あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

講演会を 終えて

2012-06-06 08:58:01 | インポート

 市民講座実行委員のメンバーの一人として関わってきた「小出裕章さんの講演会」が、先日無事終わりました。約2時間の講演内容でしたが、写真や図を提示しながら放射能や原発事故について 分かりやすく、明快に語る小出先生の話は、説得力がありました。私自身、放射能の持つ危険性と怖さを再確認することができました。同時に、原発推進の流れを黙認し、受け入れてきた大人としての責任を感じました。

「何よりも子どもには、原子力を選んだ責任がない。」 それなのに「子どもは放射線感受性が高い。」 事故によって汚染された環境下で、責任のない子どもたちの方が、大人の4倍~5倍も放射線被害を受けやすいという現実をどう考えたらいいのでしょうか。小出さんは、原子力の研究者として原発の推進を止められなかった自らの責任を認めています。また、原発の安全神話にだまされてきた大人の責任についても言及しています。

 私自身を振り返れば、唯一の被爆国である日本が、原子力を軍事力ではなく平和利用とし活用していくことは、とても意義があることだと考えていました。チェルノブイリの原発事故があった時にも、放射能による健康被害の実態を知りながら、それでも日本で同様な事故が起こるとは想像さえしていませんでした。原発の安全神話を信じていたように思います。しかし、今回の事故を通して、考えは変わりました。原子力は、到底人間の手でコントロールできるものではなく、さらには事故によって汚染された国土は、決して元にはもどらないのだということを知ったからです。

 除染によって放射能は消えるわけではなく、移染(存在する場所を変えるだけ)するだけの対応でしかないそうです。結局は、事故によって放出された放射性物質は、封じ込めて放射線を遮断する以外に、方法はないとのこと。原発から生じる高濃度の放射性廃棄物は、その後の処理方法が見つからないまま、封じ込めた状態で地下深くに貯蔵施設をつくり、100万年もの年月をかけて管理・監視を続けなければならないそうです。それより低レベルの放射性廃棄物(汚染された作業着など)でさえ、国の責任で300年間、管理・監視を続けることになっています。原発が稼働する限り、処理できない放射性廃棄物はどんどん増え続けていきます。事故を起こした福島原発の4号機では、使用済みの核燃料が収められたプールがむき出しの状態になっているとのこと。もし、大きな地震が起こりプールが壊れるならば、首都圏を含む広い範囲に、今回の事故の規模を上回る放射性物質が放出されることになります。

 放射性物質が出す放射線を浴びると、人体の遺伝子情報である染色体が破壊され、ガンや白血病などの病気になってしまいます。チェルノブイリの事故では、たくさんの人が放射線を浴び亡くなっています。特に子どもたちは、放射線被害を受けやすく、甲状腺ガンが多発したとのこと。福島の子どもたちの今後の健康被害がとても心配されます。

 大人としての責任は、子どもたちにとって 安全で安心な地球環境をつくり、夢に向かって活躍できるステージを用意してあげることなのではないでしょうか。

 脱原発の方向に足を踏み出し、クリーンエネルギーの開発を進めていくことが、原子力を選び受け入れてきた大人としての責任を果たすことにつながっていくように思います。

 以前、朝日新聞の社説に 原発の取り扱いについて 国民投票を実施してはどうかという提案がありました。日本の未来を左右する問題については、国民一人一人がどう考え判断するか、国民投票にかけ、その声を国政に生かしていくというしくみの必要性を 私も強く感じます。

 今、原発の再稼働の問題がマスコミでも取り上げられています。福島の原発事故から何を学んだのか、改めてその答えを問い直し、日本と子どもたちの未来を考えながら 大人としての責任を果たしていけたらと 思います。