愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

思い出す授業

2013年04月02日 | Weblog
私は学部時代,教育学部に所属し,教育心理学を専攻していました。大学院に入学してから商学を専攻するようになりました。学部では,心理学や教育学に関する専門科目をいくつも履修しましたが,自分に教育心理学を学修する適性がなかったこともあって,それらのうち心に残っている科目はほとんどありません。

しかし,教養教育科目については,いまだにその情景を思い出すことができるものがあります。その一つが,人類学です。1年次に履修しました。これは学部の専門にも,大学院の専門にも該当しないにもかかわらず心に残っています。

人類学の中でも文化人類学を中心とした内容でした。イヌイット(いわゆるエスキモー)に関する研究をメインに,文化人類学の考え方や研究成果を講じながら,著名な学者の論評(めった切りしたこともあった),お薦めの書籍,大学批判まで様々な話が展開されました。失礼ながら,首をかしげるような内容もあったのでしたが,大教室において,学術的内容を,面白おかしく,しかも堂々たる声で,快活に話される担当教授の姿に魅了されました。「これが大学の講義というものか」と感じ入ったのでした。この講義で聞いた文化人類学上の概念,例えば,文化相対主義やエスノセントリズムなどは,今でも折に触れ思い出します。

人類学の講義内容は,今の仕事や生活に直接的には役立っていません。ただ,異文化に注目する姿勢を知ったことは収穫だったと思います。海外の大学との交流,留学生の指導などが現在の仕事に含まれていますが,それらの業務中,ふと人類学の講義の思い出が心をよぎるのです。

商学部新入生のみなさんは,1年次に教養教育科目を中心に学ぶことになります。大学業界では,専門教育を重視するあまり教養教育を軽んじる風潮があります。うちの学部にもないではありません。しかし,専門教育は大学以外でも受けることができますが,教養教育は大学ならではの教育なのです。教養教育は,学生の知識の幅を広げ,思考力を鍛えることに貢献します。


私たちには何が将来役に立つのか今現在分かりません。一見役に立たないような事柄でも,自分の血肉になるかもしれません。新入生の皆さんは,現在1年次の履修計画を立てなければなりません。その際,役に立つかどうかという価値判断から離れて,興味の赴くままに,教養教育を堪能しようと考えてみてください。
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