昨日のジャパンカップ、スワーヴリチャードの復活のV、素晴らしかったです。最近の走りに気持ちが入っていないのが気になっていましたが、若き天才マーフィー騎手がスワーヴのやる気を引き出したのでしょう。
ところで、レースを振り返ってみると、騎手の判断によって、勝敗を決したポイントが2点ありました。
まずは、果敢に先頭に立ち、馬群を引っ張ったダイワギャグニーの石橋修騎手と、番手からダイワギャグニーに並びかけたカレンブーケドールの津村騎手。せっかくリスクを取って先頭に立ったのですから、内からスワーヴに突かれる隙間を作ってはいけません。津村・石橋両騎手がそれを意識していれば、マーフィー騎手はカレンの外を通っていかなければならなかったはずで、少なくとも、1着と2着は入れ替わっているか、微妙な勝負になっていたと思います。欧州の他頭数のレースで、あんな風に内を空ける乗り方はありません。昨日の馬場を考えても、コーナーまでは内が悪かったですが、直線は内が最も伸びていました。ここを空けてはいけません。
次のポイントは、ワグネリアンの川田騎手です。馬の位置取りでは、カレンブーケドールの位置がベストで、ワグネリアンの位置が2番目に良いポジションでした。しかし、4コーナー手前で、スワーヴのマーフィー騎手にカレンのすぐ後ろの位置を先に取られてしまいました。スワーヴの位置は、前を塞がれるリスクのある位置ではありますが、マーフィー騎手はそのリスクを取って先に仕掛け、川田騎手は安全策を取って、カレンの外を通るコースを選択しました。結果論ではありますが、もし、川田騎手が先にカレンのすぐ後ろの位置を押さえにいっていれば、おそらく勝ったのはワグネリアンで、2着カレン、3着スワーヴとなっていたと思います。
以上のように、GⅠレースだからこそ、厳しいコース取りをきちんと守れるか、そしてリスクを覚悟のうえで勝負所で前に出られるか、によって結果が左右されるということなのでしょう。
最後に、マカヒキの武豊騎手について。1頭だけ、まるで違うレースをしているようでしたが、マカヒキに走る気持ちを復活させるような素晴らしい騎乗でした。欧州遠征以来、マカヒキからは鋭い切れ味が消えて、長く良い脚を使う「欧州仕様」になっていましたので、馬場の悪化も味方したと思いますが、ひさしぶりにマカヒキらしいひた向きな走りを復活させたのは、武豊騎手ならではの手腕だったと思います。