先日12年前に本学商学部を卒業した森島さんが,名城公園キャンパスを訪ねてきました。当日はゼミ担当の先生が留守だったので,見知った教員を探して,たまたま研究室にいた私を訪ねてきたようです。うちのゼミの卒業生ではないのですが,私の少人数実習型授業を履修していたので,彼女のことををよく覚えています。
住まいのある関西からせっかく新キャンパスを訪ねてくれたので,キャンパス案内をしました。彼女は「愛知学院大じゃないみたい。あの時,こんないい椅子や机があれば,授業を楽に受けられたのに」という感想を漏らしていました。また,「学生は昔と比べて,行儀がいい」と指摘しました。「12年前と比べて,学部の学生数は半分以下なので,教職員の監視の目が行き届くようになったから,今の学生は行儀よくふるまうようになったかもしれない」と私は返答しました。
図書館が好きだというので,そこを案内した時,森島さんは経済小説を大々的に紹介する小説コーナーを見つけて,「大学の図書館じゃないみたい。商学部や経済学部の図書館で,小説があるのですか? こんな工夫をしないと学生は図書館を利用しないのですか?」と少し寂しそうにつぶやきました。つぎに,専門書や雑誌の詰まった書架を見つけた時には,「これが大学の図書館の典型です。私は学生時代,今しかチャンスがないと思い,難しい専門書を,訳が分からないまま必死で読みました。いい思い出です」と語ってくれました。
そのやり取りを思い出して,私は,大学でしかできない学生時代の経験というものは,意外に,当たり前の地味な日常に潜んでいるのだなと感じました。学生が図書館で専門の学問に関係する本を借りて読む。大学ならば当たり前の行為が,大学教育の核心であり,その後の人生の基盤を作るかもしれない。しかし,今やそれが当たり前ではなくなってしまっている。ゼミ生にはきちんと図書館活用を指導しなければいけないなと改めて思いました。
森島さんについて,学生時代,アクティブで,どこにでも顔を出している元気な学生という印象を持っていましたが,今でもアクティブな女性として活躍している様子です。正社員としての仕事を持ちながら,2人の子供を育てています。その過程で,保育所保護者・学童保育所保護者のリーダーとしても活動しているとのこと。この立場で,大学の頃にもっとしたかった友達と勉強を楽しむことを,今児童福祉を切り口にできているのが楽しいといいます。そしてその勉強成果を研究発表会でプレゼンテーションする機会も持ているそうです。
さて,そんな彼女が後日私にメールでメッセ―ジを送ってくれました。後輩である現学生のキャリア形成について,つぎのアドバイスを述べてくれました。
「就職活動においては,一定レベルの評価の企業に身を置くことを目指して欲しい。もし後にそこを退職することになったとしても,その経歴はその後の人物評価に影響を与える。つまり,あの会社で働いていたのだから能力が高いだろうと推察してもらえる。また,女子学生には,波があってもキャリアは途切れさせないことを心掛けてほしい。キャリアのブランクが生じると,余程の縁がない限り,能力の問題ではなく,再度正社員に返り咲くのは困難。したがって,パートや派遣の時期があったとしても,とにかく仕事を続けることが重要。なお,採用側は,採用のタイミングと組織の都合に合う人物かどうかを重視するので,能力が高くても不採用になる可能性はある。そういう時には縁がなかったとあきらめ,悲観しない。」
彼女は,大学卒業後東証一部上場企業で営業職を務め,子育てを機に事務職に転じ,今はとある組織で正社員として総務の仕事をしているそうです。10年以上のそのキャリアの中で,得た知見をメッセージとして送ってくれたのでした。ゼミ生には是非参考にして欲しいと思います。
住まいのある関西からせっかく新キャンパスを訪ねてくれたので,キャンパス案内をしました。彼女は「愛知学院大じゃないみたい。あの時,こんないい椅子や机があれば,授業を楽に受けられたのに」という感想を漏らしていました。また,「学生は昔と比べて,行儀がいい」と指摘しました。「12年前と比べて,学部の学生数は半分以下なので,教職員の監視の目が行き届くようになったから,今の学生は行儀よくふるまうようになったかもしれない」と私は返答しました。
図書館が好きだというので,そこを案内した時,森島さんは経済小説を大々的に紹介する小説コーナーを見つけて,「大学の図書館じゃないみたい。商学部や経済学部の図書館で,小説があるのですか? こんな工夫をしないと学生は図書館を利用しないのですか?」と少し寂しそうにつぶやきました。つぎに,専門書や雑誌の詰まった書架を見つけた時には,「これが大学の図書館の典型です。私は学生時代,今しかチャンスがないと思い,難しい専門書を,訳が分からないまま必死で読みました。いい思い出です」と語ってくれました。
そのやり取りを思い出して,私は,大学でしかできない学生時代の経験というものは,意外に,当たり前の地味な日常に潜んでいるのだなと感じました。学生が図書館で専門の学問に関係する本を借りて読む。大学ならば当たり前の行為が,大学教育の核心であり,その後の人生の基盤を作るかもしれない。しかし,今やそれが当たり前ではなくなってしまっている。ゼミ生にはきちんと図書館活用を指導しなければいけないなと改めて思いました。
森島さんについて,学生時代,アクティブで,どこにでも顔を出している元気な学生という印象を持っていましたが,今でもアクティブな女性として活躍している様子です。正社員としての仕事を持ちながら,2人の子供を育てています。その過程で,保育所保護者・学童保育所保護者のリーダーとしても活動しているとのこと。この立場で,大学の頃にもっとしたかった友達と勉強を楽しむことを,今児童福祉を切り口にできているのが楽しいといいます。そしてその勉強成果を研究発表会でプレゼンテーションする機会も持ているそうです。
さて,そんな彼女が後日私にメールでメッセ―ジを送ってくれました。後輩である現学生のキャリア形成について,つぎのアドバイスを述べてくれました。
「就職活動においては,一定レベルの評価の企業に身を置くことを目指して欲しい。もし後にそこを退職することになったとしても,その経歴はその後の人物評価に影響を与える。つまり,あの会社で働いていたのだから能力が高いだろうと推察してもらえる。また,女子学生には,波があってもキャリアは途切れさせないことを心掛けてほしい。キャリアのブランクが生じると,余程の縁がない限り,能力の問題ではなく,再度正社員に返り咲くのは困難。したがって,パートや派遣の時期があったとしても,とにかく仕事を続けることが重要。なお,採用側は,採用のタイミングと組織の都合に合う人物かどうかを重視するので,能力が高くても不採用になる可能性はある。そういう時には縁がなかったとあきらめ,悲観しない。」
彼女は,大学卒業後東証一部上場企業で営業職を務め,子育てを機に事務職に転じ,今はとある組織で正社員として総務の仕事をしているそうです。10年以上のそのキャリアの中で,得た知見をメッセージとして送ってくれたのでした。ゼミ生には是非参考にして欲しいと思います。