愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

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2009年11月11日 | 卒論
もうすぐ,3年生は名古屋マーケティング・インカレ本大会,4年生は卒論提出の日を迎えます。今はもう最終的に内容をまとめ上げる時期なのですが,おそろしいことにまだまだ道遠しというグループや学生がいます。たいしてあせっていないのが不思議なぐらいです。誰かが何とかしてくれるということは全く期待できないはずなのです。甘いのが学生の特権とはいっていられません。

内容がいまひとつだと指摘している研究発表や卒論には共通している問題点があります。それは主張を裏づけるデータがないのです。戦略提案を考えるという類の研究が多いのですが,たいてい思いつきで終わっています。思いつきでない論理性のある主張にするためには,根拠が必要なのです。根拠として重要なのが裏づけデータです。

不思議なことに,学生に裏づけデータが必要だと指摘すると,揃いも揃って皆アンケートをとるといい出し,アンケートの質問表を考えてきます。データ収集というとアンケート調査しか手段がないと思い込んでいるようです。彼らが考えたアンケート質問表を見ると,思いつきで書いたあいまいな問いかけが並んでいます。「これは答えようがないな」というものが大半です。思いつきの主張を思いつきのアンケート調査で検証しようというのです。

わざわざ思いつきで,たいして意味のないアンケートをとるよりも,まずやって欲しいのが,既に誰かが調査して公表している二次データの徹底した収集です。日本はデータの宝庫です。日本ほど様々なデータがきちんと収集されて公表されている国はないといっていいぐらいです。数字で表現される定量的なデータも大量に揃っています。定量的なデータは,行政機関や民間シンクタンクが毎年あれこれ公表しているのです。白書のように読み物としても完成した形の中に盛り込まれているものもあります。学生のいい加減なアンケートデータとは比べ物にならない高い信頼度があることはいうまでもありません。しかも,それらはたいてい大学の図書館に揃っています。

行政機関や民間シンクタンクの調査データを加工して分析するだけでもかなりのことが分かり,主張の裏づけになるはずなのに,これをきちんとやろうという学生がいません。こちらが教えてないのならいたし方ないのですが,2年生のときから少しずつデータ収集方法は指導しています。さらに,具体的に「商業統計表を見よ」「家計調査年報を見よ」というように研究内容に合わせて指導もしています。

学生は統計表に専門用語が使われているため難しく感じるのでしょうか。あるいは客観的にとられて抽象的に表現されているデータが,自分たちの生活実感とかけ離れた感じがするのでしょうか。

専門用語は特殊な用語というだけで,難しいことはありません。解説を読めば理解できるものばかりです。また定量データが客観的・抽象的なのは当たり前のことです。そもそも数字で表されるデータが主観に満ちたものならば裏づけデータとして使えないではないですか(そういうのもありますが)。実は定量データは加工次第で生活実態をきちんと探ることができるのです。

ともかくゼミ生はじめ学生には,二次データの収集をきちんとやって欲しいと思います。たいしてお金がかからず,色々なことが分かるのですから。ただし,「分かる」ためには,頭の使いようが試されることにはなります・・・。
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