがった時にはなにすんねん(怒)と思ったものですが、こういう姿を見てしまうと憎めなくなってしまうのがちょい悔しい。

 46ページの挿絵は、これまでとはちょっと変わった趣。
 イタリアの料理店の分類別による名称を、タクミが説明。
 なるほど、「リストランテ」にならディズニーシ―で行った経験有りです。
 こういう解説的なものは良い勉強になるので、もっと行なってもらいたいですね。

 ドラ●エ風勇者ユウキは106ページに(笑)。
 これは直前の第19話(101ページ)で登場していた、50食作りチャレンジ中の『吉野悠姫』ちゃんのイメージイラストですね。
 なんとか50人斬り 食を作りきり、レベルアップを成し遂げた勇者ユウキ。よく頑張りました。
 それにしても装備してる包丁&中華鍋って、結構攻撃&守備力高そうだよね☆(実際ド●クエにも、「おなべのふた」とか「シルバートレイ」といった防具があったし)

 そして。
 例の第20~21話の間となる126ページには、恵が故郷を旅立つ際に渡された学業成就のお守りが。
 第20話で起こった衝撃のラスト。
 大切な人達の想いが込められている、恵の大きな心の支えになっていたお守り。
 そのお守りは効かなかったのか。それとも・・・?
 ここの挿絵を当のお守りにしたという選択は、次の回【至上のルセット】への繋ぎに深みを持たせる意味でとても効果があったと思います。



≪特別読み切り 「キミと私の恋愛相談」≫
 佐伯先生が脚本・作画共に手がけられた初のデビュー作。
 そのあらすじはというと、学校のアイドル『河合 唯』に昔から片思いしていた主人公『小早川』が、片思いにケリをつけるため告白しようとするものの、当の本番で言葉が出ずに、思わずもう1人のアイドル『川島 明日香』と間違えたと発言。しかしながらその発言がきっかけで河合唯が恋愛相談の相手になり、はからずも親しくなっていく・・・といった内容です。

 『食戟のソーマ』は料理漫画ですが、この作品は純度100%の恋愛漫画。
 ですが、主人公とダブルヒロインが軸といった内容には、少しだけ『ソーマ』と似てるかもと思ったり。
 
 主人公である小早川は、誠実だけど内向的で自分の気持ちを中々言えない、典型的ヘタレ男子。そして苗字だけで名前は明かされなかったという不憫な男でもありました。
 そしてヒロインの河合唯は才色兼備な学校のアイドル。にも関わらず、とっても気さくでくだけた性格の子。
 もう1人のヒロイン川島明日香はクールでちょっと不良っぽい感じですが、周囲の噂と違って実際は・・・という子だったり。
 最初はこの3人の三角関係が展開されていくのかと思っていたのですが、実際はほとんど小早川と河合唯の2人だけで話が進んでいき、川島明日香は完全に補佐役といった役どころでしたね。
 個人的にはもう少し川島明日香もストーリーの中心に絡んでいってもらいたかったです。

 これがデビュー作かと思ってしまうほどの作画の安定ぶりは、流石佐伯先生といったところ。
 『ソーマ』でも感じていた、様々なアングルからのキャラクター描写は当時から健在だったのですね。
 キャラクターの表情もやはり良いですし、特に女の子の表情は文句無しのレベルに思えました。
 ただ、やはりデビューしたばかりとあって、話のテンポや演出がぎこちなかったり、違和感を感じる部分も。
 でもこればっかりは、経験の積み重ねでしか上達できませんものね。

 内容としては、結構「恋愛観の切り口」が面白かったと思いました。
 ちょっとした誤解から始まる三角関係というのは今まで山ほどありましたが、この作品では主人公が始めから玉砕覚悟で告白を試みているのですよね。ここがポイント。
 そして当の河合唯は、恋愛に対して真面目で純情な子であったために、数多くの相手から告白されながらも、いい加減な気持ちでOKするわけにはいかず、断り続けてきたと。ここがもう一つのポイント。
 小早川の告白するという決断は、一見前向きな判断に思えるものの、その実態は至ってネガティブ。
 彼は河合唯を“高嶺の花”と見ていて、自分とは釣り合わないと端から諦めているんですよね。告白を試みたのも、次の恋を探すために自分の気持ちに決着を付けるためで。
 それに対して、河合唯は告白されても断ってはいるものの、まずは相手の事をよく知ってから・・・という、ポジティブ的な気持ちを持った上での判断。
 それなのに告白してきた相手は小早川と同じように、「断られた=恋の終了」と思ってしまい、彼女の事を諦めてしまうという。
 要はすれ違い。
 そういった「告白する側」、「告白される側」の心情が丁寧に描かれた、なかなか読み心地の良い作品でした。

