愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

基礎固め

2011年11月11日 | 運営
商学部では専門演習(ゼミ)は2年次秋学期から始まります。2年次秋学期から卒業まで一貫教育が行われるようになっているのです。元々2年次には基礎演習がおかれていました。そしてゼミは3年次と4年次におかれていました。この場合,基礎演習とゼミの担当教員は同じである必要がないので,教育の継続性が担保されません。事実,ほとんどの学生は継続して基礎演習と同じ教員のゼミを選択することはありませんでした。しかし,2年次教育と専門ゼミとの継続性を求める声が教員内に高まり,現行の制度に落ち着きました。

過去の経緯もあり,うちのゼミでは,2年次秋学期は基礎段階と位置づけて,研究発表に必要な基礎的能力の養成に時間を費やしています。いつもは,輪読を中心にしていました。同じ専門書を全ゼミ生に入手してもらい,各自担当箇所の解読を行ってもらうのです。その過程で,解読結果を発表してもらったりレポートにまとめてもらったりします。結果として,文章読解・表現,プレゼンテーションの基礎的能力が身につくと考えられます。多くの大学の社会科学系学部で行われています。

しかし,輪読は意外にも学生にとって難しい課題なのです。なぜならば,うちの場合,学力低下のためか,ほとんどの学生は専門書を読解することができるレベルの国語力や専門知識を欠いているからです。例年,ピントのずれた解釈をするか,内容を理解しないまま字面を追っているだけになります。

そこで,今年はいきなりゼミ2年生にフィールドリサーチ(実地調査)を行ってもらいました。セブンイレブンと他のチェーンとの間になぜ平均日販の差が生じているのかを考察するため,コンビニエンス・ストア間比較調査を行ってもらいました。

ゼミ生を3チームに分け,それぞれに差を生じさせた要因に関する仮説を考えてもらいました。仮説としては,ドミナント出店を含む出店に関するものと,PBの導入を含む品揃えに関するものがあがりました。つぎにそれを検証するため,店舗の実地調査を実施してもらいました。

全チームともあらかじめ地図等で店舗の立地場所を確認して,競合動向を捉えてから,調査対象を吟味しました。そして,実際に数日間店舗に出向きました。店長に頼み込んで許可をもらい,陳列アイテム全てを一品一品数えたチーム。レジ前に陣取り,取引ごとにレジの料金表示をメモして,客単価を割り出したチーム。店舗の前で,顧客を一人一人をつかまえて,来店動機を聞き出したチーム。

結局,十分考え抜いた末の仮説ではなかったためか,あるいは強引で,スマートさに欠ける調査だったためか,どのチームもきちんと仮説の検証はできませんでした。その過程を発表してもらいましたが,論理的で説得的な発表はできませんでした。しかし,その行動力を評価したいと思います。わずか3週間ほどでそれなりの調査をやり終えた迅速さが何より良かったと思います。

ゼミ2年生たちは,自分たちで独自の主張を考えだすことの難しさ,それを根拠づけるためのデータ収集の大変さ,論理的に主張を展開することの苦労が学べたのではないでしょうか。何より,学問には汗をかくことが必要だということが。これらは研究発表において最も重要な事柄です。いつもは3年次にゼミ生たちが気づくことを,2年次に理解することができました。

例年とは違って,実地調査の後,専門書の輪読を行う予定です。ゼミ2年生たちには,輪読でも,汗をかくことの重要さを知ってもらおうと思っています。
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