あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

絵本『ずっとつながっているよ』を読んで

2011-05-20 07:58:27 | インポート

新聞の記事の中に,作者の入江 杏(いりえ あん)さんと書いた絵本の紹介があり,是非読んでみたいと思い購入した絵本です。

2000年3月31に東京都世田谷区で,一家四人が殺害されるという事件がありました。

作者の入江さんは,その被害者の母親のお姉さんにあたり,一家とも親密な心の交流がありました。この絵本は,亡くなられた4人(父親のみきおさん,母親であり妹のやすこさん,娘のにいなちゃん,息子のれいちゃん)にささげる形で,書かれたものです。

いつも家族と一緒だったぬいぐるみのこぐまのジェシカの視点で,描かれています。ジェシカの家族への温かい目線と思いは,作者である入江さん自身のものでもあるのでしょう。

四季折々の中での家族とのふれあい。そしてやってきた別れ。大切な人たちが目の前から消えてしまって以来のジェシカの悲しみが切々と伝わってきます。

事件があってから5年後にこの絵本は書かれました。その間に,胸に疼く悲しみが少しずつ癒され,4人の家族とは「どんなに遠くはなれていても ずっとつながっている」と感じることができるようになったのだと思います。そして,この絵本が生まれたのではないかと思います。

震災で愛する人が亡くなった方々も,このジェシカと同じような悲しみを抱かれているのではないかと思います。あの日からまだ2ケ月余りしかたっていないのですから,まだまだ辛く悲しい日々が続いているのではないかと思います。

ジェシカと同じように,少しずつ悲しみが癒され,どんなに離れていても愛する人との確かなつながりを感じることのできる日が訪れることを心から祈ります。

    「 いつでも いっしょに いたんだね。 風にも,水にも,光にも。

       いつでも,いっしょに いるんだね。  空にも,地にも,昼も,夜も。

      どんなに遠く はなれていても,

               ずっと つながっているから。

                                      ありがとう,わすれないよ。  」   原文より

※絵本では,悲しい別れの日からあったことが 次のように書かれています。

   だけど,ある日……信じられない できごと。

   にいなちゃん,れいちゃん,パパもママも,

   ぼくの 目の前から 突然いなくなった。

      こんなことって あるのかな?

      あんなに やさしかったのに。

      どこに 行っちゃったの?

      もう 会えないの?

          どんなに待っても,

          帰ってこなかった……。

          どんなに待っても

          もう会えなかった……。

              どんなに願っても

              かなわない願いがあることを

              ぼくは 知った。

                 でもね ある朝,

                 やっぱり 空気が冷たくて,

                 霜が キラキラ 光る朝。

                     霜柱を踏んだら……。

                     足元から 聞こえてくる

                     ひそやかな音。

                         ほら! 耳をすましてごらん。

                         「ミシュカ,ミシュカ……」って

                         ほくを 呼ぶ声がする。

                     にいなちゃんと れいちゃんが 呼んでいる。

                     ぼくが 霜柱を踏むたびに,

                     「ミシュカ,ミシュカ……」って ささやいている!

                 いつでも いっしょに いたんだね。

                 風にも,水にも,光にも。

             いつでも,いっしょに いるんだね。

             空にも,地にも,昼も,夜も。

         どんなに遠く はなれていても,

         ずっと つながっているから。

         ありがとう,わすれないよ。

※「ずっとつながっているよ~こぐまのミシュカのおはなし~」

   ○絵と文:入江 杏   ○くもん出版  

                 

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