ぼけの恐ろしさは、自分の存在が分らなくなること。
私はがんよりこわい病気と思っている。
自分もぼろぼろになり、築き上げたそれまでの人生を
ぶち壊す。家族を含め自分以外の人たちにも大きな
影響を与え、そして去ってゆく。
特効薬ではないが、一つボケない方法がある。
男も女も一人になったら、強くなるよ。
特に男の場合、妻が亡くなったら、これまで妻がしていた
もろもろを全て自分でしなければならない。独身時代に戻
るわけだ。しごく当たり前のことだが、なれるまで大変だ。
食事を作らなければ、病気になって死ぬ。外食はなにを
食わされるか分らないし、栄養が偏ってそのうち死ぬ。
掃除、洗濯に手を抜くとごみ屋敷に乞食の居候となる。
生き抜くには、頭という武器がある。めし一つ作るにも実に
頭を使う。えさではない。料理のことをいっている。
頭を駆使して、一人暮らしの人生を前向きに生き抜く事だ。
「前向き」でも「楽しく」でもどっちでもいい。
ーと、自分に命じている。