有馬記念の回顧の前に、まずは阪神カップのグランアレグリアについて。スピードで押し切るレースではなく、中段から切れ味勝負に出るとは考えてもみませんでした。1200mで天下を取るための脚質転換、そのための調教を繰り返していたのですね。恐るべし、藤沢和雄調教師とノーザンファーム!
さて有馬記念。総じて振り返ると、アーモンドアイを負かせようと前に行った馬たちはすべて潰れ、自分の競馬に徹して後方から行った馬たちが上位を占める結果になりました。
まず、勝ったリスグラシューですが、アーモンドアイのやや後方、内ラチ近くでロスのないコース取り、じっくり脚を溜めていました。Dレーンの凄腕と矢作芳人の信念が組み合わさって、5馬身差の完全勝利となりました。年度代表馬は間違いないところだと思います。矢作君は私の日進時代(東京の進学塾です)、隣に座っていた幼友達ですが、遂に年度代表馬を出す調教師になりました。おめでとう、矢作君!
それから3着から5着まで、歴代の菊花賞馬が名を連ねています。アエロリットが創った、淀みのない歴史的な消耗戦でしたので、常時後方にいた馬の中で、スタミナに自信がある馬たちが上位を占めたということですね。特にワールドプレミアを3着まで持ってきた武豊騎手は、ここでもまた、ワールドプレミアの成長をサポートしていました。追う力は衰えたとは言え、競馬を教えるトレーナーとしての武豊は、外人騎手にもない、比類なき凄みを増していると思いますよ。
そして、2着のサートゥルナーリア。中山適性が高いとは言え、この歴史的な消耗戦で2着に入ったのは見直しました。来年はこの馬の年になるかもしれません。また、激しい消耗戦を予想して、最初から後方待機を決め込んだスミヨン騎手の判断力も素晴らしかったと思います。
最後にアーモンドアイ。何ともコメントしようがありませんが、結果としては早めに仕掛けたことが敗因と言えますが、それでも、いつもの彼女であれば、あのタイミングでも突き抜けて先頭でゴールしたはず。そのつもりでルメールも仕掛けたと思います。となると、月初の熱発の影響も含め、体調面で問題があったと考えるべき。結果論ではありますが、香港カップ断念の時点で有馬記念は出場しない判断をするべきでした。そこは厩舎サイドもオーナーサイドも猛省しなければならないと思います。
繰り返しますが、この馬は日本競馬界の至宝であり、そのつもりでアーモンドアイに関する判断をして頂きたいと思います。私は、今でも、引退⇒繁殖入りが、アーモンドアイにとって最善の道だと考えています。