本日は少しショッキングなお話を。
このblog内でときどき「電車バス内の風景」をシリーズでお伝えしておりますが、今回のテーマは「乗車しているバスから見える風景」であります。
ワタクシが出勤時に乗るバスは始発バスなので、最寄り駅である武蔵小金井駅に到着する時刻は、朝6時前後。駅周辺を歩いているのは、通勤通学の人間以外はほぼ居ません。
しかし最近は、朝早くから駅周辺をウロウロしている初老の男性を時々見かけることがあります。身なりは、黒いチノパンに黒いシャツ、野球帽にスニーカーと小さめのリュック。路上生活者ではありませんが、あまり清潔感はなく、毎日お風呂に入っていそうにはない感じ。年齢は65歳から75歳の間に見える。
その男性が、飲料水の自販機や、時間貸しの駐車場の発券機を見つけては、周囲を丹念に調べたり、また釣銭口に手を入れたり、しているのです。どうも、夜中の間に誰かが取り忘れた釣銭や、あるいは自販機周辺に落として暗くて見つけられなかったコインを早朝に集めているらしい。
とても地域のボランティアには見えませんので、恐らくは「生活のため」に行っている活動らしい。自販機や発券機の釣銭口からコインを集めるのは、明らかに犯罪行為ですが、追い詰められているのでしょう。周辺を歩いている通勤途上の人たちも敢えて咎めている様子はありません。
最近、国分寺市や所沢市といった東京西部のベッドタウンで、誰かの指図に従って行われる凶悪な強盗事件が多発しています。強盗を現場で行うのは20代の若者たちであり、定職に就けない貧困層が「反社勢力からの甘い誘い」に乗せられて、最初は連絡役などで参加。一度参加すると反社勢力に「弱み」を握られて、次からは抵抗できずに凶悪な犯罪の主体となってしまう。ベースにあるのは、想像を超える貧困の実態です。
同時に、老年齢層にも先の見えない悲惨な貧困が広がりつつあります。飲食店などの個人事業主が、コロナ禍が明けて補助金がなくなり、次々破産。国民年金の保険料を支払っていないため年金も出ない。目の前の生活がおぼつかない。生活保護の申請をするにしても、まずは最低限の就活が条件になるでしょうから、今日の食事のために何かをしなければならない。それが、前述の「コイン集め」なのかもしれません。
分厚かったはずの日本の中間層。一部は富裕層へのし上がっていきますが、中間層の多くは貧困層へ落ちていく・・
「世界で唯一成功した社会主義国」と揶揄されていた戦後の日本社会も、遂に欧米の格差社会を後追いするステージに入ったように見えます。
10月27日(日)が投票日の総選挙。想像以上のスピードで進展する格差社会の現状が、想定以上の選挙結果を招く気がしてきました。