昨夜、GSOMIAが維持されました。
ここまでの間、隣国には合理的な判断力がないとか、面子に拘っているとか、世論が許してくれないとか、新聞や週刊誌等では、さまざまなことが書かれていますが、一度、先方が置かれた状況を、もう少し冷静に考えてみる必要があると思います。
昨日、このブログで書いたのが「香港と深圳」。趣旨は、デモクラシー世界と、国家資本主義世界の覇権争いで、今の香港と深圳の状況を比較するに、どうも国家資本主義の方が分が良い、という内容でした。
隣国は、中国の影響下で2000年近く生きてきた国です。常に、周囲の政情を正しく理解して、自らの姿勢を鮮明にしておかないと、周囲の強国から侵略を受ける立場でしたから、時代の微妙な変化にも大変敏感な国と言えます。中国の国力が猛烈なスピードで上昇してきた2000年以降や、北朝鮮の核保有が明らかになってきたここ5年、隣国は特にアメリカとの関係、距離感をすこしずつ調整してきたのだと思います。
正直、日本との関係はたいした問題だとは認識していないと思います、日本は絶対に攻めてこない国ですから。あくまで、今回のGSOMIAも、隣国とアメリカの適正な距離感の問題だと考えているのでしょう。
中国の国家資本主義の台頭が明らかであり、しかも10年後には米中の地位が逆転すると考えていれば、その両大国との付き合い方を、時間をかけながら調整しなければならないことは明らか。それで、日本の貿易管理上のアクションを、これ幸いとトリガーにしただけ‥ということだったのではないでしょうか。
今回は、米軍の撤退リスクが急に高まったため、アメリカとの距離を保つことを目的にGSOMIA維持となりましたが、隣国による深慮遠謀の、非常にしたたかな判断の向こう側には、中国の国家資本主義の台頭があることを常に忘れてはなりません。