 当時の佐伯先生に教えたいです。
 この漫画の主人公は恋するヘタレ君だったけど、約1年後、恋愛感情ゼロだけどべらぼうに男前な主人公を描くことになりますよと。



≪番外編 CUOCO IN ITALIA≫
 日本語に訳すると『イタリアの料理人』。
 そのタイトルの通り、タクミ・アルディーニ(アルディーニ兄弟)がどうして遠月学園にやってきたか、その経緯が描かれています。

 ①可愛い女の子
 ②セクシーなお姉さん
 ③コメント不可
 それら全てのお誘いを、紳士的にではありますが断るタクミ。

 実家の店で順調に腕を上げつつも、実は心の一部が冷めていたタクミ。
 彼が求めていたもの、それは彼女ではなく、競うべき好敵手。
 そんなタクミの心情に気づいていた父親の意向によって、彼は弟のイサミと共に遠月学園に編入してきたのでしたか。

 そして高等部始業式の日、タクミは出会うわけです。
 自分と同じ、「現場を知っている手」を持つに。

 やっぱり魅せ方が上手いなあ・・・。
 左手首を見せるだけで創真だと分かるところがまた見事ですよね。

 大衆食堂出身。
 既に「食の現場」で戦っている料理人。
 「プロ」としてのプライドを持つ者。
 そんな自分と全く同じ立場である上に、公然と宣戦布告した創真。
 創真はまさに、タクミが求めていた存在そのものだったと。
 第16話(49ページ)の回想で、創真の所信表明の際にタクミがどことなく嬉しそうだったことにも、これで納得がいきました。
 数多くの女性をあしらうようなクールなタクミが、創真にだけはあれほど熱くぶつかっていくのも、そういう理由があったからこそだったのですね。

 ああ・・・それにしても。
 創真さんの手、綺麗すぎて惚れ惚れしますv



≪佐伯先生コメント≫

 ペットのフェレットの怖い表情に戦慄しつつも、これはこれでかわいいと思っておられる佐伯先生。
 世間ではこれを「親バカ」という。(佐伯先生すみません/土下座)




                                                                                                                                                                   




 生き残りを掛けた学校行事、地獄の合宿。
 その合宿編がこの巻から丁度スタートとなります。


 厳しい課題が次々と襲い来る中、共に生き残ろうと励まし合う創真の仲間達。
 それが恵を始めとする極星寮のメンバー。
 今回はそんな極星寮の面々について考察していきましょう。

 始業式の日、所信表明の場で多くの在学生を敵に回してしまった創真。
 そんな創真に歓迎会を開いてくれた極星寮の人達。
 当時はまだこの作品に全然興味が湧かず、ほとんど流し読みしていた私でしたが、それでもホッとした覚えがあります。
 「ああ、良かった。創真を迎え入れてくれる人達がいてくれて・・・」と。


 個性的な面子ばかりの極星寮の住人達。
 その中でもひときわ変わり者なのが、リーダー的存在である『一色慧』。
 彼は創真より一つ年上の2年生。
 そして、「遠月十傑評議会」の第七席という、相当な実力者でもあります。
 
 笑顔を絶やさず、無駄なまでに爽やか(笑)、加えて面倒見も良い一色先輩。
 ですがそんな好男子振りを台無しにしているのが、ほぼ全裸に等しい服?の趣味(笑)。
 そういった残念な出で立ちから奇人に見られがちな彼ですが、実際はかなりの食わせ者です。
 温和な笑顔の隙間に見せる、野心的で策略家な眼差し。
 そんなただならない人物ですが、寮の仲間達を大切に思っているのはきっと本当でしょう。
 腹の底は見えにくいものの、信用に足る人物だと私は思っています。

 編入してきた創真に、一色先輩は何か期待をかけている様子。
 第14話で遠月の競争教育に思う所がある様子を見せていたことから考えて、彼は多分、創真に遠月学園の変革を期待しているのではないのでしょうか。
 学園の風潮に全く染まっていない、確固とした意志と、変革を成し遂げるだけの可能性を秘めた創真ならばと。

 ちなみに、創真の問いに対して逆に問いで返して誤魔化していましたが、彼は創真の予想通り割烹料理関係の出身でしょうね。創真はかなり料理への着目点が鋭い子ですから。
 いまだに真の実力を見せていない一色先輩ですが、そのことから考えて和食系の料理を得意としているのでは。

