あまぐりころころ

主に漫画やゲーム等の感想や考察を。
時に旅行記等も交えながらの、のんびりのほほんブログ。

『食戟のソーマ』第163話感想

2016-04-23 23:30:00 | 食戟のソーマ

 週刊少年ジャンプ2016年20号掲載
 表紙&巻頭カラー 
 第163話 【頂を目指す者】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 待ってました。
 久し振りの表紙&巻頭カラー♪

 今回の表紙はライト調かな?それともシリアス調かな?と、ワクワクしながら買いに行きました。
 結果はというと・・・

 なんとまあ。
 予想だにしていなかった毛筆調☆
 これは渋い。
 そして佐伯先生のイラストとしては初めて目にする描写法です。
 最近のパソコンは凄いんですね~。こんなタッチのイラストも描けるんだなんて。(佐伯先生はデジタル漫画家)



 そして前回は司からの勝負を創真が受けるところまでで終わったため、今回の巻頭カラー&扉絵は多分そんな二人が描かれるだろうと思ってはいました。

 思ってはいたのですが・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 素晴らしいイラストです。本当に。

 ただ・・・。

 超個人的な意見なのですが。



 附田&佐伯先生に「先を越されてしまった」感が物凄い。



 実はこのイラスト・・・。
 私がずっと前から抱いていた「あるイメージ」に驚くほどドンピシャなんですよ。

 ドンピシャすぎて、逆に後悔しました。

 何故なら、「そのイメージ」を基に“あるもの”を創りたいと以前から思っていたものでして。
 本来なら今年の春にその“あるもの”を創り上げる予定だったのですが・・・諸事情により、着手出来なかったんです。
 なので、もしそれを計画通り完成できていたら、逆に附田&佐伯先生に「やられた!!」と思わせられたかもしれないんですよね。
 あ~あ・・・私のバカ。
 やっぱり今年の春は全ての意味で絶好のチャンスだったんだなあ~・・・。

 ま。
 前向きに考えましょう。
 それだけ私がこの作品に対して抱いているイメージは附田&佐伯先生の構想と一致しているということですよね♪(←前向きを通り越して思い上がり)



 そんな反省だけではあんまりなので、内容の方の感想も。
 時間の経過の象徴として桜と紅葉が描かれているわけですが、ちゃんと紅葉が次第に色付いているのが見事の一言。
 附田&佐伯先生のこういう細やかな仕事ぶりが本当に好きです。
 マジで芸術の秋・・・もとい芸術の域。

 扉絵もシンプルさが逆に美麗さを引き立てていますね。
 ああ・・・美しい・・・(恍惚)。
 そしてここでも、何気に良い仕事をなさってくださっている佐伯先生。
 創真は桜を、司は紅葉を、それぞれ漂わせている二人ですが・・・。
 見開きの両サイドの模様も、創真サイド(右側)は桜、司サイド(左側)は紅葉になってるんですよね。
 これには軽く感動。

 やっぱり勿体無いなあ・・・と思わざるを得ません。
 こんなにも綺麗に色付いているイラストが、単行本では白黒になってしまうんだなんて。
 う~ん、やっぱり出して欲しいな・・・画集。



 そんな中ふと思った。

 創真ってツンツン頭だよね。

 見事な赤髪だよね。


なんか紅葉に似てるよね。
(核爆ドッカーン)

 
 







 さて、バカ発言をかましたところで本編の感想へといきましょう。

 いきなり創真のどアップに軽くビビった(笑)。
 前回ラストは司がなかなかの威圧感を放ってましたが、今回は創真がまた違った形で威圧感放ってます。
 ヘラヘラ飄々が標準仕様な創真がこれほどの面持ちで相手に詰め寄るのは非常に珍しいですね。
 それだけこの勝負に賭けられた「十傑第一席の座」への思いが半端ないという事です。
 軽い気持ちで賭けられたり、後から「冗談でした☆」とはぐらかされて済むようなものではありませんから。

 そんな創真の気迫に司はタジタジ(苦笑)。
 矢継ぎ早に話を進めようとする創真さん。
 ちょっと久我のキャラ被っちゃってますよ?

 もはや完全に勝負に乗り気な創真ですが、自分が負けた場合の対価となる「セントラルへの加入」には、「イヤ!」とキッパリ☆
 「キライ」と断言したアリスに負けず劣らず、やっぱり創真もゴーイングマイウェイなお方です。
 そんなキミが大好きです。

 ちょっと矛盾しちゃってる創真に困ってしまい、勝負をやめようか?と言う司。
 弱気な態度に誤魔化されそうになりますが、彼も彼で対価を譲歩するつもりは無いようです。
 まあでも、全力で勝負する姿勢でいてくれたのは確かな格を見せてくれていましたね。
 相手が誰であろうが全力で立ち向かう。
 それが勝負の際の相手への礼儀ですから。

 そして創真も勝負を受けます。
 やってみなければ分からない。
 ごもっとも!!
 それが創真のモットーですものね!!(><)

 そもそも創真の言う通り、第一席との一騎打ちなんて機会、そうそう叶うものではありません。
 創真にとって、誰にも介入されないこの機会は絶好のチャンスでしょう。
 まあでも、後ろのギャラリーにはしっかり気付いている模様ですが(笑)。



 そして勝負のテーマは司からの提案で「鹿肉」。
 料理ジャンルは創真からの提案で「フレンチ」に決定。
 かくして、いざ勝負が始まります。

 先に調理に入ったのは司。
 使用部位は背肉。
 それを素早く捌いていってますが・・・。
 切り出したのは「背ロース」という部分ですね。
 解説が入っていなくてもきちんと描写されているあたり、本当に料理漫画としての質の高さが感じられます。
 「背ロース」は一般的にいうと「フィレ」に当たる部位で、鹿肉の中でも格別の柔らかさを誇るそうです。

 それをゆっくりと加熱していく司。
 楠の低温調理と似たような感じでしょうか。低温でじっくり火を入れていくことによって、肉の柔らかさを損なわないようにしている模様。
 ちなみに
鹿肉は脂が少ないため、油との親和性が高いとのこと。
 それを踏まえて見ても、司の料理は「鹿本来の持ち味」を最大限に引き出す調理をしていることが分かります。
 叡山、楠と、セントラル側の料理人はこれまでシンプル系の品ばかりを出していますし、司も割とシンプルなロースト系の品を出してきそうですね。


