ねこ絵描き岡田千夏のねこまんが、ねこイラスト、時々エッセイ
猫と千夏とエトセトラ
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続・ご近所猫事情
2006年11月16日 / 猫
みゆちゃんが我が家へやって来て庭遊びをするようになっても、時々、塀の上に近所のよそ猫が現れる。みゆちゃんの身を案じ、彼らが庭の中までは入って来られないように、侵入経路である塀の真ん中の四角い出っ張りに、ペットボトルでつくった外猫侵入防止バリアを取り付けた。庭の木には内猫脱走防止バリアがついているので、これらを合わせて我が家の庭は一種異様な観を呈している。
ある時、庭で騒々しい物音がした。慌てて見ると、庭で大きな白猫がみゆちゃんを追いかけまわしている。大変だ。急いでとび出し、みゆちゃんに加勢した。私の参戦で形勢は逆転、必死の白猫は、外猫侵入防止バリアを踏み倒し塀の向こうへ逃げていった。幸い、みゆちゃんに怪我はないようである。白猫はどこから入ったのだろうと思ったら、塀際に脚立が置いてある。塀の上からは相当な高さがあるが、それを踏み台に入ってきたようだった。猫の跳躍力に感心しながら、脚立を別の場所へ移動させた。
が、その程度で感心するのは甘かった。夜、みゆちゃんが部屋で丸くなって寝ているとき、外で何か物音がした。なんだろうと見に行くと、庭にいたのはフサフサ君。私の姿を見ると、なんと2.5メートルはある塀を駆け上がって逃げていった。フサフサ君の脚力にはただもう脱帽するしかない。
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ご近所猫事情
2006年11月15日 / 猫
塀の上を通るだけではなく、時たま、庭へ入ってくる。塀はかなりの高さがあるのだが、一箇所真ん中あたりに四角く出っ張ったところがあるので、そこを足がかりに出入りするものだと思われる。
ある時、長毛種のフサフサ君とトラが二匹で連れ立ってやってきた。私が窓辺に近づくと、四角い出っ張りの上に座っていたフサフサ君がまず私に気がついた。
「おい、トラ、人が来たぞ」
庭でくんくんやっているトラはこちらに背を向けているので、まだ気づかない。
「え、なんだって」
「だから、うしろうしろ」
ようやくトラが振り向いて、私を見た。
「あっ、逃げなくちゃ!」
あわてて塀に登ろうとするが、出っ張りの上は一匹分のスペースしかなく、フサフサ君が陣取っている。
「ちょっと、そこ、のいて!」
「いやだ」意地悪をするフサフサ君。
トラが無理矢理登ろうとすると、今度は上から猫パンチ。友達なのかそうじゃないのか、二匹の関係は微妙である。
何度かたたきおとされたあと、どうにかトラは塀の上に逃れ、やれやれといった風で塀の向こうに消えていった。
そのあとフサフサ君も、一人失笑する私を残して、どこかへ去っていった。
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続・脱走猫みゆちゃん
2006年11月14日 / 猫
先日、ふと窓の外を見ると、庭にいるはずのみゆちゃんの姿が見えず、呼んでも返事がない。狭い庭には隠れるところもないので、また脱走したかと思い、庭の周りを囲む塀にはしごを掛け、向こう側をのぞくと、案の定、隣家の屋根の上をうろうろしている。脱走経路はわからないが、おそらく、木の幹に取り付けた脱走防止用バリアを突破して木に登り、そこから塀に跳び移ったと思われる。
塀越しに「みゆちゃん」と呼ぶと、返事だけはにゃあとする。が、戻ってくることはおろか、振り向きもせず、外の探検に一生懸命である。大好きな鰹節とまたたび、それからおもちゃを取ってきて、塀のこちらから振って見せるが、効果はない。
しばらくは目の届く範囲でうろうろしていたが、そのうちひょいと姿が見えなくなった。名前を呼んでもなしのつぶて。こうなるともう仕方がない。帰ってくるのを待つしかない。お腹が減ったら帰ってくるとは思うけれど、心配である。高いところから飛び降りて登れなくなったらどうしようとか、よその猫に追いかけられたらとか、大通りに出てしまったらとか、よからぬ想像ばかり尽きない。時々はしごに登って呼んでみるけれど、やっぱり返事はない。
