洛西の花園に妙心寺がある。昔、ここは名の通り四季
折々に花咲き匂う京の地であったらしい。いまも、境内に
足を踏み入れると、雑音ひとつこぼれてこない。静寂の
なかの臨済宗妙心寺派大本山の寺院群である。
久しぶりに訪れた。観光客に交じって案内所へ行くと、
30分後にご案内します、説明もします、と。500円の入山
料を払うと、窓口の女性が「付いてきてください」という。
まず、鍵を開けて入ったのは法堂(はっとう)だった。さっき
石段でお茶を飲んだ。説明によると重要文化財とのこと。
すみません。
この後連れて行かれたのは「浴室」であった。
明智光秀の菩提を弔うために作られた。妙心寺の七堂
伽藍の一つに数えられる。なぜ、光秀か。
死ぬ前に莫大な遺産を寄進したそうだ。
案内はこの2か所だけで、大本山だけにもの足りなさを感じた。
せめて、仏法のかけらでも説明があってもいいものを。
法堂の天井には狩野探幽の「雲龍」。写真は複写。浴室は蒸し風呂。下段から入る。
静寂な境内に、主役のお坊の姿。絵になります。