 そんな司の調理を観察しながら、さらりと「arroser[アロゼ]」という専門用語を用いている創真。
 大丈夫。これは第112話にてちゃんと勉強済みです。(d(‐ ‐))

 食材をどこまでも慈しみ、最高の状態へと高めていく。
 
そんな司の料理の匂いと見た目だけで・・・
 新戸はおはだけ★
 葉山にもはだけられていたし、どうやらこの子は匂いに弱い模様です(苦笑)。
 それを新戸は「くらってしまう」と表現。
 あら懐かしい☆
 それはこの作品のプロトタイプである『読切版 食戟のソーマ』でえりなが用いていた表現ですね。単行本第1巻収録)
 この言い回し、とても上手だと思います。
 確かに「くらう→喰らう」という表現は「食べる」という意味だけでなく「(攻撃などを)身に受ける」という意味もありますから。
 この作品に出会い、附田先生の言い回しを見て気付いたことですが、“味”や“食べる”ことに関連する言葉ってかなり多いんですよね。
 そういう「言い表し方」もまた、この作品の隠れた面白さです。



 ここで唐突に、創真は司に問い掛けます。
 セントラルは結局何をしたいのかと。

 いい質問です創真。
 やっぱりこの子の着眼点は鋭い。

 その問いに対して司が明かしたセントラルの目的、それは・・・

 

 

 

 

 

 

日本中の“不出来な料理店”を潰すことでした。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 ・・・多分、私だけでしょうね。

 

 



 今回の話を読んで、涙が出たのは。

 

 


 今の私なら、分かります。創真の気持ちが。

 

 

 約二ヶ月前、一人の家族を失いました。
 その人が住んでいた家は、今は空き家です。
 でも。
 私はその家を、これからも訪れ、ずっと守っていくつもりです。
 その家には、その人との思い出が染み込んでいますから。
 その場所は、家族みんなが集まれる場所ですから。










 創真の“根幹”に関わる戦いになってしまいました。

 これは絶対に負けられない。
 負けるわけにはいかない。

 創真に勝ってほしい。



 前回までは司の身勝手さに嫌悪を抱きつつも、仮に創真が負けてセントラルに入れられたとしても創真の事だから逆にセントラルを内部から揺るがしていくかもしれない、それはそれで面白いかもしれない・・・、と思える余裕がありました。

 でも。

 セントラルの目的が、「自分の大切なもの」を脅かすものであることを創真は知ってしまいました。
 この勝負は、もはや創真一人だけの問題では済まなくなってしまいました。
 これで、もし負けてしまった場合・・・。



 私が最も危惧している、「創真の最大の危うさ」が露呈されてしまう可能性が非常に高くなってしまうことに。



 「あの時」は、極星陣の仲間達が意図せずに創真を立て直してくれましたが・・・。
 今回は・・・果たしてどうなってしまうのでしょう・・・。





 そして明らかになったセントラルの・・・薊の狂った野望。
 以前から予想はついていました。
 薊の独善的で排他的な考えは、遠月学園内だけでなく国内にも、果ては海外にも及ぶ規模になってしまうであろうと。
 やっぱりね。
 当たりです。
 
 第136話の時の過去最高の怒りを、改めて抱かされましたよ。

 分かってんのか?
 その店一つ一つに、どれだけの人間模様が凝縮されているのかを。
 どれだけの喜びや葛藤、苦悩や努力の末に、その店が、その場所が存在しているのかを。
 単なる「食事を提供する場所」なんかじゃない。
 店というものは料理人とって、己の人生が具現化されたものなんですよ。大切な居場所なんですよ。
 それらを一方的な価値観で不要と決めつけ、殲滅させようとしているなんて・・・!!



 ・・・そして、司も。

 「仕方ない」

 そんな一言で済ませないで。



 司は「悪人」ではないと思っています。
 ただひたすら純粋に、「自分の料理」を突き進んでいるだけ。
 問題は価値観の相違。
 それだけなんです。

 司は本当に素材を慈しみ、丁重に扱ってくれる料理人です。
 その姿勢は立派だと、素直に思います。
 けど。
 “素材”は尊重すれども、“人”は尊重しないんですね。

 創真も素材を大切にしてくれる子です。
 地獄の合宿終了日に、卵を無駄にしてしまった事を生産者の方に詫びた時は本当に感心させられました。(第34話)
 だけど・・・それ以上に。
 創真は料理を食べてくれる相手の笑顔を大切に想ってくれている子なんですよ。


 薊政権に司が賛同している理由は、やはり「素材主義」という自分の信念からでしょうね。
 多分司は、良い食材が技術の無い者によって、その価値を充分に発揮されることなく食卓に上げられてしまうのが不服なのではないのでしょうか。
 “食材”を心から大切に思い、敬っている司。
 だからこそ、無下に扱われるのが許せない。
 司のそんな考えが、食材の素晴らしさを最大限に発揮させる「洗練」をモットーにしている薊政権と一致したのではないかと思います。

 ・・・もしそうならば。
 私は司に教えてやりたいです。
 薊は娘(えりな)に、料理を捨てさせることを叩きこんだことを。






 ・・・さて。
 そんな薊政権の、そして司の考えを知った創真は果たしてどんな料理を作ることにしたのでしょうか?

 今回のテーマ食材である「鹿肉」は、創真だけでなく私達一般読者にとってもこれまでで一番馴染みの薄い食材です。
 ですが、調べてみたところ鹿肉というものは他の食材の影響を強く受け、食味が全く変化するとのこと。
 そのことから自由な料理が可能だそうです。
 これには「へえ~~~!」と感心。
 創真には不利な食材とばかり思っていましたが、捉えようによっては創真の持ち味が充分に発揮出来そうな食材のようですね。

 一体創真が選び取った部位は何処なのでしょう?司の「背肉」に比べて随分小ぶりな物を手に取っていましたが・・・。
 司は背中という全く動かさない部分だから・・・、逆に一番動く部位である「もも肉」でしょうかね?