 これまで登場してきた学生達の中で、一番計り知れないものを感じる一色先輩。
 これは完全に推察ですが・・・、現在十傑第七席に在している彼ですが、本当はもっと上席に相当する力を持っているのではないでしょうか。
 それこそ、上位五位以内に入るぐらいに。
 第14話で彼自身が言っていました。「極星畑の世話で、授業にまともに出ていない」と。
 確か遠月十傑の選出基準は、“学内評価が上位10名の生徒”だったはず。
 
授業にあまり出席していないにも関わらず、十傑第七席という立場。
 それならば、もしまともに授業を受けて、真の実力を公にしたならば・・・。
 考えすぎかもしれませんが、一色先輩ならそれを故意にやりかねないと思います。



 ここからは創真と同じ一年生のメンバーを。
 『伊武崎峻』は極星寮208号室の寮生。
 得意とするのは燻製料理で、燻製に用いるスモークウッドを自作する程のこだわりよう。

 口数は多くなく、クールな性格ですが、同時にとても鋭い観察力&洞察力も持ち合わせています。
 髪で目元が隠れているため表情が見えず、一見何を考えているか分かり辛い伊武崎。
 ですが、寮生達の集会に参加してくれたり、さり気なく仲間を気遣う等、深い思いやりが言動の端々から感じられます。

 これも私の勝手な推測ですが、伊武崎は一色先輩と、同じ寮生という以外の“関係”があるのではないでしょうか?
 外見も似ていますし、本心が読みにくいという点も同じ。加えてかなり鋭いという点も共通しています。
 生き別れの兄弟でした、ともし言われたとしても私は驚きませんよ。



 『丸井善二』は205号室の住人。
 真ん丸メガネをかけた、勉強家で潔癖で神経質、そして存在感がいまひとつな子です(苦笑)。
 自室をいつも会合場所に使われ、しかも決まってその後の片付けを押し付けられるという、不憫キャラ。
 そんな貧乏クジ体質の彼ですが、いまだに得意料理が明かされていないなど(2013年11月現在/第47話まで)、意外と料理に関する素性が謎だったりします。



 116号室在住の『吉野悠姫』は、お団子ヘアが特徴の明るい活発な女の子。
 同じく快活タイプな創真とはよく気が合い、2人のやり取りは爽快な友情感があって、見ててとても気持ち良いです♪
 野生の鳥獣[ジビエ]の扱いを得意としている吉野。自分の手で新しいブランド鶏を作り出すことが夢で、鶏を始め、様々な動物達を飼育しています。

 この第3巻に収録されている第19話での調理シーンで、タクミのように周囲の学生達とは違う調理服を着ていること、そして内心で大阪弁を語っていることから、彼女の背景にも色々なものが隠されていると予測しています。



 そして112号室の寮生は『榊涼子』。
 極星ガールズの中で一番大人っぽい雰囲気の、ロングヘアーの子です。
 榊は塩麹を使った料理を得意とし、寮の近くに専用の作業場まで所持。
 その雰囲気に違わず性格も落ち着いていて思慮深く、お姉さんのような温かさを持って寮の仲間達と接してくれています。
 その落ち着き故に、伊武崎と共にツッコみ役になることも(笑)。



 他にも揚げ物を得意とするヤンキー風情の男子二人がいるものの、残念ながら現在をもってしても名前不詳のまま。
 創真と一緒に騒いでくれる気の良い人達なのですが、果たして彼らの名前が明かされる時は訪れるのでしょうか?



 各自異なった得意分野を持つ極星寮の仲間達。
 そしてそれを自ら作っているのも彼らの特徴です。
 一色先輩は野菜、伊武崎は燻製、吉野は肉類&卵、榊は塩麹を始めとする発酵食品。 
 使用する食材の全ては当事者が自ら用意する。それが食戟におけるルールのひとつ。
 そのことから、創真が今後彼らの力を借りる展開は大いにあり得るでしょう。


 
そんな個性豊かな仲間達が集う極星寮は、三階建ての構造。(※単行本2巻29ページ参照)
 303号室の創真、302号室の恵は三階に。
 一色先輩(部屋の配置から、206号室と推測)と伊武崎、丸井は二階に、そして吉野と榊は一階に在住。
 この極星メンバーの部屋割り。
 これは、それぞれの潜在能力の高さを表していると個人的に考えています。
 よって、伊武崎と丸井はかなりの実力を秘めた存在と推察。
 そして、創真は至極当然として、恵もえりなに匹敵するほど、最終的に十傑三位以内に入るほどの可能性を秘めていると思っています。


