週刊少年ジャンプ2017年38号掲載
掲載順第8位
第227話 【2nd BOUTの行方】
全選手の料理を一度に審議することになった2nd BOUT。
審査員達は、まず久我達反乱軍の料理を口に。
・・・あ・・・。
久我達の方から先なんだ・・・。
かくして、評価はというと・・・
期待通り上々。
惜しげもなくおはだけも披露され(苦笑)、大絶賛されます。
次々に解説される美作・女木島先輩・久我の料理。
美作がアレンジの一貫である軍艦巻きを作る際に取り出していたもの。
それは久我へのサポートの際に作っていた燻製醤油!
・・・!(・□・)
予想当たってもーた・・・。
それは「究極のネギトロ卵かけご飯軍艦」でした。(ちと長い名前だな・・・と思ったのはここだけの話)
燻製醤油で和えたネギトロの上に乗っていたのはなんとメレンゲ!
さらにその上にうずらの黄身を乗せることで、あの小さい一貫の中でネギトロと卵かけご飯を同時構築させたという。
メレンゲ・・・といえば・・・。
秋の選抜でタクミと闘った時も、美作は別立て法(ビスキュイ)を用いる際にメレンゲを作っていましたよね。
やっぱり!
美作はこのアレンジに、創真、そしてタクミとの勝負の際に用いた己の技を用いてくれていたわけです!!
くうう、粋すぎるぜ美作!(><)
そして女木島先輩のラーメンはというと、テーマである唐辛子はラーメン自体には加えられておらず、添え物のペーストの方に大量に用いられていました。
そのペーストとは、北アフリカ発祥の調味料である『ハリッサ』。
ハリッサですか!懐かしいですね。
創真も思い出していた通り、城一郎がかつて極星寮で料理を振る舞った際に作っていた調味料がここで再登場してくるとは。(第41話)
おっと、「キャラウェイシード」はまだ未解説でしたよね?
※キャラウェイシード・・・セリ科。「シード(種)」とあるが、香辛料として用いられているのは果実の部分である。
クミンと同じセリ科ということもあって外見はよく似ているが、風味は違い爽快な甘い香りと共に穏やかな甘味とほろ苦さを持つ。
チーズやりんご、キャベツと相性が良く、お菓子や卵料理、シチューなどによく用いられる。お酒の風味付けに用いられることも。
ヨーロッパでは古くから人や物を引き止めたり結びつけたりする力があると信じられ、盗難防止のおまじないにも使われていた。
そしてアフリカの要素はラーメンの方にも。
スープのベースになっていたのは『チキンムアンバ』!
・・・!!(・□・;)
またもや当たってもーた・・・。
どうしよう、ここまで的中すると逆に不安になってくるんですけど・・・。
スープに大量に仕込まれたピーナッツのコクやまろやかさ等によって、ハリッサ(唐辛子)を足せば足すほど辛さと美味さが深まっていく仕組みになっていた女木島先輩による「アフリカンラーメン」。
まさに前振りの通り、この世の何処にも無かったラーメンを見事創り出していました!!
凄 す ぎ る ! !
そしてそして、実食前に「良くも悪くも未知数」と言われていた久我の料理は、「緑茶黒酢豚」とも言える料理でした。
ただし「酢豚」といえども、その枠が破壊され、中華だけでなくフレンチの技巧も用いられていたという。
調理中に黒酢と一緒にバルサミコ酢を取り出していた久我でしたが、それはフレンチのソースである「ソース・オ・ウ゛ィネーグル・バルサミック」を作るため。
これまでずっと中華(四川)専門の料理人としてその腕を振るってきた久我。
ですが「司に勝つためにはどうすれば」とずっと格闘し続けた中で見つけ出したのが、自分で作り上げてきた殻を壊すという方法でした。
だからこそ、これまでの自分だったら到底活かせなかったであろう「緑茶」というテーマでもこれだけの品が作れたと。
本当に成長したね久我・・・!