 とりあえず個人的な要望として今回の創真の料理に期待するのは、「大衆食堂出身の創真だからこそ創り出せた料理」であることです。
 極星寮を守るための食戟では、極星寮にいたからこそ生み出せた料理でその価値を証明してみせた創真。
 だから、今度は。



 今回の件で、創真は叡山との勝負の時と同じく、非常に重要な想いを抱くことになったわけです。
 大切なものを守りたいという想いを。
 その想いがどうか、創真の力になってくれますように・・・!!
 


 


『食戟のソーマ』第162話感想

2016-04-17 08:30:00 | 食戟のソーマ

 この度の九州の大地震・・・心配です。
 現地の方はさぞ不安な夜を過ごされていることでしょう。
 しかも尚強い余震が続いているとのことで、心労もかなり溜まっている筈・・・。

 私も東北大震災を経験した身ですが、震災に遭って疲弊した体や心を癒すのは、何より「温かさ」だと思います。
 温かい食事、温かいお風呂、何より温かい心・・・。
 どうか一刻も早く全ての人に「温もり」が届きますように・・・。
 そしてどうかこれ以上余震が起きませんように・・・!!

 ・・・そういえば、附田先生も故郷が北九州の筈。
 きっと心配なされていることでしょうね・・・。





 週刊少年ジャンプ2016年19号掲載
 掲載順第10位
 第162話 【私】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よし決めた。
 司先輩と呼んでたけど、司と呼ぼう。





 なんて言うんですかね、今回は・・・。
 久々に「あの感覚」を味わいました。

 「いらない」
 司のこの言葉を目にした瞬間―――

 

 胸の体温が一気に失われた感じ。

 

 心の中に大量の氷が突如降り落ちてきたような。
 高揚していた気持ちから一気に谷底に落とされたかのような。

 まさか前回のワクワク展開からこんな風に虚を突かれようとは・・・。





 創真と司の問題のやり取りはあとで存分に述べさせてもらうとして、まずは扉絵でもあるえりなの様子から。

 家出後は極星寮に篭りきりだったものの、学園の授業に出るようになったえりな。
 確かに、もう薊に居場所は知られてるわけだから身を隠す必要なんて無いしね。
 ですが、理由は別にありました―――


 残党狩りの際に、アリスの自分への気持ちを知ったえりなでしたが、その直後に叱られたのでした。(ここの「・・・!?」なえりなかわいい)
 自分は自分なのだと主張するべきだと。
 いつまでも殻に篭っているなと。

 よっしゃ!よく言った!!(Σd(><))

 
 やっぱりアリスは重要キャラです。
 なんだかんだでえりなの周囲の人々はえりなに従うだけだったり、又はとても優しい人ばかりなため、アリスのようにビシッと叱ってくれる存在は非常に大切なんですよね。
 私がえりなに言いたかった事のほとんどを代弁してくれたようなものです。


 アリスが最先端研究会の主将になっていた理由に察しが付いていたえりなといい。
 片やえりなが極星寮でどう過ごしていたか察しが付いていたアリスといい。
 ほんと仲良しで何よりです(笑)。





 そんなアリスの励まし(っていうか煽り)を受け、えりなは授業に出るようになったのでした。
 案の定、授業の講師陣は薊の支配に染まった奴ばかりだったわけですが。
 コイツらも薊と同じく「貼り付けたような笑顔」ですね。



 授業も終わり、えりなは新戸から次の残党狩りについて知らされます。
 二回目の残党狩りは三日後とのこと。
 どうやら今の展開から見るに、第一回目の残党狩りでは創真の知り合いが所属している研究会・ゼミは最先端料理研究会以外免れていた模様です。
 さて、二回目ではどの研究会が狙われてしまうのか・・・。

 次もほとんどの研究会が解体されてしまうであろうと心配する新戸でしたが、えりなは意外な発言を。
 セントラルが絶対というわけではないと。
 おお。
 まさかえりなからこの発言を聞けるとは。

 そんなえりなの様子に、心境の変化を感じ取る新戸。
 えりなは考え始めていたのでした。
 強大な権力と敵対することになろうとも、自分の意思に真っ直ぐな創真とアリス。
 そんな彼らの姿勢を見るうちに、「自分自身」は本当はどうしたいのか―――と。
 おおっ。
 よ~~~やく“自分”と向き合い始めましたか!

 まあ、やっぱり素直にはなりきれてませんけど。(っていうか聞かれてもいないのに自分で言っちゃってるあたりバレバレである/笑)



 そんな折。
 偶然えりなと新戸は目にすることになったのでした。
 創真と司のほぼ一部始終を。



 創真を自分の「懐刀」にと、セントラルへと勧誘する司。

 ですが、それは「創真の料理」を必要としたわけではなく、「創真のサポート能力のみ」を欲してのことだったのです。

 それはつまり、言い換えれば。

 「俺の為にその腕を差し出せ」

 と言っているようなものでした。

 

 

 

 

 ふ ざ け ん な よ。

 

 

 

 当然ながら断る創真。

 そんな創真の意思を聞き、司も諦めかけた時・・・

 司の傲慢な考えに腹を立てていた創真は、強気な発言を。

 

 

 

その瞬間響き渡りましたよ大音量の警告音が。私の脳内で。

 


 

 

 

 案の定。

 

 

 

 司は第一席の座を。
 創真はセントラル入りと司の下につくことを。
 それぞれ条件にして。

 

 

 

 

創真と司は勝負することに。

 


 

 

 


 

 

 

 とにかく掻き乱されました。

 気持ちも。思考も。

 何か今回だけで、これまでの私の予想考察を改めて考え直さなければならなくなってしまったかもしれません。

 なんだかんだで十傑とのガチンコ勝負はあまり設けられないだろうと考えていた私が甘かった。馬鹿だった。
 まさか創真がこう見込まれ、こう勝負に持ち込まれるとは。
 思えば確かに司は結構血の気の多い性格でした。(去年の紅葉狩り会で久我からの食戟を受けたあたり)
 驚かされつつも、何の無理もない展開です。参りました。



 そもそも、二人の基本的性格から考えれば、通常の流れだと
 創真:「入るつもりはないっす(あっさり&きっぱり)」
 司:「やっぱりそうか・・・残念(シュン)」
 これだけで済む展開なんです。
 なのに。

