私の周辺で、初めて、コロナ禍による犠牲者が発生いたしました。高校の同級生で、僕らはマエストロと呼んでいた、ブロ指揮者のN君です。
私の母校は所謂受験校だったので、卒業生の多くが、東大・一橋・早慶か、どこかの医学部へ行くケースが殆どなのですが、彼は敢然とプロの指揮者を目指して音大へ進み、音大卒業後はドイツへ留学、あのカラヤンに師事して、カラヤン最後の弟子のひとりになりました。
帰国後、さまざまな分野で活躍した後、彼は全国各地のアマチュア交響楽団を指導する道を選びました。近年では、彼の名前を冠した交響楽団を結成して、念願だったブルックナーの交響曲全曲制覇を、ドイツ遠征も絡ませながら、実現いたしました。
次なるプロジェクトを企画しているなか、この3月下旬にコロナ陽性、症状がほとんど出ないまま入院療養を続けていましたが、数日後、急激に酸素飽和度が下がり重症化。治療薬投与によって徐々にコロナによる肺炎は良化するものの、自動呼吸装置を長期間装備することによる体力消耗により最後は力尽き、昨夜亡くなりました。享年60歳。
マエストロ、早すぎますよ。まだやりたいことがいっぱいあったじゃないですか。
2年前のグッチーさんといい、昨夜のマエストロといい、わたしの仲の良い同級生で、才能溢れる友人ほど急逝するケースが多過ぎます。彼らの無念を想うことと、残される身の辛さについては、言葉に表せるものではありません。