猫を外飼いにしている人からすれば、脱走だなんだと騒ぐのは甚だおかしいかもしれないが、室内飼いにしている者にとっては、これ一大事なのである。先日読んだ松村友視氏の「アブサン物語」にも、家猫のアブサンが脱走し慌てて探しに行ったというエピソードが書かれていた。
結局、脱走してから四時間近く経った頃、ふたたび塀の上に姿を現したみゆちゃんの首根っこをむんずと捕まえ、やっと連れ戻した。
外の世界へ遊びに行きたい気持ちはわかる。家に閉じ込めておくのは可哀相だとは思うが、事故や伝染病が心配なのである。その親心を、なんとかわかってほしい。
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猫vsタヌキ
2006年11月13日 / 猫
近所のMさんの家では、外に段ボールハウスを作って猫を飼っている。ある時、いつもは箱の奥で寝ているはずの猫が、入り口の前でうずくまっていた。中に別の猫でもいるのかしらと思い、Mさんが箱をひっくり返してみると、とび出してきたのはタヌキであった。温厚な猫で、タヌキに自分の部屋から出て行ってもらうことができなかったのだろう。
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バケツの水(トラックバック練習板)
2006年11月10日 / 猫
バケツのように大きな器から豪快に飲みたいのかと思ったら、台所の流しや、風呂場にたまった水をぺちゃぺちゃやっていたりするから、そういうわけでもなさそうだ。
ところが最近、よちよち歩きの息子がひっくり返してはいけないので、魚の水槽とバケツの水を外に出してしまった。みゆちゃんは、代わりに用意した猫の絵のついた小ぶりのバケツで、いかにもしぶしぶといった様子で水を飲んでいる。
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いもさんたち(後篇)
2006年11月10日 / 虫
そして二月の下旬、ピッコリーモちゃんは羽化してしまった。まだまだ外は寒い。蛾の寿命がどれほどなのかわからないが、春が来るまで、私はピッコリーモちゃんを部屋の中に置いておくことにした。
そうなれば餌をやらなければならない。オオタバコガの成虫は何を食べるのだろう。ネットで調べてみると、サクラソウ科の花の蜜らしい。蛾も蝶と同じように花の蜜を吸うことをはじめて知った。ためしにテーブルの花瓶に挿したユリの花にピッコリーモちゃんを乗せてみると、おどろいたことに急に活発に羽を動かして花の中心部へ向かい、ストローを伸ばして蜜を探すように花弁の上に走らせた。蛾にもくるくると巻いた舌があるとは知らなかった。新しい発見の連続である。だがユリの花ではだめらしい。その日はもう遅かったので、次の朝さっそく花屋へ行って、ちょうど花の咲いている桜草の鉢植えを買ってきた。
ピッコリーモちゃんを、花の上に乗せてみる。すぐにくるっと巻いた舌を伸ばして、花の上をつつくように動かし、何度かの試行のあと蜜のありかを探り当てた。
桜草の鉢植えは目立つところにおいてあるのに、ピッコリーモちゃんは自分では食事に行こうとはしない。仕方がないので、毎朝仕事に行く前と夕方帰宅したときに、いつもカーテンの上にいるピッコリーモちゃんを花の上に乗せてやった。ピッコリーモちゃんが蜜を吸う様子を見て、私は満足感を覚えた。
ピッコリーモちゃんは薄汚れたような茶色の地味な蛾であったが、目は恐ろしく美しかった。深い深い、吸い込まれるような不思議な緑色をしていた。それが夜になると、漆黒へと変わるのである。
春はまだ遠い。暖かくなったら外の世界へ放すのだという夢想的な希望を抱きながら、現実には多分春まではもたないだろうという諦めもあった。
ある晩、蛍光灯の周りをひらひらと飛んでいたピッコリーモちゃんが、突然、そう突然に、ぱたりと落ちた。驚きと、同時についに来たかと思った。