 ここでイレギュラーとして飛び込んできたのが、お互いの料理人としての頑強な「我」。

 今回のサブタイトルは【私】ということで、えりなに焦点が当たっているかのように思える言葉でしたが、実はこの二人にも当たっていたわけです。
 えりなの場合は大きな希望を抱かせる“自己”に対し、彼らの場合は大きな衝撃と波乱を起こす“自己”として。





 前回の「使える」発言時に抱いた嫌悪感が、今回で一気に膨れ上がりました。
 まさか司がこれほど利己的な人物だったとは。
 第159話感想の後半で、「素材の徹底洗練を信念としている司は、十傑の中で一番純粋に薊政権の理念に賛同していそう」と考察したわけですが・・・。
 笑顔で相手の料理を「いらない」なんて否定する人間だなんて思ってもいませんでした。
 確かに創真の料理はセントラルの理想とは対極です。
 それでもあの言い様はないかと。
 正直言って好感度急降下です。嫌いになりました。

 「自分の料理」を究めるために「他者の料理」をいらないと拒絶する司。それは「自分」さえも。
 第一印象こそは恵属性に思えたものの・・・。
 司は恵の弱気さ、えりなの排他主義と完璧主義、創真の好戦的さ、これらの要素を共通しているキャラクターなのですね。

 そして悪気無しに「自分の料理」のためなら他者は“道具”と考えていそうなところが薊と同じという。

 そもそも前回、司が創真を自分の懐刀にと願った時私が大歓喜したのは、創真の腕を認め、対等に見てくれていると思ったからです。
 なのに、そうではなかっただなんて・・・。
 あくまで自分に役立つ存在としか、自分の下としか見ていなかったんだなんて・・・。
 ひょっとしたら、創真を自分の「相棒」にと言わず、「懐刀」にと言い表したのも、創真を“道具”として見たからかもしれません。
 ・・・最低。



 そんな個人的好感度が度急降下な司に対し、好感度を上げてきたのはえりな。
 創真やアリスの姿から、ようやくこれまでの自分と向き合い始めました。
 なんだかんだでこれまで描かれてきたえりなの「我」は、子供の「我が儘」
 薊に逆らえなかったのも、彼女が“子供”だったため。
 子供にとって、親は絶対の存在ですから。
 そこからようやく、えりなは動き出す準備を始めているようですね。
 子供から大人になるための。
 少しずつでいいので、どうかこのまま良い方向に変わっていけますように・・・。



 そして創真ですが・・・。
 テレ顔だったりプンスカ顔だったりと、何気に表情豊かでしたねv
 じゃなくって。(アホでごめんなさい)
 司の我が儘な言い分に「まったく料理人ってのは自分勝手で困る」と言っていた創真。
 創真って時々「料理人」を俯瞰的に見た発言をしますよね。
 秋の選抜でも料理人のことを「どうしようもない負けず嫌い」と言っていましたし。
 でもこれはきっと自分自身の事も指して言っているのでしょう。

 こういうところにも創真の相反性が垣間見られます。
 
飄々としつつも真っ直ぐ。
 冷静でありながら情熱的。
 落ち着きがある半面、行動的。
 硬い意志を持ちつつ、思考は柔軟。
 主観的視点と客観的視点。
 そんな相反する多くの要素を非常に絶妙に併せ持つ創真。
 そしてこの場合も。
 創真は自身が「料理人」ということに非常に真摯な誇りを持ちつつも、その「料理人」という職を決して特別なものとしては見ていないんですよね。
 創真のこういうフラットな物事の見方は、やはり非常に重要なものだと思います。
 こと「上下」を付けたがる遠月学園では特に。





 多くの人達から、それぞれの励ましを受け、少しずつ変わり始めているえりな。
 今回の彼女の姿にはかなり幸先が明るく思えました。
 そう思いきや。
 逆に創真の方の幸先はかなりの暗雲が予感される展開になるんだなんて・・・!
 毎度のことながら、附田先生はここら辺の天秤の掛け方が秀逸すぎます。
 希望を予感させる流れを見せる一方で、決して楽観的な展開は持ってこないという。


 創真への依怙贔屓が当たり前の私でも分かります。これは。さすがに。

 創真は負けるでしょうね。

 明らかな実力差も理由にありますが・・・それ以上に。
 創真は叡山との勝負の時には持っていた「あるもの」を、今は持っていませんから。
 それは何かを守りたいという想い。
 
今回の勝負は完全に私闘ですもの。

 幸いなのは、これが『食戟』ではない事でしょうか。
 『食戟』であればそれこそ絶対服従となってしまいますが、そうではない以上、例え敗北してしまったとしてもこれからの展開次第で幾らでも創真の意思が通る部分はありそうです。
 逆に言えば、『食戟』でないからこそ負けてしまう可能性が高いとも言えるのですが・・・。



 ここからは創真の敗北を前提にした予想です。

 こうして全く予想だにしなかった形で勝負することになった創真と司。そしてそこに偶然居合わせることになったえりなと新戸。
 となると、まず間違いなくえりなは審査を任せられることになるでしょう。
 そうなった場合・・・。
 えりなはまたもや創真の命運を握らされることになるわけですね。
 編入試験の時と同じように。
 そしてそれが、創真が第137話で仙左衛門に告げた言葉と改めて関わる事になるかも。

 一方で、もし創真がセントラルに強制加入させられてしまったら、郁魅や恵は彼からの直接的な助力は見込めなくなります。
 果たしてそこをどう乗り切るのか。
 秋の選抜編以上に彼女らの意思、成長がクローズアップされることでしょう。




 もっとも、仮に負けてセントラルに入ったとしても・・・

 創真は誰かの思い通りになんかならない子ですけどね。

 その点においては絶対の信頼を置いています。




創真はどんな処にいようが、“創真”でいてくれると。

 


 今回アリスがえりなに告げた説教と同じです。
 「自分は自分。誰かの思い通りになりはしない。」
 それを創真は、また己の姿を通してえりなに教えてくれるのではないのでしょうか。



 私は常に創真を心配していますけど・・・

 同時に、信じてもいますから。










 それと、これほどの大きな展開が訪れたということは・・・
 どうやら、この遠月革命編も中盤を迎えたようですね。

 


沢山の花々に見守られながら。

2016-04-16 23:45:00 | 日記

 今日は祖母の納骨でした。

 四十九日は過ぎていましたが、皆集まるなら桜の時期にしようという親戚一同の思いによって、今日となりました。
 果たして桜の開花のタイミングに合ってくれるかずっと気掛かりだったのですが・・・。



 見事過ぎる程ドンピシャ。



                     

 
                     
 

 しかも、お天気も晴れと、絶好のお花見日和!!