・・・ですが・・・。
そんな久我を見る竜胆先輩の表情は・・・。
こうして反乱軍の審査を終え、次はセントラル陣の審査へ。
司の品を一口食すアン。
その途端。
これまでのどんなものとも違う反応を。
更にアンに実食を勧める司。
「俺が困るから」と半強制的に。
・・・司ってさあ・・・、普段は弱気で低姿勢なのに、料理が関わる事にはホント自己中になるよね・・・。
(最近は全く見られなくなったものの)創真も相手に無理矢理ゲテモノ料理を食わせるところがあるけど、それとは全然ニュアンスが違うんだよなあ・・・。
口にするアン。
そして・・・。
電光表示板に示される、2nd BOUTの結果。
全カード 3-0により・・・
セントラル陣の完勝。
茫然・・・。
反乱軍の方から審査が先と知った時点で、嫌な予感はしていました。
俯瞰的に考えても、この結果は全くおかしくありません。
けれど。
納得はすれども、やはりこれほど悔しさを感じるのは・・・やはりそれだけ反乱軍達一人一人の掘り下げが大変見事だったからに他なりません。
久我はこれまでの自分優先な姿勢を変え、仲間達の事を信じ、考えられるようになってくれて。
女木島先輩は戦いに辟易し、自分の道のみを守ろうとしていたところを全力で闘ってくれて。
美作は仲間達への借りを返さんと、体に負担をかけても己のスキルを更に磨き上げてくれて。
三人とも、仲間達のためにと、とても頑張ってくれたというのに。
本当の本当に、彼らの気概は、姿勢は、非の打ちどころが無かったと思います。
負ける要素なんて全く見当たりませんでした。
となると、敗因は技術的な面になるのでしょうが・・・。
彼らの料理はいずれも大変素晴らしいものばかりでしたよね?
特に女木島先輩の場合は、竜胆先輩とはたった一席分しか席次における差はないというのに、どうして「3-0」なんて完封負けを喫することになってしまったのか非常に不思議なところ。
取り敢えず私の視点から敗因を探すとすれば・・・。
反乱軍の料理は、いずれもテーマ食材がメインになりきれていなかった・・・とか?
女木島先輩のラーメンは唐辛子要素であるハリッサが添え物になっており、その添え物(唐辛子)を加えずともラーメンとして既に成立してしまっているんですよね。
過去の例を出すならば、秋の選抜でアリスが出した手鞠寿司が「弁当」というテーマではなく「寿司」というテーマでも出せた品であった、と評されていたケースと似たような事になってしまっていたのでは。
そして久我の場合も、素材至上主義の司の料理と比べれば、残念ながら緑茶の主役性が及ばなかったのでは。
美作の場合は・・・。
これが一番言い辛い・・・というか言いたくない・・・。
・・・アレンジの軍艦巻きが、逆に一皿全体のバランスを崩してしまった・・・のでは・・・。
斉藤聡明の寿司は十貫で構成されており、そのいずれもまぐろを活かす加工が施されていました。
ですが、美作が追加した軍艦巻きは「卵かけご飯」というまぐろ以外の要素が追加されてしまっているという。
反乱軍は、皆仲間達のためにと頑張ってくれる素晴らしい人達ばかりです。
対してセントラル陣は、基本的に自分の料理の事だけを考えている面子がほとんど。
今回の勝負は、そんな敵側の自己主張の強さがそのままテーマ食材の主張の強さとして反映されたのではと、個人的に考えています。
さて・・・これにて一応5対5のイーブンに戻ったわけです。
次なる闘い、3rdBOUTは翌日になるようですね。
取り敢えず、次からの闘いにおける不安はさほどありません。(吉野や青木&佐藤らはお通夜のような状態になってそうですけど)
反乱軍にはまだ、えりなや一色先輩といったさりげないダークホースがいますし、それに・・・。
「連携」という起死回生の手段もありますし。
美作の時に作中では散々連携云々と言っていましたが、あの連携の仕方はハッキリ言って不充分な形でしたからね。(美作には申し訳ない限りですが)
第200~203話で行われた城一郎達との紅白戦で行われたような連携の仕方が、実力差をひっくり返す可能性を生んでくれることと思います。
美作が敗れた今、「サポート」として秀でてるのは創真、そして恵。
3rdBOUTは彼らが出ることになるのでしょうか?
大きな衝撃と悔しさを味わされた今回。
果たして反乱軍はどんな夜を迎えることになるのでしょう。
願うのは、「負けたからハイ終わり」にはならないでくれること。
勝負の場には出られずとも、アドバイスなり何なりで創真達の力になれることはまだこれからも沢山あります。
郁魅やアリス達も、応援するだけでなくもっと何らかの形で創真達の力になってくれることを期待します。
勝負はまだ終わっていないのですから。