ピッコリーモちゃんはもう飛べなかった。手のひらに乗せた小さな体は急速に弱っていく。そしてあの美しかった緑色の神秘的な目が、みるみる光を失っていき、ただの平面的な物質へと変わっていった。ほとんど質量を感じることのないピッコリーモちゃんの体は、羽を持った小さな昆虫のはかなさを象徴しているようだった。ピッコリーモちゃんは、春を待たずに死んだ。
私はピッコリーモちゃんを日当たりのいい椿の木の根元に埋めた。ピッコリーモちゃんの体が椿の木の養分となって春に花を咲かせ、その蜜に集まる鳥たちと一緒に空へ飛んで行けるように。
そうなれば餌をやらなければならない。オオタバコガの成虫は何を食べるのだろう。ネットで調べてみると、サクラソウ科の花の蜜らしい。蛾も蝶と同じように花の蜜を吸うことをはじめて知った。ためしにテーブルの花瓶に挿したユリの花にピッコリーモちゃんを乗せてみると、おどろいたことに急に活発に羽を動かして花の中心部へ向かい、ストローを伸ばして蜜を探すように花弁の上に走らせた。蛾にもくるくると巻いた舌があるとは知らなかった。新しい発見の連続である。だがユリの花ではだめらしい。その日はもう遅かったので、次の朝さっそく花屋へ行って、ちょうど花の咲いている桜草の鉢植えを買ってきた。
ピッコリーモちゃんを、花の上に乗せてみる。すぐにくるっと巻いた舌を伸ばして、花の上をつつくように動かし、何度かの試行のあと蜜のありかを探り当てた。
桜草の鉢植えは目立つところにおいてあるのに、ピッコリーモちゃんは自分では食事に行こうとはしない。仕方がないので、毎朝仕事に行く前と夕方帰宅したときに、いつもカーテンの上にいるピッコリーモちゃんを花の上に乗せてやった。ピッコリーモちゃんが蜜を吸う様子を見て、私は満足感を覚えた。
ピッコリーモちゃんは薄汚れたような茶色の地味な蛾であったが、目は恐ろしく美しかった。深い深い、吸い込まれるような不思議な緑色をしていた。それが夜になると、漆黒へと変わるのである。
春はまだ遠い。暖かくなったら外の世界へ放すのだという夢想的な希望を抱きながら、現実には多分春まではもたないだろうという諦めもあった。
ある晩、蛍光灯の周りをひらひらと飛んでいたピッコリーモちゃんが、突然、そう突然に、ぱたりと落ちた。驚きと、同時についに来たかと思った。
ピッコリーモちゃんはもう飛べなかった。手のひらに乗せた小さな体は急速に弱っていく。そしてあの美しかった緑色の神秘的な目が、みるみる光を失っていき、ただの平面的な物質へと変わっていった。ほとんど質量を感じることのないピッコリーモちゃんの体は、羽を持った小さな昆虫のはかなさを象徴しているようだった。ピッコリーモちゃんは、春を待たずに死んだ。
私はピッコリーモちゃんを日当たりのいい椿の木の根元に埋めた。ピッコリーモちゃんの体が椿の木の養分となって春に花を咲かせ、その蜜に集まる鳥たちと一緒に空へ飛んで行けるように。
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いもさんたち(中篇)
2006年11月09日 / 虫
ピッコリーモちゃんは、レタスの葉っぱに乗って我が家にやってきた。今まで育てた他の幼虫に比べると、ずいぶん小さい。当時、趣味としてイタリア語を少しかじっていたので、イタリア語の「小さい」という意味であるpiccoloと「いもさん」を組み合わせて、ピッコリーモちゃんという名前を付けた。
体は黒っぽい色をしているが、小さくて特徴がよくわからず、何の種類なのか判然としない。とりあえずレタスの葉っぱを与え続けた。食欲旺盛である。
数日経ってピッコリーモちゃんは葉っぱを食べなくなった。時々もぞもぞ動くだけでじっとしている。どこか具合でも悪いのだろうかと心配になったが、次の日見ると、ピッコリーモちゃんが緑色になっていた。体も一回り大きくなっている。脱皮したようである。食欲も元通り、もりもりレタスを食べている。ほっと一安心した。結局、ピッコリーモちゃんも歴代いもさんと同じオオタバコガだったようである。しかし、一回り大きくなったといっても、まだ小さい。
さらに数日経って、ピッコリーモちゃんはまた食べるのをいったん中止して、次の脱皮をした。胴体の抜け殻と、まるでマスクのようにポロリと顔の部分が落ちていたが、しばらくするとなくなっていたので、食べてしまったのだろう。