 なにこの出来過ぎなほどのタイミングの良さ。





 ・・・お婆ちゃんの人徳だね、きっと。



 お陰で大変麗らかな日和の中、皆でお婆ちゃんをお墓に送り届けることが出来ました。



 今年も一緒にお花見したかった・・・という私の願い。
 叶いました。



 ありがとう、お婆ちゃん。
 皆で仲良く頑張っていくから、どうか見守っていてね。


『食戟のソーマ』第161話感想

2016-04-10 00:00:00 | 食戟のソーマ

 ふう~~~・・・。
 やっと『食戟のソーマ』の感想が本誌に追いつきました☆
 次からはまたこれまで通り、週に一度ののんびり更新になると思います。



 それにしてもここ最近、『ワールドトリガー』を始め『暗殺教室』やら『黒子のバスケ』やらと、立て続けに公式キャラクターブックやイラスト集が発売決定になってますね~。
 しかも今度は『僕のヒーローアカデミア』までときましたか。
 ・・・ええ、もう賢明な方は私が何を言いたいか既に察しがついておられることでしょう。

 なんで『食戟のソーマ』は出ないのかな~~~。

 確かにレシピブックは出ましたけども。
 でも。
 やはりファンとしては、もっと原作を掘り下げて見てみたいんですよね~。

 せめてイラスト集だけでも出てくれないかな・・・。
 『ソーマ』は連載当初から作画を高く評価されている作品なのに・・・。
 もう大分作品数も溜まったでしょうし・・・。


 そんなこんなで贅沢な不満を抱きつつも、猫神サマの頬ずりと雀さんにはしっかりほっこりさせて頂きましたv
(by(『ゆらぎ荘の幽奈さん』&『鬼滅の刃』)
 『ゆらぎ荘の幽奈さん』といえば・・・。
 今回で、佐伯先生はまたもや良い刺激を受けたことでしょう。
 まさに“競演”の素晴らしさですね☆




 さて、それではそんな『食戟のソーマ』の感想にいってみましょう!



 週刊少年ジャンプ2016年18号掲載
 掲載順第10位
 第161話 【競演】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冒頭から全開な薊節。
 見ようによっては幾らでもマジメにもギャグにも取れるこのカット。
 本当に附田&佐伯先生はこういった塩梅を熟知しておられますよね。天才。

 そんな薊のこのアクティビティさは、正直言ってキライじゃなかったり。
 王座にふんぞり返って自分で動かないようなヤツよりよっぽどマシ、というのが私の見解です。何事も動いてナンボ。
 ・・・とは思いつつも、組織的にだけでなく物理的にも解体してしまうとは・・・本当に容赦ないな~・・・。



 そんな今回の扉絵は、お久し振りの四宮師匠。
 なんで彼が扉絵なのかというのは本編を読めば判明します。

 でもって、さり気に“弟子”のレシピをメニューに入れてくださっていることに感無量。




 残党狩りで敗北した研究会は冒頭のように物理的にも解体させられただけでなく、一切の活動も禁じられることに。
 豪田林率いるちゃんこ研究会はそれに逆らった結果、どうなったかというと・・・。

 これぞ「見せしめ」。

 叡山に対する処分の時も思いましたが、こんな恥辱を受けるくらいなら退学になった方がマシです。

 そんな豪田林を見て、思うところがある創真さん。
 でも・・・よく冷静に見てられるね。(^^;)




 薊政権とセントラルによって始まった変革は研究会の解体だけに留まらず、授業形式にも。
 そのいずれにおいても、セントラルは一般生徒達が自由に料理を創作する機会を徹底的に与えないつもりでした。

 その寛容の無さに不満を抱く創真。

 それと同時刻―――

 

更に深まる四宮師匠のテレパシスト疑惑。

 

 アベルの内心も察知してたけど(第111話)、マジでエスパーレベルに達してますよ師匠。



 そんな中授業が始まりますが、なんとその授業を受け持っていた講師もセントラルの方針に逆らったため、解雇されてしまったとのこと。
 その解雇されてしまった講師ってシャペル先生でしょうか?
 あ・・・、でもシャペル先生の授業は恵と一緒な筈だし、違うかな?
 といっても、やはりシャペル先生もかなり危険な立場に立たされているに違いないでしょうが・・・。
 
 で、今回は代理の講師によって実演授業が行われるとのことで。
 その代理講師は誰かというと・・・

 なんと、十傑第一席『司 瑛士』!!

 
 驚く面々に挨拶する司先輩。
 相変わらず謙虚なお方だ(苦笑)。

 でもね。女子生徒さん達に言いたい。

 

創真の方がイケメンです。

内外共にイケメンです。

容赦なしにイケメンです。
(これだけは譲らねえ)




 そしてこの授業では生徒側から一人助手に入ってもらうそうで、司先輩は立候補を募りますが・・・。
 案の定、怯んでしまい誰も名乗り出ず(苦笑)。

 と、思いきや

 いつの間にか創真が隣に☆
 (師匠がテレパシストなら、キミはテレポーターですか創真さん?)


 創真が立候補し、かくして演習が始まることに。

 いきなり矢継早に指示を出してくる司先輩。(人一倍大人しい性格のくせしてここらへんエグいよね)
 その怒涛の指示量に、生徒達は初っ端からついていけなくなりますが・・・。


創真はそれらの指示を完璧に遂行!!!

 

 さっすが~!!(o(><)o)




 ちなみに。

 今回鬼のように放たれた専門用語ですが、スタジエール編で出てきた用語はほとんど無し。



 ・・・。



上等です。

 

 

 受けて立つぜ!!!