 かつて多くの十傑を輩出したという極星寮。
 そんな黄金時代を創真達が再び築くと確信してますが、創真と恵、そして一色先輩の他に十傑入りする者はいるのか。いるとするなら、果たして誰になるのか。
 そこもまた興味深いです。





 では今巻全体の感想をば。

 序盤は課題を通して『タクミ・アルディーニ』との勝負が繰り広げられます。
 そこで創真は、初めて「ライバル」という存在に出会うことに。
 今回は引き分けとなり、いずれ食戟にて決着をつけることにした両者。
 いずれ訪れるであろうその勝負が今から楽しみです。
 中盤ではえりなとの久し振りの邂逅&堂島先輩とのお風呂でバッタリが(大笑)。
 小休止的な回かと思いきや、去年の一色先輩の様子や、えりなが創真を凌ぐ実力者だったということが発覚するなど、油断のならない内容となっています。
 そして終盤では、本誌で大反響を巻き起こした四宮編へと突入することに。


 本編ラストを締めた第21話【至上のルセット】。
 この回は本誌の掲載順で初めてトップ(=人気アンケート第1位)を獲得し、ファンの間でも神回と言われ高く評価されています。
 いわば、たったこの一話で、『食戟のソーマ』という作品への評価が爆発的に跳ね上がったともいえましょう。
 ですが、それだけの魅力がこの回にはありました。本当に。

 これまで、王道か邪道かといわれれば、やや邪道寄りといえたこの作品。
 主人公は飄々としていながらも不敵で掴みどころがあまり無く、それ故に強さも嫌味になってしまう部分が。
 おまけにヒロインの一人はああいった反感くらいまくりな性格をしているという始末。
 とどめが「あの」リアクション。
 ストーリー自体は料理の頂点を目指すというとても真っ直ぐかつ簡潔なものではあったものの、私が最初そうであったように、始めの頃の『ソーマ』は賛否両論がかなり激しい作品だったと思います。
 
 キャラクターやリアクションだけでなく、ストーリー(構成)の方も第1巻あたりの頃は勢いが重視された展開で、いうなれば見どころは「ストレート」さと「型破りさ」だけだったのですよね。
 ところが。
 第2巻あたりから次第に「深み」という魅力が加わっていき。
 この第3巻から急激にそのレベルを上げ、ラストとなる第21話で完全に作画&演出と肩を並べるレベルにまで成長。
 良きライバルの登場、許せざる敵の出現、ヒロインの頑張りと危機、主人公の熱き思い。
 それらが巧みな構成と素晴らしい演出、そして見事な作画と融合した結果。
 『食戟のソーマ』は誰もが認める“王道漫画”へと相成りました。
 これまでの批判的見解が完全にひっくり返されてしまうほどの作品自体の成長。それにはただ脱帽するばかりです。  

 
 この第21話【至上のルセット】はお気に入りの回と本誌のインタビューにて共に仰られていた、作者の附田&佐伯先生。
 附田先生は話の展開にキャラクターの感情がしっかり乗ったと。
 佐伯先生はそんな附田先生のネームを見て胸を熱くさせられたその想いを、上手く良い絵としてぶつけられたと。
 そんなお二人の特別な思い入れが込められた第21話が、読者アンケートで初のトップを獲得し、今の人気の切っ掛けにもなったこと。
 両先生はとても嬉しかったことと思います。(^^)


 
 劇的に私達読者の印象を変えたのは、作品自体だけではなく、主人公の創真自身もです。
 といっても、彼の場合は1~2巻を通して少しずつ醸し出されていた面がこの第21話で一気に炸裂した形でした。
 相手が自分よりどんなに上の立場であろうと全く臆さず自分の意見を述べる面。
 窮地に立たされている相手を目にしたら放っておけない面。
 飄々とした不敵な面に隠れていたそれらが、このラストで思いっきり前面へと出たわけです。


 それだけでなく、今巻は全体を通しても創真の深い内面部分が描かれてありました。
 
 まずはタクミとの出会いと勝負。
 これまでずっと、ひたすら父親を超えること、そして実家の定食屋を守ることのみを目指してきた創真。
 だからこそ、唐突に遠月学園に編入することになった時は自分の夢への遠回りにしか思えず、しかも在学生達は権力や家柄を振りかざしているだけの奴らばかり。
 そんな事前体験もあり、創真は最初遠月学園を少々みくびってさえいました。 
 