そうやって数回脱皮を繰り返し、ピッコリーモちゃんは歴代いもさんに並ぶ体格になった。そろそろ、さなぎになる日も近いかもしれない。私は土を用意した。そうして、ピッコリーモちゃんは蛹になるため土にもぐった。年の暮れであった。
私は迷った。ピッコリーモちゃんの蛹をこのまま部屋の中へ置いておいてよいものだろうか。季節は冬。自然の環境なら、蛹の状態で越冬するのだろう。だが部屋の暖かさに惑わされて、ピッコリーモちゃんが春になる前に羽化してしまうと、厄介なことになる。しかし、今まで暖房の中で育ってきたのを、急に寒い屋外へ出してよいものか。
思い切って外へ出してしまえばよかったのかもしれない。だが私は、結局ずるずるとピッコリーモちゃんの蛹を部屋の中に置いたままにした。(つづく)
体は黒っぽい色をしているが、小さくて特徴がよくわからず、何の種類なのか判然としない。とりあえずレタスの葉っぱを与え続けた。食欲旺盛である。
数日経ってピッコリーモちゃんは葉っぱを食べなくなった。時々もぞもぞ動くだけでじっとしている。どこか具合でも悪いのだろうかと心配になったが、次の日見ると、ピッコリーモちゃんが緑色になっていた。体も一回り大きくなっている。脱皮したようである。食欲も元通り、もりもりレタスを食べている。ほっと一安心した。結局、ピッコリーモちゃんも歴代いもさんと同じオオタバコガだったようである。しかし、一回り大きくなったといっても、まだ小さい。
さらに数日経って、ピッコリーモちゃんはまた食べるのをいったん中止して、次の脱皮をした。胴体の抜け殻と、まるでマスクのようにポロリと顔の部分が落ちていたが、しばらくするとなくなっていたので、食べてしまったのだろう。
そうやって数回脱皮を繰り返し、ピッコリーモちゃんは歴代いもさんに並ぶ体格になった。そろそろ、さなぎになる日も近いかもしれない。私は土を用意した。そうして、ピッコリーモちゃんは蛹になるため土にもぐった。年の暮れであった。
私は迷った。ピッコリーモちゃんの蛹をこのまま部屋の中へ置いておいてよいものだろうか。季節は冬。自然の環境なら、蛹の状態で越冬するのだろう。だが部屋の暖かさに惑わされて、ピッコリーモちゃんが春になる前に羽化してしまうと、厄介なことになる。しかし、今まで暖房の中で育ってきたのを、急に寒い屋外へ出してよいものか。
思い切って外へ出してしまえばよかったのかもしれない。だが私は、結局ずるずるとピッコリーモちゃんの蛹を部屋の中に置いたままにした。(つづく)
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いもさんたち(前篇)
2006年11月08日 / 虫
名前はいつも「いもさん」である。初代いもさんは勝手がわからないから、いろいろ苦労することもあった。いもさんは薄緑色の幼虫で、ついていた野菜などを手がかりにネットで調べると、オオタバコガという蛾の幼虫であることがわかった。
イチゴなどが入っている透明のプラスチックケースの中で育てていたのだが、いつも元気に野菜を食べていたいもさんが、ある日そわそわし始めた。ケースの底の方でもじもじしている。どうしたのだろうと再びネットで調べた。そこではじめて知ったのだが、この種類の蛾は蛹になるとき、土の中にもぐるのだそうだ。蛾と蝶は似ているので、私は蛾も壁などに糸をかけて蛹になるものだと、それまで勝手に思いこんでいた。
いもさんは土を欲していたのである。当時はマンション暮らしで家に土がなかったから、私は慌ててもぐりやすいような柔らかい土を買いに行った。蛹になるのに間に合うだろうか、時期を失ってしまったらどうしよう。
買ってきた土を適度な深さに入れていもさんを放すと、そうそう、これだよこれ、というようにすぐにもぐっていった。ちゃんと羽化できるだろうかと心配しながら、いもさんが見違える姿となって出てくるのを毎日待った。
二週間ほど経っただろうか。部屋のカーテンに、茶色い蛾が止まっていた。いもさんだ。それは珍しくもなんともない地味な蛾であったが、私はそれなりに感動した。そして、蛾になったいもさんを外に放した。いもさんは、空の遠くへ飛んでいった。