 

 ※クネル・・・すり潰した食材を、卵やパン粉を混ぜて丸く団子状にしたもの。

   アッシェ・・・非常に細かいみじん切り。

   ジュリエンヌ・・・マッチ棒より細い千切り。
           人参やじゃが芋に用いられることが多い。
           因みに上記の「アッシェ」はこの切り方を更に直角に切ればすぐにできる。

   アングレーズ・・・いわゆるカスタードクリーム。

   ソルベティエール・・・シャーベットマシン、もしくはアイスクリームマシンとも言う。
             入れた材料を回転させ、空気を入れながら冷やしてアイスクリームやシャーベットを作る機械。

   フリテュール・・・油で揚げること。
             揚げた物はフリットと呼ぶ。

   クールジェット・・・フランス語でズッキーニ(外見は胡瓜によく似た南瓜の仲間)のこと。

   キュイ・・・中まで加熱された、又は程よく焼けたという意味。

   グリエ・・・焼き網やオーブンなどで焼くこと。もしくは炙り焼くこと。

 

 どうだ!!(←はいはい)



 司先輩と創真の絶妙なコンビネーションに生徒達は釘付けに。
 それは強者だけが立ち入ることを許される、本物同士の競演でした。

 フレンチの調理技法は完璧に習得していた創真。
 四宮師匠の店でのスタジエールによって。
 ここでまた扉絵と繋がるわけですね。
 創真は「叩き込まれた」と思ってますが、たった一週間の研修でここまで見事に習得出来たのは創真自身が超貪欲に学び取った成果に他ならないと思いますよ。

 そうして完璧なサポートをこなす創真に、司先輩も大いに感心するのでした。

 
 そうしてあっという間に5品ものアミューズが完成。
 でもね司先輩、貴方達がかかった時間と同じ時間では、一般生徒ではせいぜい1~2品作れるかどうかだと思いまっせ?
 そこらへん、司先輩って悪気無しで相手に自分のペースを強いてきますよね。
 高い実力を持つが故に誰もついてこれず、結果一人で突っ走ってしまっているといった感じになってしまってると思います。
 それを考えると・・・。
 調理技術は本物でしょうが、正直言って「教え上手」とは言えないかもしれませんね。
 「教え方」だけで言うならば、相手のペースに合わせてじっくり向き合ってくれる創真の方がよっぽど教え上手かと。




 授業も無事に終わり、誰もいなくなった教室で和気あいあいと話す司先輩と創真。
 創真の腕前を絶賛してくれて超嬉しい♪(^^)

 と急に、緊張の糸が解けて司先輩はへたり込んでしまいます。
 実力と性格のギャップがこの人の持ち味ですね(苦笑)。
 万が一でも失敗したら・・・と、極度に失敗に怯える司先輩の姿に「究極の完璧主義」と思う創真。
 !!
 なるほど・・・!そう捉えることもできますね。
 司先輩と「あの子」との共通点はそれということですか。

 と、ここで創真さん自己ツッコミ☆
 私はキミのそんな料理主義な所も好きですよ。(^^)


 そんな創真に呟く司先輩。
 ・・・「使える」、ね・・・。
 その言葉にどんな思いが込められているのかはまだ図りかねますが、この言葉、個人的に嫌いな表現なんですよね。
 人を“道具”としか見ていないようで。
 
言っときますけど・・・。
 創真は「使える」なんて表現では持て余す存在ですよ



 司先輩は言います。
 「俺の懐刀にならないか?」と。

 それはすなわち

 セントラルへの勧誘でした。



 うわ~~~創真さん、興味の無さそうなお・か・お☆

 

 


 


 今回は意表を突く展開でした。
 てっきり各会場を偵察した極星陣の報告会になるとばかり。

 本当にこの作品って凄く良い意味で先が読めませんよね。
 附田先生のこういった構成力は流石の一言です。



 そういうわけで今回はまさかの十傑第一席との交流回だったわけですが、もうね。
 最高でした。
 やっぱり私にとって、創真が活躍してくれる展開は別格です。しかもその実力を褒めてくれたなら尚の事。
 黒木場に引き続き創真もスタジエールを経験しての成長が描かれたわけですが、それを評価してくれた人物が遠月学園トップの料理人である司先輩だったというのが、これまた意義深いところ。 
 しかも「懐刀」にまで誘われるなんて・・・!!(実は最初「懐刀」の意味が分からず、「へ?隠し武器になれっての???」と思ってしまったバカは私です)
 ※懐刀・・・比喩的に、知識や技術に長け、主君や上司から絶大の信頼を得ている部下や家臣のことをいう。(類義語:右腕、片腕、相棒、腹心、側近、女房役)

 それって

のすんごい大抜擢じゃないっすか創真さん☆☆☆
 

 なにせ相手は現十傑第一席!!
 学園のトップオブトップに!!

 ただセントラルに勧誘されるだけでなく、その頂点にいる料理人の相棒役にまで抜擢されるなんて、並大抵の料理人では叶いません。

 しかも。
 本編でも描かれていましたし、月饗祭の模擬店での様子から分かる通り、司先輩は人一倍神経質で失敗を過剰に恐れる完璧主義者です。
 それ故に、ずっと「自分一人の世界」で料理を作っていました。
 そんな司先輩が、創真を自分の懐刀に、と思った。
 つまりそれは
 創真なら「自分の世界に入れてもいい」と、受け入れたということです。
 
 ・・・創真さん

 超気に入られちゃってるじゃありませんか☆

 司先輩は創真と共に料理したことで、創真の技術だけでなく「他の何か」を感じ取ったのかもしれませんね。
 ・・・個人的には、その感じ取った「何か」が、司先輩の「熱」になってくれることを期待しています。



 元々創真のサポート力は非常にハイレベルなものとして評価されていましたが、スタジエールを経て更に何倍にも磨きがかかりましたね♪
 いまや創真は、サポート力のみならば遠月学園中でも間違いなくトップの腕前だと思います。
 創真の凄い所はその適応力の高さなんですよね。
 初めて組んだ相手にも関わらず、完璧に相手の動きに合わせたサポートをこなすという。
 しかも城一郎や司先輩といった一流の料理人だけでなく、恵のような成長途上の料理人にもちゃんと合わせてくれるという、相手の実力の高低を問わずに。
 こういった場の流れの察知や相手の動きの細やかな配慮は、技術だけでは絶対に成し得ないものです。
 この創真のサポート力は葉山やえりなでさえ敵わない実力と言えましょう。


