
この日本一の山について
今さら何を言う必要があろう。
おそらくこれほど多く語られ、
歌われ、描かれた山は世界にもないだろう。
一夏に数万の
登山者のあることも世界一だろう。
老いも若きも、男も女も、
あらゆる階級、あらゆる職業の人々が、
「一度は富士登山を」と志す。
これほど民衆的な山も稀である。
というより、国民的な山なのである。
富士山ほど一国を代表し、
国民の精神的資産となった山は
ほかにないだろう。
もしこの山がなかったら、
日本の歴史はもっと別な道を
辿っていたかもしれない。
(深田久弥 日本百名山より)
富士山

今回選んだ須走口登山口は
高山植物のお花畑や樹林帯を通る静かなコース。
富士山に通いなれた人が
このコースを選ぶことが多いらしい。
今回初めての富士登山なのに、
この須走口コースを選んでしまった。(無謀だ~

須走口の標高は2,000m、
頂上との標高差は1,776m。
私としてはこの標高差は初めての経験です。

ここで、今まで経験した
百名山標高差ベスト5を書きだしてみました。
①猿倉(1,230m)…→…白馬岳(2,932m) 標高差は1,702m
②上高地(1,505m)…→…奥穂高岳(3,190m) 標高差は1,695m
③上高地(1,505m)…→…槍ヶ岳(3,180m) 標高差は1,675m
④中房温泉(1,450m)…→…燕岳(2,763m) 標高差は1,472m
⑤美濃戸口(1,480m)…→…赤岳(2,899m) 標高差は1,419m
でした。

でも、上には上があり、
富士山も真っ青


未登頂ですが、抜き出してみます。
椹島(1,123m)…→…悪沢岳(3,141m) 標高差は2,018m
椹島(1,123m)…→…赤石岳(3,120m) 標高差は1,997m
赤石ダム(1,120m)…→…聖岳(3,013m) 標高差は1,893m
新穂高(1,090m)…→…笠ヶ岳(2,897m) 標高差は1,807m
なお、標高差と苦労する山とは違います。
あまりにも遠くて所要時間がかかる山は
北アルプスの黒岳(水晶岳)だそうです。
高瀬ダムから野口五郎岳経由でも
12時間40分かかり最も遠隔な百名山です。
で、本題の富士登山に戻ります

挑戦したのは8月下旬の超晴天日

今回は須走口登山口から
ゆっくり登り始めました。

六合目の山小屋到着。休憩。
営業中は赤い鯉のぼりが
下から見えていい目標になります。

泊ったのは八合五勺の山小屋「御来光館」

翌朝は山小屋から御来光を見る


初日に頑張って八合五勺まで来たので、
翌日の今日は後一合五勺だけ登ればいいから
比較的楽な気分


九合目にある鳥居をくぐる。
あと少しで山頂だぜい


山頂が見えた


久須志神社の狛犬さんがお出迎え


山頂からの展望は雲海のみ。
下界はこの雲の下。
みんな何してるんだろうな~
(お~い、今、上から見下ろしてるぞ~ な~んてね

色々な山を登ったけど、
こんな山頂からの景色は初めてだ。

後を振り向くと、そこは新宿ホコ天か?
「へい、らっしゃい

富士山記念のお土産は如何

と、お兄ちゃんの元気な物売りの声。
そんな喧騒の富士山銀座から
(本当の)日本最高地点にいかねば


しばらく休憩して高所になれたら、
久須志神社と4件の山小屋を通り
時計回りにお鉢めぐり開始。
1周約4k、90分のウォーキング

剣ヶ峯の最高峰が火口を隔てて正面に見える。
1周ルート

久須志神社…大日岳…伊豆岳…駒ヶ岳…剣ヶ峯…久須岳…久須志神社

火口歩きの途中には浅間大社奥宮がある。
ここまで来ると人もまばら。
ここは富士宮・御殿場口登山道の終点になる。

馬ノ背の急斜面を登ると剣ヶ峯

これが最高にきつい



火口の最高峰、日本最高地点(3,776m)。
石柱、二等三角点、GPSで利用する
日本電子基準点などがある。
もとは富士山測候所のレーダードームもあった。

ここから見える富士の火口内。
噴火口最深地点の標高は3,535m。
勿論、富士山は活火山。
約10万年前に噴火を開始。
3500年前にほぼ現在の姿にまで成長。
火口の本格的な噴火は約2200年前に停止。
その後は水蒸気爆発がおこる。
山頂火口一帯から立ち上がる噴気は
歴史時代を通じてたびたび目撃されたが
1950年以降は観測されていない。
遠くから見ても、登っても、
その存在感、偉大さに感動した 富士山でした。