野菜についてくるのであるから、害虫である。外に放したと言えば、農業にたずさわる人は嫌な顔をするかもしれない。が、とにかく放した。
これで要領を得たわけだが、二代目いもさんはアクシデントがあって、可哀相な結果になってしまった。蛹になる前に、なぜかは忘れたけど負傷してしまったのだ。土にもぐっていったが、大怪我に見えた。羽化する頃になっても出てくる様子はないし、やっぱり無理だったかとあきらめていたのだが、だいぶ経ってから、カーテンのひだの間で死んでいる蛾を発見した。いつのまにか羽化していたのだ。もっとしっかり見てあげればよかった。とても可哀相なことをした。
三代目以降はスムーズにいった。ほとんどがオオタバコガの幼虫であったが、一度、小松菜に黒っぽい幼虫が二匹もついてきた。調べると、ヨトウガという蛾の幼虫らしい。オオタバコガもヨトウガも野菜を食べる害虫であるので、ネットの検索に出てくるのはほとんどが害虫対策のサイトであるが、なかには同じように野菜についてきた幼虫を育てた観察日記などがあり、立派な飼育箱を作っている人もいて、なかなか興味深い。
スレンダーできれいな薄緑色のオオタバコガに比べ、ふと短く色もグロテスクなので、グロちゃん一号、二号と名づけた。このグロちゃんたちも、空へ飛び立っていった。
家に来た何匹かの幼虫の中で、一番思い出深いのが、ピッコリーモちゃんである。(つづく)
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猫のカーテン登り
2006年11月07日 / 猫
バリアを強化する必要がある。そこで、猫返しの下の幹をさらにクリアファイルでくるっと巻いて覆った。これは、ツキノワグマの被害のある地域で木をトタンなどで覆ったところ、クマが爪を立てることができず登れなくなったということにヒントを得ている。
さっそくみゆちゃんを庭に放って実験である。まだ外の世界が忘れられないみゆちゃんはすぐに木に飛びついた。が、クリアファイルのところで先に進めず断念、やむなく飛び降りた。さらに何度か登ろうと挑戦したが、新しい猫バリアに阻まれていずれも失敗。庭の見映えはますます悪くなったが、これで脱走の心配もなくなりそうだ。
そう思ったのも束の間。また突破されてしまった。ちょうど横に張り出した枝があって、そこに前足を掛け、懸垂するようにして登ってしまったのである。こうなるともういたちごっこだ。また次のバリアを考えなければならない。
みゆちゃんが窓の前に座って開けろ開けろと訴えるが、新しいバリアを考案するまではうっかり庭にも出せない。にゃーにゃーしつこく鳴いていたが、やがてあきらめてあっちへ行ったかと思うと、ばりばりばりっという音が聞こえてきた。木登りができないので、みゆちゃんは憂さ晴らしにカーテン登りを始めたのであった。
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水遊び猫
2006年11月06日 / 猫
最初は、おもちゃを床の上で滑らして遊んでいるうちに、あやまって水の中に落としてしまったのかと思っていた。だが、水槽の底に沈んだおもちゃを拾ってやるとまたすぐ水の中に入れるので、わざとやって遊んでいるのだとわかった。
家の者が眠っている夜中によくこの遊びをやるようで、朝起きてみると、今日は水槽に何が入っていた、ということになる。ウィスキーのボトルについていたジャズマンのフィギュアをテレビの上に二体並べて置いていたのだが、ある朝見ると、サックス吹きがいない。どこに行ったのかと探したら、バケツの底に沈んでいた。
ただ物を水に沈めるだけではなく、みゆちゃんはそれを再び拾おうとする。たいていの猫は水が嫌いであるから、これにはおどろいた。バケツの水は結構深く入っているので、底に足の裏をつけると、水はみゆちゃんの二の腕あたりまで来る。それでもかまわず、ずぼっと手を浸け、底に沈んだビニタイを突付いている。耐水猫には恐れ入るが、もちろん濡れた手を拭いたりはしないので、そこらじゅうが水だらけ、私はせっせと拭き掃除をさせられたのであった。
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