 そして。
 この創真のサポート力は、後々の展開でも非常に重要なものとして取り上げられると確信しています。
 これは小説版第三弾の四宮編で記されていることですが・・・
 コンビ戦(団体戦)で料理人が実力を最大限発揮できるか否か。
 それは全て補助の料理人[コミ]の腕前に掛かっているという。

 それを踏まえて考えると、創真の抜群のサポート力はトップレベルの料理人であればあるほど欲しい“力”なんですよ。

 それを踏まえて考えると、創真のその“力”を巡ってまた面白い人間模様が描かれるかもしれませんね♪

 本当に附田先生は創真の背景から、このスキルを見事に抽出したと思います。
 感嘆がノンストップですよ。



 こうして大抜擢された創真ですが、間違いなく断るでしょうね。
 今回全体を通してセントラルへの不満も描かれていましたし。

 でも、その創真の判断が、後の展開に控えているであろう「あの人物」との対比になると思います。
 創真がセントラル入りを断った理由。「あの人物」が入った理由。
 その違いが。





 なんにしても、今回は『司瑛士』という料理人をより知ることが出来たのに加え、創真との縁もしっかりと繋がった事もあり、大変満足感のある内容でした。
 創真は第一・二席と関わりが深くなるであろうことは察しが付いていましたが、まさか両者からこれほど認められることになろうとは・・・。

 思えば創真は第79期の十傑第一・二席である四宮と水原からもスカウトされていましたものね~。
 そして現第二席の竜胆先輩からはその性格を気に入られ、第一席の司先輩からはその実力を買われ・・・。



 

ほんま創真モッテモテやなーーー♪♪♪


 
  

  

 四宮師匠ー、テレパシーキャッチしてる場合じゃありませんよーお弟子さんが取られちゃいますよー。




『食戟のソーマ』第160話感想

2016-04-09 00:00:00 | 食戟のソーマ

 週刊少年ジャンプ2016年17号掲載
 掲載順第4位
 第160話 【アリスの想い】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ついさっきまでの思い上がりから急転直下。
 薊の目の前で敗北してしまったことによって、楠は言い逃れのできない窮地に陥ってしまいます。(しかも自分の得意分野で挑んでしまったから尚の事)
 そして薊は勿論、たった一度の敗北も許すつもりは毛頭ありませんでした。
 やっぱりね。
 あのえりなの親なわけだしね。

 譲歩を願い出る梁井は薊のドス黒オーラにあっさり怖気づいてしまうものの、秘書さんは進言。(早くこの人の名前知りたいな)
 秘書さんが言うには、今回の残党狩りで勝てた研究会はアリスの研究会のみとのこと。
 これ何気に重大発言。
 ということは、もし今回の残党狩りに丼研や中華研が入っていたならば彼らは・・・!?





 と、ここで扉絵に・・・って

 幼少アリスかっわいい!!

 もともとぷにソーマを始めとした佐伯先生のぷにキャラ(デフォルメキャラ)は好きでしたが、今回のイラストはこれまで培われてきたぷに技術の集大成です!!(なんだそりゃ)

 このほっぺのふっくら加減が・・・!
 まんまる加減が・・・!
 堪 ら な い ! ! !
 これが幼少創真だったら余裕で昇天。(←アホ)

                    

 そして今回の扉絵も、前回のカラー扉絵を写真立てとして再利用しているという巧い仕掛けに。
 前回の時点でイラストを額縁で囲っていた点も、伏線としてちゃんと働いています。

 それにしてもここ最近の扉絵はほぼアリス尽くしですね~。
 第156話の扉絵でも大変素敵に描かれてたし、前回の扉絵でも活き活きとした可愛い笑顔を見せてくれていたし、そして今回もときたもんだ。
 まあ、これもまた単行本の同梱版の内容にリンクしてくださっているのでしょうね。
 156話目以降が収録されるのは例の単行本第19巻ですもの。





 というわけでアリス嬢、一矢報いた事を最大限に利用して薊を痛烈に煽る煽る(汗)。
 この子も某赤髪主人公と同様に煽りスキル半端ないからな~~~。
 まあ、指摘していた点はまさに私が前回の考察で思っていたものですし、異論は全くありませんが。



 一方その頃、えりなも一色先輩に連れられてアリスがいるD会場へと急いでいました。
 意地を張りるえりなに、内心でツッコむ一色先輩。
 ごもっともです。
 むしろ口に出して言ってやってください。

 そしてここで知ることになる、アリスに対するえりなの考え。

 お☆
 ちゃんと自覚していましたか。
 自分の“罪”を。





 場は戻り、尚も睨み合うアリスと薊。
 それにしてもほんと、薊の笑みって偽物感ありありの貼り付けたような表情ですよね~。

 薊としてはアリスもセントラルに取り込みたかった模様。
 確かにアリスの料理も、薊の理想とする美食にあたる「洗練」タイプですからね。

 この変革を「美食の世界を前へ進めるため」と言う薊。

 いいえ、アンタがしていることは単に己の“箱庭”を作っているだけです。

 全然前になんか進んでいない。
 自分にとって都合の良いものの固定化。
 むしろ停滞。
 何言ってんの。



 頑として薊に反発するアリスに、いよいよ薊は業を煮やし始めます。
 えりなを勝手に連れ去った件についても持ち出す薊。
 まあ、アリスのしたことって軽い誘拐ですからねえ・・・。

 でも流石はアリス嬢。


 一蹴です。



 そしてトドメ。



 ゴーイングマイウェイって凄い、と改めて思う今日この頃。



 思いっきり冷徹に、そして思いっきり子供っぽく、そして最後は毅然と。
 アリスは薊に宣戦布告!!