 ところが、ここにきて初めて出会ったのが自分と“対等”な存在、タクミ・アルディーニ。
 自分と同い年で、同等の実力を持った料理人。
 同じように確固としたプライドを持って自分の店を守ってきた者。
 この出会いをきっかけに、創真は“自分の世界”の狭さに気付いていくことに。

 これは割と最初の方から感じていたことでした。
 創真って一途すぎるなあ・・・と。
 他の事には脇目も振らず、料理の道ただ一筋に歩んできた創真。
 父親を超えること、そして店を守ること。
 これだけで彼の“世界”は出来上がってしまっている。
 私がある程度の経験を重ねた年代だからこう思えるわけですが、創真はまだ15歳。
 無限の可能性の塊です。
 そんな未来溢れる年代の子が、例え本人の意思だとしても一つの場所に留まり、世界の広さを知らないままで終わる…。
 
それはもの凄く勿体無い事だと思うんです。
 
世界の広さを知り、学んだ上での決断なら何も言いません。
 ですが、創真はその真っ直ぐさ故に、“自分の世界の外”を知ろうともしなかった。
 外の世界に溢れる、様々な人達の考え方や技能、数えきれない文化や工夫。
 そういった多くの事柄に、自分自身の眼で見て、聞いて、触れて、感じて、学んで。
 沢山の「経験」という宝をため込んでもらいたい。
 そう思うのです。
 世界の広さを実際に体験している父・城一郎なら、尚更そう思ったことでしょう。
 だから創真を“外の世界”のひとつである遠月学園に編入させたのでしょうね。
 
 この事に自分で気付けたこと、そのことからも、創真は率直な子だけど単純な子ではない、とも感じました。


 次にえりなとの邂逅で発覚した創真の一面はというと。
 創真は誰に対しても平等に接する子である、ということ。
 例えそれが、過去にどんな因縁があった相手だとしても。
 
曲がり角でぶつかったえりなに対し、真摯に詫びてえりなを気遣った創真。
 郁魅やタクミとのやり取りでも漠然と感じていたことではありましたが、ここのえりなとのやり取りで確信を持てましたね。
 
これまで相手が誰であろうが、創真は自分が思ったままをどストレートに口にして度々反感を買ってきました。
 そんな彼の無遠慮な所、それは彼の“短所”として見られていた点だったと思います。

 ですが、それは彼が常に裏表無く、真っ直ぐに相手と向き合っているということの裏返しでもあったわけです。
  “短所”を反転させ“長所”へと変換させたのは、描写こそさり気なかったものの、大変見事な技だったと思います。

 そして。
 例の第21話。 
 単行本第1巻の感想で創真を「荒野」と例えましたが、まさかその大地の下にこれほど熱いマグマが存在していようとは。
 仲間思いの熱い子であったとは。 
 第1話で自分の店を踏み荒らされた時も激怒していましたが、それ以降は激しい怒りを見せることが全く無かった創真。
 そんな創真が見せた激昂。
 それは仲間の為―――
 まさに創真と私達読者との心が200%シンクロした瞬間でした。



 こうして作風だけでなく主人公への見解も大きく覆されることに。
 これほど作風の傾向と主人公のキャラクター性が同調している作品も珍しいのでは。
 少年漫画の三本柱である「友情・努力・勝利」
 「勝利」は既に充分に披露。
 「努力」は表立ってではありませんでしたが、創真の「ゆきひら」での現場経験や丼研編で証明済み。
 その反面なかなか満たされなかった「友情」。
 それがここでようやく満たされましたね。


 そんな少年漫画として最高の「引き」で終結した第3巻。
 単行本派の方はとてつもなく次の第4巻に期待を煽られたでしょうが、同時に発売日まで地獄だったことでしょう(苦笑)。 


 少年漫画の本質である「熱さ」と「勢い」を全力で感じ取れた第3巻。
 久し振りに純粋なワクワク感を思い起こさせてくれました。
 本当にごちそう様でした!!

  

 今巻のベストシーン
 144&145ページ
 これ以外に何がありましょう!!!???

今巻のベストシーン
 92ページ
 創真、初の食戟の申し込み。ベタ(黒塗り)を一切使ってない描写に、≪ベストシーン≫の次に作者の気合を感じました。
   &
 141ページ
 
皆の心を一つにした、恵の健気さ。