金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【将棋界の動き】 名人戦が終了、そして棋聖戦がスタート。それよりも初の女性棋士誕生か!?

2022-06-01 05:44:12 | 将棋

 5月29日の日曜日に第80期名人戦が終了、渡辺明名人が4勝1敗で防衛これで名人戦3連覇となりました。そして、6月3日からは棋聖戦五番勝負がスタート今度は藤井聡太五冠がタイトル戦に登場いたします。さらに、6月28日から始まる王位戦七番勝負の挑戦者豊島将之九段に決定。いよいよ、将棋界の大看板が揃い踏み、という季節が到来致しました。

 

 さて、本日のテーマは、それより何より、今将棋界では、もっと現代風の印象的な出来事が発生しています。それは、里見香奈女流四冠がプロ棋士編入試験の受験資格を得たこと。ちなみに『女流棋士』は『プロ棋士』とは異なります。現在まで、女性の『プロ棋士』は誕生しておりません。

 もともと、プロ棋士の世界とは、男女の区別なく、奨励会に入った上で各ステージのリーグ戦を勝ち抜いて、奨励会 最上位の三段リーグの上位2名しか、毎半年にプロ棋士には成れない仕組み。そして、26歳に到達すると三段リーグから去らなければならず、年齢制限により、プロ棋士になるのは諦めなければなりません

 ただし例外措置として、26歳超となっても、アマチュア棋士、あるいは女流棋士として、公式戦でプロ棋士と対局する機会を得て、「最近の公式戦で10勝以上、かつ勝率6割5分以上」の条件が満たされれば、プロ棋士編入試験の受験資格が得られるのです。里見香奈女流四冠は、直近公式戦において男性のプロ棋士相手に10勝4敗の成績を残し、この基準をクリアしました。

 

 これまで、女性がプロ棋士の資格に一番近づいた瞬間は、西山朋佳白玲・女王三段リーグにおいて、最上位と同じ成績を残しながら、同成績の三段棋士が3名で並び、前期の成績順位で次点となってしまった、2019年秋~2020年春の三段リーグの時。かつて、里見香奈女流四冠も、西山朋佳白玲・女王も、女流トップ棋士でありながら、男女区別のないプロ棋士を目指して三段リーグに参加しましたが、26歳制限の範囲内では、プロ棋士資格を得ることは成りませんでした

 一方、男性の中には、この編入試験を経て、プロ棋士になった事例がいくつかありますが、直近では、30歳でプロ編入試験に合格してプロ棋士となった折田翔吾四段の例があります。

 プロ編入試験は、5人の試験官=プロ棋士(四段・五段棋士の中から選ばれる)との対局先に3勝すれば合格3敗してしまうと不合格となります。

 

 なお、里見香奈女流四冠は、このプロ編入試験を受けるか否かの意思表示をまだ示していません私は、恐らく「受験はしない」と見ています。すでに女流トップ棋士として、タイトルも収入も、相当に得られる立場にあるため、その立場を捨ててまで、敢えて男女の区別のないプロ棋士を目指すモチベーションが湧きづらいと思うからです。

 意義があるとすれば、男女区別のないプロ棋士の世界へ飛び込んで、男子プロ棋士と同等の活躍をすることにより、世のジェンダー問題解消のための旗手になること。特に、将棋界の最高峰である「名人位」に就くためには、プロ棋士になるしか方法がありません。ただ、それは果てのない道であり、個人としての幸福とは遠いところにある意義、と言えます。

 ちなみに、もう一方の最高峰である竜王位には、女流棋士のままでも、予選を勝ち抜いていけば挑戦権が得られる仕組みがあります。また今回、里見香奈女流四冠は、棋王戦の予選を勝ち抜いて、棋王戦挑戦者決定トーナメントの出場権を得ています。このトーナメントに勝利すると、渡辺明棋王へのタイトル挑戦者になることも可能な訳です。つまり、プロ棋士にならなくても、プロ棋士のタイトル戦への道は開かれている現況下、「女性初のプロ棋士」という名を獲りに行く冒険には、敢えて踏み切らないだろうと私は考えています。

 

 ジェンダーの旗手として、里見香奈女流四冠は、むしろ女流タイトル保持者として、プロ棋士用タイトルのトーナメントやリーグ戦に出られる資格を活かしながら、男性のトップ棋士を、公式なタイトル戦か、挑戦者決定トーナメントでブチ破ることが、他の女流棋士たちにとっても、そして働く全女性たちにとっても、とてつもないエネルギーになると信じて、今のまま突き進むことを選択する気がしております。

 それが、現女流棋士たちの立場を守りつつ、世のジェンダー問題と闘う唯一の方法だと、腹の底で納得しているからだと思います。


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