 よっしゃ!よく言った!!(d(><))


 面と向かって「キライ」と言われたことがショックだったかどうかは定かではないものの(苦笑)、それ以上は語らずに立ち去る薊。
 ですが、去り際に秘書に、楠を呼びだすよう伝えます。
 彼には話があると。



 うわ~~~・・・。嫌な予感しかしない。



 爪を噛み、悔しげな表情を見せる薊。
 早くもその「貼り付けた笑顔」が剥がされ始めている模様です。



 一方、当の楠は創真達に“何か”を感じていました。
 いいところに気付きましたね、楠。
 そう。その“何か”こそが君らにも、そして十傑陣にも無い、[玉の世代]のみが持っているものですよ。



 そうして、えりなが聞いていたことに気付くアリス。
 えりなに背を向けアリスは言うのでした。
 薊が邪魔さえしなければ、自分はえりなともっと仲良くなれていたのにと。

 う~ん、高度なツンデレだ☆

 


 というわけで気持ちのいい締めくくりとなった今回ですが、一つだけ不安要素が残ることになりました。
 それは楠の処分。
 いえ、私としては楠がどうなろうが知ったこっちゃあないんですけども(酷)。
 だって楠は思い上がった自分の発言が見事に己に跳ね返っただけ。
 それこそ自業自得というものです。
 ただそれがアリスに飛び火しそうな予感がするんですよね・・・。
 薊は「切り落とし」よりもある意味残酷な「生殺し」的罰を与えてくる人物ですから。
 間違いなく楠をかなりの苦境に追い詰めることでしょうし、生き残った研究会も放置しておかないことでしょう。

 しかも更に始末が悪いことに、楠は叡山の恨みも買っているんだよなあ・・・。
 彼からも相当酷い嫌がらせを受けることになりそうな気がしてなりません。
 まあ、ここまでくるとさすがにほんの少しは心配になりますが・・・。
 その時にこそ、熊井や小古らとの絆が救いになるかもしれませんね。


 


 

 

 え~~~・・・。

 黒木場に引き続き、今回はアリスが大いに魅せてくれました。

 それはとても良かったです。

 良かったのですが・・・。

 あ~~~~~・・・。


 今回の内容は大きな矛盾点があるんですよね。時系列的な。
 敢えてこのブログでは詳細は控えますが・・・かなりガチな矛盾点ですよこれは。
 「あのシーン」の黒木場をレオノーラあたりに代えれば矛盾は無くなると思うので、単行本で修正されることを切に願っています。





 さて、では切り替えて、と。


 第154話ラストのアリスの言葉をリファインしている内容でしたね、今回は。
 仙左衛門から明かされたアリスとえりなのすれ違いを、今回はアリスの視点から丁寧に掘り下げられていました。

 仙左衛門もえりなも薊によって失墜させられた今、「薙切家の者」として薊に対抗できるのはアリスだけなんですよね。
 でもそれ以上に彼女を突き動かしたのは、えりなへの想いでした。
 元々えりなに対する一種のコンプレックスから寒い世界(北欧)へと旅立ったアリス。
 でもそれ以上にえりなを大切にも想っていたあたり、アリスがいかに良い子かというのを再確認です。

 そうしてようやく取り除かれた、えりなとアリスの長きに渡ったすれ違い。
 今回のラストシーンは過去の「あるシーン」を意識して描かれていたと思われます。
 それは第67話のアリスとえりなの交差。
 敗北したアリスを励ますことなく痛烈な嫌味を放つという、“[氷の女王]の仮面”で接したあの時のえりな。
 そんなえりなに反論らしい反論も出来ず怒るだけで、アリスは立ち去るしかありませんでした。
 でも今は。
 態度はつれなくも、言葉は温かかったアリス。
 そんなアリスに、喜びと驚きという素直な気持ちを“本当の素顔”でえりなは表わすことが出来ていました。
 二人の冷えた関係も、やっと“温もり”を取り戻せたわけです。



 そんなアリスの姿もさることながら、大きく目に留まったのが一色先輩に話したえりなの考え。
 ここのえりなの考えは、私が危惧している「えりなが薊の元に戻る理由」そのものと言えました。
 薊という“元凶”がいなくなってからも、アリスに対してかなりつれない態度を取っていたえりな。
 それは何故か。

 薊の手によって絶たれてしまった、アリスとの交友。
 そして自分もまた薊に従うのみで、アリスとの交友を取り戻そうとしなかった。
 その罪は取り返しのつかない事実であり、無かった事になど決してならない。
 そしてアリスもまた、自分のことを許してくれる筈がない。
 ならばもうその罪を背負ったまま、確執を背負ったまま生きていくしかない。
 そう考えているからこそ、えりなは遠月学園でアリスと再会してからもろくに笑わず、酷い皮肉も口にしていたわけですね。

 とても真面目で高潔だからこそ融通が利かないという、非常にえりならしい考えです。

 えりながこういう子だからこそ尚更、薊の元に戻ってしまう際の理由が今回のような悲観的考えによるものになってしまうのではないかと危ぶまれるんですよね。

 やっぱり思います。
 えりなを本当に苦しめているのは。独りに追い詰めているのは。
 薊でも、上流階級という世界でもなく。
 えりな自身だと。



 創真はそんなえりなを「救ってやってほしい」と仙左衛門から頼まれているわけですが、創真は多分、待ってくれているんですよね。

 えりなが自ら動いてくれることを。

 だからこそ会場へとやって来たえりなを眼にした時、あの反応だったのだと思います。

 実際、最初はアリスに促されて動いたことで。
 そして今度も一色先輩に促されて動いたことで。

 えりなは己の「思い込み」を否定されました。

 否定されたのは己の堅く冷たい「思い込み」。
 代わりに気付かされたわけです。
 温かい気持ちに。




 

 遠月革命編が始まって以降、えりなはあらゆる面でこれまでの自分の“罪”に気付かされています。
 極星寮での生活では、彼女が散々無駄なもの、下賤なものとして見下してきた価値観を。
 そして創真と城一郎との親子関係を知ったことで、創真への数々の侮辱を。
 そして今回、アリスに対して取り続けてきた冷遇を。

 ですが、それら“罪”の対象者達はみな、えりなに大変温かく接してくれています。

 
そして。
 えりなの“罪”を体現する人物はもう一人います。
 それが郁魅。
 創真に敗北したことによって、えりなは彼女を無慈悲に切り捨てた過去があります。
 そこの作劇も一体どう描かれることになるのでしょうか。
 もっとも、月饗祭編(第121話)の様子から見て、郁魅もまたえりなから受けた仕打ちを全く根に持っていないでしょうけども。




 これほど多くの優しさを受け、大切にされているえりな。

 だから。

 だからこそ。

 それでも尚、それらの想いから顔を背け、薊の元へ戻ったならば・・・。

 その時こそ厳しく対峙してもらいたいです。


 他でもない、創真から。