2009年を迎えました。新年早々には色々なスポーツイベントが開かれます。年頭の大学スポーツの華といえば箱根駅伝です。箱根駅伝はなぜ注目を集めるのか。大手メディアが共催していることやその長い歴史をあげる人がいるかもしれません。しかし,それらよりも私は箱根駅伝の洗練された運営方法が大きな理由であると考えています。
箱根駅伝は2日間に渡って行われます。大変な長丁場です。全日本大学駅伝や出雲駅伝が1日で終わるのとは大きな違いです。そのため,当初リードを保っていたチームが2日目後半には順位を下げてしまったり,逆に初日トップではなかったチームが2日目に追い上げて総合優勝したりということをしょっちゅう見ることができます。ここにドラマが生まれ,視聴者や観客は目が離せなくなります。また,複数の優勝(往路優勝・復路優勝・総合優勝),区間賞,シード制を導入することで,競争が多彩になっています。つまり,総合優勝の争い以外に注目するポイントが複数存在するのです。大会で9位以内(場合によっては10位以内)に入れば翌年の出場が約束されるというシードをめぐる争いは,下位チームにも競技をあきらめさせない仕掛けとなっていて,視聴者・観客の注目を下位のチームにも向けさせます。今の時代の雰囲気では,「負け組みに落ちたくない」という気持ちを持つ人が多いため,シード争いのほうが盛り上がっていると思われます。私はこの重層的(多彩な)競争の仕掛けは,日本的なのかもしれませんが,大事だと思っています。
この箱根駅伝の運営方法を大学教育(とくに文系私学)は見習う必要があると思っています。多くの大学では,学生は所定の単位を修得し,卒業要件を充たせば,それで卒業です。卒業までには節目になるような競争の仕掛けは見られません。学生の立場から(教員の立場から捉えてですが),勉学への強いインセンティブが感じられないのです。学年進級制度を持つ大学があれば,それが節目といえるのかもしれませんが,実際のところ大半の学生にとってはハードルが低く大きな節目にはなりません。特待生制度を設けている場合,それを求めて競争がおきることがありますが,それには一部の優秀者が関わっているだけで,成績下位者は関心すら持ちません。実際には学部・学科挙げての競争ではないのです。
学生を勉学に注力させるためには,箱根駅伝のような重層的な競争の仕掛けが必要だと思っています。ほめられる喜び,落ちる恐怖,総合的な能力の評価と一部の特別な能力の評価,卒業してからも語られ思い出に残るような努力,繰り返される激励,無言の圧力,このような雰囲気が学部・学科全体に広がるような仕掛けが必要なのです。私の立場では,このような仕掛けを作ることはできません。ただ,せめてゼミでは今後作って行きたいと思っています。
箱根駅伝は2日間に渡って行われます。大変な長丁場です。全日本大学駅伝や出雲駅伝が1日で終わるのとは大きな違いです。そのため,当初リードを保っていたチームが2日目後半には順位を下げてしまったり,逆に初日トップではなかったチームが2日目に追い上げて総合優勝したりということをしょっちゅう見ることができます。ここにドラマが生まれ,視聴者や観客は目が離せなくなります。また,複数の優勝(往路優勝・復路優勝・総合優勝),区間賞,シード制を導入することで,競争が多彩になっています。つまり,総合優勝の争い以外に注目するポイントが複数存在するのです。大会で9位以内(場合によっては10位以内)に入れば翌年の出場が約束されるというシードをめぐる争いは,下位チームにも競技をあきらめさせない仕掛けとなっていて,視聴者・観客の注目を下位のチームにも向けさせます。今の時代の雰囲気では,「負け組みに落ちたくない」という気持ちを持つ人が多いため,シード争いのほうが盛り上がっていると思われます。私はこの重層的(多彩な)競争の仕掛けは,日本的なのかもしれませんが,大事だと思っています。
この箱根駅伝の運営方法を大学教育(とくに文系私学)は見習う必要があると思っています。多くの大学では,学生は所定の単位を修得し,卒業要件を充たせば,それで卒業です。卒業までには節目になるような競争の仕掛けは見られません。学生の立場から(教員の立場から捉えてですが),勉学への強いインセンティブが感じられないのです。学年進級制度を持つ大学があれば,それが節目といえるのかもしれませんが,実際のところ大半の学生にとってはハードルが低く大きな節目にはなりません。特待生制度を設けている場合,それを求めて競争がおきることがありますが,それには一部の優秀者が関わっているだけで,成績下位者は関心すら持ちません。実際には学部・学科挙げての競争ではないのです。
学生を勉学に注力させるためには,箱根駅伝のような重層的な競争の仕掛けが必要だと思っています。ほめられる喜び,落ちる恐怖,総合的な能力の評価と一部の特別な能力の評価,卒業してからも語られ思い出に残るような努力,繰り返される激励,無言の圧力,このような雰囲気が学部・学科全体に広がるような仕掛けが必要なのです。私の立場では,このような仕掛けを作ることはできません。ただ,せめてゼミでは今後作って行きたいと思っています。