尖閣諸島沖での日本の巡視船と中国漁船の衝突事件は、双方が引けない状況にあり、深刻な日中問題に発展しそうです。歴史認識の違いや領土問題がからむため、なかなか収まりがつかず、さらに状況が悪化し国交断絶といったような段階まで至らないといいのですが……。中国では、漁船が巡視船に衝突され、船長が拘束されたという一方的な報道がされ、世論の反日機運が高まっているようです。この機運に乗じて経済や政治の面でも大国となった中国が、さらに強引な制裁措置を取ることも心配されます。
中国人の船長が釈放されるまで緊張関係は続くと思いますが、衝突に至るまでの記録映像が客観的な証拠としてあるということなので、それらの映像や裁判の記録等を中国側にも随時公表し、中国漁船が意図的に巡視船に衝突した事実経過を伝えていくことも大切なのではないかと考えます。感情論にならないよう冷静に今回の事件を捉え、領土問題も含めた今後のより良い日中関係の在り方を双方の政治家に考えてもらいたいと思います。
国境なき医師団のCMの文言に『国の境目が命の境目となってはならない。』という一節があり、とても心に残っています。国の境目は、閉ざされた門ではなく、両国の人が相互に往来をし、交流をし、理解と信頼を深める、開かれた門でありたいものです。相互に国境を主張し、争うことは、門を閉ざし合うことでもあると思います。誰でも持っている二つの祖国(自分の国と地球)の地球人としての視点から、国境をとらえていくことで、今後の展望も生まれてくるように思います。経済も国境にとらわれない国際化の時代を迎えているのですから。
理想論かもしれませんが、地球に住む人は、みな地球という同じ環境に住み、地球人として平等であり、地球人として同じ幸福を享受する仲間なのだと視点から、世界を見ていきたいものだと思います。