愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

グローバル化時代の小売業態

2008年04月14日 | Weblog
担当の青木はこの度『小売業態の国際移転の研究』(成文堂)という本を単著で出版しました。

スーパーマーケットやコンビニエン・ストアなどの小売業態は日本発ではありません。アメリカから日本にやってきました。こういう現象は小売業態の国際移転といいます。また,アメリカからやってきたスーパーマーケットやコンビニエンス・ストアは当初のままで日本では発展することはなく,日本的な変化を遂げて発展しました。これは小売業態の国際移転に伴う変容といっていいでしょう。本書はこれらを扱っています。

本書では,まず,小売業態の国際移転とそれに伴う小売業態の変容に関する理論を検討しています。つぎに,事例としてスーパーマーケットを取り上げて,それがアメリカから日本にどういう経緯で移転してきたのか,そして日本においてどのように元のパターンから変容したのか,その変容はどういう理由(要因)によるのかを検討しています。よく知られているように,日本のスーパーマーケットはアメリカのスーパーマーケットとは違った存在になっています。また,近年注目を集めている小売業国際化あるいはグローバル化との関係なども検討しています。

グローバリゼーションという言葉が2000年代に入ってあらゆる場面で蔓延してきました。グローバリゼーションとは,世界はひとつの大きな市場になり,統一した基準や様式がその中に広がっていくという考え方です。そこにアメリカ発の論理に日本を始め多くの国は席巻されてしまうという危険を感じる人が多くいます。確かに経済の中にそういう側面はあるでしょう。しかし,小売業の歴史を振り返ってみると,アメリカの論理がそのまま日本で通用することはありませんでした。スーパーマーケットやコンビニエンス・ストアなど,日本はしたたかにアメリカの進んだ小売業の知識を取捨選択して取り入れて,うまく実情に合うように変化させてきたのです。このことは日本だけに限りません。本書はこのことを考えてみようと問いかけているのです。そして,単純なグローバリゼーションを冷静に捉えなおすことを企図しています。学生には是非考えて欲しい事柄です。
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